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LAN配線とは?種類、規格、施工方法、Cat6・Cat6Aの違いなど

  • LAN配線って具体的に何を指すの?
  • Cat5e・Cat6・Cat6Aってどう違うの?
  • どのカテゴリを選んだらいいの?
  • 施工はどんな手順で進めるの?
  • RJ-45の成端ってどうやるの?
  • 失敗しやすいポイントは?

上記の様な悩みを解決します。

LAN配線は、オフィス・工場・住宅でPCやネットワーク機器をつなぐ通信線の敷設工事です。電気工事士の現場では、強電配線(電力)に対して「弱電」のジャンルに入り、最近はPoE(給電付きLAN)の普及で電力と通信の境界が曖昧になっているのが特徴。配線そのものは比較的シンプルですが、カテゴリ選定・経路計画・成端品質で性能が大きく変わる工種なんですよね。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

LAN配線とは?

LAN配線とは、結論「LAN(Local Area Network)を構成するための通信ケーブルを敷設し、ハブ・PC・ネットワーク機器同士をつなぐ電気・通信工事」のことです。

オフィス・工場・住宅で使われる構内ネットワーク(社内LAN)を物理的に作る工事、と考えるとイメージしやすいですね。配線の中身は ツイストペアケーブル(撚り対線、いわゆるUTP/STPケーブル)が主流で、両端に RJ-45 のコネクタを付けて使います。

LAN配線が活躍する場面は、

  • オフィスのデスクへの情報コンセント引込み
  • データセンターのサーバラック間接続
  • 工場のPLC・センサー間通信
  • ビル内の防犯カメラ(IPカメラ)配線
  • Wi-FiアクセスポイントへのPoE給電
  • ナースコールやインターホンのIP化部分

電気工事の中では「弱電」「情報通信工事」のカテゴリに入りますが、PoE給電の普及でVA級の電力も流れるようになり、強電と弱電の境界がぼやけてきています。電気主任技術者の試験範囲でも、最近はPoE関連の知識が問われ始めていますね。

電気工事業の許可分類(電気通信工事業など)の話は別記事を合わせてどうぞ。

LAN配線の種類(ケーブルカテゴリ)

LAN配線で使うツイストペアケーブルは、カテゴリ(Category) という規格で性能ランクが分けられています。施工の打ち合わせで一番頻出する話題なので、まず表で整理します。

カテゴリ 通信速度 周波数帯域 主な用途 推奨距離
Cat5 100Mbps 100MHz 旧規格(現在は非推奨) 100m
Cat5e 1Gbps 100MHz 一般オフィス・住宅(現状の最低ライン) 100m
Cat6 1Gbps(10G制限あり) 250MHz オフィス標準・一般ビル 100m(10Gは55m)
Cat6A 10Gbps 500MHz ハイエンドオフィス・サーバルーム 100m
Cat7 10Gbps 600MHz 産業用・データセンター(コネクタ非互換) 100m
Cat8 25/40Gbps 2000MHz データセンター(短距離) 30m

Cat6とCat6Aの違い(実務で一番効く話)

オフィスの標準化検討で必ず出てくるのが「Cat6 と Cat6A、どっちにする?」という問い。違いは大きく3つ。

  1. 対応速度:Cat6は1Gbpsまで(10Gは55m制限あり)、Cat6Aは10Gbps(100mまで)
  2. 周波数帯域:Cat6は250MHz、Cat6Aは500MHzで2倍
  3. ケーブル外径:Cat6Aの方が太い(7〜8mm)。配管・ラック充填率の計算で差が出る

導入判断の目安としては、

  • 一般オフィス・10年スパンの内装更新を想定 → Cat6Aを推奨
  • 寿命の短い拠点・改装計画あり → Cat6で十分
  • 工場のPLC・センサー → Cat5eでも要件次第

OAフロアの更新サイクル(10〜15年) に対して、ネットワーク機器側は5年で世代交代します。床下に這わせるLAN配線の方が後で取り替えにくいので、迷ったら1ランク上を入れる、というのがオフィス現場では標準的な判断軸ですね。

