構造図とは?種類、読み方、意匠図との違い、施工管理での見方など

  • 構造図って結局なんの図面なの?
  • 意匠図・設備図と何が違うの?
  • 伏図とか軸組図とか、種類が多すぎて整理できない
  • C・G・Sみたいな記号の意味が分からん
  • 図面のどこから見ればいいの?
  • 現場で構造図のどこをチェックすればいい?
  • 「図面通り」なのに違うって言われるのなんで?
  • RC・鉄骨・木造で中身ってどう違うの?

上記の様な悩みを解決します。

構造図は、施工管理が配筋検査や鉄骨の受入検査で「現物と図面が合っているか」を判断する、いわば検査の根拠になる図面です。記号と種類の多さで最初につまずきやすい図面ですが、役割と見る順番を押さえれば一気に読みやすくなります。今回は定義・種類・記号・読み方といった基本を押さえた上で、現役の施工管理目線で「現場で構造図のどこを見るか」「意匠図・設備図との整合性チェック」「配筋検査との連動」「RC・S・木造での違い」まで、現場で実際にハマるところを網羅的に整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

構造図とは?

構造図とは、結論「建物の骨組み(柱・梁・床・壁・基礎など)の位置・寸法・材質・配筋を示した、建物の強度に関わる図面」のことです。

意匠図が「建物の見た目・使い方」を表すのに対して、構造図は「建物が自重や地震・風の力に耐えられるか」という安全性そのものを表します。耐震性能の評価も、確認申請の構造審査も、現場の配筋検査も、すべてこの構造図を基準に判断されます。施工管理にとっては「綺麗に見せる図面」ではなく「合否を決める図面」だと捉えると位置づけが分かりやすいです。

一定規模以上の建物では、構造設計一級建築士が設計または確認を行うことが建築士法で定められています。つまり構造図は、専門資格を持つ人間が構造計算の結果を落とし込んだ、責任の重い書類です。だからこそ施工側は「図面の意図を正確に読む」ことが求められます。

建築図面全体の中での構造図の位置づけは、こちらも参考になります。

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僕の整理では、構造図は「現場で迷ったときに最後に立ち返る正解の図面」です。意匠図と寸法が食い違っていたとき、設備のスリーブと梁がぶつかったとき、最終的にどちらを優先するかの判断軸になるのが構造図で、ここを起点に考えると現場の判断がブレなくなります。

構造図と意匠図・設備図・施工図の違い

建築の図面は、役割で大きく「意匠図」「構造図」「設備図」の3つに分かれ、これらを現場で施工できる形に落とし込んだものが「施工図」です。まずこの4つの関係を押さえると、図面の見方が立体的になります。

図面 表すもの 主な内容 作る人
意匠図 建物の見た目・使い方 平面図・立面図・断面図・仕上表 意匠設計者
構造図 骨組み・強度 伏図・軸組図・部材リスト・詳細図 構造設計者
設備図 建物の機能 電気・給排水・空調・消火の配線/配管 設備設計者
施工図 現場で施工する手順 躯体図・割付図・製作図 施工者(ゼネコン等)

建物の設計は、まず意匠図でデザインと間取りを固め、それを基に構造図と設備図が並行して作られます。順番としては意匠図が先、構造図・設備図が後です。

ここで施工管理が一番つまずくのが「3つの図面の整合性」です。意匠図・構造図・設備図は別々の担当者が描くため、どこかで食い違いが残っていることが珍しくありません。たとえば意匠図では大きな開口を取りたいのに、構造図ではそこに耐震壁が入っている、というケースです。この食い違いを着工前に拾うのが施工管理の仕事で、その照合の基準になるのが構造図です。

意匠図側の詳しい解説はこちらにまとめています。

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なお、構造図と混同されやすいのが「施工図(躯体図)」です。構造図が「設計者が決めた構造の答え」だとすると、躯体図は「その答えを現場で実際に施工できるよう、寸法・打設区画・開口・スリーブまで落とし込んだ図面」です。検査の合否を決めるのは構造図、現場の段取りを決めるのは躯体図、という役割分担になります。

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個人的には、新人のうちは「構造図=正解、躯体図=現場用に翻訳した実務版」と覚えておくと混乱しにくいと思います。

