建築のスリーブとは?施工方法、補強筋、間隔、ルール、サイズなど

  • スリーブってなに?
  • 施工の流れを知りたい
  • どんな種類があるの?
  • 施工する上でのルールって?
  • サイズ表が欲しい

上記のような悩みを解決します。

設備施工で必ず必要になってくるのがスリーブです。

割と構造が絡んでくる分野ですので、施工上のルールを知っておかないとヤバイことになります。正しい情報を知っておきましょう。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

建築のスリーブとは?英語の意味も解説

建築のスリーブとは、結論「配管が躯体貫通する為の穴を作る筒のこと」です。

といきなり言われても意味不明だと思うので、詳細に解説していきます。

まず躯体とは、建物の骨組みのことです。S造だったら「コンクリートと鉄骨」、RC造だったら「コンクリートと鉄筋」、SRC造なら「コンクリートと鉄骨と鉄筋」が建物の骨組みに当たります。

柱と床が具体的な建物の骨組みな訳ですが、ここを配管が貫通しなければならないタイミングが出てきます。

例えば、2階にトイレがあったとしましょう。

汚水は建物外に持っていかなければならないので、2階から1階まで配管を持っていく必要があります。となると、配管が床を貫通しなければならない訳です。

コンクリート打設時にスリーブを仕込んでおけば、その部分にコンクリートは流れず、スリーブの部分は穴が空きますよね。ここに配管を通していきます。

スリーブはこの「穴を確保する」という役割の他、配管を保護する役割もあります。

「さや管」なんて言ったりしますね。配管を保護するから「さや管」です。

ちなみにスリーブを英語で表現すると「sleeve」でして、直訳「配管」という意味になります。英語の意味に関してはあまり気にしなくていいかなと思います。

 

建築のスリーブの施工方法

スリーブ選定・発注・搬入

まずはスリーブの選定を行います。

簡単な話、通る配管の大きさが直径200mmだったとして、スリーブの大きさが直径100mmだったら配管を通すことはできませんよね。

少なくとも、スリーブの方が大きくなければなりません。

ただ大きすぎれば良い訳でもないんです。

大きければ、その箇所にコンクリートは打設されないので、建物の強度が落ちる可能性があります。補強金も追加で必要になってきますし、スペースも限られていたりしますので、大きければいいって話でもありません。

適切なサイズのスリーブを選定しましょう。

スリーブ選定が終了したら、発注し、現場に搬入です。

電気の人はそこまでスリーブが多くはありませんが、空調や衛生の人の場合、スリーブの量は膨大になります。スリーブを仮置きしておくスペースが必要ですので、資材置き場の確保も忘れないようにしましょう。

 

スリーブの加工

スリーブが搬入されてきたら、加工を行います。

長さが適切ではない場合はカットする必要があります。簡単な話、スリーブの長さがスラブ厚より短かったら埋まってしまいますし、長すぎても意匠的に良くありません。

スラブ厚を図面から読み取り、適切な長さにスリーブをカットするようにしましょう。

また、スリーブによっては、スリーブの長さを調節できるスリーブも存在します。長さを現場で微調整したい場合には、そのようなスリーブを採用するようにしましょう。

 

墨出し

スリーブの加工が終わったら、墨出しです。

墨出しとは、要は「スリーブを取り付ける位置の目印を付けること」でして、型枠の上などに印を付けていきます。

建設業はミリ単位で仕事をしているので、正確な墨出しが必要です。

スペースに余裕のある場所ならちょっと誤差があっても問題はありませんが、スペース的に厳しいところだと10mmずれたら他業者と干渉してしまう。。。なんてこともあります。

 

スリーブ取り付け

スリーブの加工が終了し、位置が決まったら、ついに取り付けです。

固定金具をスリーブに取り付け、型枠に打ち込みます。

スラブ上は様々な業者が出入りしますので、蹴飛ばされてしまう可能性があります。キッチリと固定するようにしましょう。

 

あいばん

コンクリート打設当日は「あいばん」を行いましょう。

あいばんとは、要は「コンクリート打設に立会うこと」です。

コンクリート打設業者はコンクリート打設に集中しています。コンクリート業者からしたら、スリーブなんか知ったことではありませんので、蹴飛ばされてしまう可能性があります。

