引張強さとは?単位、SS400、降伏点との違い、計算など

  • 引張強さって結局なに?
  • 単位がN/mm²、MPa、kgf/mm²って何が違う?
  • SS400の「400」って何の数字?
  • SM490とSN490、何が違う?
  • 降伏点と引張強さ、どっちで設計する?
  • 鋼材の「400」って引張強さ?降伏点?混乱する
  • 降伏点と引張強さの差が大きい鋼材が良いって本当?
  • F10T(高力ボルト)の引張強さ1000N/mm²ってどれくらい?
  • 鉄筋SD295・SD345の数字は降伏点?引張強さ?
  • 許容応力度ってどう決まる?引張強さから計算?
  • ネッキングって何?破断と違う?
  • 応力-ひずみ曲線の見方が分からない
  • 上降伏点と下降伏点の違いは?
  • F値って何?引張強さと関係ある?
  • ヤング率と引張強さ、何が違うか説明できない

上記の様な悩みを解決します。

引張強さは構造力学・材料力学の最も基礎となる材料定数で、鋼材・鉄筋・高力ボルトの「強度」を示す指標として一級建築士・1級施工管理技士・コンクリート技士の試験で頻出します。施工管理2〜10年目の若手〜中堅・設計事務所新人・資格試験勉強中の層として「SS400の400が引張強さなのか降伏点なのか混同する」「許容応力度F値の決め方が腹落ちしない」「降伏点と引張強さの使い分けで設計の発想が変わる感覚を掴みたい」「応力-ひずみ曲線の各点が何を表すか答えられない」というケースが多い領域。今回は定義・単位・応力-ひずみ曲線といった基礎を押さえた上で、現役の施工管理経験者目線で「主な鋼材10種類の引張強さ一覧」「降伏点との5つの違い」「ヤング率との混同回避」「F値とSF値・安全率の関係」「一級建築士試験の頻出4パターン」など、明日の試験勉強・現場打合せで使えるレベルまで落とし込みました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

引張強さとは?

引張強さとは、結論「材料を引っ張ったときに発生する最大応力で、材料が破断する直前の応力値」のことです。読みは「ひっぱりつよさ」、英語では Tensile Strength と呼びます。

漢字表記としては「引張強さ」「引張強度」の2通りがあり、ほぼ同義で使われます。JIS規格では「引張強さ」が正式表記、一般的には「引張強度」と呼ぶケースも多い。

別名 主な使われ方
引張強さ JIS・建築構造
引張強度 機械・一般用語
抗張力 古い文献・機械
破断強度 破断点を強調する文脈
Tensile Strength 英語表記

引張強さは「単位面積あたりの最大応力」として表されるため、単位は応力と同じ N/mm²(または MPa、kgf/mm²)。鋼材なら数百N/mm²、ゴムなら数N/mm²、ダイヤモンドなら数千N/mm²と、材料の性質を端的に示す数値です。

材料 引張強さの感覚
ゴム 数〜数十 N/mm²
木材 30〜150 N/mm²(樹種・繊維方向で大きく変動)
アルミニウム 150〜400 N/mm²
鋼材SS400 400〜510 N/mm²
鋼材SM570 570〜720 N/mm²
高力ボルトF10T 1,000 N/mm²以上
ピアノ線 2,000〜3,000 N/mm²
ダイヤモンド 約2,800 N/mm²

引張強さは「材料の限界値」を示すため、構造設計では「引張強さ÷安全率」で算出した「許容応力度」を使って設計します。

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僕としては、引張強さを「材料が壊れる直前の応力=壊れにくさのスコア」と捉えると一気に理解が進みます。前回のヤング率記事で「ヤング率=硬さスコア」と整理しましたが、引張強さは「強さスコア」。両者は別物で、施工管理として用語の混同を避けるのが鋼材打合せの基本マナーです。

ヤング率との関係はこちらが詳しいです。

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応力-ひずみ曲線(S-S曲線)の見方

引張強さを理解するには「応力-ひずみ曲線(S-S曲線:Stress-Strain Curve)」の理解が必須です。引張試験で得られる曲線の各点が、材料の挙動を示しています。

