- 軸径って何の直径?
- 読み方が分からない
- 孔径と何が違う?
- ボルトの軸径ってどう決まる?
- アンカーボルトの軸径は?
- 現場でどう測る?
上記の様な悩みを解決します。
軸径という言葉は鉄骨図やアンカー配置図でよく見ますが、いざ「ボルトの軸径と孔径って同じ?」と聞かれるとパッと答えにくいものです。実は軸径は 「軸そのものの直径」 で、孔径(ボルトを通す板側の穴の直径)とは別物。この違いを理解できると、図面の読み方や工場ファブとのやり取りで一段スマートになれます。今回は施工管理視点で、軸径の基本を整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
軸径とは?意味と読み方
軸径とは、結論「軸(ボルト・シャフト・アンカー等)そのものの直径 のこと」です。
読み方は「じくけい」。「軸の径」という意味で、ボルト本体・回転シャフト・アンカーボルトなど「軸状の部材の太さ」を表す言葉として、機械・建築・土木のあちこちで使われます。
「軸径」が指すもの
| 場面 | 軸径が指すもの |
|---|---|
| 高力ボルト | ボルト本体の直径(ねじ部を含めた呼び径) |
| アンカーボルト | アンカー筋の直径 |
| 鉄骨柱脚のアンカー | M27 などの呼び径=軸径 |
| シャフト・回転軸 | 機械要素の主軸の直径 |
| 鉄筋(D○○) | 異形鉄筋の呼び径(公称直径) |
「孔径」との違いが超重要
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 軸径(じくけい) | 軸の直径。ボルトなら ボルト本体の直径 |
| 孔径(こうけい) | 穴の直径。ボルトを差し込む 板側の穴の直径 |
たとえば M16 の高力ボルトを使う場合、軸径 = 16 mm、孔径 = 18 mm が標準。孔径は軸径より少し大きい のが、現場の鉄則です(クリアランス=遊び)。
孔径の話はこちら。

ボルトの基本はこちら。

高力ボルトの軸径(M16〜M30の規格)
建築鉄骨で最も登場頻度が高いのは、高力ボルトの軸径です。JIS B 1186(摩擦接合用高力六角ボルト)で規格が決まっています。
高力ボルトの軸径と関連寸法
| 呼称 | 軸径 [mm] | 標準孔径 [mm] | 軸径と孔径のクリアランス [mm] |
|---|---|---|---|
| M12 | 12 | 14 | 2 |
| M16 | 16 | 18 | 2 |
| M20 | 20 | 22 | 2 |
| M22 | 22 | 24 | 2 |
| M24 | 24 | 26 | 2 |
| M27 | 27 | 30 | 3 |
| M30 | 30 | 33 | 3 |
ポイント:軸径 + 2 mm が標準孔径(M27 以上は +3 mm)
このクリアランスは「ボルトを通しやすくする」「工作誤差を吸収する」の2つを兼ねた値で、摩擦接合では「すべり代」、支圧接合では「最小限のずれ余裕」として機能します。
「呼び径=軸径」の感覚
- M16 → 軸径 16 mm
- M20 → 軸径 20 mm
- M22 → 軸径 22 mm
呼び径の数字がそのまま軸径の mm 表記になる、と覚えておくとスッキリします。
高力ボルトS10Tの規格はこちら。

ナット・ボルトの基本はこちら。

アンカーボルトの軸径
鉄骨柱脚で柱を基礎に固定するアンカーボルトにも「軸径」の概念があります。
アンカーボルトの軸径と関連寸法
| 呼称 | 軸径 [mm] | アンカーボルト孔径 [mm] | 用途 |
|---|---|---|---|
| M16 | 16 | 25 〜 30 | 軽量小規模 |
| M20 | 20 | 30 〜 35 | 軽量〜中規模 |
| M24 | 24 | 35 〜 40 | 中規模 |
| M27 | 27 | 40 〜 45 | 中〜大規模 |
| M30 | 30 | 45 〜 50 | 大規模 |
| M36 | 36 | 50 〜 60 | 大規模・大張力 |
鉄骨用アンカーボルト孔径は「大径孔」が標準
アンカーボルトの場合、ベースプレートの孔径は 軸径 + 9 〜 25 mm とかなり余裕を取ります。これは現場での「アンカーの建込み誤差」を吸収するため。アンカーは型枠と一緒に先行設置するので、後工程でズレた場合に逃げが効くように大径孔にしておくんですね。
ベースパックの話はこちら。

「アンカーボルトの軸径」と「ベースプレートの孔径」のクリアランス
- アンカーボルト軸径 M27 → ベースプレート孔径 36 〜 40 mm
- このクリアランスは座金(プレートワッシャー)でカバーする
座金(ワッシャー)の話はこちら。

