- 構造力学の公式って結局どれを覚えればいいの?
- 反力とか応力の式が頭の中で混ざる…
- たわみと座屈の式の違いをスッキリさせたい
- 実務でよく使う公式だけ知りたい
- 一級建築士の試験前に一気に見直したい
- 公式が現場のどの判断に使われているか知りたい
上記の様な悩みを解決します。
「構造力学の公式一覧」と検索する人の多くは、教科書や問題集を行ったり来たりしているうちに、どの式がどの場面で使われるのか分からなくなって早見表が欲しくなった、という状況だと思います。本記事では、構造力学の主要公式を「反力 → 応力 → 断面・たわみ → 座屈 → 振動」の順に並べ、それぞれが現場のどの判断に紐付くかを1行ずつ添えてまとめておきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
構造力学の公式一覧とは?
構造力学の公式一覧とは、結論「反力・応力・たわみ・座屈・振動など、建物の安全を判定するために繰り返し使う計算式をまとめたもの」のことです。
公式は数百個レベルで存在しますが、実務で頻出するものは30〜40個ほどに集約されます。本記事ではその中から、一級建築士の試験範囲と現場で出てくる場面が両方カバーできる主要公式を一覧化しています。
この一覧の使い方
- 試験対策では、各公式の条件(境界条件・荷重条件)もセットで覚える
- 実務では、「この式は何を判定する式か」を理解して、検算用に使う
- 公式の暗記より、「次元(単位)が合っているか」を確認するクセを優先する
構造力学の基礎の流れがまだ整理できていない方は、こちらを先に読んでおくとスムーズです。

反力・支点反力の公式
最初に押さえるのは、外力に対して建物の足元(支点)に発生する反力の式です。
単純梁の反力
スパンL、集中荷重Pを中央に受ける単純梁の場合、
- $V_A = V_B = \dfrac{P}{2}$
- 水平反力 $H = 0$(支点に水平拘束がない場合)
等分布荷重w(kN/m)の場合は、
- $V_A = V_B = \dfrac{wL}{2}$
公式そのものより、「鉛直方向のつり合い ΣV=0、水平方向のつり合い ΣH=0、モーメントのつり合い ΣM=0」の3式を立てれば必ず解ける、と理解しておくのが本筋です。
支点条件と反力数
| 支点の種類 | 拘束方向 | 反力の数 |
|---|---|---|
| ローラー支点 | 鉛直のみ | 1 |
| ピン支点 | 鉛直+水平 | 2 |
| 固定端 | 鉛直+水平+回転 | 3 |
反力の数の合計が、つり合い式(ΣV、ΣH、ΣM)の3つで足りるかどうかで静定/不静定が決まります。判定の詳しい考え方はこちらで整理しています。

応力・応力度の公式
部材内部に生じる力(軸力 N・せん断力 Q・曲げモーメント M)と、それを断面積で割った応力度(σ・τ)の式です。
軸応力度・引張・圧縮
- $\sigma = \dfrac{N}{A}$(N:軸力、A:断面積)
引張応力・圧縮応力どちらも同じ形。符号は引張+、圧縮−で扱うのが一般的です。
せん断応力度
- 平均せん断応力度: $\tau = \dfrac{Q}{A}$
- 矩形断面の最大せん断応力度: $\tau_{max} = \dfrac{3}{2} \cdot \dfrac{Q}{A}$
- I形断面の腹板せん断(近似): $\tau \approx \dfrac{Q}{A_w}$(A_w:ウェブ断面積)
実務では「せん断は腹板(ウェブ)が負担する」と覚えておけば概算で十分です。
曲げ応力度
- $\sigma = \dfrac{M}{Z}$(M:曲げモーメント、Z:断面係数)
- 縁応力度: $\sigma = \dfrac{M \cdot y}{I}$(I:断面二次モーメント、y:中立軸からの距離)
ZとIの関係は Z = I/y。試験ではZとIの片方が出れば、断面性能から逆算できるようにしておくと事故が減ります。
曲げ応力度の式の各論はこちらで整理しています。

