- ラダー図ってなに?
- シーケンス図と何が違うの?
- 記号(接点・コイル)が覚えられない
- そもそもどこから読めばいいの?
- 自分で書けるようになりたい
- ラダー以外(FBD・SFC)との違いは?
上記の様な悩みを解決します。
ラダー図はPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の中で動くプログラムを 電気回路風に表現 した図のこと。リレーで組まれていた制御回路をそのまま「絵」として書ける言語なので、電気の知識がある人にとっては圧倒的に学びやすいプログラミング言語です。電気施工管理として制御盤やシーケンス制御に絡む現場では、避けて通れない技術ですね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ラダー図とは?
ラダー図とは、結論「PLCのプログラムを、はしご状に並んだ電気回路の形で記述する言語」のことです。
英語で Ladder Diagram(ラダーダイアグラム)。日本語では ラダー図 や 接点回路 と呼ばれます。両端に縦に走る2本の母線(左右レール)があって、その間を横方向に「ステップ(行)」が並んでいる形状が、はしご(ラダー)に見えるのが名前の由来。
PLCのプログラミング言語にはIEC 61131-3で定められた 5種類(ラダー、FBD、ST、IL、SFC)がありますが、日本の設備系制御盤では 9割以上がラダー図 で書かれている、というのが実態。電気のシーケンス図と互換性が高くて、現場の電気屋がそのまま読める、というのが大きな理由です。
シーケンス制御の全体像を忘れていたら、こちらから戻ってきてください。

ラダー図とシーケンス図の違い
ここがいちばん混乱するところ。両方とも「接点とコイル」を使った似た見た目の図ですが、用途が全然違います。
| 項目 | シーケンス図(実体配線図/回路図) | ラダー図(PLCプログラム) |
|---|---|---|
| 対象 | リレー・タイマー等の 物理機器 | PLC内部の ソフトウェア |
| 配線 | 実際の配線が必要 | 配線は不要、プログラムで完結 |
| 変更 | 配線をやり直す | プログラムを書き換えるだけ |
| 表記 | 縦書き(梯子形)が多い | 横書き(はしご形)が標準 |
| 同期性 | リアルタイム動作 | スキャンタイム単位で順次評価 |
電気工事士の実技試験で出てくる「シーケンス図」は、リレー盤の中の実配線を描いたもの。一方、PLCのラダー図は PLCの中のメモリ上で動いているロジック を表現する図。見た目は似ているが、シーケンス図は「ハード」、ラダー図は「ソフト」——ここが最大の違いです。
電磁接触器や電磁開閉器など、実配線で使う機器の話はこちらにまとめてあります。


ラダー図の主な記号
ラダー図で覚えるべき記号は、最低限この4つだけ。あとは応用です。
1. a接点(ノーマルオープン/NO)
─| |─
平常時は開いている接点。コイルがONになると閉じる。入力条件 として一番よく使われる。
2. b接点(ノーマルクローズ/NC)
─|/|─
平常時は閉じている接点。コイルがONになると開く。インターロック や非常停止の表現に使う。
3. 出力コイル
─( )─
リレーやタイマー、PLC内部の補助リレーへの出力。条件が成立すると励磁される。
4. 応用命令(ファンクションブロック)
[ TIM 0 K30 ] ← 30×100ms = 3秒のタイマー
[ MOV D0 D10 ] ← データ転送
[ ADD D0 D1 D2 ] ← D0+D1=D2
タイマー、カウンター、四則演算、データ転送などはファンクションブロックで書きます。メーカーごとに命令の名前が違うので、ここは三菱(GX Works)かオムロン(CX-Programmer)か、で覚え分ける必要あり。
| 記号 | 意味 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ─| |─ | a接点 | 入力条件、自己保持 |
| ─|/|─ | b接点 | インターロック、非常停止 |
| ─( )─ | 出力コイル | 補助リレー、外部出力 |
| ─(SET)─ | セットコイル | ラッチ動作 |
| ─(RST)─ | リセットコイル | ラッチ解除 |
| TIM/T | タイマー | 遅延動作 |
| CNT/C | カウンター | 回数カウント |
ラダー図の読み方
ラダー図は 左から右、上から下 に読むのが基本ルール。電気が左の母線から右の母線へ「流れる」イメージを持つと、回路の動きが頭の中で再現できます。
読み方のステップ
- 1ステップ(1行)ずつ 左から右に追う
- 接点が すべてONになっているか を確認
- 全部ONなら、そのステップ右端のコイルがON(出力)
- 次の行に進み、同じ手順で評価
- 全行を1スキャン(数msec)で繰り返し評価
ここで重要なのが PLCのスキャン動作。リレー回路のように「同時並列」で動くのではなく、上から順番に超高速で評価する という違いがあります。スキャンタイムは小規模で 1〜10msec が目安。「上で出した出力を下で参照」したときに、1スキャン分の遅れが出るのはこのためですね。
サンプル:自己保持回路
|--| |--+--|/|--( )--|
| X0 | X1 M0 |
| | |
|--| |--+ |
| M0 |
X0(押しボタン)を押すと出力M0がON。M0自身がa接点として並列に入っているので、X0を離してもM0が自分で自分を維持(自己保持)。X1(停止ボタン)のb接点で解除——という、リレー制御の基本中の基本です。
ラダー図の書き方(リレー回路からの翻訳手順)
電気屋の頭の中では「シーケンス図 → ラダー図」の翻訳ができれば、新しいラダー図もスラスラ書けるようになります。手順は以下のとおり。
Step 1: 入出力の整理
「物理的なボタン・センサー」 → PLCの 入力リレー(X0、X1…)
「物理的なリレー・電磁弁・ランプ」 → PLCの 出力リレー(Y0、Y1…)
「リレー回路で使う補助リレー」 → PLCの 内部補助リレー(M0、M1…)
Step 2: シーケンス図を1行ずつスライス
リレー回路の 上から1行ずつ「この出力を出すための条件は何か?」を抜き出します。
Step 3: 条件をa接点・b接点で並べる
条件はAND(直列)、OR(並列)で組み合わせ。インターロックや非常停止はb接点 で組むのが原則。
Step 4: タイマー・カウンター追加
リレー回路でTLR(タイマーリレー)を使っていた箇所は、TIM命令で K(時間) を指定して置き換え。1msec単位や100msec単位など、PLC機種で時間の刻みが違うので注意。
Step 5: シミュレーションで動作確認
書き終わったら、PLCソフト(GX Works2/3、CX-Programmer等)の シミュレーター で動作確認。実機に書き込む前に、強制ON/OFF で全パターンを通すのが鉄則です。
制御盤そのものの話はこちらの記事に詳しいので、合わせてどうぞ。

