- ブレースとは?
- ブレース構造ってなに?
- どんなブレースの種類があるの?
- 鉄骨ブレースについて詳しく知りたい
- 鉄骨ブレースの種類って?
- 鉄骨ブレースはどうやって施工するの?
上記のような悩みを解決します。
この記事では、まずブレースの全体像を説明した上で、鉄骨ブレースに焦点を当てて詳細な説明をしていきます。ブレースに関する情報は網羅的に説明するので、読みたいところだけ読んでもOKです。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
ブレースとは?ブレースの役割
ブレースとは、結論「構造分の補強材」のことです。
そもそもなんでブレースが必要なのか?というところですが、ブレースの役割は地震が起こった際、柱や梁が変形しないことです。
柱や梁などの構造体は上から下への圧力に強い反面、横からの衝撃に弱いという欠点があります。
基本的には上から下への圧力ですので問題は無いのですが、地震が起こると横に揺れる場合がある、すると構造体が変形してしまうんです。
ダイヤフラムの記事でも説明しましたが、柱の中身は空洞だったりします。横揺れが発生すると柱に梁が食い込んで、柱が変形してしまいます。柱は変形してしまうともと通りにはなりません。
ブレースがあることによって、横からの衝撃に強くなり、構造体が変形しなくなります。
ちなみにブレースには、LアングルやH鋼が使われたりします。
要は横からの衝撃に耐えられなければならないので、プラスチック等の強度の弱いものでは務まりません。衝撃に強い鋼材が採用されます。
ブレース構造とは?
ブレースが使われてる構造体のことを「ブレース構造」と言います。
日本の建物の多くで採用されているのは、ラーメン構造採用です。ラーメン構造にはブレースはありません。また別の方法で地震の対策をしていす。
専門用語を使うと剛接合なんかと言ったりしますね。対してブレース構造ではブレースを施工することによって横からの衝撃に対応しているという訳です。
他には「トラス構造」という構造もあります。三角形の鋼材を並べる構造です。
3つとも共通で、横揺れ対策という役割があります。
ブレースの種類
鉄骨ブレース
鉄骨ブレースは鉄骨を材料としたブレースのことです。
建築物で一番使われているのが鉄骨ブレースですので、ボリュームが一番多い場所になります。詳細に関しては、次の章で詳しく説明していきます。
コンクリートブレース
コンクリートブレースはコンクリートを材料としたブレースのことです。
コンクリートブレースの施工方法の一つ目は型枠を組んでコンクリートを流し込む工法になります。要はコンクリート打設と同じ要領でして、型枠を組んで生コンを流し込む形となります。
プレキャスト工法と言ったりもしますね。
現場で必要なブレースの大きさを測って、その大きさのコンクリートブレースを工場で作ります。作ったコンクリートブレースを持ってきて接合部にモルタルを流す形です。
ブレースがコンクリートになることによって、鉄骨ブレースと比較すると価格が安くなります。加えてプレキャスト工法となると工期も短くなるので、メリットは多い工法かなと思います。
木質ブレース
木質ブレースはその名の通り、木製のブレースです。
「木とか全時代すぎて草」と思う方もいるかもしれませんが、そうではりません。2020年7月31日に竹中工務店が新しい木質ブレースを開発したことがニュースになっています。
新しい木製ブレースでは、木の中に「PC鋼棒」と呼ばれる棒を突っ込みます。「RC鋼材」とは緊張材のことでして、要は鉄筋みたいなものです。
PC鋼棒が入ることにより耐震性に優れるというメリットがあります。
水平ブレース
水平ブレースとは、地面に対して水平になっているブレースのことを水平ブレースと呼びます。
今回は材料で分ける括りではなく、位置で分ける呼び方です。つまりは「水平ブレースかつコンクリートブレース」という話もあるということになります。
コンクリートブレースが地面に対して水平になっていたら水平ブレースですからね。
鉛直ブレース
鉛直ブレースとは、地面に対して垂直のブレースのことです。
水平ブレースは天井や床に施工されるのに対して、鉛直ブレースは壁に施工されます。壁を強固にする目的で使われることが多いです。
鉄骨ブレースとは?
