データセンター設計とは?電気設備、空調、Tier、床荷重など

  • データセンター設計ってどんなことを決めるの?
  • Tier1〜4って何が違うの?
  • 電気設備の構成は普通のオフィスと何が違う?
  • 空調はなぜあんなに大袈裟なの?
  • 床荷重はどれくらい必要?
  • 施工管理として気をつけることは?

上記の様な悩みを解決します。

データセンター(DC)は、サーバ機器を24時間365日止めずに動かし続けるための専用建物です。一般のオフィスとは桁違いの電気容量・空調能力・冗長性が求められ、設計段階での要件整理を間違うと、後の増設や運用で取り返しがつかなくなる世界です。今回は施工管理者の目線で、データセンター設計の全体像を整理してみます。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

データセンター設計とは?

データセンター設計とは、結論「サーバ機器を24時間365日止めずに動かし続けるための電気・空調・建築・防災を統合的に計画する仕事」のことです。

普通の事務所ビルが「人が快適に働ける環境」を目指して設計されるのに対し、データセンターは「機械(サーバ)が止まらない環境」を目指して設計されます。主役が人ではなく機械という点が、設計思想を根本的に違うものにしているんです。

→ ざっくり、「機械を止めないことに全振りした建物」がデータセンター、というイメージです。

設計で決める主な項目

データセンター設計で決める主な項目は、受電容量と電気設備の冗長構成、空調方式と冷却能力、サーバラックの配置と必要床面積、床荷重・天井高・搬入動線、防災(消火・耐震・浸水対策)、セキュリティ(入退室管理)、BCP(事業継続)レベルとTier設定、というあたり。

特に電気と空調は建築計画と密接に絡み合っていて、「電気容量を増やしたら空調も増えて、結果としてフロア面積や天井高も大きくなる」という連鎖が起きます。だからDC案件は設計の最初に「Tierと負荷密度」を決めて、そこから建築・設備・構造を一気通貫で計画するのが鉄則です。

Tier1〜4(データセンターの冗長性レベル)

データセンターの信頼性を表す指標として、米国のUptime Instituteが定めたTier(ティア)という4段階の格付けがあります。

Tier 冗長構成 年間ダウンタイム目安 稼働率
Tier1(基本構成) N(冗長なし) 28.8時間 99.671%
Tier2(冗長コンポーネント) N+1(一部冗長) 22時間 99.741%
Tier3(並行保守可能) N+1(系統二重化) 1.6時間 99.982%
Tier4(フォルトトレラント) 2N または 2(N+1) 0.4時間 99.995%

「N+1」は「必要数Nに対して予備を1台追加」、「2N」は「全系統を二重化」という意味です。Tier3以上では電源・空調・配管経路まで二重化されていて、片系統で保守作業をしながらでも本番が止まらない構成になります。

→ 国内の大手DCはTier3〜Tier3+が主流。金融機関や政府系の大規模センターになるとTier4を目指す案件もあります。Tierが1段階上がるごとに設備量と建築面積がほぼ倍に膨らむので、企画段階で「本当にこのレベルが必要か」を発注者と詰めるのが設計者の腕の見せどころになります。

データセンターの電気設備

データセンター設計で最も金額がかかる、そして一番難しいのが電気設備です。サーバ機器が止まらないように、停電してもUPSと自家発電機で受け渡しできる構成を組みます。

典型的な電気系統構成

典型的な電気系統構成は、商用受電(22kVまたは66kVの高圧/特別高圧受電)、受変電設備(キュービクルまたは屋内変電所)、非常用自家発電機(ガスタービンまたはディーゼル・72時間運転を目安に燃料備蓄)、UPS(無停電電源装置)(商用停電から自家発立ち上がりまでの数分間を担う)、PDU(電源分配ユニット)(ラック単位で配電)、接地(A種接地・独立接地・機能接地など複数系統に分離)、というあたり。

UPSと自家発の組合せでサーバへの電源を絶対に切らさない設計をN+1または2Nで組みます。Tier3以上だと、受電そのものを2回線受電にして、変圧器・UPS・配電盤・幹線まで全部二重化することも珍しくないんです。

ケーブル幹線の規模感

電気施工管理の視点では、ケーブル幹線の量が桁違いになる点が特徴です。ラック当たり10〜20kWの負荷密度を想定すると、フロア1枚で数千Aクラスの配電が必要になり、ケーブルラックの段数・幅も特注サイズが必要になります。受変電設備の規模感はこちらも参考になります。

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データセンターの空調・冷却

電気の次に大きい設備が空調です。サーバの消費電力はほぼそのまま発熱になるため、入れた電力と同じだけ熱を出して、それを外に逃がす能力が必要になります。

空調方式とコールド/ホットアイル

データセンターで使われる主な空調方式は、床下吹出し方式(CRAC方式)(従来型・二重床から冷気を吹き上げる)、列間空調(インロー冷却)(ラック列の間に空調機を配置し近接冷却)、リアドア冷却(ラック背面に冷水コイルを設置)、外気冷房(フリークーリング)(外気が低い時期は外気を直接導入)、液冷(液浸冷却)(近年の高密度ラック向けに液体で直接冷却)、というあたり。

「コールドアイル/ホットアイル」という配置の考え方も重要です。サーバの吸気側(前面)を向かい合わせに、排気側(背面)を向かい合わせに並べて、冷気と熱気が混ざらないようにする工夫ですね。

PUEの考え方

電気施工管理の立場では、空調設備の容量と電気容量がほぼセットで動くことを意識しておきます。サーバが1kW増えれば、空調も1kW分の冷却を増やす必要があり、その空調機自体も電気で動くという循環構造になっているんです。だから「IT負荷の何倍の電力が建物全体で必要か」を表すPUE(Power Usage Effectiveness)という指標が、DC性能の評価軸として最重要視されます。