断面性能・たわみの公式
部材の太さ・形状を表す断面性能と、たわみの式です。
断面性能
| 量 | 単位 | 公式(矩形 b×h) |
|---|---|---|
| 断面積 A | mm² | $b \cdot h$ |
| 断面一次モーメント S | mm³ | $A \cdot \overline{y}$ |
| 断面二次モーメント I | mm⁴ | $\dfrac{bh^3}{12}$ |
| 断面係数 Z | mm³ | $\dfrac{bh^2}{6}$ |
矩形以外の形状は、I形鋼やH鋼ではメーカーカタログを見るのが早いです。
たわみの公式(弾性範囲)
スパンL、ヤング係数E、断面二次モーメントIで考えます。
- 単純梁・中央集中荷重P: $\delta_{max} = \dfrac{P L^3}{48 E I}$
- 単純梁・等分布荷重w: $\delta_{max} = \dfrac{5 w L^4}{384 E I}$
- 片持ち梁・先端集中荷重P: $\delta_{max} = \dfrac{P L^3}{3 E I}$
- 片持ち梁・等分布荷重w: $\delta_{max} = \dfrac{w L^4}{8 E I}$
たわみは L³ または L⁴ に比例するので、スパンを2倍にすると単純梁中央集中で8倍、等分布で16倍になる、という大小感を持っておくと役立ちます。
たわみの許容値や断面性能の詳細はこちらで整理しています。
座屈の公式
細長い柱が圧縮を受けたときに、急に横へ膨らむ現象が座屈です。設計実務では、この一発で柱断面が決まることもあります。
オイラー座屈荷重
- $P_{cr} = \dfrac{\pi^2 E I}{L_k^2}$
L_kは座屈長さで、境界条件によって変わります。
| 境界条件 | 座屈長さ L_k |
|---|---|
| 両端ピン | L |
| 一端固定・他端自由(片持ち) | 2L |
| 両端固定 | 0.5L |
| 一端固定・他端ピン | 0.7L |
座屈応力度・細長比
- 細長比: $\lambda = \dfrac{L_k}{i}$(i:断面二次半径 = $\sqrt{I/A}$)
- 座屈応力度: $\sigma_{cr} = \dfrac{\pi^2 E}{\lambda^2}$
実務では「細長比100を超える柱は要注意」が一つの目安です。座屈の詳細はこちらで整理しています。

振動・地震応答の公式
地震や風による応答を扱うときに出てくる式です。耐震設計の入口になります。
1質点系の振動
質量m、ばね定数kで考える1質点系のモデル。
- 固有円振動数: $\omega = \sqrt{\dfrac{k}{m}}$
- 固有周期: $T = 2\pi \sqrt{\dfrac{m}{k}}$
- 固有振動数: $f = \dfrac{1}{T}$
T(周期)とf(振動数)は逆数の関係。地震応答スペクトルは横軸Tで描かれることが多いので、Tで覚えておく方が現場では使い勝手がよいです。
地震力(簡略式)
- 層せん断力: $Q_i = C_i \cdot W_i$
- 地震層せん断力係数: $C_i = Z \cdot R_t \cdot A_i \cdot C_0$
各係数は地域・地盤・建物固有周期・標準用に決まる係数です。一次設計のCₒは0.2、二次設計(保有水平耐力計算)は1.0で扱うのが基本。
地震動・振動の各論はこちら。

公式の使い方の戦略(実務目線)
公式を100個丸暗記するより、「どの判定に使う式か」で系統化しておくと迷いが消えます。
場面別の早見
| 判定したいこと | 主に使う公式 |
|---|---|
| 反力が出るか(つり合うか) | ΣV, ΣH, ΣM の3式 |
| 部材が降伏しないか | σ = N/A、σ = M/Z、τ = Q/A |
| 部材がたわみすぎないか | δ = PL³/(48EI) など |
| 柱が座屈しないか | P_cr = π²EI/L_k²、λ = L_k/i |
| 地震時に建物が応答するか | T = 2π√(m/k)、Q_i = C_i・W_i |
「今やろうとしているのは降伏判定か、変形判定か」を意識するだけで、使う公式は半分に絞られます。
単位を必ず合わせる
公式は単位(次元)を合わせて入れれば、答えの単位は自動で正しく出ます。
- σ [N/mm²] = N [N] / A [mm²]
- δ [mm] = P [N] × L³ [mm³] / (E [N/mm²] × I [mm⁴]) → [N·mm³]/[N·mm²·mm⁴] = mm
「桁が3つズレる答えが出たら単位を疑う」が一番のショートカットです。試験中の見直しでも有効です。
関連の基礎概念
公式の元になる弾性体の考え方を押さえておくと、なぜそれぞれの式がそう書けるのかが腑に落ちます。

構造力学の公式一覧に関する情報まとめ
- 公式一覧とは:反力・応力・たわみ・座屈・振動を扱う計算式の集合体。実務頻出は30〜40個に集約
- 反力:ΣV=0、ΣH=0、ΣM=0 の3式から出す。支点条件で反力数が変わる
- 応力度:軸力 σ=N/A、せん断 τ=Q/A、曲げ σ=M/Z が中核
- 断面性能:矩形 I=bh³/12、Z=bh²/6 を基準に、形状ごとにカタログ参照
- たわみ:単純梁中央集中で δ=PL³/(48EI)、L³またはL⁴に比例
- 座屈:P_cr=π²EI/L_k²、L_kは境界条件で変わる
- 振動:T=2π√(m/k)、固有周期は地震応答スペクトルの軸
- 戦略:場面別(降伏・変形・座屈・地震)に系統化して、単位を必ず合わせる
以上が構造力学の公式一覧に関する情報のまとめです。
公式を覚える順番に迷ったら「反力 → 応力 → たわみ → 座屈 → 振動」の縦糸で並べ替えてみてください。試験対策としても、現場で構造図を読むときの判断軸としても、この順序が一番ノイズが少なく頭に入ってくるかなと思います。各公式の詳細は、関連記事に分けて整理してあるので必要に応じて辿ってみてください。
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