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固有振動数とは?意味、計算式、固有周期、建物の共振との関係など

  • 固有振動数ってなに?
  • 固有周期と何が違うの?
  • 計算式は?
  • 建物の固有振動数ってどれくらい?
  • 共振って何が問題なの?
  • 制振・免震とは関係ある?

上記の様な悩みを解決します。

固有振動数は、構造力学の基本でありながら、地震時の建物の挙動を決めるとても重要な概念です。「建物がどんな揺れに弱いか」を決定する物理量で、耐震設計・制振・免震のすべての出発点になっています。施工管理者にとっても、揺れやすい建物の特徴を理解する基礎知識として押さえておきましょう。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

固有振動数とは?

固有振動数とは、結論「物体が外力なしに自分自身で振動するときの、1秒あたりの振動回数」のことです。

英語ではnatural frequency(ナチュラル・フリークエンシー)。記号はf、単位はHz(ヘルツ)。

身近なイメージで言うと、ブランコをひと押しして手を離したあと、ブランコが自分で揺れ続ける周期。重いブランコほどゆっくり、軽いブランコほど速く揺れる。バネの先におもりを付けて手で引っ張って離すと、バネの硬さとおもりの重さで決まる一定の振動数で揺れ続ける。これが固有振動数です。

ポイントは2つ。

  • 物体ごとに「決まった値」がある(だから「固有」)
  • 質量と剛性(バネの硬さ)の組み合わせで決まる

建築の世界では、建物全体が1つの「振動するモノ」と見なされ、建物にも固有振動数が存在します。一般的な木造2階建てなら6〜10Hz、鉄筋コンクリートのマンション20階建てなら0.5Hz程度、というのが目安です。

固有振動数と固有周期の関係

固有振動数とセットで出てくる言葉に「固有周期」があります。両者は逆数の関係。

項目 記号 意味 単位
固有振動数 f 1秒間に何回振動するか Hz(1/秒)
固有周期 T 1回の振動にかかる時間

換算式:T = 1 ÷ f

たとえば固有振動数2Hzの建物の固有周期は0.5秒、0.5Hzの建物なら2秒。耐震設計や地震応答の議論では「固有周期」のほうが使い勝手がよく、構造計算書でも「固有周期T=○秒」という形で登場することが多いです。

「振動数で考えるか、周期で考えるか」は文脈次第。ハードウェア側(モーター、機械、装置)は振動数(Hz)で語ることが多く、建築・土木は周期(秒)で語ることが多いという棲み分けがあります。

建物の固有周期の目安

建物種別 固有周期の目安
木造2階建て住宅 0.1〜0.2秒(5〜10Hz)
RC造 5階建てマンション 0.3〜0.5秒(2〜3Hz)
RC造 10階建てマンション 0.6〜1.0秒
RC造 20階建てマンション 1.5〜2秒(0.5〜0.7Hz)
超高層ビル(30階以上) 3〜6秒(0.2〜0.3Hz)
一般的な鉄塔・煙突 1〜3秒

「建物が高くなるほど固有周期が長くなる(固有振動数が小さくなる)」のが基本傾向。これはバネ・質点系で考えると、高いほど質量が大きく、相対的に剛性が小さくなるから、と説明できます。

固有振動数の計算式

最も基本的な「1質点系」(建物を1つの重りと1つのバネで近似したモデル)では、固有振動数は次のようにシンプルに表せます。

f = (1 / 2π) × √(k / m)

記号 意味
f 固有振動数(Hz)
k バネ定数(剛性、N/m)
m 質量(kg)
π 円周率 ≒ 3.14

「分子に剛性、分母に質量、ルートをとって2πで割る」と覚えるのが定番。

固有周期で書くと次のように同じくシンプル。

T = 2π × √(m / k)

逆に、質量と固有周期が分かれば剛性が逆算できる、というふうに行ったり来たりできます。

例:単純な質点モデルの計算

質量1,000kg、バネ定数100,000N/mの1質点系の固有振動数は?

f = (1 / 2π) × √(100,000 / 1,000)
= (1 / 6.28) × √100
= 0.159 × 10
≒ 1.59 Hz

固有周期にすると T = 1 / 1.59 ≒ 0.63秒。建物に置き換えると5〜10階建てマンション相当の値ですね。

多質点系の固有振動数

実際の建物は1階・2階・3階…と質点が複数あり、それぞれに振動モードがあります。1次モード(建物全体が同じ向きに揺れる)、2次モード(中央が逆向きに揺れる)、3次モード…と無限に存在しますが、地震応答で最も大きな影響を持つのは1次モード。

