- UVRって何の略?「アンダー・ヴォルテージ・リレー」って読みでいい?
- 器具番号「27」が UVR らしいけど、なぜ27番?
- 整定値「85V/2秒」って常識らしいけど、根拠は?
- 試験方法って、どの計器を当てて何を測る?
- 動作値・復帰値・動作時間、3つの試験項目を整理したい
- OCR・OVR・GR と UVR、それぞれ何が違う?
- 三菱・オムロン・富士電機、UVR メーカーの選定基準は?
- 年次点検で UVR が誤動作しなかった=OK?
- 高圧受電設備での UVR の役割を上司に聞かれて答えられない
- 耐用年数って何年?交換タイミングはいつ?
- UVR が動かないと、停電・復電で何が起きる?
- 電験3種・電気工事士の試験で UVR ってどう出る?
上記の様な悩みを解決します。
UVR(不足電圧継電器)は、高圧受電設備の保護リレー4兄弟(OCR・OVR・UVR・GR)の中でも「停電時に確実に動かないと困る」という独特の役割を持つ継電器で、ビル・工場・商業施設の電気主任技術者業務では年次点検の対象となる基本機器です。電気施工管理として「単線結線図でUVRと書かれている回路の意味」「年次点検時の試験手順」「メーカー選定」「更新判断」を求められる場面が多く、整定値の根拠や試験方法を即答できるかで電気主任・客先からの信頼が変わります。今回は原理・記号・整定値・試験方法・主要メーカー比較・他継電器との違い・受電設備での役割・年次点検実務・耐用年数・試験対策まで、現役の電気施工管理経験者目線で実務に落とし込みました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
UVR(不足電圧継電器)とは?
UVRとは、結論「電源電圧があらかじめ整定した値以下に低下した時に動作する保護継電器」のことです。読みは「ユーブイアール」、または「ふそくでんあつけいでんき」。
英語表記は Under Voltage Relay。Underが「不足・下回る」、Voltageが「電圧」、Relayが「継電器」で、直訳すると「電圧が不足したら動く中継器」です。JIS C 4602(保護継電器及び保護継電装置)等で機種が定義され、JEM 1090(日本電機工業会規格・電気機器用器具番号)で器具番号「27」が割り当てられています。
主な用途は高圧受電設備の保護で、特に停電検出・電動機保護・自家発電機の起動信号・無停電電源装置(UPS)の切替信号として使われます。ビル・工場・商業施設・病院などの自家用電気工作物では、キュービクル内のVCB(真空遮断器)と組み合わせた基本構成として配置されているのが標準。
OCR・OVR・GRとの関係でよく聞かれるのは「どれも電気の異常を検出するけど、何が違うの?」ですが、検出する物理量と目的が明確に分かれます。僕としては、UVRは「停電すると動く=停電を信号として伝えるための継電器」、OCRは「過電流=負荷異常を検出」、OVRは「過電圧=雷・系統異常を検出」、GRは「漏電・地絡を検出」と整理すると一気に理解が早くなる。中でもUVRは「電源が消えたら動く」という逆説的な動作原理を持つ点が他継電器と異なります。
電気設備の保護継電器全体はこちらが詳しいです。



僕の感覚だと、UVRは「動かないと困る継電器」の代表格。OCRやGRは「事故時にだけ動けばOK」ですが、UVRは「停電と同時に確実に動かないと、自家発電機が起動しない/UPSが切り替わらない/非常用回路が機能しない」というクリティカル機器です。年次点検で見るべきポイントが他と違う、というのが現場でハマりやすいポイントです。
UVRの原理と動作の仕組み
UVRが「電圧低下=動作」というメカニズムを実現する原理と、停電時の動作シーケンスを整理します。
基本原理
UVRは内部の電圧検出回路で電源電圧を常時監視し、整定値(しきい値)を下回ると接点を動作させます。動作方式は主に2種類。