UTPとSTPの違い

種別 構造 特徴
UTP(Unshielded) シールドなし 軽量・安価・施工性高い。ノイズ環境弱め
STP(Shielded) シールドあり ノイズ耐性高い。アースが必須

オフィス・住宅はUTPが標準。工場や強電配線と並走する経路、医療機器近傍ではSTPが選ばれます。STPはアース処理を間違えると逆にノイズが増えるので、施工管理として注意が必要です。

LAN配線の施工方法

新築オフィスを想定した、標準的な施工フローを整理します。

手順1: 経路計画

サーバルームから情報コンセントまでの経路を、ケーブルラック → 天井裏 → OAフロア下 のルートで計画します。経路上の 支持間隔・曲げ半径・他配線との離隔 を確認。LAN配線は曲げ半径がきつ過ぎると、ケーブルの撚りが乱れて性能が落ちます(目安:ケーブル外径の4〜8倍以上)。

ケーブルラックの設計は別記事に詳しいので合わせてどうぞ。

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手順2: 強電からの離隔

LAN配線(弱電)と動力配線(強電)が並走するときは、離隔300mm以上 を取るのが基本。やむを得ず横切る場合は 直交(90度) で交わるように設計します。これは電磁誘導ノイズを減らすための鉄則。

手順3: 配管・ラック内の通線

ケーブルラックや電線管に通線します。引き入れ張力に注意が必要で、引張力110N以下 を目安に。一般的にはツイストの撚りを乱さないように、手引き+呼び線(先導線) で慎重に通すのがLAN配線らしいやり方です。

電線管の選定は別記事を参照してください。

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手順4: 情報コンセント・アウトレット設置

末端にRJ-45の情報コンセント(モジュラージャック)を取り付け。アウトレットボックスを使ってモジュラージャックを納める方式が一般的です。

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手順5: 成端(RJ-45の取付け)

ケーブル末端をRJ-45コネクタに接続する作業。T568A または T568B という配色規格に従って、ペアの順番通りに端子に押し込みます。

T568AとT568Bの配色

ピン T568A T568B
1 緑白 橙白
2
3 橙白 緑白
4
5 青白 青白
6
7 茶白 茶白
8

両端の配色を揃えれば(A-A または B-B)通信成立。日本国内では T568B が多数派。両端で違う配色にすると クロスケーブル になり、機器によっては通らないので注意です。

成端には専用の モジュラープラグかしめ工具パンチダウン工具 を使います。圧着不良が原因の通信不良はかなり多いので、ここはプロの腕の見せ所。電工ナイフ/ワイヤーストリッパーの選び方は別記事に詳しいです。

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手順6: 試験(パーマネントリンク試験)

成端後、ネットワークアナライザ(フルークDSXシリーズなど)で パーマネントリンク試験 を行います。試験項目は、

  • 配線図(ワイヤマップ)
  • ケーブル長
  • 挿入損失(インサーションロス)
  • 反射減衰量(リターンロス)
  • 近端漏話(NEXT)
  • 遠端漏話(FEXT)
  • 伝搬遅延・遅延差

カテゴリごとの基準値(Cat6なら250MHzでの規定値)を満たして、初めて「Cat6として通用するケーブル敷設」と認められます。試験データは納品書類として発注者に提出するのが標準。

手順7: ラベリング

両端のケーブルにアドレス(情報コンセントNo.等)を貼り、識別管理。後の保守・追加工事の効率に直結します。

LAN配線の規格・基準

国際規格

  • ISO/IEC 11801:構内配線設備の国際標準
  • TIA/EIA-568:北米標準(カテゴリ・配色規格はこちら)

日本国内の規格

  • JIS X 5150:構内情報配線システムの規格(ISO/IEC 11801準拠)
  • JEITA TT-1004:日本電子情報技術産業協会のオフィス配線規格

オフィス配線でカテゴリ品を使う場合、メーカー保証10年〜25年 が付くことが多く、その保証を成立させるためにも規格通りの施工と試験が要求されます。発注者が「メーカー保証付き」を要件にしていることもあるので、見積前に確認が必要です。