構造計算書の「固有周期T」は、原則として1次モードの固有周期を指します。多質点系の固有値解析(マトリクス計算)は手計算では大変なので、構造計算ソフトで自動的に算出されるのが一般的。

共振:建物が固有振動数で揺らされたとき

固有振動数の最も重要な応用は「共振(きょうしん)」。これが建築の耐震設計の出発点になります。

共振とは

共振とは、外から加えられる振動の振動数が、物体の固有振動数と一致したときに、振幅が急激に大きくなる現象。ブランコを「ちょうどいいタイミング」で押し続けると、徐々に振幅が大きくなって最後には大きく揺れますよね。あれが共振です。

地震動と建物の共振

地震波は様々な周期成分を含んだ複雑な揺れですが、ある周期成分が強い場合があります。

  • 短周期成分(0.1〜0.5秒):低層・木造建物が共振しやすい
  • 中周期成分(0.5〜2秒):中高層RC造が共振しやすい
  • 長周期成分(2〜10秒):超高層・大型建物が共振しやすい

阪神・淡路大震災(1995)では中周期の揺れが強く、5〜10階建てマンションに大きな被害が集中。一方、東日本大震災(2011)では長周期成分が強く、首都圏の超高層ビルで大きな揺れが観測されました。

つまり、「どんな地震が来るかで、揺れる建物の高さが変わる」というのが地震学・耐震設計の大切な理解です。

地盤との関係

地盤にも固有周期があります。軟弱地盤は長い周期、堅い地盤は短い周期で揺れる傾向。建物の固有周期と地盤の固有周期が近いと共振が起こりやすいので、軟弱地盤に超高層ビルを建てるときは地盤改良や基礎の工夫が必要、というふうに繋がっていきます。

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制振・免震との関係

固有振動数の理解は、制振・免震構造の発想に直結します。

制振構造(ダンパーで揺れを抑える)

建物にオイルダンパー、粘弾性ダンパー、TMD(チューンドマスダンパー)などを組み込んで、振動エネルギーを吸収させる方式。固有振動数そのものは大きく変えず、共振時の振幅を小さく抑えるアプローチです。

免震構造(建物を地盤から切り離す)

積層ゴムなどの免震装置を建物と基礎の間に挟み、建物の固有周期を「意図的に長くする(3〜5秒程度に伸ばす)」アプローチ。地震波の中周期成分(建物が共振しやすい範囲)から離れた領域に固有周期を移動させる、いわば「共振しない振動数まで逃げる」発想ですね。

つまり、免震は固有振動数の物理的性質を最大限利用した構造形式と言えます。

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現場の振動チェックでの意識

施工管理の現場で固有振動数が直接効いてくるのは、稀ですが次のような場面。

  • 工場・倉庫で大型機械を据え付けるとき:機械の振動数と床の固有振動数が一致すると、床ごと共振して機械精度に影響する
  • 鉄骨造の歩行振動:鉄骨梁の固有振動数(一般に5〜10Hz)と歩行周期(約2Hz)の倍音が合うと、床がバウンドする
  • 仮設構台での重機振動:重機の周波数と仮設構台の固有振動数の関係を、構造計算書で確認

「揺れにくい建物を作る」というのは、結局のところ「想定する地震の振動数と建物の固有振動数を離す」「離せない場合はダンパーで吸収する」のどちらかをやっているわけですね。

固有振動数に関する情報まとめ

  • 固有振動数とは:物体が自分自身で振動するときの、1秒あたりの振動回数(Hz)
  • 固有周期との関係:T = 1/f(逆数の関係)
  • 計算式:f = (1/2π)√(k/m)、剛性/質量で決まる
  • 建物の目安:木造2階で5〜10Hz、超高層で0.2〜0.3Hz
  • 共振:外力の振動数と固有振動数が一致すると振幅が急増する
  • 地震動との関係:地震の卓越周期と建物の固有周期が近いと被害が集中
  • 制振・免震:制振はダンパーで振幅を抑える、免震は固有周期を伸ばして共振を避ける

以上が固有振動数に関する情報のまとめです。

固有振動数は、建物が「どんな揺れに弱いか」を決定づける物理的な指紋のようなもの。木造住宅、5階マンション、超高層ビルでそれぞれ揺れる地震が違うのは、固有振動数が違うからです。耐震構造・制振構造・免震構造の発想も、結局のところすべてこの固有振動数の取り扱い方の違いに帰着します。施工管理の現場では、機械の据付や仮設構台の振動など、限られた場面でしか直接出会いませんが、構造計算書の「固有周期T」が建物の本質を表す数値だと意識すると、設計書の読み方が一段深くなりますね。

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