| 方式 | 構造 | 特徴 |
|---|---|---|
| 電磁式(ヒンジ式) | 電磁石とバネのバランスで動作 | 古いタイプ、シンプル構造 |
| 電子式(半導体式) | 半導体回路で電圧を判定 | 現代主流、整定精度が高い |
動作シーケンス(停電発生時)
UVRが停電を検出してから関連機器を動作させるまでのシーケンスは以下。
- 電源電圧が整定値(例:85V)以下に低下
- UVRの動作時間(例:2秒)が経過
- UVRの接点が動作(a接点ON、b接点OFF)
- 信号が連動先(自家発電機、UPS、警報、遮断器など)に伝達
- 連動先が起動・切替・遮断
通常の運転状態では電圧が定格(100V/110V)付近にあるため、UVRは「不動作」の状態。停電や著しい電圧低下が起きると、整定値を下回って「動作」状態に切り替わります。
a接点・b接点と保持の関係
UVRには通常、a接点(メイク接点:通常開・動作時閉)とb接点(ブレーク接点:通常閉・動作時開)の両方が用意されています。
- 動作信号として使う回路:a接点(停電時にONになる)
- 自己保持や警報リセット:b接点
注意点として、UVRは「電源を失っても動く」必要があるため、検出回路は通常、CT・VTから自己給電するか、別電源で動作する設計になっています。電源喪失と同時に接点が動作する仕組みは、機種により細部が異なるのでメーカーの取扱説明書で必ず確認してください。
僕としては、UVRの動作シーケンスを理解する一番のコツは「停電時の連動先」をセットで覚えること。自家発電機の起動信号としてUVRが使われている場合、UVRが動かないと発電機が起動せず、非常用負荷(消防設備・誘導灯・防排煙)が落ちる。これを念頭に置くと、UVRの試験を疎かにできない理由が腹に落ちます。
非常用発電機との連携はこちらが詳しいです。

UVRの記号と器具番号(27)
UVRの図面表記は単線結線図・展開接続図でよく登場します。電気施工管理として最初に覚えるべき記号です。
記号と表記の対応
| 表記 | 内容 | 用例 |
|---|---|---|
| UVR | 文字記号(Under Voltage Relay) | 単線結線図、展開接続図 |
| 27 | 器具番号(JEM 1090) | 制御回路図、シーケンス図 |
| U< | 図記号(電気記号) | JIS C 0617系列 |
器具番号「27」の由来
器具番号は、米国電気学会(ANSI/IEEE)が定めた C37.2 標準を元に、JEM 1090で日本国内向けに整理された番号です。
- 27:Undervoltage Relay(不足電圧継電器)
- 50:Instantaneous Overcurrent Relay(瞬時過電流継電器)
- 51:AC Time Overcurrent Relay(限時過電流継電器)
- 59:Overvoltage Relay(過電圧継電器)
- 64:Ground Fault Relay(地絡継電器)
なぜUVRが27番か、という由来は資料により諸説ありますが、電気施工管理として覚えるべきは「27=UVR」「51=OCR(限時)」「59=OVR」「64=GR」の4つだけ。電気主任技術者・電験の試験でも頻出です。
図記号の読み方
JIS C 0617系列では、UVRは「U」の文字と「<」(不足を表す)の組合せで表記されます。図面上では小さい記号で書かれているので、見落としやすい。展開接続図では「(27)」と数字で表記されるパターンが多く、こちらの方が見つけやすい場合もあります。
僕の感覚だと、新人時代に図面で「27」と数字だけ書かれていて「これ何?」と固まる経験は誰もが通る道。器具番号一覧(27/50/51/59/64あたり)を頭に入れておくと、図面読みのスピードが一段上がります。