そこを蹴飛ばされないように、あいばんの人が見張る訳ですね。

 

スリーブを掘り起こす

コンクリート打設が終了したら、スリーブを掘り起こします。

施工図でスリーブの位置を確認し、ハンマーなどで掘り起こすことによって、配管用の穴を確保することができます。

これでスリーブの施工は完了です。もう一度、流れをおさらいしてみましょうか。

スリーブ施工の流れ

  • スリーブの選定・発注・搬入
  • スリーブを適切な長さに加工する
  • スリーブが施工される位置の墨出しをする
  • スリーブ取付
  • あいばんで蹴飛ばされないよう監視する
  • コンクリート打設が終了したら掘り起こす

 

スリーブの種類

スリーブの種類

  • 床スリーブ
  • 梁スリーブ
  • 地中梁スリーブ

スリーブには、上記のような種類があります。

まず、床スリーブは縦貫通を作る目的のスリーブです。

例えば、1階と2階の間に貫通を作りたい時に採用されるのが床スリーブになります。その名の通り、床にスリーブを打ち込みます。

梁スリーブは、超簡単に言えば「横の貫通を作るスリーブ」です。

天井にスペースがあり、そこに配管を通すことができれば梁スリーブは必要ありません。ただ天井にスペースがない場合は、梁を貫通させる為に梁スリーブを施工します。

地中梁スリーブはその名の通り、「地中の梁」を通す為のスリーブです。基礎工事なんかで使用されるものですね。要領は同じです。

 

スリーブ施工のルール

補強筋を入れる

スリーブを入れた部分には補強金を施工しましょう。

簡単に言えば、スリーブは穴です。その部分は鉄筋が施工されていませんので、穴が空いた分の鉄筋を補強しなければなりません。

大きなスリーブが入れば、それだけ大きな補強筋が必要です。

事前にスリーブの大きさを把握し、補強筋の準備を行いましょう。

 

横並びの場合は平均直径の3倍以上離す

スリーブ同士が近すぎると、繋がって大きな穴になってしまいますよね。

これも建築の構造的にあまりよろしくはありません。

横にスリーブを並べる際には、穴の平均の3倍以上離すようにしましょう。

例えば、直径300mmのスリーブと直径100mmのスリーブを施工するとします。

直径の平均は200mmですよね。200mmの3倍は600mmですから、スリーブ同士の間隔は600mm以上空けなければならないということになります。

 

梁の中央に施工すること

梁スリーブは真ん中に施工しなければなりません。

梁の中でどちらか片方に寄った場所でスリーブを施工すると、建築の強度的にあまりよろしくはありません。

上すぎず、下すぎず、梁の真ん中にスリーブを入れるようにしましょう。

 

スリーブのサイズ

サイズ 内径 厚み ツメ
50 50 0.5 3
80 80 0.5 3
100 100 0.8 3
125 125 0.8 3
150 150 0.8 3
175 175 0.8 3
200 200 0.8 3
225 225 1.0 3
250 250 1.0 3
275 275 1.0 4
300 300 1.2 4
350 350 1.2 5
メーカーによって、様々なスリーブがあります。あくまで一例と考えてください!

 

建築のスリーブに関する情報まとめ

建築のスリーブに関する情報まとめ

  • スリーブとは:配管が躯体貫通する為の穴を作る筒のこと
  • スリーブの施工:選定→発注→搬入→加工→墨出し→取付→あいばん→掘り起こし
  • スリーブの種類:床スリーブ、梁スリーブ、地中梁スリーブ
  • スリーブ施工のルール:梁の中央に施工、平均直径の3倍以上離す、補強金を入れる
  • スリーブのサイズ:上表参照

以上がスリーブに関する情報のまとめです。

ひと通りスリーブの基礎情報は網羅できたと思います。

スリーブは躯体工事の段階で施工されます。躯体工事全体の流れを理解しておかなければ、スリーブ施工のタイミングは分かりませんので、理解を深めておく必要があります。

躯体工事全体の流れについて分かりやすい記事のリンクを下に貼っておくので、よかったら見てみてください。

それでは!