- ワイヤーストリッパーって結局どんな工具?
- ペンチやニッパーがあれば要らないんじゃない?
- 種類が多すぎてどれを買えばいいか分からない
- 使い方のコツは?芯線を切らずに剥くには?
- VVFケーブルも剥ける?単線とより線で違う?
- おすすめのメーカー・商品が知りたい
- 電気工事士の技能試験はどれを使えばいい?
- 安いやつと高いやつ、何が違うの?
上記の様な悩みを解決します。
ワイヤーストリッパーは、電気工事・配線作業で電線の被覆を剥くための専用工具です。電気施工管理や電工の現場では使用頻度がとても高く、第二種電気工事士の技能試験でも合否を左右するくらい重要な工具になっています。今回は定義・種類・使い方といった基本を押さえた上で、現役の電気施工管理目線で「ペンチ・ニッパーとの使い分け」「芯線を切らない選び方」「VVFケーブルへの対応」「おすすめメーカー」「電工試験での使い方」まで、現場で実際に役立つポイントを網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ワイヤーストリッパーとは?
ワイヤーストリッパーとは、結論「電線の被覆(絶縁体)だけを剥いて、中の芯線(銅線)を露出させるための専用工具」のことです。
電線は銅の芯線をビニールなどの絶縁被覆で覆った構造になっています。機器や端子に電線をつなぐときは、この被覆を剥いて芯線を出さないと電気が通りません。その被覆剥きを、芯線を傷つけずに正確な長さでやってくれるのがワイヤーストリッパーです。
被覆を剥くだけならニッパーやカッターでもできますが、芯線まで切ってしまったり、剥く長さがバラついたりしやすいです。ワイヤーストリッパーは被覆剥きという一点に機能を特化させることで、誰でも早く・正確に・安全に剥けるようにした工具だと考えると分かりやすいです。
現場での呼び方は「ストリッパー」「ワイヤーストリッパー」「ケーブルストリッパー」など色々ありますが、指しているものはほぼ同じです。電気工事士にとっては腰道具の中でも出番の多い基本工具のひとつになります。
電気工事士の腰道具全体の構成はこちらで紹介しています。

僕の感覚だと、ワイヤーストリッパーは「持っていると作業速度と仕上がりが一段変わる工具」です。被覆剥きは一日に何十回、何百回と繰り返す作業なので、ここを専用工具で効率化できるかどうかで作業性がかなり変わってきます。
ワイヤーストリッパーの種類
ワイヤーストリッパーは構造によっていくつかのタイプに分かれます。用途に合うタイプを選ばないと「持っているのに使いにくい」ことになるので、まず種類を押さえておきましょう。
代表的なタイプは次の通りです。
| 種類 | 特徴 | 向いている作業 |
|---|---|---|
| プレッシャー式(穴あき) | 電線サイズ別の穴に挟んで引っ張る | 単線・より線の端を剥く基本作業 |
| オートマチック式 | 握るだけで自動で被覆を剥く | 大量の被覆剥き・スピード重視 |
| ガンタイプ(自動) | 握ると挟む・剥くを一動作で行う | 連続作業・途中剥きも可能 |
| VVF用ストリッパー | 外装シースと絶縁被覆を段階的に剥く | VVFケーブルの結線・電工試験 |
プレッシャー式は、電線の太さに合った穴に挟んで引っ張るシンプルなタイプで、細線にも対応しやすいのが強みです。オートマチック式やガンタイプは、グリップを握るだけで被覆を掴んで剥いてくれるので、数をこなす現場では作業が一気に速くなります。
建設現場で特に重要なのが、一番下のVVF用ストリッパーです。住宅やビルの屋内配線で使うVVFケーブルは、外側のシースを剥いてから、中の絶縁被覆をさらに剥く、という2段階の作業が必要です。VVF専用タイプはこの2段階をまとめてこなせるようになっています。
VVFケーブルそのものの構造はこちらが詳しいです。

実務だと、現場の配線量と扱うケーブルに合わせて2本くらい使い分けるのが現実的です。細かい制御線が多い現場ならプレッシャー式、VVF中心の屋内配線ならVVF用、という感じで選ぶと過不足がありません。
ワイヤーストリッパーの使い方
ワイヤーストリッパーの使い方は、タイプによって少し違いますが、基本の流れは共通しています。芯線を切らずにきれいに剥くコツも合わせて押さえておきましょう。
オートマチック式・ガンタイプの基本的な手順は次の通りです。
- 剥きたい長さを決め、その分だけ電線を刃の先に差し込む
- 刃が当たるラインから先の被覆が剥ける位置にセットする
- グリップを最後まで握り込む
- 被覆が自動で掴まれてスライドし、芯線が露出する
ポイントは「どこに刃をかませるか」です。刃が当たる位置から先端側の被覆が剥けるので、5mm剥きたいなら先端から5mmの位置に刃を合わせます。慣れると剥く長さをほぼ一定にできるので、端子台への接続や圧着の仕上がりが安定します。
プレッシャー式(穴あきタイプ)の場合は、電線の太さに合った穴を選ぶのが最重要です。太い線を細い穴に入れると芯線まで切ってしまい、逆に細い線を太い穴に入れると被覆が剥けません。電線のスケア(断面積)と穴の表示を必ず合わせてから挟みます。
端子台への結線で剥き長さがズレるとトラブルになりやすいので、端子台側の規定も合わせて確認しておくと安心です。