UVRの整定値(85V/2秒の根拠)
UVRの整定値は「85V/2秒」が業界の事実上の標準。なぜこの数字なのか、根拠と例外パターンを整理します。
標準整定値の根拠
| 整定項目 | 標準値 | 範囲 |
|---|---|---|
| 動作電圧 | 85V | 80〜90V |
| 動作時間 | 2.0秒 | 0.5〜30秒 |
| 復帰値 | 95V以上 | 動作値の110〜120% |
整定値の決定根拠は以下。
- 動作電圧85V:定格100Vの85%、または定格110Vの77%。通常の電圧変動幅(±10%程度)を確実に外れる値
- 動作時間2秒:瞬時電圧低下(雷、系統切替など)での誤動作を防ぐためのフィルタ
- 復帰値95V:動作値より高く、ハンチング(オンオフ繰り返し)を防ぐ
標準より長め・短めに整定するケース
機器の役割や系統の特性により、整定値を標準から外す判断が必要な場合があります。
| シーン | 動作電圧 | 動作時間 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 自家発起動信号 | 85V | 1.0秒 | 停電検出を早めて発電機起動を急ぐ |
| UPS切替信号 | 85V | 0.5秒 | 瞬停を許容しない負荷向け |
| 重要負荷遮断(電動機保護) | 80V | 5秒 | 短時間電圧低下では遮断しない |
| 系統不安定地域 | 80V | 10秒 | 瞬時電圧低下が頻発する地域 |
整定値の確認方法
現場でUVRの整定値を確認するには、機器本体の整定ダイヤルまたはデジタル表示を見ます。古い電磁式は手動ダイヤル、新しい電子式はデジタルスイッチで設定。
僕としては、UVRの整定値を変更する場面は実務でかなり少ない(基本「85V/2秒」で運用)と感じます。むしろ、整定が客先要望や試験成績書とズレていないかを年次点検で確認するのが施工管理の主業務。試験成績書の保管と現物との照合を怠らないのが基本です。
UVRの試験方法(動作値・復帰値・動作時間)
UVRの試験は年次点検の主要項目で、3つの試験項目(動作値・復帰値・動作時間)を測定します。試験手順と判定基準を整理します。
試験項目3つの比較
| 試験項目 | 測定内容 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 動作値試験 | 電圧を徐々に下げ、UVRが動作した瞬間の電圧 | 整定値±10%以内 |
| 復帰値試験 | UVR動作状態から電圧を徐々に上げ、復帰した瞬間の電圧 | 動作値の110〜120% |
| 動作時間試験 | 急変的に整定値の70%まで電圧を下げ、動作までの時間 | 整定時間±20%以内 |
試験手順(10ステップ)
- UVRの単独試験のため、関連回路から切り離す
- 試験電源装置と電圧計、ストップウォッチを準備
- UVRに定格電圧(100Vまたは110V)を印加
- 動作値試験:電圧を徐々に下げ、UVR動作時の電圧値を記録
- 復帰値試験:動作状態から電圧を徐々に上げ、復帰時の電圧値を記録
- 動作時間試験:定格電圧から動作整定値の70%まで急変させ、動作までの時間を測定
- 各試験を3回実施し、平均値を算出
- 試験成績書に記入し、判定(合格・不合格)
- 試験後に整定値の再確認
- 関連回路を復旧
試験に必要な計器
- 試験用電源装置(可変電源、または継電器試験器)
- 電圧計(高精度デジタル、0.1Vまで読める)
- ストップウォッチまたはサイクル計(0.01秒精度)
- 接点動作検出用ブザーまたはランプ
- 配線・コード・端子台
判定基準
各試験項目の判定基準は以下。
- 動作値:整定値±10%以内(85V整定なら76.5〜93.5V)
- 復帰値:動作値の110〜120%(80V動作なら88〜96V)
