防火区画貫通処理とは?法令、やり方、使用する電線管など

  • 防火区画貫通ってなに?
  • 関連法規を知りたい
  • 防火区画貫通の施工方法って?
  • どんな電線管が使われるの?

上記のような悩みを解決します。

防火区画貫通は法令が関係してくるので、正しい知識を持たなければ法令違反になる可能性があります。適切な知識・施工方法を抑えましょう。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

防火区画貫通処理とは?

防火区画貫通処理とは、結論「防火区画を貫通する際、貫通部を不燃材で埋めること」です。

と言われても意味不明だと思うので、詳しく解説しますね。

まず防火区画とは何なのかという話ですが、防火区画とは火災が起こった際に炎を広げない為の区画(囲い)のことです。

これは躯体(コンクリート)だったり、ボードだったりします。

「躯体=防火区画」ではありませんし、「ボード=防火区画じゃない」というのも間違いです。どちらで区画をとる場合もあります。

防火区画を設置する目的は「火災が広がらないようにする」ですので、穴が空いていたら困りますよね。炎が広がってしまうからです。

‘Aという部屋とBという部屋が防火区画で区切られていたとしましょう。

もしAからBに電線を通したい場合、電線が通る穴が必要ですよね。防火区画には穴があってはいけません。ただ穴がなければ電線を通すことは出来ません。

そこで防火区画貫通処理が必要になります。

防火区画を貫通した部分に適切な処置を施すことにより、防火区画に穴を開けても「火災が広がらないようにする」という目的を達成出来ます。

具体的にはパテやフィブロックなどの不燃材を埋めることによって、防火区画本来の目的を達成します。

 

防火区画貫通に関連する法令(114条)

防火区画貫通は建築基準法で定められています。条文をそのまま載せるので、参考にしてみてください。
施行令第114条 第2項学校、病院、診療所(患者の収容施設を有しないものを除く。)、児童福祉施設等、ホテル、旅館、下宿、寄宿舎又はマーケットの用途に供する建築物の当該用途に供する部分については、その防火上主要な間仕切壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める部分の間仕切壁を除く。)を準耐火構造とし、第112条第2項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
施行令第129条の2の5 第7項
給水管、配電管その他の管が、第 112 条第 15 項の準耐火構造の防火区画、第 113 条第1項の防火壁、第 114 条第1項の界壁、同条第2項の間仕切壁又は同条第3項若しくは第4項の隔壁(以下この号において「防火区画等」という。)を貫通する場合においては、これらの管の構造は、次のイからハまでのいずれかに適合するものとすること。ただし、第 115 条の2の2第1項第1号に掲げる基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で建築物の他の部分と区画されたパイプシャフト、パイプダクトその他これらに類するものの中にある部分については、この限りでない。イ 給水管、配電管その他の管の貫通する部分及び当該貫通する部分からそれぞれ両側に1メートル以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。ロ 給水管、配電管その他の管の外径が、当該管の用途、材質その他の事項に応じて国土交通大臣が定める数値未満であること。ハ 防火区画等を貫通する管に通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後 20 分間(第112条第1項から第4項まで、同条第5項(同条第6項の規定により床面積の合計 200 平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第7項の規定により床面積の合計 500 平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)、同条第8項(同条第6項の規定により床面積の合計 200平方メートル以内ごとに区画する場合又は同条第7項の規定により床面積の合計 500 平方メートル以内ごとに区画する場合に限る。)若しくは同条第 13 項の規定による準耐火構造の床若しくは壁又は第 113 条第1項の防火壁にあっては1時間、第 114 条第1項の界壁、同条第2項の間仕切壁又は同条第3項若しくは第4項の隔壁にあっては 45 分間)防火区画等の加熱側の反対側に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものであること。

 