JIS規格全体の話は別記事を合わせて読むと、規格番号の見方が分かります。

LAN配線の注意点

注意点1: PoE給電を意識した設計

最近は PoE(Power over Ethernet) で、IPカメラ・Wi-Fi APに直接給電するケースが増えています。給電仕様は以下の通り。

規格 名称 最大電力 主な用途
IEEE 802.3af PoE 15.4W IP電話・小型カメラ
IEEE 802.3at PoE+ 30W Wi-Fi AP・PTZカメラ
IEEE 802.3bt PoE++(Type3/4) 60W/90W LED照明・大型機器

PoE++(90W)になると、ケーブルの発熱・電圧降下が無視できないレベルに。Cat6A以上、束ね24本以下 を目安に経路設計します。許容電流・電圧降下の考え方は別記事も参考に。

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注意点2: 100m制限の厳守

ツイストペアLAN配線は、1リンクあたり100m以内 が大原則(パッチパネル〜情報コンセントの距離は90m以下推奨)。これを超えるとカテゴリ規格を満たせなくなります。距離が長い場合は、

  • 中継ハブ(リピーター)を経由
  • 光ファイバ+メディアコンバータに切替

の選択肢を取ります。

注意点3: 防火区画貫通部の処理

オフィスフロア間をまたぐLAN配線は、防火区画貫通処理 が必須。フィブロックや耐火パテで認定通りに塞ぐ必要があります。

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注意点4: 接地(STPの場合)

STPケーブルを使う場合、シールドの片端アース が原則。両端アースは「グラウンドループ」と呼ばれる回路を作って逆にノイズが増えます。アース工事の基本は別記事を参照。

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注意点5: 温度・曲げ半径

LANケーブルの撚りペアは、

  • 急激な曲げ(半径4D未満)→ 撚りが乱れて性能ダウン
  • 高温環境(60℃超)→ 絶縁劣化で減衰増加
  • 結束バンドの締め過ぎ → 内部撚り潰れ

など、見えない劣化が後から効きます。結束バンドはマジックテープ式(再利用できるもの)を使うのが定番。

注意点6: パッチケーブルとの組合せ

リンク全体は「パッチコード(プラグ付き完成品)+固定配線(成端)+パッチコード」で構成されます。全体で100m なので、固定配線部は90m目安。パッチコードを安物の細線で組むと、せっかくのCat6Aの性能が出ない、というのもありがち。

注意点7: 試験結果の保管

パーマネントリンク試験の合格データは、メーカー保証の証跡 になります。試験データはPDF・CSVで保管し、発注者に納品書類として渡すのが標準運用です。

LAN配線に関する情報まとめ

  • LAN配線とは:構内ネットワークを物理的に構成する弱電・通信工事
  • ケーブルカテゴリ:Cat5e(1G)、Cat6(1G、10G55m)、Cat6A(10G、100m)。オフィス標準は概ねCat6A
  • シールド:UTP(一般)/STP(ノイズ環境向け、片端アース)
  • 施工フロー:経路計画 → 通線 → 成端(T568A/B)→ 情報コンセント → リンク試験
  • 配色規格:T568AとT568B。日本はT568B多数派。両端を揃える
  • 規格・基準:ISO/IEC 11801、TIA/EIA-568、JIS X 5150
  • PoE:802.3af/at/bt。PoE++(90W)は発熱・電圧降下に注意
  • 重要原則:100m制限、強電離隔300mm、曲げ半径4〜8D、パーマネントリンク試験

以上がLAN配線に関する情報のまとめです。

LAN配線は、現場の見た目では「ただケーブル引いてコネクタ付けるだけ」に見えますが、実態は 規格・性能試験・PoE給電・防火・接地 といった、電気工事のあらゆる要素が凝縮された工種です。電気工事士・電気施工管理として弱電工事に絡むなら、カテゴリ選定とPoE給電の知識は必須教養。「LAN配線、なんか引っ張って繋ぐやつでしょ」と侮らず、性能設計と試験データで品質を担保する世界として向き合うのがコツですね。

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