曲線の6段階

段階 現象 応力値
①弾性域 フックの法則が成立、応力とひずみが比例 0〜比例限度
②比例限度 応力とひずみの比例関係が崩れ始める
③弾性限度 荷重を抜くと元に戻る限界点 比例限度より少し上
④降伏点 塑性変形が始まる、応力が一時的に低下 降伏点
⑤引張強さ 最大応力点、ここから断面積が急減(ネッキング) 引張強さ
⑥破断点 材料が破断する 引張強さより低い

弾性域と塑性域

領域 内容 荷重を抜くと
弾性域 フックの法則成立、応力とひずみが比例 完全に元に戻る
塑性域 降伏点を超えた領域 永久ひずみが残る

弾性域では「応力=ヤング率×ひずみ(σ=Eε)」のフックの法則が成立。塑性域に入ると材料はもう元の形に戻りません。

上降伏点と下降伏点

軟鋼(SS400など)の応力-ひずみ曲線には「上降伏点」と「下降伏点」の2つの降伏現象が現れます。

項目 意味
上降伏点 一瞬で達する最大降伏応力
下降伏点 塑性流動中の安定降伏応力

通常の設計で「降伏点」と呼ぶのは下降伏点(規格値)。SS400で「降伏点235N/mm²」と書かれているのは下降伏点を指しています。

ネッキング(くびれ)

引張強さを超えると、試験片の一部に「ネッキング(くびれ)」が発生し、断面積が急減します。この時、見かけの応力(=荷重÷初期断面積)は低下しますが、実応力(=荷重÷ネッキング後の断面積)は増加し続けています。

最終的に材料は破断点で破断。延性材料(鋼材など)はネッキング後に大きく伸びてから破断、脆性材料(鋳鉄・ガラス)はネッキングなしで急に破断します。

僕の感覚だと、応力-ひずみ曲線は一級建築士試験で必ず出題される最重要図。「弾性→降伏→引張強さ→破断」の流れと各点の意味を即答できるようにしておくのが試験対策の鉄則です。図形のイメージとセットで覚えるのが効率的。

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主な鋼材の引張強さ一覧

建築・土木で使われる主な鋼材・鉄筋・ボルトの引張強さを表で整理します。試験頻出のため丸暗記推奨。

一般構造用鋼材(SS材・SM材・SN材)

鋼種 JIS規格 引張強さ(N/mm²) 降伏点(N/mm²) 主用途
SS400 JIS G 3101 400〜510 235以上 一般構造
SM400A/B/C JIS G 3106 400〜510 235以上 溶接構造
SM490A/B/C JIS G 3106 490〜610 325以上 溶接構造(中強度)
SM520B/C JIS G 3106 520〜640 365以上 溶接構造
SM570 JIS G 3106 570〜720 450以上 溶接構造(高強度)
SN400A/B/C JIS G 3136 400〜510 235以上 建築構造(耐震)
SN490B/C JIS G 3136 490〜610 325以上 建築構造(耐震)

「SS」はSteel Structure(一般構造用)、「SM」はSteel Marine/Steel Welded(溶接構造用)、「SN」はSteel New Structure(建築構造用)の略。それぞれ用途で使い分けます。

「400」「490」の数字の意味

表記 意味
SS400 引張強さの最小値が400N/mm²
SM490 引張強さの最小値が490N/mm²
SM570 引張強さの最小値が570N/mm²

鋼材の規格表記の数字は「引張強さの最小値」を表します。これは試験頻出のポイント。SS400の「400」は「引張強さ400〜510N/mm²の保証範囲の下限値」を意味します。

高力ボルト

ボルト種別 引張強さ(N/mm²) 降伏点(N/mm²)
F10T 1,000以上 900以上
S10T 1,000以上 900以上
F8T 800以上 640以上
F11T(建築禁止) 1,100以上 990以上

