ヤング率とは?単位、計算、鋼材の値、ポアソン比との違いなど

  • ヤング率って結局なに?
  • 単位がN/mm²、MPa、GPaって何が違う?
  • 鋼材のヤング率「2.05×10⁵」って読み方は?
  • SS400とSM490、ヤング率違う?
  • コンクリートのヤング率って計算式があるの?
  • 木材のヤング率、樹種で変わる?
  • ヤング率と縦弾性係数って同じ?
  • ポアソン比とどう違う?
  • せん断弾性係数とどう違う?
  • ヤング率が大きい=丈夫って意味?
  • 公式E=σ/εのσとεは何の単位?
  • たわみ計算でヤング率はどこに使う?
  • 座屈計算でもヤング率使う?
  • 一級建築士試験のヤング率出題、どんな問題?
  • 現場でヤング率を計算する場面ある?

上記の様な悩みを解決します。

ヤング率は構造力学・材料力学の最も基礎となる材料定数で、一級建築士・構造設計一級建築士・コンクリート技士の試験で頻出する論点です。設計事務所新人・施工管理2〜5年目・建築系の学生として「公式E=σ/εは知ってるけど、何の指標か説明できない」「鋼材2.05×10⁵とコンクリート2.27×10⁴の桁の違いの意味が腹落ちしない」「ポアソン比やせん断弾性係数との関係が混乱する」「試験で出題パターンが見えてこない」というケースが多い領域。今回は定義・単位・公式といった基礎を押さえた上で、現役の施工管理経験者目線で「主な材料のヤング率一覧」「コンクリートのヤング率計算式」「ポアソン比とせん断弾性係数の関係G=E/2(1+ν)」「構造計算でのたわみ・座屈での使い方」「一級建築士試験の頻出パターン4つ」など、明日の試験勉強・現場打合せで使えるレベルまで落とし込みました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ヤング率とは?

ヤング率とは、結論「材料に応力(引張・圧縮)をかけたときの、応力とひずみの比例係数」のことです。読みは「ヤングりつ」、英語では Young’s Modulus と呼びます。

物理的にはイギリスの科学者トマス・ヤング(Thomas Young、1773-1829)に因んで命名された材料定数で、材料の「変形のしにくさ=硬さ」を数値化した指標。同じ100kgの荷重を引っ張っても、鋼材はほとんど伸びず、ゴムはぐにゃっと大きく伸びる。この「伸びにくさ」を数値化したのがヤング率です。

別名 使われる場面
ヤング率 物理・材料工学全般
ヤング係数 建築・土木の構造計算
縦弾性係数 機械工学・材料力学
弾性係数(広義) 総称として使われる

「ヤング率」「ヤング係数」「縦弾性係数」はほぼ同義で使われます。建築では「ヤング係数」、機械工学では「縦弾性係数」と呼ぶ傾向があるくらいの違い。一級建築士試験では「ヤング係数」で出題されることが多い。

ヤング率が大きい材料ほど「硬くて変形しにくい」、小さい材料ほど「柔らかくて変形しやすい」と覚えればOK。具体例で言うと、鋼材のヤング率(約2×10⁵ N/mm²)はゴム(1〜100 N/mm²)の数千〜数十万倍硬い、ということです。

材料 ヤング率の感覚
ダイヤモンド 約1.2×10⁶ N/mm²(最大級)
鋼材 2.05×10⁵ N/mm²(建築で最も硬い)
ガラス 0.7×10⁵ N/mm²(鋼の1/3)
コンクリート 2.3×10⁴ N/mm²(鋼の1/10)
木材 0.7〜1.5×10⁴ N/mm²(鋼の1/15〜1/30)
ゴム 1〜100 N/mm²(鋼の数千分の1)

構造力学・材料力学の基本知識はこちら。

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僕としては、ヤング率を「材料の硬さスコア」と捉えると一気に理解が進みます。「鋼材の硬さは205,000、コンクリートは22,700、木材は10,000」とランキング化して頭に入れておくと、構造設計の文脈で材料が出てきたときに「あ、これは鋼の1/10の硬さなんだな」と即座に判断できます。

