- 豆ボルトってなに?
- 通しボルトと何が違うの?
- どんなサイズがあるの?
- どこで使うの?
- 高力ボルトとは違うの?
- 施工管理として何を見ればいい?
上記の様な悩みを解決します。
豆ボルトは、鉄骨造の胴縁取り付けや小物固定に使う小径ボルト。地味な金物ですが、外壁・屋根・看板取り付けなど、鉄骨二次部材の取り付け部分のほとんどで登場します。施工管理として、通しボルト・高力ボルトとの使い分けを押さえると、現場の鉄骨副資材手配で迷わなくなります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
豆ボルトとは?
豆ボルトとは、結論「鉄骨造の二次部材(胴縁・母屋・小物)の取り付けに使う、片側締めの小径ボルト」のことです。
英語では Stud Bolt や Pan Head Bolt と呼ばれることもありますが、日本の建築現場では「豆ボルト」という独自の呼び名が定着しています。「まめボルト」「マメボルト」と書かれることも。
ざっくりイメージすると
通常のボルト・ナットは両側からアクセスして締め付けるもの。豆ボルトは、片側からだけ締めれば固定できる簡易型。
豆ボルト :[頭] ─── [ネジ部] → 板に通す → ナット締め
通しボルト :[頭] ─── 長めに伸びる ─── [ネジ部] → ナット締め
豆ボルトは短くて軽いのがポイントで、現場での取り回しが楽。胴縁のような薄い部材を鉄骨梁に取り付けるときに重宝します。
主な役割
- 胴縁を鉄骨梁・柱に固定
- 母屋・登り梁を主部材に固定
- 看板・空調機・配管の小物固定
- 仮設物・養生材の留め付け
「豆」と呼ばれる理由
サイズが通常のボルトより小さく、丸い豆のような頭を持つことから「豆ボルト」と呼ばれています。アイテム自体は古くから建築金物として存在しており、製造メーカー(神戸製鋼系・モリトー等)が様々な仕様で出しています。
ボルト全般の話は別記事も参考にしてください。

豆ボルトと通しボルトの違い
ここで初学者が混同しやすいのが、「豆ボルト」と「通しボルト」の違い。両者を整理します。
①基本的な違い
| 項目 | 豆ボルト | 通しボルト |
|---|---|---|
| 呼び径 | M10〜M16が多い | M10〜M24(範囲広い) |
| 長さ | 短い(30〜50mm) | 長い(部材を貫通する分) |
| 取り付け方 | 片側締め(事前にスタッド溶接or下穴) | 部材を貫通させてナット締め |
| 用途 | 胴縁・母屋・小物 | 鉄骨梁の貫通、ブレース等 |
| 強度 | やや低め(小物用) | 構造耐力に応じて選定 |
②使い分けの考え方
- 豆ボルト:片側からしか手が入らない小物固定で使う
- 通しボルト:部材を貫通させて確実に締める場合に使う
例えば、外壁の胴縁を鉄骨梁の側面に取り付けるとき、
- 豆ボルト:胴縁を鉄骨梁の片側だけからアプローチして固定
- 通しボルト:鉄骨梁を貫通させて両側から締め付け
→ 鉄骨梁を貫通できる場合は通しボルト、貫通できない(or貫通する必要がない)場合は豆ボルトを選択。
③高力ボルトとの違い
| 項目 | 豆ボルト | 高力ボルト |
|---|---|---|
| 強度区分 | M10〜M16の中強度 | F8T・F10T・S10T |
| 用途 | 二次部材・小物 | 主要構造(梁柱接合等) |
| 締め付け | 通常のスパナでOK | トルク管理必須 |
| 設計上の扱い | せん断耐力の検討 | 摩擦接合(すべり係数で設計) |
→ 豆ボルトは構造耐力を担う主要接合には使わない。あくまで二次部材・小物用です。
通しボルトの詳細は別記事にもまとめています。
ナットの種類・締め方は別記事も参考になります。

豆ボルトの規格・サイズ
豆ボルトの一般的な規格・サイズを整理します。
①呼び径とサイズ
| 呼び径 | 軸径 | 適用場所 |
|---|---|---|
| M10 | 10mm | 軽量胴縁・看板小物 |
| M12 | 12mm | 一般胴縁・母屋(標準) |
| M16 | 16mm | 重量胴縁・大物固定 |
→ M12が最も汎用的で、現場で「豆ボルト」と言ったら大抵M12を指す。
②長さの選び方
豆ボルトの長さは、
必要長さ = 板の厚み + ナットの厚み + 余裕(5〜10mm)
通常は30〜50mmが標準。長すぎると外観が悪く、短すぎるとネジが効きません。
③材質・強度区分
| 材質 | 強度区分 | 用途 |
|---|---|---|
| SS400 | 4.6 | 一般使用 |
| SCM435 | 8.8 | 高強度が必要な箇所 |
| SUS304 | A2-70 | 屋外・耐食性重視 |
→ 屋外で雨に当たる場所(外壁胴縁)では亜鉛メッキまたはSUS(ステンレス)が標準。
④付属金物
豆ボルトを使うときは、通常以下とセットで使います。
- ナット:六角ナット(標準・薄ナット)
- ワッシャー(座金):平ワッシャー+スプリングワッシャー
- 緩み止め:ロックナット・ナイロンナット
ワッシャー・スプリングワッシャーは別記事も参考になります。