先ほどもチョロっと話しましたが、鉄骨ブレースの詳細な説明に移ります。
繰り返しになりますが、鉄骨を材料とした部材のことを鉄骨ブレースと呼びます。「鉄骨に使われるブレース=鉄骨ブレースではない」というのが注意点です。
もし構造体が鉄骨でできているならブレースも鉄骨ブレースになりますし、構造体がコンクリートならブレースもコンクリートブレースになります。
そういった意味では、S造とSRC造に使われるのが鉄骨ブレースと言ってもいいかもしれません。
鉄骨ブレースは建物の内側にも外側にも使用されます。要は構造体同士を接合することができればいい訳ですから、内側だろうと外側だろうと構いません。
内側になったらその分スペースが減り、外側になったら施工コストが高くなります。一長一短ありますので、使い分けが必要です。
具体的には下記のような鋼材が鉄骨ブレースに使用されます。
鉄骨ブレースに使用される鋼材
- Lアングル
- Cチャンネル
- H鋼
鉄骨ブレースの種類とは?
鉄骨ブレースの種類①X型(たすき掛け)
対角線と対角線を結んでX字を作るので、X型と呼ばれているんです。建築基準法で「一定の割合でX型を使うこと!」という決まりがあるので、どの建物にも必ず使われています(ブレース構造限定)。
要は耐震性を高める目的があるので、X型は最適な形と言えます。
もし片方だけだったら、面の耐震性に偏りが生じてしまいますよね。X字にすれば均等に負荷が配分されるので全体でバランスを取ることができます。
また、施工しやすいというメリットがあります。
対角線に同じ長さのものを入れるだけですので、他の文字よりも簡単に施工することができます。
鉄骨ブレースの種類②K型
なんでこんなメンドくさい型にするかというと、スペースを確保できるんですよ。
K型の場合は、真ん中のスペースがあるので、人が通れたりします。Xだと完全に通行止め状態ですから、人が出入りすることはできません。
ブレースは壁側に施工されることが多いです。
壁に窓があったとして、X型だと窓を開けるのが大変ですよね。K型の場合はスペースがあるので、窓の開け閉めが楽になり、建物利用者の利便性を確保することができます。
鉄骨ブレースの種類③V型
その名の通り、V型のブレースです。 V型のメリットもK型と同様にスペースを確保できる点にあります。建物利用者の利便性があがるブレースですし、施工も楽です。
ただK型と比較すると強度が弱いという欠点があります。
構造計算に余裕がある場合は大丈夫ですが、構造計算に余裕が無い場合は使えない方法です。
鉄骨ブレースの施工方法
目荒らし
目荒らしとは、表面を細かいザラザラにすることです。壁は基本的にサラサラしていますが、目荒らしをすることによってザラザラになります。
なぜわざわざ目荒らしをするのかというと、モルタルとの吸着性が上がるんですよ。
後々、ブレースと構造体を繋げる時、繋げる部分(ジョイント部分)にはモルタルを使用します。モルタルで接合する際、モルタルとの吸着性を高めるために目荒らしを行うんです。
寸法を測る
簡単な話、ブレースの大きさが分からなければ、ブレースを発注することはできませんよね。建設業はミリ単位の仕事をしているので「大体これくらい」というのは通用しません。
ミリ単位で必要な大きさのブレースを測定します。
鉄骨ブレース製作、搬入
CチャンネルやLアングルとかなら、現場で切れないことも無いですが、基本的には工場でブレースは製作します。現場での負担が減りますからね。
また現場で鋼材を加工するより、工場で製作すれば正確に作ることができます。
建て方
要は、ボルトでブレースと構造体を接合します。鋼材は重いですし、場所によっては若干の高所作業になるので、危険が付きまといます。
型枠建て込み・モルタル・型枠解体
要はコンクリート打設と同じ要領でして、まずは型枠でモルタルが入る「型」を作ります。型ができたらその型にモルタルを流し込み、固まったら型枠を解体するといった流れです。
以上が鉄骨ブレースの施工方法です。
ブレースに関する情報まとめ
ブレースに関する情報のまとめ
- ブレースとは:構造分の補強材
- ブレース構造とは:ブレースが使われている構造体のこと
- ブレースの種類:鉄骨ブレース、コンクリートブレース、木質ブレース、水平・鉛直ブレース
- 鉄骨ブレースとは:鉄骨を使用したブレースのこと
- 鉄骨ブレースの種類:X字、K字、V字
- 鉄骨ブレースの施工方法:目荒らし→寸法測定→製作→搬入→建て方→型枠→モルタル→型枠解体
以上がブレースに関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたと思います。
ブレース構造はあるあるです。知識として抑えておいて損は無いので、何度か読み直して記憶に定着させましょう!