ヤング率の公式と単位

ヤング率の定義式と単位を整理します。試験頻出の公式なので、暗記必須です。

公式

ヤング率Eは以下の式で表されます。

E = σ / ε
記号 読み 意味 単位
E イー(Young’s Modulus) ヤング率 N/mm²
σ シグマ(Sigma) 応力(Stress) N/mm²
ε イプシロン(Epsilon) ひずみ(Strain) 無次元

ひずみ(ε)は「元の長さに対する変形量の比」なので無次元(単位なし)。したがってヤング率の単位は応力(σ)と同じ「N/mm²」になります。

要素 計算 意味
σ(応力) σ = 力(F) / 断面積(A) 単位面積あたりの力
ε(ひずみ) ε = 伸び量(ΔL) / 元の長さ(L) 変形の割合
E(ヤング率) E = σ / ε 応力とひずみの比

例えば、長さ100mm・断面積100mm²の鋼材に10,000Nの力をかけたとき、伸び量が0.05mmだったとすると:

  • σ = 10,000 / 100 = 100 N/mm²
  • ε = 0.05 / 100 = 0.0005
  • E = 100 / 0.0005 = 200,000 N/mm² ≒ 2×10⁵ N/mm²

これが鋼材のヤング率です。

単位の換算

ヤング率の単位は分野によって複数表記が使われるので、換算を覚えておく必要があります。

単位 表記 主な使用分野
N/mm² ニュートン毎平方ミリメートル 建築・土木
MPa メガパスカル 機械・国際標準
GPa ギガパスカル 機械・物理学
kgf/mm² キログラム重毎平方ミリメートル 旧JIS
N/m²(Pa) パスカル 理科教科書

換算式は以下。

変換 計算
N/mm² → MPa ×1(同じ値)
N/mm² → GPa ÷1000
N/mm² → kgf/mm² ÷9.8
kgf/mm² → N/mm² ×9.8

つまり、鋼材のヤング率2.05×10⁵ N/mm²は、以下のように表記できます。

  • 2.05×10⁵ N/mm²
  • 2.05×10⁵ MPa(同じ値)
  • 205 GPa
  • 約 2.09×10⁴ kgf/mm²(≒21,000 kgf/mm²)

「N/mm²」と「MPa」は同じ値なので、建築の構造計算書を読むときに片方で表記されていても困らないようにしておきます。

ニュートン・ニュートンメートルの基本知識はこちら。

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僕の感覚だと、建築の現場・試験では「N/mm²」表記が一番多く出てきます。試験対策としては「N/mm²=MPaは同じ」「GPaは÷1000」の換算を覚えておけば9割の問題に対応できます。

主な材料のヤング率一覧

主要な材料のヤング率を一覧表で整理します。これは試験頻出のため、丸暗記推奨。

材料 ヤング率(N/mm²) 備考
鋼材(SS400・SM490等) 2.05×10⁵(205,000) 全鋼材共通
アルミニウム 0.7×10⁵(70,000) 軽量・低剛性
普通コンクリート Fc18 2.10×10⁴(21,000) 住宅・基礎
普通コンクリート Fc24 2.27×10⁴(22,700) マンション標準
普通コンクリート Fc30 2.39×10⁴(23,900) 中高層
高強度コンクリート Fc60 3.35×10⁴(33,500) 超高層
軽量コンクリート 1.20〜1.70×10⁴ 軽量化用
木材(針葉樹・スギ) 0.7〜1.0×10⁴(7,000〜10,000) 住宅構造
木材(針葉樹・ヒノキ) 0.9〜1.1×10⁴(9,000〜11,000) 住宅構造
木材(広葉樹・ナラ) 1.0〜1.5×10⁴(10,000〜15,000) 内装
ガラス 0.7×10⁵(70,000) 窓・壁面
レンガ 0.2〜0.4×10⁴(2,000〜4,000) 組積造
ゴム 1〜100 防振・シーリング

重要ポイント

論点 内容
鋼材は強度違っても同じ SS400もSM490もSM570も全部E=2.05×10⁵
コンクリートはFcで変動 計算式で求める(後述)
木材は樹種・含水率で変動 代表値で覚える
アルミは鋼の約1/3 軽量化材料の主流