構造図の種類

構造図はひとつの図面ではなく、役割の違う複数の図面の総称です。現場で登場頻度の高い順に、主な種類を整理します。

種類 何が分かるか 縮尺の目安
標準仕様書・特記仕様書 使う材料・強度・工法・検査方法のルール 文章主体
構造標準図 配筋や納まりの標準的なルール 図と文章
伏図(基礎伏図・各階床伏図・小屋伏図) 部材を真上から見た平面配置 1/100〜1/200
軸組図 建物を横から見た各通りの骨組み 1/100
部材リスト(柱・梁・基礎・壁リスト) 各部材の寸法・材質・配筋の詳細 1/30〜1/50
詳細図 接合部・納まりの拡大図 1/5〜1/30
構造計算書 上記の根拠となる計算 文章・数値

伏図

伏図は、基礎・床・梁・屋根といった構造部材を真上から透かして見た平面図です。基礎伏図・各階床伏図・小屋伏図(屋根伏図)などがあり、どこにどの部材が配置されているかを符号で示します。慣れた人なら伏図を見ただけで構造の意図や危険箇所まで読み取れる、構造図の中でも特に重要度の高い図面です。

基礎伏図の読み方は、こちらで詳しく掘り下げています。

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軸組図

軸組図は、建物を各通り(X通り・Y通り)で切って横から見た、骨組みの図面です。伏図が平面なら、軸組図は立面。階高・開口高さ・構造スリットの位置など、伏図では表現できない「縦方向の情報」が読み取れます。スパン→階高→部材符号の順で追うと、各通りの骨組みが立体的に見えてきます。

部材リスト

部材リストは、伏図や軸組図で振られた符号(C1・G2など)に対応して、その部材の断面寸法・材質・配筋を一覧化した図面です。配筋検査で「現物が図面通りか」を照合するとき、施工管理が最も頻繁に開くのがこの部材リストです。符号さえ追えれば、伏図で位置を確認し、リストで中身を確認する、という流れができます。

詳細図

詳細図は、伏図や軸組図では潰れて見えない接合部や納まりを、1/5〜1/30の大きな縮尺で拡大した図面です。柱梁接合部の配筋、定着長さ、ハンチ、金物の納まりなど、施工の精度に直結する部分を確認します。

僕の感覚だと、種類を丸暗記する必要はなくて「位置は伏図・軸組図、中身は部材リスト、細部は詳細図」という役割分担さえ頭に入れば、現場で必要な図面に自分でたどり着けるようになります。

構造図の記号・符号と単位

構造図が暗号のように見える最大の理由は、部材が英単語の頭文字の記号で表されているからです。逆に言えば、この記号のルールさえ覚えれば一気に読めるようになります。まずは基本となる記号を押さえましょう。

記号 由来 意味
C Column
G Girder 大梁(柱と柱をつなぐ主要な梁)
B Beam 小梁(大梁の間に架かる梁)
S Slab 床(スラブ)
W Wall
F Footing 基礎
P Pile / Pillar 杭、または間柱(文脈による)

記号の前後の数字は位置を表し、たとえば「2C1」なら「2階のC1という柱」を意味します。通り符号は左から右・下から上の順に番号が振られるのが一般的です。

記号は組み合わせで意味が変わる

構造図の記号は、基本記号にアルファベットを足すことで意味が決まります。ここが分かると、初見の記号でも意味を推測できるようになります。

  • F+部材=基礎部分:FG(基礎大梁)、FB(基礎小梁)、FS(基礎スラブ)、FW(基礎壁)
  • C+部材=片持ち(跳ね出し):CG(片持ち大梁)、CB(片持ち小梁)、CS(片持ちスラブ)。バルコニーや庇など外に突き出す部分に使う
  • 特殊な壁:EW(耐震壁/Earthquake)、KW(階段壁)

「Fが頭に付けば地中の基礎まわり」「Cが頭に付けば外に跳ね出した部材」と覚えると、FGが基礎大梁、CGが片持ち大梁、とすぐ読み解けます。

単位と縮尺の読み違いに注意

構造図では、長さは原則mm(ミリメートル)で表記します。「105×270」と書いてあれば105mm×270mmです。mm以外を使うときだけcmやmと単位を明記するルールなので、単位の書いていない数字はmmと読むのが基本になります。荷重はN(ニュートン)で、以前のkgfからSI単位に切り替わっています。

縮尺も図面ごとに違うため、伏図の1/100の感覚のまま詳細図(1/5など)を見ると寸法を大きく読み違えます。図面右下の表題欄で縮尺を必ず確認してから寸法を拾う、これは細かい話ですが、事故防止に直結します。

