- 図面の「t」って何の略?
- 「PL t9」ってどう読むの?
- 「t=12」と「t9」って同じ意味?
- ガラスや板金でも同じように使う?
- 似た記号「W」とは違う?
- 現場で読み間違えないコツは?
上記の様な悩みを解決します。
鉄骨図や金物図を読んでいると「PL t9-200×200」「FB t6×50」みたいな表記が頻繁に出てきます。記号の「t」は皆さんお馴染みのつもりでも、新人の頃は「これ重さ?トン?」と勘違いしやすいもの。実は t は thickness(厚さ)の頭文字 で、JIS製図ルールでもよく使われる定番表記です。ただし、業界や部材によって書き方の流儀が微妙に違うので、ここを混同すると拾い出しや発注で材料間違いが起きます。今回は施工管理視点で、厚みの t の使い方を整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
厚みのtとは?意味と由来
厚みの t とは、結論「図面上で板厚・部材の厚さを表す記号で、英語 thickness の頭文字 から来ている」ものです。
JIS Z 8317(製図 – 寸法および公差の記入方法)では、「厚みは t = 数値 と表示する」と規定されていて、世界的に通用する書き方です。
「t」が表す主なもの
| 場面 | t が表すもの |
|---|---|
| 鉄骨プレート(PL) | 板厚 [mm] |
| 鋼板・フラットバー | 板厚 [mm] |
| 鋼管・パイプ | 管厚(肉厚)[mm] |
| ガラス | ガラス厚 [mm] |
| ボード(石膏・合板) | ボード厚 [mm] |
| スラブ | スラブ厚 [mm] |
| 防水層 | 防水材の厚み [mm] |
| 塗装膜厚 | 塗膜の厚み [μm] |
「t」と「重さの t(トン)」は文脈で見分ける
数字に小文字 t が付くと「厚みのt」、大文字 T が付くと「トン(重量)」の場合が多いですが、これは厳密なルールではありません。文脈と単位で見分けるのが現実的です。
| 表記 | 通常の解釈 |
|---|---|
| t9 | 板厚 9mm |
| 9t | 重量 9トン |
| t=12 | 厚さ 12mm |
| 12t | 重量 12トン |
「t」と前後の数字の位置で判断する
- 「t」が先に書かれている:厚みを表す
- 「数値」が先に書かれている:単位(トン等)を表す
ただし、現場の慣習やメーカーカタログで例外はあるので、迷ったら設計担当者に確認しましょう。
JIS規格の話はこちら。

寸法表記(WDH)の話はこちら。
PL t9 などの読み方
鉄骨図で最頻出の表記が「PL t〇」です。読み方とパターンを押さえておきましょう。
鉄骨プレートの基本表記
| 表記 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| PL t9 | プレート ティーきゅう | 板厚 9mm の鋼板 |
| PL t12-200×300 | プレート ティーじゅうに 200かける300 | 厚さ12mm、寸法200×300mmの鋼板 |
| PL t9×50×100 | プレート ティーきゅう 50かける100 | 厚さ9mm、50×100mmの鋼板 |
| PL-9×50 | プレート きゅう かける ごじゅう | 板厚9mm、幅50mmのフラットバー |
「PL」は Plate の略。後ろの「t〇」が板厚で、続く数字は 幅 × 長さ または 幅 × 高さ を表します。
フラットバー(FB)の表記
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| FB t6×50 | 厚さ6mm、幅50mmのフラットバー |
| FB-6×50 | 同上(業者ごとに表記揺れ) |
| FB t9×100×1000 | 厚さ9mm、幅100mm、長さ1000mmの鋼板 |
形鋼の厚みの表記
H 形鋼や山形鋼では、「ウェブ厚 t₁」「フランジ厚 t₂」のように添字付きで厚みを表します。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| H-300×150×6.5×9 | 高さ300、幅150、ウェブ厚6.5、フランジ厚9(mm) |
| L-50×50×6 | 山形鋼50×50、厚さ6mm |
| C-100×50×20×3.2 | リップ溝型鋼、厚さ3.2mm |
鋼管の表記
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| □-100×100×6 | 角形鋼管 100×100、肉厚6mm |
| ○-φ100×t3.2 | 円形鋼管 外径100、肉厚3.2mm |
| STK400 φ165.2×t4.5 | 一般構造用鋼管、外径165.2mm、肉厚4.5mm |
スプライスプレートの話はこちら。

部材別の厚み表記の慣習
「同じ厚みを表すのに、なぜ表記が部材で違うの?」と思うかもしれませんが、業界ごとの慣習があります。
ガラス
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| 5mm 厚 | 普通板ガラス(FL5) |
| 6.8mm 厚(5+0.76+5 mm) | 合わせガラス |
| 18mm 厚(6+12+6 mm) | 複層ガラス(ペア) |
| t10 強化 | 強化ガラス10mm |
ガラスでは「t10」のように呼ぶよりも「10mm 厚」「強化10」のように厚みを数字で言う慣習が強いです。
石膏ボード・合板
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| PB-9.5 | プラスターボード厚9.5mm |
| PB-12.5 | プラスターボード厚12.5mm |
| 構造用合板 t12 | 合板厚12mm |
| OSB t12 | OSB(配向性ストランドボード)厚12mm |
ボード類では「PB-9.5」のように 品名 + 厚さの数値 で表すことが多く、t は省略されがちです。
スラブ厚
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| RC スラブ t=200 | RCスラブ厚 200mm |
| デッキスラブ t=150 | デッキ合成スラブ厚 150mm |
| 床スラブ S1 (t150) | スラブ記号S1で厚さ150mm |
スラブでは 「t=数値」または「(t数値)」 のどちらも使われます。
配管(パイプ)
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| SGP 50A | 配管用炭素鋼鋼管、呼び径50A(外径60.5、肉厚3.8mm) |
| STPG 50A Sch40 | スケジュール40(Sch40)の鋼管 |
| ステンレス管 t1.5 | 肉厚1.5mmのSUS管 |
配管では 「呼び径」だけ書いて、肉厚はSch(スケジュール)で示す ことが多く、t を使わないケースが大半です。
プラスターボードの基本はこちら。