- 動作時間:整定時間±20%以内(2秒整定なら1.6〜2.4秒)
これを外れたら整定不良または機器劣化と判定し、調整・部品交換・機器交換を検討します。
僕としては、年次点検でUVRの試験は「機械的に手順に従えば終わる」作業ですが、判定が境界値(例:動作値75Vで「ギリギリ範囲外」)の時の対応で施工管理の知見が問われます。「次回点検まで様子見」か「即時調整」か「機器交換」かの判断は、機器の経年・過去の試験データ・客先合意で決めます。新人時代は必ず先輩の判断を仰ぐクセを付けておくと安全です。
UVRと他継電器(OCR・OVR・GR)の違い
UVR・OCR・OVR・GRは高圧受電設備の保護リレー4兄弟。それぞれの違いを整理します。
4継電器の比較
| 継電器 | 器具番号 | 検出対象 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| UVR | 27 | 電圧低下(不足電圧) | 停電検出、自家発起動信号、UPS切替 |
| OVR | 59 | 電圧上昇(過電圧) | 雷・系統異常からの機器保護 |
| OCR | 50/51 | 電流上昇(過電流) | 過負荷・短絡からの回路保護 |
| GR | 64 | 地絡電流 | 地絡・漏電からの感電・火災防止 |
UVRと OVRの対称性
UVR(27)と OVR(59)は「電圧の異常を検出する」点で共通ですが、検出方向が真逆。UVRは「下に外れたら動作」、OVRは「上に外れたら動作」です。整定の考え方も対称で、UVRは85V/2秒、OVRは110V/2秒が標準です。
ビル・工場の高圧受電設備では、UVRとOVRをセットで配置するのが基本構成。両方とも電圧異常の検出ですが、原因と対応が異なるため別個に必要です。
OCRとUVRの違い
OCRは負荷側の異常(過負荷・短絡)を検出するため、回路の電流を監視します。UVRは電源側の異常(停電・電圧低下)を検出するため、電圧を監視します。両者は監視対象が異なり、組合せて使うことで負荷・電源の両方をカバーします。
過電流継電器(OCR)の詳細はこちらが詳しいです。


GRとUVRの違い
GR(地絡継電器)は機器の絶縁不良による地絡電流を検出する、感電・火災防止が主目的の継電器。UVRとは検出対象(地絡電流vs電圧低下)も目的(人の安全vs停電検出)も異なります。
地絡継電器の詳細はこちらが詳しいです。

僕の感覚だと、新人時代は4つの継電器が頭の中で混ざります。覚え方のコツは「UVR:電源が消えると動く」「OVR:電源が暴れると動く」「OCR:負荷が暴走すると動く」「GR:絶縁が破れると動く」と動詞でセットにすると、機能と目的が一発で整理できます。
UVRの主要メーカーと選定基準
UVRは複数の電機メーカーが製造しており、それぞれ製品の特徴と整定方式が異なります。施工管理として知っておくべき主要メーカーを整理します。
主要メーカー一覧
| メーカー | 代表型番 | 特徴 |
|---|---|---|
| 三菱電機 | MUV-A1V-R | MELPRO-Aシリーズ、業界シェアトップクラス |
| オムロン | K2ZC-K2VU-N | 電子式、汎用性高い |
| 富士電機 | 27型シリーズ | 受配電設備向けの定番 |
| 東芝 | GRMシリーズ | デジタル型保護リレー |
| マルチ計測器 | コンパクトタイプ | 制御盤向け、小型 |
メーカー選定の判断軸
UVRのメーカー選定は以下の基準で考えます。
| 判断軸 | 内容 |
|---|---|
| 既設設備との整合 | キュービクルや盤メーカーと同じシリーズが基本 |
| 互換性 | 既存OCR・OVRと同じメーカーで揃える |
| 整定方式 | 電子式(デジタル)vs 電磁式(アナログ) |
| 価格・納期 | 三菱・富士は標準在庫、特殊品は納期2〜4週 |