個人的には、新しいストリッパーを使う前に、端材で1〜2回試し剥きして「どの位置にかませれば狙った長さになるか」を体に入れてから本番に入ると、現場での失敗が減ると思います。
ワイヤーストリッパーとペンチ・ニッパーの違い
被覆剥きはペンチやニッパーでもできるので、「専用工具まで要るの?」と疑問に思う人は多いです。ここを整理しておくと、工具をムダに増やさず最適な構成にできます。
それぞれの違いを表にまとめると次のようになります。
| 工具 | 被覆剥き | 切断 | 圧着 | 芯線を切るリスク |
|---|---|---|---|---|
| ニッパー | できるが難しい | 得意 | 不可 | 高い |
| 電工ペンチ | サイズ穴で可能 | 可能 | 可能(端子かしめ) | 中 |
| ワイヤーストリッパー | 専門・最も簡単 | 簡易的に可能 | 基本不可 | 低い |
ニッパーは切断工具なので、被覆剥きに使うと力加減を誤って芯線ごと切ってしまいやすいです。電工ペンチは被覆剥き・切断・端子かしめが1本でこなせる多機能工具ですが、その分サイズが大きく、被覆剥きには電線を引っ張る力が要ります。
ワイヤーストリッパーは被覆剥き専門なので、握るだけで芯線を傷つけずに剥けるのが最大の強みです。逆に切断や圧着は不得意なので、現場では「切断・圧着は電工ペンチ、被覆剥きはストリッパー」と役割分担するのが定番です。
ニッパーの使いどころとの違いはこちらも参考になります。

現場目線で言えば、3つは競合する工具ではなく、それぞれ得意分野が違う補完関係です。被覆剥きの頻度が高い電気工事では、ストリッパーを1本持っておくと作業の質とスピードがはっきり変わります。
ワイヤーストリッパーの選び方
ワイヤーストリッパー選びで一番大事なのは「芯線を切らずに剥けるか」と「自分が扱う電線に対応しているか」の2点です。ここを外すと、安く買っても結局使い物になりません。
選ぶときにチェックしたいポイントは次の通りです。
- 対応する電線サイズ(スケア)が自分の扱う範囲をカバーしているか
- 単線・より線のどちらに対応しているか
- VVFケーブルを扱うならVVF対応タイプか
- 細線でも芯線を切らずにきれいに剥けるか
- 連続作業で手が疲れにくいグリップ形状か
特に注意したいのが細線です。自動で剥くタイプは被覆を左右に引き伸ばす動きをするため、製品によっては細い線の芯線を数本切ってしまうことがあります。芯線が一部でも切れると、その分だけ電流を流せる断面積が減り、発熱や断線の原因になります。細い制御線を多く扱う現場では、細線の被覆剥きが得意なタイプを選ぶことが重要です。
扱う電線の太さの考え方は、IV線などの基礎知識と合わせて理解しておくと選びやすいです。