F10T・S10TのT(Tensile)が引張強さを意味し、10は1,000N/mm²の略号。F11Tは過去に使われましたが遅れ破壊問題で建築禁止になりました。

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鉄筋(異形棒鋼)

鉄筋種別 JIS 引張強さ(N/mm²) 降伏点(N/mm²) 主用途
SD295A JIS G 3112 440〜600 295〜390 一般RC
SD295B JIS G 3112 440〜600 295〜390 一般RC(強化)
SD345 JIS G 3112 490以上 345〜440 主筋に多用
SD390 JIS G 3112 560以上 390〜510 高強度RC
SD490 JIS G 3112 620以上 490〜625 超高強度RC

鉄筋の規格表記「SD345」のSDはSteel Deformed(異形棒鋼)、345は降伏点の最小値(N/mm²)を表します。鋼材(SS400・SM490など)が引張強さで表記されるのに対し、鉄筋は降伏点で表記される点に注意。

材料 表記の数字 意味
鋼材SS・SM・SN 引張強さの最小値 400・490・570
高力ボルトF・S 引張強さ÷100 10=1000、8=800
鉄筋SD 降伏点の最小値 295・345・390

これも試験頻出の混同ポイント。鋼材は「引張強さ」、鉄筋は「降伏点」で表記される、と覚えておきます。

僕としては、鋼材表記の混同を避けるコツは「SSは引張強さ、SDは降伏点」と頭に入れておくこと。SDの「D」は「Deformed(異形)」の意味ですが、語呂で「Down=降伏点」と覚えても外しません。

引張強さと降伏点の違い

施工管理として混同しやすいのが「引張強さ」と「降伏点」の違い。両者の違いを5項目で整理します。

項目 引張強さ 降伏点
定義 破断直前の最大応力 塑性変形が始まる応力
応力-ひずみ曲線 曲線の最高点 弾性域の終わり
構造設計 許容応力度の参考値 許容応力度の主基準
安全率 2.5〜3.0 1.5〜1.7
材料の活用 破断耐力 常用設計値

構造設計での使い分け

建築の構造設計では、「降伏点」を基準に許容応力度を決めるのが標準。これは「降伏点を超えたら永久変形が残るので、その手前で設計する」という発想。

応力レベル 設計上の扱い
許容応力度 降伏点÷安全率(1.5〜1.7)
F値 降伏点と引張強さ÷1.1の小さい方
降伏点 塑性変形の境界
引張強さ 破断の境界(参考値)

「降伏点÷1.5」が長期許容応力度、「降伏点」が短期許容応力度、「F値」がそれらの基準値、という階層構造になっています。

F値とは

F値は「Strength(強度)」の頭文字で、設計用基準強度。

F = min(降伏点, 引張強さ÷1.1)

ここで「引張強さ÷1.1」を比較対象にする理由は、「降伏点が引張強さに対して大きすぎる材料(伸びる余裕が少ない)を使わないため」。降伏点と引張強さの差が小さい鋼材は「降伏してから破断までの余裕が少ない」=脆い、と判定されるリスクがあります。

鋼種 降伏点 引張強さ 引張強さ÷1.1 F値
SS400 235 400〜510(最低400) 364 235
SM490 325 490〜610(最低490) 445 325
SM570 450 570〜720(最低570) 518 450

F値はほぼ降伏点と等しい値になることが多く、これが構造設計の基準値として使われます。

僕の感覚だと、「F値=設計基準強度、降伏点≒F値」と簡単な公式で覚えておけば、構造計算書を読むときに迷わない。施工管理として、ミルシート(鋼材の試験成績書)に「降伏点○○N/mm²」と書かれていたら、それがF値ベースで設計に使われていると判断できます。

引張強さとヤング率の違い

施工管理として最も混同しやすいのが「引張強さ」と「ヤング率」の違い。両者は別概念です。

項目 引張強さ ヤング率
意味 破断する応力(強さ) 変形しにくさ(硬さ)
単位 N/mm² N/mm²(同じ単位だが意味違う)
応力-ひずみ曲線 曲線の最高点 弾性域の傾き
鋼種で変動 ◎(SS400≠SM570) ×(全鋼材で同じ2.05×10⁵)
構造設計での使用 許容応力度の元値 たわみ・座屈計算