| 試験成績書の互換 | 過去の試験成績書と試験項目が揃えやすい |
三菱電機 MUV-A1V-Rの特徴
三菱電機のMUV-A1V-Rは、MELPRO-Aシリーズの定番モデルで、高圧受電設備の標準として広く使われています。整定値はデジタル表示で確認しやすく、試験成績書のフォーマットも業界スタンダード。
オムロン K2ZC-K2VU-Nの特徴
オムロンの K2ZC-K2VU-Nは制御盤向けの汎用UVRで、コンパクトかつ整定方式がシンプル。新規設置から更新まで幅広く採用されます。
富士電機 27型の特徴
富士電機の27型シリーズは、受配電設備の標準UVRとして長く採用されており、既設富士電機キュービクルの更新時の互換性が高い。
僕としては、新規キュービクルの設計時はキュービクルメーカーが標準採用しているUVRをそのまま選定するのが基本。既設の更新時は、既設と同じメーカーで揃えると試験成績書のフォーマットと操作手順が変わらず、年次点検の段取りが楽になります。
UVRの受電設備での役割と配置
UVRは高圧受電設備(キュービクル)のどこに配置され、どのような役割を果たすかを整理します。
キュービクル内での配置
高圧受電設備の標準的なUVR配置は以下。
- 主遮断器(VCB)の二次側に VTを介して接続
- 高圧側電圧の検出用としてキュービクル内に1〜2台配置
- 自家発切替盤(ATS:自動切替盤)内に別途配置されるパターンもあり
主な連動先
UVRの接点信号が連動する先の代表例。
| 連動先 | 動作 |
|---|---|
| 自家発電機(非常用発電機) | UVR動作→始動信号→発電機起動 |
| 無停電電源装置(UPS) | UVR動作→切替信号→バッテリ給電 |
| 主遮断器(VCB) | UVR動作→トリップ信号→遮断 |
| 警報盤・遠隔監視 | UVR動作→警報信号→中央監視へ |
| 電動機保護 | UVR動作→電動機停止 |
自家発電機との連動
非常用発電機の起動信号としてUVRが使われる場合、停電時のシーケンスは以下。
- 商用電源が停電(電圧0V)
- UVR動作(整定値85V以下、動作時間1〜2秒)
- UVR接点ON→発電機起動信号
- 発電機が始動・電圧確立(30〜40秒)
- 自動切替盤(ATS)が発電機側に切替
- 非常用負荷に電源供給開始
この一連の動作の中で、UVRが故障または整定不良で動作しないと、発電機が起動せず、非常用負荷(消防設備・誘導灯・防排煙設備)が稼働しない事態になります。
受電設備の年次点検でのUVR
電気事業法に基づく自家用電気工作物の年次点検では、UVRの動作試験が必須項目。試験成績書を残し、保安規程に従って5〜10年の保管が義務付けられています。
電気の年次点検全体はこちらが詳しいです。


僕の感覚だと、UVRの「連動先までセットで理解する」のが施工管理として必須の知識。UVR単体の試験ができるだけでは半人前で、停電シーケンス全体の中でUVRがどこにいて何を引き起こすかを描けると、客先・電気主任技術者から一段信頼されます。
UVRの耐用年数と更新判断
UVRも他の電気機器と同じく経年劣化します。更新判断の基準と耐用年数の目安を整理します。
耐用年数の目安
| 機種 | 耐用年数 | 備考 |
|---|---|---|
| 電磁式UVR | 15〜20年 | 機械的接点の劣化が主原因 |
| 電子式UVR | 10〜15年 | 半導体・コンデンサの劣化 |
| デジタル型UVR | 10〜15年 | 表示部・基板の劣化 |
電気学会・電気保安協会の指針では「保護継電器は15年を目安に更新を検討」とされており、20年を超えると故障リスクが急上昇します。
更新判断の5基準
更新を検討すべき基準は以下。
- 経年が15〜20年を超えている
- 年次点検で動作値・復帰値・動作時間のいずれかが判定基準を外れる
