- VAVユニットってなに?
- CAVと何が違うの?
- どんな仕組みで風量を変えるの?
- ファンパワード型ってどういう時に使うの?
- 選定はどう考えればいい?
- 取付位置や騒音はどう注意すればいい?
上記の様な悩みを解決します。
「VAV」は中規模以上のビル空調図面に必ず出てくる略号で、可変風量制御(Variable Air Volume)の心臓部となる機器です。中央式空調をゾーン別に細かく制御するエアコンに変身させてくれる、設備系統図の登場頻度が一番高い機器のひとつ。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
VAVユニットとは?
VAVユニットとは、結論「ダクト内の風量を自動制御するためのダンパー付き風量制御装置」のことです。Variable Air Volumeの略で、日本語では「可変風量装置」とも呼ばれます。
セントラル空調(中央式空調)では、AHU(エアハンドリングユニット)が大きな1つの送風機から建物全体にダクトで空気を送ります。ただしフロアやゾーンごとに必要な空調負荷は違うので、各ゾーンの吹出口の手前にVAVを設置し、室温に応じて風量を絞る・開けるという制御を行うわけです。
VAVが行う制御の流れ
- ゾーン内の温度センサが室温を計測
- 設定温度との差をDDC(コントローラ)が演算
- 必要な風量をVAV内蔵ダンパーで調整
- AHU側のインバーターも連動して送風量を絞る
- 結果として、必要なゾーンに必要な分だけの空気を供給
VAVを使うことで、「ゾーンごとに快適性を保ちつつ、AHUの送風機動力を削減する」という省エネが実現する、というのが最大の存在意義です。
CAVとの違い
VAVと対比される機器がCAV(Constant Air Volume:定風量装置)。
| 項目 | VAV | CAV |
|---|---|---|
| 風量制御 | 室温に応じて可変 | 一定 |
| 温度制御 | 風量で行う | 再熱コイルや温度で行う |
| 省エネ性 | 高い(送風動力削減) | 低い |
| イニシャルコスト | 高い | 低い |
| 制御の複雑さ | 高い | 低い |
| 主な用途 | 中規模以上のビル | 一定流量が必要な研究施設・厨房 |
「温度を変えるか、風量を変えるか」でCAVとVAVが分かれる、と覚えると整理しやすいです。
研究施設・クリーンルーム・厨房などは「換気回数を一定に保ちたい」用途なのでCAV一択。一方で事務所ビル・商業施設のように負荷変動の大きい用途ではVAVが定番、という棲み分けです。
換気回数の話はこちらに書いています。

VAVの種類
VAVにもいくつかの方式があり、用途で使い分けます。
主なVAVの種類
- シングルダクト型:最一般。空調機からの1系統の冷温風を風量で制御
- デュアルダクト型:冷風・温風の2系統を混合して温度・風量を制御(少数派)
- ファンパワード型(FPB):ペリメータ系統で使う。VAV本体に小型ファン内蔵
- インダクション型:高速ダクトで一次風を送り、二次風を誘引する(古い方式)
実務的に99%はシングルダクト型で、たまに窓側のペリメータ系統でファンパワード型(Fan Powered Box: FPB)が使われる、という構図です。
ファンパワード型が使われる理由
- 窓側は冬期に寒気の侵入があり、外周ゾーンは暖房需要が強い
- 内周ゾーンは人体・OA機器発熱で年中冷房需要
- AHUの空気を絞ると窓側に冷風が届かないので、内蔵ファンで補助的に送風
つまりFPBは「AHU側の空気量に依存せず、ゾーン独自で送風量を確保したい」時に選ばれる方式です。
VAVのサイズ選定
VAVのサイズは最大設計風量から選びます。
サイズ選定の基本ステップ
- ゾーンの最大冷房負荷から必要な送風量を算出
- メーカーのカタログで「使用範囲(最小〜最大風量)」を確認
- 最大風量が定格の70〜80%になるサイズを選ぶ(余裕代)