「強さ」と「硬さ」は別物、というのが両者の本質的な違い。鋼材は強度(引張強さ)が異なっても、硬さ(ヤング率)は全て同じ2.05×10⁵ N/mm²。

鋼種 引張強さ ヤング率
SS400 400〜510 2.05×10⁵
SM490 490〜610 2.05×10⁵
SM570 570〜720 2.05×10⁵

つまり、SS400の梁とSM570の梁では「壊れにくさ(許容応力度)」は違いますが、「同じ荷重に対するたわみ量」は同じ。これが構造設計の意外なポイントで、「強度の高い鋼材を使ってもたわみは改善しない」事実につながります。

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僕としては、構造設計者と話すときに「強さと硬さは別」を意識すると一段話が通じます。「鋼材グレードを上げてもたわみは変わらない」「たわみを改善するには断面サイズを上げるしかない」という構造設計の常識を理解できると、現場での設計変更打合せでも的確に提案できます。

構造設計での使い方(許容応力度)

引張強さは「許容応力度」「F値」「安全率」を経由して構造設計に使われます。具体的な使い方を整理します。

許容応力度の計算

構造設計で実際に使う「許容応力度」は、降伏点を安全率で割って算出します。

応力タイプ 計算式 安全率
長期許容応力度 F÷1.5 1.5
短期許容応力度 F 1.0(短期は基準強度そのまま)

短期は地震・台風時等の一時的な荷重で、長期は常時の荷重。

例:SS400梁の許容応力度

応力タイプ 計算
F値 235(降伏点) 235 N/mm²
長期許容応力度 235÷1.5 156.7 N/mm²
短期許容応力度 235 235 N/mm²

実際の設計では、これに「曲げ」「せん断」「圧縮」「引張」の応力タイプごとに係数をかけて使います。

安全率の考え方

安全率 意味
1.5(長期) 常時荷重への余裕
1.0(短期) 稀な大荷重への対応
2.5〜3.0(引張強さ基準) 材料破壊への余裕

引張強さ基準の安全率(2.5〜3.0)と降伏点基準の安全率(1.5〜1.7)は別物。建築の構造設計では降伏点基準が標準ですが、機械設計では引張強さ基準が標準。分野で使い分けます。

F値で「引張強さ÷1.1」が比較対象になる理由

JIS規格の鋼材では「降伏点と引張強さの比率(=降伏比)」が一定範囲に収まるよう規格化されています。降伏比が大きすぎる(=降伏点が引張強さに近すぎる)鋼材は「降伏後すぐ破断する」性質があり、塑性変形による地震エネルギー吸収ができなくなるため、建築構造に不向き。

F値の「引張強さ÷1.1」は、この降伏比制約を式に反映した値です。

僕の感覚だと、「F値≒降伏点」「許容応力度=F÷1.5(長期)またはF(短期)」の関係さえ覚えておけば、構造計算書を読むときの理解度が一気に上がります。施工管理として、設計事務所との打合せで「許容応力度」「F値」「降伏点」を使い分けられると、信頼度が一段上がります。

一級建築士試験での出題パターン

一級建築士試験・構造設計一級建築士試験・1級施工管理技士試験での引張強さ関連の出題パターンを整理します。

パターン①:応力-ひずみ曲線の各点

出題例 答え
応力ひずみ曲線で引張強さはどこ 曲線の最高点
降伏点と引張強さの順序 降伏点 → 引張強さ → 破断点
ネッキングはいつ起きる 引張強さを超えた後
フックの法則が成立する範囲 弾性域(比例限度まで)

パターン②:鋼材の規格表記

出題例 答え
SS400の400 引張強さの最小値
SD345の345 降伏点の最小値
SM490とSN490の違い JIS規格・成分・耐震性
F10Tの10 引張強さ1,000N/mm²