鉄筋の「軸径」と「呼び径」
鉄筋の世界でも軸径という言葉が出てきますが、表現が独特です。
異形鉄筋(SD295・SD345 等)の呼び径と公称直径
| 呼称 | 公称直径 [mm] | 公称断面積 [mm²] |
|---|---|---|
| D10 | 9.53 | 71.33 |
| D13 | 12.7 | 126.7 |
| D16 | 15.9 | 198.6 |
| D19 | 19.1 | 286.5 |
| D22 | 22.2 | 387.1 |
| D25 | 25.4 | 506.7 |
| D29 | 28.6 | 642.4 |
| D32 | 31.8 | 794.2 |
「D22の軸径は22 mm?」← 実は 22.2 mm
鉄筋の場合、呼び径(D22)の数字は 公称直径 で、節(フシ)を含まないリブの根元あたりの直径を指します。実物の異形鉄筋は節が出っ張っているので、ノギスで外径を測ると呼び径より大きく出ますが、設計値(軸径=公称直径)は D22 なら 22.2 mm として扱います。
鉄筋の単位重量はこちら。

D22鉄筋の詳細はこちら。

シャフト・回転軸の軸径
機械系の「軸径」もときどき建築設備・空調機械で出てきます。
ファン・ポンプ等の軸径
- 換気扇・送風機:モーター軸径 8〜25 mm が一般的
- ポンプ:ポンプ軸径 20〜50 mm(容量による)
- エレベーター:シーブ軸径 50〜100 mm
これらは キー溝、ベアリング内輪、カップリング との寸法整合が肝です。施工管理として直接寸法決定する場面は少ないですが、機器搬入時の据付ボルト軸径や、ベルト交換時のシャフト径確認では出てくる用語です。
軸径の測り方と注意点
最後に、現場で軸径を測る場面と注意点を整理します。
測定工具と測り方
- ノギス:±0.05 mm 精度。ボルト本体の軸径測定の基本
- マイクロメーター:±0.01 mm 精度。鋼材検査やシャフト測定で使用
- 限界ゲージ(リング・プラグ):合否判定だけで素早い検査
注意点①:ねじ部の外径と軸径は違う
ボルトのねじ部をノギスで測ると 山の頂点を測る ので呼び径と概ね一致しますが、ねじ部の有効径(中心線あたり)は約1〜1.5 mm 細い値になります。「ボルトの軸径」は基本的に 山頂部の呼び径 で扱うと覚えておきましょう。
注意点②:「軸径」と「呼び径」と「公称径」を混同しない
- 高力ボルト M16:軸径=16 mm、呼び径=16 mm(同義)
- 異形鉄筋 D22:呼び径=22 mm、公称直径=22.2 mm
- 配管 25A:呼び径=25 mm、外径=34 mm(細目スケジュール)
「呼び径」は流通上の表記、「軸径」は実寸法、と分けて捉えると混乱しません。
注意点③:図面に「Φ16」とあったら軸径?孔径?
Φ(ファイ)は単純に「直径」を表す記号で、軸か孔かは文脈で判断します。寸法の引出し線がボルト本体に向かっていれば軸径、板の穴に向かっていれば孔径、というのが基本ルール。曖昧な場合は設計者に確認しましょう。
直径記号の使い分けはこちら。

注意点④:軸径の規格外品はトレーサビリティを必ず確認
特注品の軸径ボルトや異形シャフトを使う場合、ミルシートと現品の照合は必須。M22 で発注したのに M24 が届いた、というケースは稀にありますが、現場での試組みで発覚すると工程に直撃します。
大型空調機を吊るためのM16 アイボルト(150 kg定格)を、天井スラブから6本セットで取り付ける作業を任されたことがあります。職人さんが「箱から出した1本だけ何か変ですよ」とノギスを当ててくれて、測ると軸径が14 mm。M14 規格外品が出荷段階で1本紛れ込んでいたんですね。アイボルトは目視だと M14 と M16 がほぼ区別できず、見落とせば吊り上げ中に座屈→落下で重大事故になる代物です。納入材から無作為で2〜3本を実測、というのは「面倒くさい」と省略されがちですが、人命に関わる吊り金物では絶対省略しないルールにしています。ノギスがない現場では、ボルト径ゲージ(ねじ山ゲージ兼用)を1本持っておくだけでも違います。
ミルシートの読み方はこちら。

軸径に関する情報まとめ
- 軸径とは:軸(ボルト・シャフト・アンカー等)そのものの直径 のこと
- 読み方:「じくけい」
- 孔径との違い:軸径より孔径のほうが少し大きい(標準孔は軸径+2 mm)
- 高力ボルト軸径:M16=16 mm、M20=20 mm…呼び径そのまま
- アンカーボルト軸径:M27=27 mm、孔径は軸径+9〜25 mm
- 鉄筋の軸径:D22=公称22.2 mm、節は外径に含まれる
- 測定:ノギスが基本、ねじ山頂部で軸径を読む
- 施工注意:呼び径と公称径の混同、Φ表記の文脈、規格外品のチェック
以上が軸径に関する情報のまとめです。
軸径という単純な言葉でも、ボルト・アンカー・鉄筋・シャフトでそれぞれ少しずつ意味合いが違うので、図面のコンテキストで読み分ける訓練が必要です。「軸径+2 mm が孔径」という鉄則を覚えておくと、鉄骨ボルト接合の構図がスッと頭に入ります。一通り軸径に関する基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、関連するボルト・孔径・鉄筋の知識もチェックしておきましょう。