ラダー図と他の言語(FBD・SFC・ST)との違い
最近のPLCは、ラダー図以外の言語にも対応しています。簡単に押さえておくと現場の打ち合わせがスムーズです。
| 言語 | 名称 | 向き不向き |
|---|---|---|
| LD | ラダー図 | リレー置き換え系(標準) |
| FBD | ファンクションブロック図 | データ処理、PID制御 |
| SFC | シーケンシャルファンクション | 工程管理、フロー型制御 |
| ST | ストラクチャードテキスト | 数値演算、複雑なロジック |
| IL | インストラクションリスト | 簡易、最近は使われない |
実務で覚える優先順位は LD > FBD > SFC > ST。中規模以下のプラントや設備機器なら、ラダー図1本でほぼ全部書けます。
ラダー図に関する注意点
1. スキャンタイムの存在を忘れない
リレー回路と違い、PLCは 1スキャンごとに上から下へ順次評価。なので、上のステップで作った出力が下のステップに反映されるまでに 最大1スキャン分 遅れます。タクト時間がシビアな現場では、スキャンタイムを短くするように プログラム長を圧縮 する設計が必要。
2. 自己保持回路のセットの位置
自己保持回路で、起動条件(押しボタン)と解除条件(非常停止)の 両方が同時にONになるパターン を考慮していないと、出力が確定しないバグになります。解除条件は最後に評価される位置(出力コイル直前)に書く のが鉄則。
3. デュアル出力(同じコイルを2回書く)
ラダー図では 同じ出力コイルを2回以上書く と、後から評価された側の値が優先されてバグの温床になります。1つの出力コイルにつき、ラダー上で1箇所だけ、と決めて書きましょう。
4. メーカー独自命令
三菱、オムロン、キーエンス、シーメンスなど、PLCメーカーごとに 独自の応用命令 が用意されています。汎用的な命令(MOV、ADD、TIM、CNT)はだいたい共通ですが、特殊命令を多用するとメーカー乗り換え時に書き直し地獄に陥るので、できるだけ標準命令でロジックを組むのが長期的にはお得。
5. コメントが命
ラダー図はパッと見でロジックは追えますが、「なぜこの条件にしたか」までは読み取れません。デバイスコメント・回路コメントを 必ず日本語で残す のは、後任への最大のプレゼント。納品データと一緒にコメント版(拡張子.gxw、.cxpなど)を渡すのが基本です。
サーマルリレーの動作確認や、シーケンス制御全体の組み立てはこちらの記事も合わせてどうぞ。

ラダー図に関する情報まとめ
- ラダー図とは: PLCプログラムを電気回路の形で書く言語(IEC 61131-3のLD)
- シーケンス図との違い: シーケンス図はハード(実配線)、ラダー図はソフト(PLC内部)
- 基本記号: a接点、b接点、出力コイル、応用命令の4種
- 読み方: 左→右、上→下、1スキャンで全行評価
- 書き方: 入出力整理→シーケンス図翻訳→a/b接点で条件記述→シミュレーション
- 他言語との違い: FBD・SFC・STと使い分け、設備系はLDが主流
- 注意点: スキャンタイム、自己保持の評価順、デュアル出力禁止、コメント必須
以上がラダー図に関する情報のまとめです。
ラダー図は「電気の知識があれば独学できる」プログラミング言語。最初の自己保持回路が動いたときの感動を覚えれば、あとは応用命令を1個ずつ覚えていけば実務で困らないレベルまでは行けます。シーケンス制御 → 電磁接触器 → ラダー図 と階段で押さえるのがおすすめの学習順ですよ。
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