- 過去に誤動作・不動作の実績がある
- 製造中止で交換部品の入手が困難
- 上位機器(VCB・自家発・UPS)の更新と連動
更新の費用と工事
UVRの更新費用の目安は以下。
- 機器単価:3〜10万円(メーカー・機種により変動)
- 取替工事費:5〜15万円(停電作業、配線工事含む)
- 試験費:3〜5万円(取替後の動作試験)
合計で20〜30万円程度。停電作業を伴うため、客先の停電許容時間との調整が必須です。
連動更新の考え方
UVR単体での更新より、上位機器(VCB・自家発・UPSなど)の更新と合わせて行うほうがコスト効率がいい。施工管理として年次点検結果を蓄積し、5〜10年の更新計画を客先と共有しておくと、計画的な予算化と工事段取りができます。
僕としては、UVRの更新判断は「動いている間は触りたくない」という客先心理が強く、判定基準を外れない限り使い続けるケースが多い。ただし、停電時に動かないと致命的なので、過去の試験データの推移(動作値が年々ずれてきている等)を見て、判定基準を外れる前に予防交換を提案するのが施工管理の腕の見せ所です。
UVRの試験出題(電験・電気工事士)
UVRは電験3種・電気主任技術者試験・電気工事士1種で頻出。試験対策のポイントを整理します。
電験3種での出題
電験3種では、UVRに関する出題は主に「機械」「法規」科目で出ます。
- 器具番号(27)と機能(電圧低下検出)
- 整定値の標準値(80〜90V、2秒)
- 動作シーケンス(停電→動作→発電機起動)
- OCR/OVR/GRとの違い
電気主任技術者試験(1種・2種)
1種・2種では、UVRに関する設問は実務寄りに踏み込みます。
- 試験方法(動作値・復帰値・動作時間)
- 整定計算(系統特性に応じた整定)
- 連動シーケンスの設計
- 受電設備の保護協調
電気工事士1種での出題
電気工事士1種では、UVRは「自家用電気工作物」分野で出題されます。
- 器具番号(27)の意味
- 単線結線図でのUVRの位置
- 高圧受電設備の標準構成
効率的な勉強法
UVRを試験対策で覚える効率的な手順は以下。
- 器具番号一覧(27/50/51/59/64)を暗記
- 4継電器の機能を動詞で覚える(電源が消える→動く=UVR)
- 整定値の標準(85V/2秒)を頭に入れる
- 試験方法の3項目(動作値・復帰値・動作時間)を整理
- 過去問で出題パターンを掴む
電気施工管理の基礎全般はこちらが詳しいです。


僕の感覚だと、UVRは「実務で使うレベルの理解」を持っていれば、試験対策はかなり楽。逆に試験勉強だけでUVRを覚えると、現場の連動シーケンスや整定の根拠まで踏み込めない。電気施工管理として実機を触りながら覚えると、試験と実務の両方で確実に取れます。
UVRに関するよくある質問
Q1:UVRって何の略ですか?
Under Voltage Relay の略で、「ふそくでんあつけいでんき」と読みます。器具番号は27で、JEM 1090(電気機器用器具番号)で定義されています。電源電圧が整定値以下に低下したときに動作する保護継電器です。
Q2:整定値「85V/2秒」が標準と聞きました。なぜこの数値ですか?
動作電圧85Vは定格100Vの85%で、通常の電圧変動(±10%程度)を確実に外れる値。動作時間2秒は瞬時電圧低下(雷、系統切替)での誤動作を避けるためのフィルタです。整定範囲は動作電圧80〜90V、動作時間0.5〜30秒の中で機器用途により調整します。
Q3:UVRの試験項目は何ですか?
3項目です。①動作値試験:電圧を徐々に下げて動作した時の電圧、②復帰値試験:動作状態から電圧を上げて復帰した時の電圧、③動作時間試験:整定値の70%まで急変させた時の動作時間。それぞれ判定基準は整定値±10%、動作値の110〜120%、整定時間±20%です。
Q4:UVRとOVRの違いは何ですか?