パターン③:許容応力度・F値

出題例 答え
F値の定義 min(降伏点, 引張強さ÷1.1)
長期許容応力度 F÷1.5
短期許容応力度 F
なぜ降伏点基準で設計するか 永久変形を残さないため

パターン④:引張強さとヤング率の混同

出題例 答え
SS400とSM490のヤング率の関係 同じ(2.05×10⁵)
引張強さとヤング率の単位 どちらもN/mm²
たわみ計算で使うのは ヤング率
許容応力度の元になるのは 降伏点(≒F値)

これら4パターンを意識して試験対策を組み立てると効率的。特にパターン②(規格表記の数字の意味)は混同しやすく、毎年出題される論点なので、表で丸暗記が王道です。

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僕としては、引張強さ関連の試験対策は「規格表記の数字の意味」を最初に丸暗記するのが効率的。SS=引張強さ、SD=降伏点、F・SのT=引張強さ÷100、と整理しておけば、過去問の8割は瞬時に解けるレベルになります。

ミルシートと現場での確認

施工管理として、引張強さを現場で確認する場面は「ミルシート(材料試験成績書)の確認」が主。

ミルシートとは

ミルシートは鋼材メーカーが出す試験成績書で、以下の項目が記載されています。

項目 内容
鋼種・規格 SS400・SM490等
寸法 断面サイズ
化学成分 C・Si・Mn・P・S等
機械的性質 降伏点・引張強さ・伸び率
溶接性試験 衝撃値等(SM材以上)
認定マーク JIS・JFE等

現場確認のポイント

チェック項目 基準
降伏点 規格値以上
引張強さ 規格値以上
伸び率 規格値以上(脆性破断防止)
溶接性 SM材の溶接構造用は確認

ミルシートの「降伏点」「引張強さ」が規格値(SS400なら降伏点235以上・引張強さ400〜510)を満たしているか確認するのが基本。これは現場の品質管理として施工管理が直接見る項目です。

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僕の感覚だと、ミルシートの引張強さの確認は「鋼材受入検査の必須項目」。発注した鋼種と実物の規格値が一致しているかを照合するだけで、後の品質トラブルを大幅に減らせます。施工管理として、ミルシートの読み方を新人時代から身につけておくのが鉄則です。

引張強さに関するよくある質問

Q1. 引張強さと引張強度、結局どっち呼ぶ?

A. 同義語。JIS規格では「引張強さ」が正式表記、機械工学・一般用語では「引張強度」を使う傾向。建築の構造計算書・試験問題ではほぼ「引張強さ」で表記されるので、建築試験対策ならこちらで覚えます。

Q2. SS400の「400」は引張強さ?降伏点?

A. 引張強さの最小値(400N/mm²)。SS400の保証範囲は「引張強さ400〜510N/mm²」「降伏点235N/mm²以上」。鋼材表記(SS・SM・SN)は引張強さ、鉄筋表記(SD)は降伏点、と覚えるのが混同回避のコツです。

Q3. SDの「345」が降伏点なら、SDの引張強さはどこに書いてある?

A. JIS G 3112の規格表に記載されています。SD345の引張強さは「490N/mm²以上」が規格値。鉄筋は降伏点で名前付けされていますが、引張強さも別途規格値があります。

Q4. SS400とSN400、何が違う?

A. JIS規格と用途。SS400は一般構造用(JIS G 3101)、SN400は建築構造用(JIS G 3136)で耐震性能を考慮した規格。引張強さ・降伏点はほぼ同じですが、SNは「降伏点の上限値」「降伏比」「シャルピー衝撃値」が規定されていて、地震時の塑性変形性能が保証されています。

Q5. F値≒降伏点ということは、F値で覚えれば降伏点を覚える必要ない?

A. ほぼその通り。SS400ならF=235、SM490ならF=325、というように覚えておけばOK。ただし、F値は「降伏点と引張強さ÷1.1の小さい方」なので、引張強さが非常に小さい特殊な鋼材ではF値が降伏点と一致しないことがある点に注意。一般的な鋼材ではF=降伏点と覚えて問題なし。

Q6. なぜ降伏点基準で設計するの?引張強さで設計すれば良い?