PUE = 建物全体の消費電力 ÷ IT機器の消費電力

国内大手DCでPUE 1.3〜1.5程度が目安。1.2を切れば省エネ優秀、2.0を超えると古い設計、というイメージです。

データセンターの建築計画と床荷重

建築側の要件で特に厳しいのが床荷重です。

床荷重の目安

データセンターの床荷重の目安は、一般オフィスが300 kg/m²(2.9 kN/m²)、倉庫が800〜1,500 kg/m²、データセンターのサーバ室が1,000〜2,000 kg/m²(10〜20 kN/m²)、受変電室・UPS室が2,000〜3,000 kg/m²、というあたり。

19インチラックは1台で重さ500〜1,000kg、満載で1,500kgになることもあります。これがフロア全面に並ぶので、構造設計はかなり重荷重仕様。スラブ厚は通常のオフィスの倍近く、梁せいも大きくなり、結果として階高も高くなります。

そのほかの建築要件

そのほかの建築要件は、階高(天井高3m以上+二重床600〜1,000mm+天井懐600〜1,000mm=階高4.5m前後)、開口(機器搬入用の大開口・運用後の更新搬入動線)、浸水対策(1階を避ける/重要室は2階以上・水管経路を別系統に)、耐震(免震構造の採用が増加・特に金融系・Tier4)、セキュリティ(マントラップ・生体認証・CCTV)、というあたり。

床荷重の考え方はこちらの記事もあわせて読むと理解が深まります。

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データセンターの防災・接地・セキュリティ

サーバを物理的に守るための仕掛けも、普通の建物より格段に手厚いです。

消火・接地・セキュリティ

消火設備は、不活性ガス消火設備(窒素・IG-541・FK-5-1-12 等)(水を使わずに消火)、早期火災検知(VESDA:空気吸引式煙感知器)、スプリンクラーはサーバ室では原則使わない(プレアクション式の場合あり)、というあたり。

接地(アース)は、A種接地(高圧機器の保安接地)、D種接地(低圧機器の保安接地)、独立接地(基準電位)(サーバ・通信機器の信号品質確保用)、等電位ボンディング(ラック・ケーブルラック・建物鉄骨を結合)、というところ。接地はDCの安定稼働に直結する地味だが超重要な要素で、抵抗値1Ω以下を目指す独立接地系統を別途打ち込む案件も多いです。接地工事の基礎はこちら。

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セキュリティは、入退室管理(ICカード+生体認証の二要素)、マントラップ(扉が2枚連動する隔離室)、CCTV(常時録画・サーバ室・通路・受電室をすべて監視)、ケージ(顧客ごとにラックを物理的に区画)、というあたり。

データセンター設計・施工で注意したいポイント

最後に、施工管理として押さえておきたい注意点をまとめます。

設計段階・施工段階

設計段階での注意は、最初にTierと負荷密度(kW/ラック)を明確化する(後で変更が効かない)、建築・電気・空調・通信の総合調整を早期に開始する(後追いだと納まらない)、増設計画(Day1/Day2構成)を初期段階で図面化、法規面(消防法=不活性ガス・蓄電池、騒音・振動条例=自家発、特別高圧の電気事業法手続き)、というあたり。

施工段階での注意は、受変電・UPS・自家発の総合連動試験は必ず実施(机上計算と実機動作のギャップが出やすい)、電気・空調・防災が三重に絡む試験運転はシナリオを書き出してから実施、二重床・天井裏のケーブル経路はラベリングを徹底(後で追えなくなる)、サーバ搬入動線の養生は通常の3倍意識する(エレベーター・通路・床面の傷は致命的)、接地工事は他工種に先行して打設する(後で追加することは事実上できない)、というあたり。

現場での体験談

電気施工管理として一番痛かったのは、サーバ室の二重床下に潜って配線整理した際、後発工事の空調ドレン配管が同じ床下に通っていて、IT機器の真下に水管が走っていたケース。設計段階で「水を絶対に通さない区画」を決め、空調ドレン経路を別動線にする調整を入れていれば、後工程で水濡れリスクを抱えることはなかった訳ですね。総合図の早期作成はDC案件では特に効きます。

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データセンター設計に関する情報まとめ

  • データセンター設計とは:サーバ機器を24時間止めないための電気・空調・建築・防災を統合計画する仕事
  • Tier1〜4:冗長性レベルの格付け。国内主流はTier3、金融系はTier4も
  • 電気設備:商用受電+自家発+UPSの三段構え。N+1や2Nで二重化
  • 空調:床下吹出し/列間/液冷など多様化。PUEで効率を評価(目安1.3〜1.5)
  • 床荷重:サーバ室1,000〜2,000kg/m²、受変電室は3,000kg/m²級
  • 階高:4.5m前後(天井3m+二重床1m+天井懐1m)
  • 防災:不活性ガス消火、独立接地、マントラップなど
  • 施工管理の要点:負荷密度の確定、総合連動試験、搬入動線管理、接地の先行

以上がデータセンター設計に関する情報のまとめです。

DC案件は「電気・空調・建築・通信・防災」の全分野を同じ重みで扱う必要があり、どこか1つを軽視すると稼働後に必ず問題が出ます。施工管理者として全体像を俯瞰できると、各工種の重要工程を見落とさず計画できますので、TierとPUEの概念は最低限押さえておきましょう。一通りデータセンター設計の基礎知識は理解できたと思います。

合わせて、関連する電気設備・建築知識もチェックしておきましょう。

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