フレア溶接とは?種類、開先、施工手順、検査ポイント、資格など

  • フレア溶接ってそもそも何の溶接?
  • 鉄筋にも使われるって本当?
  • 突合せ溶接・すみ肉溶接と何が違うの?
  • 溶接長さの「10d」「5d」って何の基準?
  • 開先(フレア)の形ってどんな形?
  • 必要な資格はJIS Z 3801でいいの?
  • 検査では何を見ればいい?
  • 1級建築施工管理技士の試験でどう問われる?

上記の様な悩みを解決します。

フレア溶接は鉄筋・鉄骨の現場でちょこちょこ顔を出す溶接方法で、突合せ溶接・すみ肉溶接と並んで施工管理として知っておきたい基本3溶接のひとつです。杭頭補強筋・鉄筋の重ね補強・鉄筋と鋼板の接合など、丸い断面が作る自然な開先を活用する独特の溶接で、構造主筋には原則として使わないというルールもあります。この記事では、教科書的な定義と種類の解説に加えて、溶接長さの片面10d・両面5dという基準の根拠、検査でチェックする項目、必要な溶接技量資格(JIS Z 3801・3881)、1級建築・土木施工管理技士の試験での問われ方まで、施工管理経験者の目線で踏み込んで整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

フレア溶接とは?

フレア溶接とは、結論「丸い断面の部材同士を重ね合わせたとき、または丸い部材と平たい部材を重ねたときにできる『丸みを帯びた開先(フレア)』に、アーク溶接で溶接金属を流し込んで接合する溶接方法」のことです。

英語ではflare welding。flareは「広がる」「裾広がり」を意味する単語で、丸断面が作る末広がりの開先形状から名付けられました。

フレア溶接の最大の特徴は、開先が「人工的に機械加工して開けた角」ではなく、「丸い形状そのものが作る自然な隙間」だという点です。例えば次のような場面で発生します。

  • 異形鉄筋(D10〜D25など)を並列に重ねたとき、丸断面と丸断面の間にできる谷
  • 鉄筋を平鋼やアングルに溶接するとき、丸の表面と平面の間にできる谷
  • 鋼管杭の側面に鉄筋(杭頭補強筋)を半自動溶接機で接合するときの谷

この「丸みが作る谷」を溶接金属で埋めるのがフレア溶接の本質です。突合せ溶接(V開先・X開先など機械加工した開先に施す溶接)やすみ肉溶接(直交する2面の隅に施す溶接)と違って、開先を機械加工する手間がいらないのが大きな利点になります。

フレア溶接が他の溶接と分類上どう違うかを整理するとこうです。

溶接種類 開先の作り方 主な対象 用途
突合せ溶接 機械加工でV・X・U形に開先 鉄骨梁・柱の継ぎ目 完全溶込み(CP)が多い
すみ肉溶接 直交する2面の隅に施す 鉄骨ガセットプレート・ブラケット 部分溶込み
フレア溶接 丸断面が自然に作る開先 鉄筋・丸鋼の重ね接合 部分溶込み
スタッド溶接 専用機でスタッド端面を瞬間溶接 床スラブのスタッドジベル スポット接合

僕の感覚だと、フレア溶接は「機械加工しない突合せ溶接」と捉えると意味がストンと落ちます。鉄筋同士をぴったり並べて重ねた時、両側の丸い表面の間に自然な谷ができますよね。この谷を溶接金属で埋めるだけの操作なので、開先加工の工数がいらず、現場の補助接合で重宝されてきました。一方で「丸が作る谷の深さ」が浅く溶接断面が小さくなりやすいため、構造主筋の継手としては使えない、というルールもセットで覚えます。

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フレア溶接の主な種類と開先形状

フレア溶接は、組み合わせる部材の形で開先形状が変わります。代表的な3形態をJIS Z 3001(溶接用語)の分類で整理します。

主な開先形状3パターンを一覧で比較するとこうです。

形状名 部材組合せ 開先の形 主な用途
フレア・ベベル開先 丸(鉄筋)+ 平(鋼板・アングル) 片側R・片側平面 杭頭補強筋と鋼管杭、鉄筋と取付金物
フレア・V開先 丸(鉄筋)+ 丸(鉄筋) 両側R 鉄筋同士の重ね補強、鉄筋籠
フレア・グルーブ溶接(広義) フレア溶接の総称 上記2形を含む包括的呼称 現場で「フレア溶接」と呼ばれる全般

①フレア・ベベル開先(片側R)の特徴を押さえます。

  • 形状:片側がR形(丸い)、反対側が平面
  • 開先深さ:鉄筋径の1/4〜1/2程度(鉄筋径dに対してd/4〜d/2)
  • 代表的な使用例:杭頭補強筋の鋼管杭への取付、鉄筋を取付金物に固定