特に「鋼材は強度違っても同じヤング率」は試験頻出の論点。SS400(引張強さ400N/mm²)とSM490(引張強さ490N/mm²)は引張強さは違いますが、ヤング率は同じ2.05×10⁵ N/mm²。これは「強さ」と「硬さ」が別物だからです。

指標 意味 鋼材
引張強さ 破断するときの応力 400〜570 N/mm²
降伏点 塑性変形が始まる応力 235〜355 N/mm²
ヤング率 応力とひずみの比(硬さ) 2.05×10⁵ N/mm²

引張強さの詳細はこちら。

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僕としては、ヤング率の覚え方として「鋼20万、ガラス7万、コンクリート2万、木材1万、アルミ7万」と語呂で覚えるのが効果的。建築の主要材料を桁感覚で押さえておくと、たわみ計算・座屈計算で具体値が出てきたときに「数値感覚で異常を察知できる」ようになります。

コンクリートのヤング率(特殊な計算)

コンクリートのヤング率は他の材料と違って「設計基準強度Fc」と「単位体積重量γ」で変動するため、計算式で求めます。これも試験頻出。

計算式

建築学会の式(JASS 5など)では以下の式でコンクリートのヤング率を計算します。

Ec = 3.35 × 10⁴ × (γ/24)² × (Fc/60)^(1/3)
記号 意味 単位
Ec コンクリートのヤング率 N/mm²
γ 単位体積重量 kN/m³
Fc 設計基準強度 N/mm²

Fc別のヤング率値

普通コンクリート(γ=24kN/m³)の場合の代表値を覚えておきます。

Fc ヤング率Ec(N/mm²) 主用途
Fc18 2.10×10⁴ 住宅基礎
Fc21 2.20×10⁴ 戸建て住宅
Fc24 2.27×10⁴ マンション標準
Fc27 2.34×10⁴ 中規模建築
Fc30 2.39×10⁴ 中高層
Fc36 2.51×10⁴ 高強度設計
Fc42 2.62×10⁴ 超高強度
Fc60 3.35×10⁴ 超高層

なぜコンクリートだけ計算式になるのか

鋼材は工業生産品で品質が均一なため、ヤング率も一定(2.05×10⁵)。これに対してコンクリートは現場で配合・打設するため、Fcや骨材で剛性が変動する。だから計算式で求める必要がある、という背景です。

コンクリート全般・強度の基本はこちら。

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僕の感覚だと、施工管理として現場でコンクリートのヤング率を計算する場面はほぼ無いですが、構造計算書を読んで「Ec=2.27×10⁴ N/mm²」と書かれていたとき、「ああ、これはFc24のコンクリートか」と読み取れるようになっておくと、構造設計者との打合せで一段話が通じます。

ポアソン比・せん断弾性係数との関係

ヤング率と並んで構造力学で頻出する材料定数が「ポアソン比」と「せん断弾性係数(横弾性係数)」。3つの関係を整理します。

ポアソン比とは

ポアソン比(ν:ニュー)は「材料を引っ張ったときの、縦ひずみに対する横ひずみの比」のこと。

ν = (横ひずみ) / (縦ひずみ)

材料を縦方向に引っ張ると、縦に伸びると同時に横に縮みます。例えば、ポアソン比が0.2なら「縦に1伸ばすと横に0.2縮む」関係。

材料 ポアソン比ν
鋼材 0.30
コンクリート 0.20
アルミニウム 0.33
ガラス 0.20〜0.25
木材 0.30〜0.40
ゴム 0.49〜0.50