A. 降伏点を超えた塑性変形は元に戻らないため、建物に永久変形が残ります。「引張強さの直前まで使う」設計だと地震後に建物が傾いたままになる可能性があるため、降伏点を基準にして「常時は永久変形なし」を確保するのが建築設計の基本。

Q7. ネッキング(くびれ)はなぜ起きる?

A. 引張強さを超えると、応力分布が試験片の一部に集中して、その部分の塑性変形が局所的に進みます。結果として断面積が局所的に減少し、見かけの応力(=荷重÷初期断面積)が低下していくように見えます。延性材料(鋼材等)の特徴で、脆性材料(鋳鉄・ガラス)ではネッキングなしで急に破断します。

Q8. 高力ボルトF10Tの引張強さ1,000N/mm²ってすごい数値?

A. 普通の鋼材(SS400=400、SM570=570)の約2倍。これだけ高い引張強さを実現できるのは、熱処理(焼入れ・焼戻し)を施した特殊鋼材だから。代わりに「遅れ破壊(時間経過で割れる現象)」のリスクがあるため、F11T以上は建築では使用禁止になっています。

Q9. コンクリートに引張強さはある?

A. あります。普通コンクリートの引張強さは圧縮強度の約1/10。Fc24のコンクリートなら引張強さ約2.4N/mm²程度。鋼材(数百N/mm²)と比べて圧倒的に低く、「コンクリートは引張に弱い」と言われる理由。RC造で鉄筋(引張に強い)を入れる理由はここにあります。

Q10. ミルシートを見る場面、施工管理として実際にある?

A. あります。鋼材受入検査、特に高力ボルト・主要柱梁部材の受入時に必須。設計仕様書に「SM490B」と書かれているのに、納入された鋼材のミルシートが「SS400」だったら、即返品の判断が必要。施工管理として、ミルシートを読めるかどうかで品質管理の信頼性が大きく変わります。

引張強さに関する情報のまとめ

最後に引張強さの重要ポイントを整理します。

  • 引張強さとは「材料を引っ張ったときに発生する最大応力で、破断直前の応力値」
  • 別名は引張強度・抗張力・破断強度・Tensile Strength
  • 単位はN/mm²(=MPa)、応力と同じ単位
  • 応力-ひずみ曲線は6段階:弾性域→比例限度→弾性限度→降伏点→引張強さ→破断点
  • 軟鋼には上降伏点と下降伏点があり、規格値は下降伏点
  • 主な鋼材:SS400=400〜510、SM490=490〜610、SM570=570〜720、SN材はSS・SMと同等+耐震性
  • 高力ボルト:F10T・S10T=1000以上、F8T=800以上、F11Tは建築禁止
  • 鉄筋:SD295・SD345・SD390等、表記は降伏点(鋼材表記は引張強さ)の混同に注意
  • 引張強さと降伏点は別物、構造設計では降伏点基準が標準
  • F値はmin(降伏点, 引張強さ÷1.1)、長期許容応力度=F÷1.5、短期=F
  • 引張強さとヤング率は別概念、鋼材ヤング率は全種類2.05×10⁵で共通
  • 一級建築士試験の出題パターンは①応力-ひずみ曲線/②規格表記の数字/③F値・許容応力度/④ヤング率との混同の4種類
  • ミルシートでの確認は施工管理の品質管理の基本

以上が引張強さに関する情報のまとめです。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。

一級建築士・構造設計一級建築士・1級施工管理技士・コンクリート技士の資格試験で頻出する基礎中の基礎なので、今回まとめた応力-ひずみ曲線・主要鋼材の引張強さ・降伏点との違い・F値の決め方を手元に置いて、明日の試験勉強・現場打合せで使えるレベルまで落とし込んでみてください。

構造力学・材料力学・関連資格は下記から関連知識を辿れます。

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