杭頭補強筋を鋼管杭に取り付ける現場では、鋼管杭側面の平面と鉄筋丸表面の間にこのフレア・ベベル開先ができ、半自動溶接機(CO2溶接)で接合するのが定番の手法です。

②フレア・V開先(両側R)の特徴を押さえます。

  • 形状:両側が丸(V形だが両辺がR形)
  • 開先深さ:鉄筋径の1/4程度(d/4)
  • 代表的な使用例:鉄筋同士の重ね補強、鉄筋籠の組立、フープ筋の閉合

鉄筋同士を並列に並べて溶接する場面では、両方の丸断面の谷がV字に見える形になります。この両側Rの開先に溶接金属を流すのがフレア・V開先溶接です。

③フレア・グルーブ溶接は、JIS Z 3001での包括的な分類名で、現場で「フレア溶接」と呼ばれる溶接全般を指します。①②を含んだ広い呼称として理解しておけば十分です。

僕としては、現場で開先形状の判断に詰まったら「丸+平ならベベル、丸+丸ならV」とアルファベットで覚えるのが一番速いと感じます。設計図書の溶接記号を読む時もこのアルファベットで識別すれば、すぐに開先形状を頭にイメージできます。

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フレア溶接の溶接長さ・脚長の基準

フレア溶接で施工管理として最も詰まる質問が「溶接長さは何mm必要か」と「脚長は何mmか」です。鉄筋径をdとして、片面溶接10d・両面溶接5dというのが基本ルールで、ここが構造強度を担保する核心になります。

溶接長さの基本基準を整理するとこうです。

溶接形態 最小溶接長さ 根拠
片面フレア溶接 10d 以上(dは鉄筋径) 公共建築工事標準仕様書、JASS5
両面フレア溶接 5d 以上(dは鉄筋径) 公共建築工事標準仕様書、JASS5
杭頭補強筋(片面) 10d 以上 杭基礎構造設計指針

鉄筋径別に具体的な溶接長さを計算するとこうです。

鉄筋径 d 片面溶接 10d 両面溶接 5d
D10(d=10mm) 100mm以上 50mm以上
D13(d=13mm) 130mm以上 65mm以上
D16(d=16mm) 160mm以上 80mm以上
D19(d=19mm) 190mm以上 95mm以上
D22(d=22mm) 220mm以上 110mm以上
D25(d=25mm) 250mm以上 125mm以上

「10d」「5d」のdは「鉄筋呼び径」を意味します。D13なら呼び径が13mm、D22なら22mmなので、それぞれの数字に10または5を掛けた長さが最小溶接長さです。

なぜ片面10d・両面5dなのか、その根拠を整理しておきます。

  • 片面溶接:1本の溶接金属で必要な引張耐力を確保するため、長めの溶接長が必要
  • 両面溶接:両側から溶接金属が入るので、片面の半分の長さで同等の耐力が出る
  • 鉄筋径dを基準にする理由:太い鉄筋ほど大きな引張力を伝達するため、溶接長も比例して必要

脚長(溶接金属の高さ)の基準も押さえます。

  • 脚長:鉄筋径の0.4〜0.6倍程度を目安に確保
  • 余盛り高さ:脚長の1/3〜1/2程度
  • のど厚(溶接断面の最小厚さ):脚長の0.7倍程度

僕の感覚だと、施工管理として「鉄筋径×10倍」を即座に計算できる頭の柔軟さが、フレア溶接の現場立会いで一番役立ちます。D22の鉄筋を片面溶接するなら220mm以上、両面なら110mm以上。この計算を業者の前で即答できるかどうかで、現場の主導権が変わってきます。

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フレア溶接が使われる場面

フレア溶接は建築・土木の両方で「補助的な接合」「丸断面の組立」で出てきます。施工管理として、どの場面でフレア溶接が選ばれるかを整理しておくと、設計図書の理解と業者打合せの質が上がります。

フレア溶接が使われる主な場面を一覧で整理するとこうです。

場面 具体例 フレア溶接が選ばれる理由
杭頭補強筋の接合 鋼管杭側面に鉄筋を半自動溶接で取付 丸鋼+平面の組合せで開先加工不要
鉄筋同士の重ね補強 フープ筋・あばら筋の閉合、補助筋の固定 鉄筋径が小さく短時間で接合可能
鉄筋籠の組立 場所打ち杭の鉄筋籠補助接合 工場製作の組立補助
鉄筋と平鋼の取付 床鉄筋を鋼板に固定 鋼板側にネジ加工なしで接合可能
補助ブラケット・手すりの取付 鉄筋手すり、グレーチング受け 小物部材で開先加工が経済的でない
排水溝・側溝の鉄筋ピン 道路工事の鉄筋固定 現場での簡易接合
補強鉄筋の固定 開口補強・段差部補強 設計図書の指示に基づく補助接合