ポアソン比は無次元(単位なし)で、理論上0〜0.5の範囲を取ります(0.5は体積が変わらない完全非圧縮材料=ゴム)。

せん断弾性係数(横弾性係数)とは

せん断弾性係数(G)は「せん断応力とせん断ひずみの比」のことで、材料を「ねじったときの硬さ」を表す指標。

G = せん断応力 / せん断ひずみ

ヤング率・ポアソン比・せん断弾性係数の関係式

3つの材料定数は以下の式で結ばれます。

G = E / 2(1 + ν)
材料 E(N/mm²) ν G(N/mm²) G/E比
鋼材 2.05×10⁵ 0.30 0.79×10⁵ 0.385
コンクリート 2.27×10⁴ 0.20 0.95×10⁴ 0.417
アルミ 0.7×10⁵ 0.33 0.26×10⁵ 0.376

ここから「コンクリートのせん断弾性係数はヤング係数の約0.4倍」という一級建築士試験頻出の事実が導かれます。

僕としては、3つの材料定数の関係式「G = E / 2(1+ν)」は試験で必ず出題される公式の1つ。式を丸暗記するより、「材料定数3つはこの式で連動している」「ν=0.5(ゴム)ならGはEの1/3、ν=0(理論上の固体)ならGはEの1/2」のような感覚で覚えておくと応用が効きます。

ヤング係数の関連知識はこちら(より広範な解説)。

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構造計算でのヤング率の使い方

ヤング率は構造計算のあらゆる場面で使われる材料定数です。代表的な使い方を整理します。

たわみ計算

梁のたわみ計算でヤング率を直接使います。

例えば、両端単純支持梁の中央集中荷重時のたわみは:

δ = P × L³ / (48 × E × I)
記号 意味
δ たわみ
P 集中荷重
L スパン長
E ヤング率
I 断面二次モーメント

ヤング率が大きいほどたわみが小さくなる、というシンプルな関係。鋼材(E=2.05×10⁵)の梁と同じ断面の木材(E=1.0×10⁴)の梁を比べると、木材の梁は20倍たわむ計算になります。

たわみ・モーメントの公式一覧はこちら。

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座屈計算(オイラー座屈)

長柱の座屈荷重もヤング率に比例します。

Pcr = π² × E × I / Lk²
記号 意味
Pcr 座屈荷重
E ヤング率
I 断面二次モーメント
Lk 座屈長さ

座屈はヤング率に比例するため、ヤング率が大きい材料ほど座屈に強い、という関係。これも基本パターン。

断面検定(応力度)

断面検定の応力度計算もヤング率を経由するケースが多い。

ε = σ / E

応力(σ)からひずみ(ε)を求めるとき、ヤング率を使う逆算式。これも構造計算では頻出。

僕の感覚だと、構造計算でヤング率が直接出てくるのは「たわみ計算」が一番多くて、施工管理として「ヤング率が大きい=たわみが小さい」のイメージを持っておくと、構造設計者の話を聞いたときに「ああ、剛性の話だな」と即座に文脈が分かります。

一級建築士試験での出題パターン

一級建築士試験・構造設計一級建築士試験・コンクリート技士試験でのヤング率の出題パターンを整理します。

パターン①:基本概念問題

「ヤング率は材料の何を表す指標か」を問う最も基本的なパターン。

出題例 答え
ヤング率は何の比例係数か 応力とひずみの比
ヤング率の単位は N/mm²、MPa、GPa等
ヤング率と縦弾性係数は同じか 同じ

パターン②:材料別の値

「材料○○のヤング率は」「鋼材とコンクリートのヤング率の比は」を問うパターン。

出題例 答え
鋼材のヤング率は 2.05×10⁵ N/mm²
SS400とSM490のヤング率の関係 同じ(2.05×10⁵)
コンクリートのヤング率はFcで 変動する
普通コンクリートFc24のヤング率 約2.27×10⁴ N/mm²

パターン③:ポアソン比・せん断弾性係数との関係

「ポアソン比を使ったせん断弾性係数の計算」「コンクリートのGとEの比率」を問うパターン。

出題例 答え
コンクリートのポアソン比 約0.2
鋼材のポアソン比 約0.3
コンクリートのGはEの何倍 約0.4倍
せん断弾性係数の公式 G = E / 2(1+ν)