検出する電圧異常の向きが逆です。UVRは電圧が下がった時に動作(不足電圧)、OVRは電圧が上がった時に動作(過電圧)。器具番号もUVR=27、OVR=59と分かれており、高圧受電設備では両者をセットで配置するのが基本です。
Q5:UVRが停電時に動かないと、何が起きますか?
非常用発電機が起動しない、UPSが切り替わらない、警報が出ない、などの致命的な事態が起きます。UVRは「停電検出のスイッチ」として機能するため、停電と同時に確実に動作しないと、非常用負荷(消防設備・誘導灯・防排煙)が止まる可能性があります。年次点検での動作試験が重要なのはこのためです。
Q6:UVRの主要メーカーは何ですか?
三菱電機(MELPRO-Aシリーズ)、オムロン(K2ZC-K2VU-N)、富士電機(27型)、東芝(GRMシリーズ)が主要4社。既設キュービクルや盤メーカーと同じシリーズで揃えるのが基本で、互換性と試験成績書のフォーマットを考慮して選定します。
Q7:UVRの耐用年数は何年ですか?
電磁式で15〜20年、電子式・デジタル型で10〜15年が目安。電気学会・電気保安協会の指針では「15年を目安に更新を検討」とされており、20年を超えると故障リスクが急上昇します。年次点検データの推移を見て、判定基準を外れる前に予防交換を提案するのが施工管理の役割です。
Q8:UVRの整定値ってどうやって確認しますか?
機器本体の整定ダイヤルまたはデジタル表示で確認します。電磁式は手動ダイヤル、電子式はデジタルスイッチ。年次点検時には試験成績書と現物を照合し、整定値が客先要望や設計図書と一致しているかを確認します。
Q9:UVRは電験3種で出題されますか?
出題されます。器具番号(27)と機能、整定値の標準値、動作シーケンス、他継電器との違いが主な出題範囲。電験1種・2種・電気主任技術者では実務寄り(試験方法・整定計算・連動設計)まで踏み込みます。電気工事士1種でも自家用電気工作物分野で出題されます。
Q10:UVRの試験を年次点検で実施しない、と言う業者がいます。問題ですか?
問題です。電気事業法に基づく自家用電気工作物の年次点検では、保護継電器(UVR含む)の動作試験が必須項目。試験成績書は保安規程で5〜10年の保管義務があり、これを省略する業者は法令違反のリスクがあります。客先・電気主任技術者と相談し、適正に試験を実施する業者に切り替えるべきです。
UVRに関する情報のまとめ
- UVRとは:電圧低下を検出して動作する保護継電器(器具番号27)
- 原理:電源電圧を常時監視し、整定値以下になると接点動作
- 標準整定値:動作電圧85V、動作時間2秒(定格100Vの場合)
- 試験項目3つ:動作値(±10%)/復帰値(動作値の110〜120%)/動作時間(±20%)
- 4継電器の使い分け:UVR(電圧低下)/OVR(電圧上昇)/OCR(電流異常)/GR(地絡)
- 主要メーカー:三菱(MELPRO-A)/オムロン/富士電機/東芝の4社
- 受電設備での役割:自家発起動、UPS切替、警報、遮断器トリップの信号源
- 耐用年数:電磁式15〜20年、電子式10〜15年
- 更新判断基準:経年/試験判定外れ/誤動作実績/製造中止/上位機器更新と連動
- 試験対策:電験3種・電気主任・電気工事士1種で頻出、器具番号と整定値が基本
以上がUVRに関する情報のまとめです。
UVRは「停電時に確実に動かないと困る、逆説的な保護継電器」で、電気施工管理として整定値の根拠・試験手順・他継電器との違い・連動シーケンスまで一連で理解しておくと、年次点検・客先打ち合わせ・電気主任技術者との対話で即座に対応できます。OCR・OVR・GRと合わせて保護リレー4兄弟を体系的に押さえると、高圧受電設備の保護全体が一気に理解できますので、関連記事もあわせてどうぞ。