防火区画貫通処理のやり方

防火区画貫通処理のやり方その①下準備

防火区画貫通処理を始める前に下準備が必要です。

具体的には「どこを貫通するのか?」を確認したり、職人の手配、防火区画貫通に必要な工具を取り揃えたりします。

必要な工具は躯体かボードかによって異なりますので一概には言えませんが、下記に躯体の場合に必要なものをまとめておきます。

躯体の防火区画貫通処理に必要なもの

  • ハンマードリル:穴を開ける用
  • 脚立:高所でも作業できるようにする為
  • マイナスドライバー:点検口を開ける用
  • パテ(フィブロック):防火区画貫通用
  • ガラ袋(ゴミ袋):区画を壊すと大量のガラが出る為
  • モルタル:埋め戻し用
  • 単管パイプ:電線を通す用

 

防火区画貫通処理のやり方その②穴を開ける

下準備が出来たら、ハンマードリルなどで穴を開けます。

過去に区画貫通を起こった場所があれば、そこを狙うことが多いです。埋め戻しをされている部分を狙ったほうが、簡単に穴が空きますからね。

注意点としては「音」の問題です。

躯体の場合はコンクリートを削るので、大きな音が出ます。要ははつる訳ですから、騒音問題があります。リニューアル工事でお客様がいる中ではつってたら100%クレームがきます。

クレーム来たら、最悪工事が中止ですからね。騒音問題に最新の注意を払って、穴を開けましょう。

 

防火区画貫通処理のやり方その③配管を詰める

穴が空いたら、配管を詰めます。

要は電線の通り道です。電線には電気が通りますので、被覆が傷付いてしまえば感電の危険性があります。電線は必ず保護しなければならないので、単管パイプなどの電線管を使用します。

金属管は下記のような種類があります。それぞれに関して詳細な記事を書いているので、気になったら参考にしてみてください。

電線管のサイズ選定方法は下記記事にまとめてあります。

 

防火区画貫通処理のやり方その④モルタルで埋め戻し

配管を通したら、モルタルで埋め戻しを行います。

防火区画貫通において、要は配管を通せれば良い訳ですから、それ以外の部分は塞ぎます。天井裏とはいえ、汚い施工はNGです。

「どこ貫通したの?」と言われるくらい綺麗に埋め戻しをしましょう。

 

防火区画貫通処理のやり方その⑤フィブロックとシール

埋め戻しが終わったら、フィブロック(不燃材)を敷き詰めましょう。

不燃材がなければ防火区画貫通本来の目的である「火災が広がらないこと」という目的を達成できません。忘れずに不燃材を入れましょう。

注意点として、フィブロックの場合はシールが必要ということです。

「ちゃんと指定された施工方法でやりましたよ」ということを証明するシールになります。これも必ず必要です。シールに下記項目を書き込んで写真を取りましょう。

フィブロックのシールに書き込むこと

  • 施工年月日(何年何月)
  • 施工会社

 

防火区画貫通に用いられる電線管

防火区画貫通処理に使われる電線管

  • 塩ビ管
  • PF管
  • 金属管
  • 単管パイプ

上記のような電線管が防火区画貫通に使用されます。

施工方法に関して規定はありますが「この電線管を使いなさい」という規定はありません。要はどの配管を使っても良いということです。(現場ルールは確認が必要)

現場にPF管しかなかったらPF管を使えば良いですし、単管しかなければ単管を使えば良いです。

個人的に、なんでも良いならPF管を使いますね。

理由は加工のしやすさです。防火区画貫通をする用の配管は適切な長さにカットする必要があります。金属管は切るのが大変です。

現場によっては「金属管を使いなさい」という現場もあるので、その場合は仕方ないですが、ルールが無いなら電工ナイフでも簡単に切れるPF管がオススメです。

 

防火区画貫通処理に関する情報のまとめ

防火区画貫通処理に関する情報のまとめ

  • 防火区画貫通とは:防火区画を貫通する際、貫通部を不燃材で埋めること
  • 防火区画貫通の関連法規:上参照
  • 防火区画貫通の施工方法:準備→穴空け→配管→埋め戻し→不燃材
  • 防火区画貫通に使われる電線管:塩ビ管、PF管、金属管、単管パイプ

以上が防火区画貫通に関する情報のまとめになります。

防火区画貫通をするとなると、フィブロックに関する知識は必須です。別記事にてフィブロックに関して詳しくまとめた記事があるので、参考にしてみてください。

それでは。