パターン④:構造計算への応用

「たわみ計算でヤング率はどう関わるか」「座屈計算でヤング率が大きいほどどうなるか」を問うパターン。

出題例 答え
ヤング率が2倍になるとたわみは 1/2
ヤング率が大きいほど座屈荷重は 大きくなる
たわみ計算式δ=PL³/48EIのE ヤング率

僕としては、これら4パターンを意識して試験対策を組み立てるのが効率的。特にパターン②(材料別の値)とパターン③(材料定数の関係)はほぼ毎年出題されるので、表で丸暗記するのが王道です。

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混同しがちなポイント

ヤング率まわりで初学者が混乱しがちなポイントを整理します。

混同①:ヤング率と強度

ヤング率は「変形のしにくさ=硬さ」を表し、強度(引張強さ・降伏点)は「壊れにくさ」を表します。別の指標。

指標 意味
ヤング率 どれだけ変形しにくいか(硬さ)
引張強さ どこで破断するか(壊れにくさ)
降伏点 塑性変形が始まる応力(弾性限界)

鋼材はSS400もSM570もヤング率は同じ(2.05×10⁵)ですが、強度(引張強さ)はSS400=400、SM570=570と違います。

混同②:ヤング率とヤング係数

「ヤング率」と「ヤング係数」はほぼ同義。建築で「ヤング係数」、機械で「ヤング率」と呼ぶ程度の違いで、試験でも内容は同じ。

呼び方 主な使用分野
ヤング率 機械・物理・材料工学
ヤング係数 建築・土木
縦弾性係数 機械工学・材料力学

混同③:ヤング率と剛性

似た言葉に「剛性」がありますが、これは「材料定数(ヤング率)」と「形状(断面二次モーメントI等)」の積で決まる「部材の変形しにくさ」のこと。

指標 意味
ヤング率 材料の硬さ(材料定数)
剛性(EI等) 部材の変形しにくさ(材料×形状)

同じ材料(同じヤング率)でも、太い梁と細い梁では剛性が違います。

混同④:ヤング率と弾性係数

「弾性係数」はヤング率・横弾性係数・体積弾性係数などを含む総称で、文脈で何を指すか変わる用語。

弾性係数の種類 記号 意味
縦弾性係数(ヤング率) E 引張・圧縮の硬さ
横弾性係数(せん断弾性係数) G せん断の硬さ
体積弾性係数 K 体積変化の硬さ

通常、建築で「弾性係数」と言ったら「ヤング率(縦弾性係数)」を指すことが多いですが、文脈で確認するのが安全です。

僕の感覚だと、これら4つの混同ポイントは試験でも実務でも引っかかる人が多い領域。施工管理として、構造設計者の話を聞くときに「ヤング率=材料の硬さ/剛性=部材の硬さ/強度=壊れにくさ」と頭の中で分類できると、用語の誤解が一気に減ります。

ヤング率に関するよくある質問

Q1. ヤング率とヤング係数、結局どっち?

A. 同義語。建築では「ヤング係数」、機械工学では「ヤング率」を使う傾向ですが、内容は同じ。試験では両方とも同じ意味で出題されるので、どちらでも対応できれば問題ありません。

Q2. 鋼材のヤング率はなぜ全部同じ?

A. 鋼材は鉄を主成分とする合金で、原子配列がほぼ同じため、引張に対するひずみの比率(=ヤング率)も同じ値になります。SS400もSM490もSM570も成分の微妙な違いで「強度」は変わりますが、「変形のしにくさ(ヤング率)」は変わらない、という関係です。

Q3. コンクリートのヤング率の計算式、試験で出る?

A. 「Ec = 3.35×10⁴ × (γ/24)² × (Fc/60)^(1/3)」の式自体は一級建築士試験で出題されることは少ないですが、「Fcが大きいとヤング率も大きくなる」という関係や、「普通コンクリートFc24のヤング率は約2.27×10⁴」のような代表値は頻出。代表値を丸暗記するのが効率的。

Q4. ヤング率の単位、N/mm²とGPaどっち覚える?

A. 建築の構造計算では「N/mm²」が圧倒的に多く使われます。「MPa」は同じ値(N/mm²=MPa)。「GPa」は機械工学・物理学で使われることが多い。建築試験対策ならN/mm²で覚えれば十分です。

Q5. 木材のヤング率、樹種で大きく違う?