現場目線で言えば、記号と単位の読み違いは「指示ミス」に直結する部分なので、自信のない符号はその場で部材リストの凡例に戻って確認する癖をつけるのが一番安全です。

構造図の読み方・見方のコツ

構造図は、見る順番を決めるだけで格段に読みやすくなります。図面に慣れた施工管理者は、闇雲に眺めるのではなく決まった順序で追っています。ポイントは2つの「順番」です。

ひとつ目は、平面方向の「柱→梁→床」の順。まず荷重を受ける柱の位置を確認し、その柱をつなぐ梁を追い、最後に梁の上に乗る床スラブを見る。構造は柱が荷重を受け、梁が分散し、床が伝える仕組みなので、この順で見ると力の流れがそのまま頭に入ります。

ふたつ目は、高さ方向の「基礎→1階→上階」の順。荷重は上から柱を通って基礎へ落ちるので、下から積み上げるように確認すると全体像が崩れません。軸組図を読むときは、まずスパン(柱間距離)を把握し、次に階高、最後に部材符号、という順序が定石です。

実際に図面を開くときの流れを整理すると、こんな手順になります。

  1. 表題欄で縮尺・図面名・通り番号を確認する
  2. 伏図で見たい部材の位置と符号を押さえる
  3. 軸組図で同じ符号を縦方向(階高・開口)から確認する
  4. 部材リストで符号の断面寸法・配筋を確認する
  5. 詳細図で接合部の納まりを確認する

この「位置→縦方向→中身→細部」の往復ができるようになると、1枚の図面で完結しない構造図でも迷子になりません。

分からない記号が出たら放置せず、その場でメモして凡例や先輩に確認する。手間に思えますが、これを続けると自分用の記号ノートができて、半年もすれば現場で図面を見る速度が明らかに変わります。

施工管理が現場で構造図のどこを見るか

ここが、教科書サイトでは説明されない一番実務的なところです。施工管理にとって構造図は「眺める図面」ではなく「他の図面と突き合わせて矛盾を潰し、検査の合否を判定する図面」です。現場で構造図を使う場面は、大きく3つあります。

ひとつ目は、図面同士の整合性チェックです。意匠図の開口位置に構造図の耐震壁が被っていないか、設備図のスリーブ(配管貫通)やインサート(吊り金物)の位置が構造梁の禁止範囲に入っていないか。これらは別々の設計者が描いているため食い違いが残りやすく、着工前に構造図を基準に照合して拾うのが施工管理の役割です。梁貫通には「梁せいの何分の1まで・端部から何mm離す」といった構造上の制限があり、設備の希望位置がそのまま通らないことは現場ではよくあります。

  • 意匠図との照合:開口・段差・天井高と、構造の梁下・壁位置がぶつかっていないか
  • 設備図との照合:スリーブ・インサート・アンカーの位置が梁の貫通可能範囲に収まっているか
  • 施工図(躯体図)への反映:構造図の答えを、打設区画や型枠が組める寸法に翻訳できているか

ふたつ目は、配筋検査・受入検査との連動です。RC造の配筋検査では、部材リストの配筋(主筋の本数・径、あばら筋のピッチ、定着長さ)が現物と一致しているかを構造図を片手に照合します。鉄骨造なら、部材リストや鉄骨詳細図と、搬入された鉄骨の材質・板厚・ボルトを照合します。つまり構造図は、検査の合否を決める根拠書類そのものです。検査記録や是正の指示も、構造図を基準に残すことになります。

構造図を現場で施工できる形に落とし込む施工図については、こちらが詳しいです。

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みっつ目は、「図面通りなのに違うと言われる」問題への対処です。これはたいてい、参照している図面が古い、あるいは意匠図だけ見て構造図の最新の変更を拾えていない、というケースです。構造図には改訂履歴(リビジョン)があり、設計変更が入ると符号や寸法が変わります。最新版の構造図を基準に各図面を揃えること、これが食い違いを防ぐ一番の近道です。

僕の考えでは、構造図を「検査と整合性の基準」と捉えられるかどうかが、図面を読めるだけの人と、現場を回せる施工管理の分かれ目になります。記号を覚えるのはスタートラインで、本番は他の図面と突き合わせるところからです。

RC造・S造・木造で構造図はどう違うか

構造図は、建物の構造種別によって中身がかなり変わります。同じ「構造図」でも、RC造の現場と鉄骨造の現場では見るポイントが違うので、横断的に整理しておくと配属が変わっても戸惑いません。