僕の整理では、まず「自分の現場で一番よく剥く電線」を基準に対応サイズを決め、その上で芯線を切らない精度とグリップの握りやすさで絞り込む、という順番で選ぶと失敗が少ないです。
ワイヤーストリッパーのおすすめメーカー・商品
ワイヤーストリッパーは多くの工具メーカーから出ていますが、電気工事の現場で名前をよく聞くメーカーはある程度決まっています。信頼性で選ぶなら、まずは定番メーカーから検討するのが無難です。
現場でよく使われる主なメーカーは次の通りです。
| メーカー | 特徴 |
|---|---|
| ホーザン(HOZAN) | 電気工事士試験向けVVFストリッパーの定番 |
| ベッセル(VESSEL) | 手動・自動とも種類が豊富で細線にも強い |
| ロブテックス(エビ印) | 耐久性が高く握りやすい定番モデル |
| フジ矢 | 国産ペンチ系メーカーで品質が安定 |
| MCC(松阪鉄工所) | プロ向けで切れ味・精度に定評 |
第二種電気工事士の技能試験対策としては、ホーザンのVVF用ストリッパーが定番として広く使われています。試験は時間との勝負なので、シース剥き・絶縁被覆剥きを一気にこなせる専用タイプが圧倒的に有利です。
一方、自動車の電装や細かい制御線が多い作業では、ベッセルの手動タイプやストレートのオートタイプなど、細線に強いモデルが選ばれます。価格はニッパーや電工ペンチよりやや高めですが、被覆剥きの頻度が高いほど元が取れる工具です。
自分としては、まず1本目は定番メーカーのVVF対応タイプを選んでおけば大きな失敗はないと思います。そこから自分の現場の電線に合わせて、細線用や連続作業用を足していくのが現実的だと思います。
電気工事士試験・現場での注意点
ワイヤーストリッパーは、電気工事士の技能試験と実際の現場の両方で「使い方を誤ると施工不良につながる」工具です。最後に、品質と安全の観点での注意点を押さえておきましょう。
現場や試験で特に気をつけたいのは次の点です。
- 芯線に傷や切れがあると、発熱・断線の原因になるので不合格・是正対象になる
- 剥き長さが規定より長いと充電部が露出し、感電・短絡のリスクになる
- VVFはシースと絶縁被覆を分けて剥き、絶縁被覆を傷つけない
- サイズの合わない穴・刃で剥かない(芯線損傷の最大要因)
技能試験では、芯線への傷や被覆の剥きすぎは「欠陥」として判定され、不合格に直結します。これは現場でもまったく同じで、芯線が傷ついた結線は通電後に発熱したり、長期間のうちに断線したりして、後から大きなトラブルになります。
施工管理の立場では、配線の仕上がりをチェックするときに「剥き長さが揃っているか」「芯線に傷がないか」を見ると、その作業者の丁寧さや工具の状態が分かります。被覆剥きは地味な工程ですが、電気の信頼性の土台になる部分なので、工具選びと剥き方の精度はサボらない方がいいところです。
現場目線で言えば、ワイヤーストリッパーは「速く剥く」ためだけの工具ではなく、「芯線を守って確実な結線をする」ための品質工具だと捉えると、選び方も使い方も自然と丁寧になります。
ワイヤーストリッパーに関するよくある質問
最後に、現場や試験勉強でよく出る疑問をまとめておきます。
ペンチがあればワイヤーストリッパーは要りませんか?
被覆剥きの頻度が低ければ電工ペンチで代用できます。ただ、被覆剥きを大量にする電気工事では、芯線を切らずに速く剥けるワイヤーストリッパーがあると作業性が段違いです。役割分担すると工具全体が使いやすくなります。
VVFケーブルも普通のストリッパーで剥けますか?
剥けなくはありませんが、VVFは外装シースと絶縁被覆の2段階剥きが必要なので、VVF専用タイプの方が圧倒的に楽で速いです。屋内配線や電工試験を想定するなら、VVF対応を選んでおくのが安全です。
電気工事士の技能試験はどのタイプがいいですか?
時間短縮効果が大きいVVF用ストリッパーが定番です。ホーザンなどの試験向けモデルが広く使われています。シース剥きと絶縁被覆剥きを一気にこなせるので、限られた試験時間を有効に使えます。
安いものと高いものの違いは何ですか?
主な違いは芯線を切らない精度と耐久性です。安価なものは細線で芯線を切りやすかったり、刃の摩耗が早かったりします。毎日使うなら、定番メーカーの中級モデル以上を選ぶと結果的にコスパが良いです。
ワイヤーストリッパーに関する情報まとめ
- ワイヤーストリッパーとは:電線の被覆だけを剥いて芯線を露出させる専用工具
- 種類:プレッシャー式・オートマチック式・ガンタイプ・VVF用がある
- 使い方:刃をかませる位置で剥き長さが決まる。サイズに合った穴を使う
- ペンチ・ニッパーとの違い:切断はニッパー、圧着は電工ペンチ、被覆剥きはストリッパー
- 選び方:対応サイズ・単線/より線・VVF対応・芯線を切らない精度で選ぶ
- おすすめメーカー:ホーザン、ベッセル、ロブテックス、フジ矢、MCCなど
- 注意点:芯線の傷や剥きすぎは欠陥・是正対象。確実な結線の土台になる
以上がワイヤーストリッパーに関する情報のまとめです。
ワイヤーストリッパーは、ニッパーや電工ペンチと役割を分けて使うことで、電気工事の作業性と仕上がりが一段上がる工具です。電気工事士試験を控えている人も、現場で配線品質を上げたい人も、自分の扱う電線に合った1本をまず選ぶところから始めてみてください。