A. 違います。針葉樹(スギ・ヒノキ・マツ)は7,000〜11,000 N/mm²、広葉樹(ナラ・タモ)は10,000〜15,000 N/mm²。さらに含水率・繊維方向でも変動するため、構造計算では樹種ごとに別途規定の数値を使います。試験対策では「木材は約1×10⁴ N/mm²」と覚えておけば十分です。

Q6. ポアソン比0.5の意味は?

A. ポアソン比0.5は「縦に伸ばしたとき、横に半分縮む=体積が変化しない」非圧縮材料を表します。ゴムが0.49〜0.50で、ほぼ非圧縮。コンクリート(0.2)や鋼材(0.3)は引っ張ると体積が増える(縦の伸び量より横の縮み量が小さい)関係。

Q7. せん断弾性係数の式G=E/2(1+ν)、覚え方は?

A. 公式の覚え方として「ジー(G)はイー(E)を2(1+ν)で割る」と語呂で覚えるのが定番。または、「ν=0.5(ゴム)ならG=E/3、ν=0なら G=E/2」と両極端の値で覚えておくと、暗記が定着しやすい。

Q8. 同じ100kgの荷重で、鋼の梁と木の梁、どっちがたわむ?

A. 同じ断面サイズなら、木の梁は鋼の梁の約20倍たわみます(ヤング率比 205,000/10,000=約20)。これがヤング率の最も直感的な理解。木造住宅で梁を太くする理由は、木材のヤング率が小さい(変形しやすい)からです。

Q9. 現場でヤング率を計算する場面ある?

A. 通常はありません。構造計算は構造設計者の領域で、施工管理は計算結果(設計図・構造計算書)に従って施工する立場。ただし、「構造計算書のE=205,000の意味」「現場で材料変更があったときの剛性影響の概算」を理解できると、構造設計者との打合せで一段話が通じます。

Q10. ヤング率を測定する装置ってある?

A. あります。「引張試験機(万能試験機)」が標準で、試験片に荷重をかけて変形量を測定し、応力-ひずみ曲線からヤング率を算出。鋼材の出荷検査・コンクリートの強度確認試験等で使われています。施工管理として、ミルシート(材料試験成績書)に記載されているヤング率関連の値を読み取れるようになっておくと、品質管理の精度が上がります。

ヤング率に関する情報のまとめ

最後にヤング率の重要ポイントを整理します。

  • ヤング率とは「材料に応力をかけたときの、応力とひずみの比例係数」、別名ヤング係数・縦弾性係数
  • 公式は E = σ / ε、単位はN/mm²(=MPa)、N/mm²÷1000=GPa
  • 鋼材のヤング率は全種類共通で 2.05×10⁵ N/mm²(SS400もSM570も同じ)
  • コンクリートのヤング率はFcで変動、計算式 Ec = 3.35×10⁴×(γ/24)²×(Fc/60)^(1/3)、Fc24で約2.27×10⁴
  • 木材のヤング率は約1×10⁴(樹種・含水率で変動)、アルミは約0.7×10⁵
  • ポアソン比はコンクリート0.2、鋼材0.3、ゴム0.5(理論上限)
  • せん断弾性係数Gとの関係は G = E / 2(1+ν)、コンクリートで G≒0.4E
  • 構造計算ではたわみ計算 δ = PL³/48EI、座屈計算 Pcr = π²EI/Lk² など多用
  • 一級建築士試験の出題パターンは①基本概念/②材料別値/③ポアソン・せん断との関係/④構造計算応用の4種類
  • ヤング率と強度・剛性・弾性係数は別概念、混同に注意

以上がヤング率に関する情報のまとめです。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。

一級建築士・構造設計一級建築士・コンクリート技士・1級施工管理技士の資格試験で頻出する基礎中の基礎なので、今回まとめた公式・材料別値・ポアソン比/せん断との関係・構造計算での使い方を手元に置いて、明日の試験勉強・現場打合せで使えるレベルまで落とし込んでみてください。

構造力学・材料力学・関連資格は下記から関連知識を辿れます。

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