豆ボルトを使う場面
実際の現場で、豆ボルトが使われる代表的な場面を整理します。
①外壁胴縁の取り付け
ALC・サイディング・パネル等の外壁を支える外壁胴縁を、鉄骨梁・柱に取り付けるとき。
[鉄骨柱]──[外壁胴縁(C型鋼)]──[外壁パネル]
↑豆ボルトで固定
②屋根母屋の取り付け
屋根材を支える母屋(C型鋼・H鋼)を、主構造の梁に取り付けるとき。
③看板・標識の固定
外壁・屋上の看板・標識を建物に固定。サイズ的に高力ボルトを使うほどの強度が要らない場合。
④空調機・電気配管の架台固定
屋上室外機の架台、電気配管のラック支持金物の固定など、設備工事との取り合いでも豆ボルトが多用されます。
⑤仮設物の固定
足場の壁つなぎ部材、仮設足場の補強材の固定など。
⑥小物・金物の留め付け
タラップ・梯子・ハンドレール等の小物固定。
タラップ・小物の取り付けの注意点は別記事も参考になります。

⑦Cチャンネル・Lアングルとの組合せ
胴縁・母屋でよく使われるCチャンネル・Lアングルへの取り付けに、豆ボルトが標準的。
C型鋼・Cチャンネルの規格は別記事に詳しくまとめています。

豆ボルトの施工方法
豆ボルトの取り付け手順は、取り付け側の構造で多少変わります。
①下穴あけ→ボルト通し→ナット締め(標準)
最も一般的な手順。
- 鉄骨側に下穴をドリル加工(豆ボルト径+1〜2mm)
- 部材(胴縁等)と鉄骨を重ねて、穴を合わせる
- 豆ボルトを通す
- ワッシャー+スプリングワッシャー+ナットで締め付け
- 緩み止め処理(必要に応じてロックナット)
②スタッド溶接型
工場でスタッドボルト(豆ボルトの軸が鉄骨に溶接されたもの)を予め取り付け、現場で部材をスライドさせてナット締め。
工場:[鉄骨]──[スタッド豆ボルト溶接済]
現場:[胴縁]を通す → [ナット]で締める
③インサート型
コンクリート部材にインサートを予め埋め込み、そこに豆ボルトを後付けで締めて、部材を取り付ける方式。
インサート・アンカーの話は別記事も参考になります。

④締め付けトルクの管理
豆ボルトでも適切な締め付けトルクで締めることが重要。一般的には、
- M10:20〜25 N·m
- M12:35〜45 N·m
- M16:80〜100 N·m
の目安。過剰トルクで部材を壊すことも、過小トルクで緩むこともあります。
⑤緩み止め対策
豆ボルトは振動・温度変化で緩みやすい金物。緩み止めは必須。
- ナイロンナット
- ロックナット(ハードロック)
- ダブルナット
- 緩み止め接着剤(ロックタイト等)
ダブルナットの締め方は別記事に詳しくまとめています。

豆ボルトに関する注意点
最後に、現場で誤解しやすい・つまずきやすいポイントを整理します。
①強度を過信しない
豆ボルトは主要構造の接合には使えない金物。「ボルトだから強そう」と思って構造耐力に頼ると危険。設計図で「豆ボルト指定」になっている部位だけに使うのが原則。
②穴あけ位置の精度
豆ボルトは下穴と胴縁穴の位置を合わせる必要があります。鉄骨製作工場での孔位置精度が悪いと、現場で穴を広げる(修正穴)作業が発生。これは強度低下の原因になるので避けたい。
③緩みのリスク
風振動・温度変化・経年変化で緩みやすい金物。緩み止めナットまたはダブルナットでしっかり対策する。
④腐食・サビへの配慮
屋外で使う場合は亜鉛メッキまたはSUS(ステンレス)を選択。屋内でも結露が出る場所では同様の配慮が必要。
⑤ボルトの抜け落ち防止
豆ボルトを取り付ける前にボルトを落とす事故が頻発。落下物として下に作業者がいると重大事故に直結。取り付け時の養生・落下防止ネットは徹底。
⑥電気的絶縁
電気工事の架台・配管支持で豆ボルトを使うとき、異種金属の組合せで電食が起きるケース。SUSと普通鋼の組合せには特に注意。
⑦下穴サイズの管理
下穴が大きすぎると遊びが出てボルトが効かない。下穴はボルト径+1〜2mmが標準で、それ以上開けない。
ブレースとの取り合いで豆ボルトを使う場面もあります。

豆ボルトに関する情報まとめ
最後に、豆ボルトの重要ポイントを整理します。
- 豆ボルトとは:鉄骨二次部材(胴縁・母屋・小物)取り付け用の小径ボルト
- 通しボルトとの違い:豆ボルトは片側締め、通しボルトは部材貫通の両側締め
- 高力ボルトとの違い:豆ボルトは二次部材用。主要構造(梁柱接合)には使わない
- 規格:M10〜M16が標準。M12が最も汎用
- 長さ:30〜50mm程度
- 材質:SS400・SCM435・SUS304など、用途で選定
- 使う場面:外壁胴縁、屋根母屋、看板、設備架台、仮設物、小物固定
- 施工:下穴あけ→ボルト通し→ワッシャー+ナット締め→緩み止め
- トルク目安:M10で20〜25、M12で35〜45、M16で80〜100 N·m
- 注意点:強度を過信しない、穴位置精度、緩み対策、腐食対策、落下防止、電食対策
以上が豆ボルトに関する情報のまとめです。
豆ボルトは地味な金物ですが、鉄骨工事の二次部材・小物固定でほぼ毎日触る部材。「通しボルト・高力ボルトと使い分ける位置づけ」を押さえておくと、現場での副資材手配・施工指示がブレなくなります。一通り豆ボルトの基礎知識は理解できたと思います。
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