似た記号との違い(W、H、B、Φ)
厚みの t と並んで、図面の寸法記号は混乱しやすいので整理しておきます。
主な寸法記号
| 記号 | 意味 | 由来 |
|---|---|---|
| t | 厚み(thickness) | thickness の頭文字 |
| W | 幅(width) | width の頭文字 |
| H | 高さ(height) | height の頭文字 |
| L | 長さ(length) | length の頭文字 |
| D | 奥行・直径(depth/diameter) | 文脈で判断 |
| B | 幅(breadth) | 主に H 形鋼のフランジ幅で使う |
| Φ(ファイ) | 直径 | ギリシャ文字 |
| R | 半径 | radius の頭文字 |
よくある混乱パターン
- 「t」と「T」:t は厚み、T は温度(temperature)または引張力(tension)でも使われる
- 「t」と「H」:H 形鋼の「H」は形状(H 形)の意味で、厚みではない
- 「t」と「B」:H 形鋼の B はフランジ幅で、厚みではない
- 「W」と「w」:大文字 W は幅、小文字 w は等分布荷重(weight per length)でも使われる
「H-200×100×5.5×8」を見ると、最初の200は高さ H、次の100は幅 B、次の5.5はウェブ厚 t₁、最後の8はフランジ厚 t₂、という暗黙のルールがあります。
直径記号の話はこちら。

厚みのtに関する施工管理の注意点
最後に、現場で押さえておきたい注意点を整理します。
注意点①:「t」と「ton」の読み違いに注意
材料発注で「PL t9-200×300」と書かれているのを「9トンの鋼板を200×300で」と読み違えると、大変なことになります。t を見たら 「単位がmmか?トンか?」を文脈で確認 するクセを付けましょう。
注意点②:板厚の許容公差
JIS G 3193(熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状、寸法、質量及びその許容差)では、板厚には製造公差があります。
| 板厚(呼び厚)[mm] | 許容公差 [mm] |
|---|---|
| 3 〜 5 | +0.50 / -0.40 |
| 5 〜 8 | +0.65 / -0.55 |
| 8 〜 16 | +0.80 / -0.65 |
| 16 〜 25 | +0.90 / -0.75 |
| 25 〜 40 | +1.10 / -0.85 |
「t9」と図面で指定されていても、実物は 8.35〜9.80mm の範囲内であれば JIS 規格内です。重要構造で精度が要求される場合は、ミルシートとノギスで実測確認しましょう。
注意点③:板厚と防食処理(亜鉛めっき・塗装)
板厚 6mm 以上はミルスケール(黒皮)と塗装の組み合わせ、4mm 以下では亜鉛めっき仕上げが選ばれることが多い、という業界の慣習があります。「t6 以下は塗装よりめっきが標準」という現場の感覚を覚えておくと、見積もりが早くなります。
注意点④:「t=12」と「t12」の表記揺れ
設計者によって「t=12」「t12」「t 12」「PL-12」など書き方がバラバラです。同じ図面の中でも揺れがあると拾い出しのミスにつながる ので、社内で表記ルールを統一しておくのが理想です。最低でも「これは板厚を表しているか、別の意味か」を必ず確認しましょう。
工場改修で、機械据付用のアンカープレートを「PL t12-200×200」で50枚発注した現場がありました。鋼材問屋からの納品を受け取った職人さんが「あれ、なんか薄くないですか?」とノギスで測ると、ほぼ全数が t9(板厚9mm) で納入されていました。原因を追うと、発注書をFAXした際に「t12」の「1」が読みづらく、「t2」と読まれ、問屋側で「板厚2mmはあり得ないから、近い在庫のt9で揃えました」という独自判断で出荷されたというものでした。職人さんの違和感がなかったら、そのまま機械据付の段階で発覚し、機械搬入の延期=1日数十万円の遅延損害になっていたところでした。「t〇」の表記は手書きやFAX伝送で誤読されやすい ので、メール本文や帳票では必ず「板厚12mm(t12)」のように mm まで書き添える ようにしました。記号は便利ですが、読み手によって誤解される可能性を常に意識しないといけません。
ミルシートの話はこちら。

厚みのtに関する情報まとめ
- 厚みの t とは:thickness(厚さ)の頭文字、図面で板厚を表す記号
- 由来:JIS Z 8317 で規定された製図表記
- 主な使い方:PL t9、t=12、t12 など(板厚9mm、12mm)
- 部材別:鋼板(PL)、フラットバー(FB)、形鋼、鋼管、ガラス、ボード、スラブ
- 慣習差:ガラスは「10mm厚」、ボードは「PB-9.5」、配管はSchで肉厚を示す
- 似た記号:W(幅)、H(高さ)、L(長さ)、Φ(直径)、R(半径)
- 注意点:t とトンの読み違い、板厚公差、表記揺れ、誤読リスク
以上が厚みの t に関する情報のまとめです。
厚みの t は、図面の中でも最頻出の記号の一つです。鉄骨では「PL t9」「FB t6」、スラブでは「t=200」、ガラスでは「強化10mm」と業界ごとに書き方が変わるので、部材ごとの慣習を押さえておくと拾い出しが速くなります。「t は thickness の頭文字」というシンプルな由来を覚えておけば、初見の図面でも自信を持って読めるようになります。一通り厚みの t に関する基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、関連する図面表記・鋼材記号の知識もチェックしておきましょう。