構造種別 主な構造図 検査で照合する主対象
RC造(鉄筋コンクリート) 伏図・軸組図・部材リスト(配筋) 鉄筋の本数・径・ピッチ・定着、かぶり厚
S造(鉄骨) 鉄骨伏図・軸組図・鉄骨詳細図(継手・仕口) 鋼材の材質・板厚、高力ボルト、溶接
木造 床伏図・小屋伏図・軸組図(プレカット図に移行) 部材寸法、金物(ホールダウン等)、継手位置

RC造では、構造図の主役は配筋情報です。部材リストの主筋・あばら筋・帯筋を現物と照合する配筋検査が山場になります。S造(鉄骨造)では、鉄骨詳細図で継手・仕口の納まりやボルト本数、溶接の指示を確認し、鋼材の材質(SS400やSM490など)と板厚が図面通りかを受入時に照合します。

鋼材の材質記号の意味は、こちらで詳しく解説しています。

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木造は、かつては軸組図で継手・仕口まで表現していましたが、近年はプレカット工場の施工図に置き換わる現場が増えています。とはいえ、ホールダウン金物や火打ちといった補強金物の位置・サイズは構造計算で決まっているため、金物の納まり確認は木造でも欠かせません。

実務だと、自分の現場の構造種別で「検査のときに何と何を照合するのか」を一度言語化しておくと、構造図のどこを重点的に読めばいいかが自然と絞れてきます。

構造図に関するよくある質問

構造図について、現場で新人からよく出る疑問をまとめました。

構造図は誰が作るの?

構造図は、構造設計者(構造設計事務所や構造担当の建築士)が作成します。意匠設計者がデザインと間取りを決め、構造設計者が構造計算を行って柱・梁・基礎の寸法や配筋を決定し、その結果を図面化したものが構造図です。施工管理は作る側ではなく、この構造図をもとに「現場が図面通りに施工されているか」を確認する側になります。

構造図と施工図(躯体図)は何が違うの?

構造図は「設計者が決めた構造の答え」、施工図(躯体図)は「その答えを現場で施工できるよう寸法・打設区画・開口・スリーブまで落とし込んだ実務版」です。検査の合否を判定する基準は構造図、現場の段取りを組む基準は躯体図、と役割が分かれます。躯体図は施工者側が構造図をもとに作成します。

意匠図と構造図、食い違ったらどっちが優先?

安全性に関わる部分は構造図が優先されます。意匠図の開口と構造図の耐震壁がぶつかるようなケースは、自己判断で進めず、必ず設計者に確認して整合を取ります。施工管理の役割は、この食い違いを着工前に発見して設計者に上げることで、現場で勝手に決めることではありません。

構造図が読めないまま現場に出たら、まず何を覚えればいい?

優先度の高い順に、(1)基本記号(C柱・G大梁・B小梁・S床・F基礎・W壁)、(2)伏図で位置・部材リストで中身を確認する流れ、(3)自分の現場の構造種別で検査時に何を照合するか、の3つです。この3つだけで、配筋検査や図面照合の場面で「何を見ればいいか分からない」状態はかなり解消されます。

構造図に関する情報まとめ

  • 構造図とは:建物の骨組み(柱・梁・床・壁・基礎)の位置・寸法・配筋を示す、強度と検査の根拠になる図面
  • 4つの図面の関係:意匠図(見た目)・構造図(骨組み)・設備図(機能)を、施工図(躯体図)が現場用に翻訳する
  • 種類:位置は伏図・軸組図、中身は部材リスト、細部は詳細図、ルールは仕様書
  • 記号:C柱・G大梁・B小梁・S床・F基礎・W壁。F+部材で基礎、C+部材で片持ち、EWで耐震壁
  • 単位:長さはmm、荷重はN。縮尺は図面ごとに確認してから寸法を拾う
  • 読む順番:柱→梁→床、基礎→上階。位置→縦方向→中身→細部の往復
  • 現場での見方:意匠図・設備図との整合性チェックと、配筋・受入検査との連動が施工管理の本番
  • 構造種別の違い:RCは配筋、Sは鋼材・継手・ボルト、木造は金物とプレカット

以上が構造図に関する情報のまとめです。

構造図は、記号と種類の多さで身構えてしまいますが、「位置と中身を別の図面で確認する」「他の図面と突き合わせて矛盾を潰す」という使い方さえ掴めば、検査でも段取りでも頼れる図面になります。まずは自分の現場の構造図を1枚開いて、柱→梁→床の順に符号を追うところから始めてみてください。あわせて、図面全体の種類や意匠図・躯体図の役割も押さえておくと理解が立体的になります。

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