- 最小風量もゾーンの必要外気量を下回らないことを確認
- 騒音性能(NC値)が天井裏設置で問題ないかを確認
特に重要なのが「最小風量側」の制限。VAVを絞りすぎると外気量が足りなくなり、CO2濃度が上がります。建築物衛生法(ビル管法)の「1人あたり外気30m³/h」の確保は最小風量設定で担保する必要があります。
換気不足はビル管法違反になるので、ここはケチれない部分です。
取付位置と施工注意点
VAVの設置で最も大切なのが取付位置。空気の流れに対する取り合いを誤ると性能が出ません。
VAV設置の基本ルール(メーカー共通)
- 入口側に直管部7D(管径の7倍)以上を確保
- 出口側にも直管部3D以上を確保
- 直近にエルボや分岐があると、風量センサが暴れて制御が不安定になる
- 点検口を必ず設ける(モータ・ダンパー軸の点検用)
- 天井ボードを開ければVAVの型番銘板が見える位置に取付
スペース不足で直管部が取れない場合は、整流ベーンを入れて気流を整えるか、別タイプの低レイノルズ対応VAVを選ぶ、といった対応が必要になります。
中規模オフィスビルの内装改修で、設備サブコンが既設ダクト系統の改修を急ぎ、VAV入口の直管部を3Dしか取れなかった結果、最低風量側で制御がハンチング(脈動)を起こした、という事故をよく聞きます。「7D取れないなら整流」をルール化してしまうのが安全。
騒音対策
VAVは天井裏設置でも、絞り運転時にはダンパー部の風切り音が発生します。
VAV騒音の主な発生源
- ダンパー絞り部の高速気流
- 風量センサピトー管周辺の乱流
- ダクト内壁の振動
- 全閉時の漏れ風によるホイッスル音
騒音対策の典型例
- VAV下流側に消音ダクト(吸音内張り)を1.5〜3m追加
- VAV近傍のダクトを内張り消音ダクト化
- 吸音性のあるたわみダクト(フレキシブルダクト)を出口側に挿入
- ダンパーの全閉禁止(最小風量を10%程度残す)
ホテル客室・会議室・幹部執務室などNC値要求の厳しい部屋では、消音ボックス内蔵タイプのVAVを選ぶ、という選択肢もあります。
VAVで起きがちなトラブル
最後に、現場で頻発するトラブルを5つ。
VAVあるある失敗
- 入口直管部不足で制御がハンチング:エルボ直後に取付して風量センサが暴れる
- 電源・制御線の取り違え:DC24Vと制御信号線の接続ミス
- 温度センサの取り付け位置ミス:直射日光や設備機器近接で誤計測
- 天井点検口位置とVAV位置のズレ:点検口を開けてもVAVに手が届かない
- 試運転時のダンパー全閉確認忘れ:最小流量設定をせずにCO2濃度警報
特に4の「点検口とVAV位置のズレ」は内装図と設備図の調整不足で起きます。VAVの型番銘板・モータ・センサ接続部にメンテナンス時に手が届く位置に点検口を配置するのが鉄則。VAVが故障したのに点検口から30cm離れていて修理できない、という詰みのケースはたまに聞きます。
VAVユニットに関する情報まとめ
- VAVユニットとは:ダクト内の風量を自動制御するダンパー付き機器
- 役割:ゾーンごとの空調制御+AHU送風動力の削減(省エネ)
- CAVとの違い:CAVは風量一定、VAVは風量可変。事務所ビルはVAVが定番
- 種類:シングルダクト型(最一般)/ファンパワード型(外周ゾーン用)
- 選定:最大風量の70〜80%に納まるサイズ。最小風量で外気量を担保
- 取付:入口直管7D・出口直管3D。点検口位置の調整が重要
- 騒音対策:絞り部の風切り音対策で消音ダクト・内張りを併用
- 頻発トラブル:直管不足、配線ミス、点検口位置ズレ、全閉設定忘れ
以上がVAVユニットに関する情報のまとめです。
一通りVAVユニットの基礎知識は理解できたと思います。「VAVは風量で温度を変える」「直管部7D」「外気量は最小風量で担保」の3点を押さえておけば、設備図と現場の整合性チェックでつまずきにくくなります。
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