主筋・主要構造部材の継手として使えない理由も押さえます。

  • 開先深さが浅く溶接断面が小さい(鉄筋径のd/4〜d/2程度)
  • 応力集中が起きやすい形状(疲労破壊の起点になりやすい)
  • 品質ばらつきが大きい(手溶接が中心で熟練度依存)

そのため、構造主筋の継手は「重ね継手」「ガス圧接継手」「機械式継手」の3つが原則で、フレア溶接は補助的・小物的な接合の選択肢、というポジションを守ります。

僕としては、フレア溶接が活躍する場面の中で一番分かりやすいのが「杭頭補強筋」だと感じます。場所打ち杭・既製杭ともに、杭頭部分の補強筋を杭側面(鋼管杭)または上部主筋に取り付ける時、フレア溶接が事実上の標準工法です。ここで品質を落とすと、地震時に杭頭部が破壊する起点になるので、施工管理として最も気を遣う場面のひとつでもあります。

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フレア溶接の施工手順

フレア溶接の施工は、母材前処理→仮付け→本溶接→仕上げの4ステップが基本です。施工管理として、業者の作業をこの順序で観察すると進捗と品質を同時にチェックできます。

施工フローを段階別に整理するとこうです。

ステップ 内容 施工管理が確認すること
1. 母材前処理 表面の汚れ・油・錆・メッキを除去 ブラシ・サンダー処理の徹底度
2. 仮付け(点付け) 部材を組立位置にセットして点付け固定 寸法精度、仮付け位置の妥当性
3. 本溶接 規定の電流・電圧で多層盛り溶接 運棒速度、層間温度、欠陥の有無
4. 仕上げ スラグ・スパッタ除去、外観確認 脚長・余盛り・割れ・ピットの目視

各ステップの詳細を押さえておきます。

ステップ1:母材前処理のポイントは3つあります。鉄筋・鋼材の表面の汚れ・油・錆・メッキ・塗装を除去すること、雨天や結露時は施工しないこと(水分は溶接欠陥の主原因)、低温時は予熱を検討すること(特に厚板部材)。母材表面の状態が溶接品質の半分を決めるので、業者がブラシやサンダーで丁寧に処理しているかを確認します。

ステップ2:仮付けでは点付け溶接で部材を仮固定します。点付け位置は本溶接時に支障にならない場所を選び、寸法精度(鉄筋の重なり長さ、平行度)を確認します。仮付け後の修正は本溶接後より圧倒的に楽なので、ここで寸法をしっかり押さえます。

ステップ3:本溶接では電流・電圧の設定と運棒が品質を決めます。

  • 溶接電流:母材厚と溶接棒径に応じて調整(D22鉄筋なら150〜200A程度)
  • 溶接電圧:22〜26V程度
  • 運棒角度:70〜80度を保つ
  • 運棒速度:ゆっくり一定速度で(200〜300mm/分目安)
  • 多層盛りでは各層のスラグ・スパッタを完全除去してから次層へ

ステップ4:仕上げではスラグ・スパッタを除去し、表面の凹凸が大きい場合はサンダーで仕上げます。割れ・ピット・アンダーカット・オーバーラップなどの溶接欠陥の有無を目視で確認します。

使用される溶接機の種類も押さえます。

溶接機 特徴 主な使用場面
被覆アーク溶接(手棒) 屋外で広く使える、小物施工向け 鉄筋小物部材、屋外配筋
半自動溶接(CO2・MAG) 工場・安定施工で品質が安定 杭頭補強筋、鉄筋籠工場製作
TIG溶接 ステンレス・特殊鋼で高品質 特殊な配管・鋼材接合

建築の鉄筋・小物部材ではほとんどが被覆アーク溶接または半自動溶接で対応されます。半自動溶接は工場・安定環境で品質が出やすく、被覆アーク溶接は現場の屋外で柔軟に対応できる、という棲み分けです。

僕の感覚だと、施工管理として本溶接で一番見るべきポイントは「運棒速度」だと感じます。速すぎると溶け込み不足(融合不良)、遅すぎると過熱で割れの原因になります。業者の溶接スピードを横で観察し、明らかに速い・遅いを感じたら、声をかけて電流調整を依頼するのが現場のリアルな品質確保の動きです。

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フレア溶接の検査ポイント

フレア溶接の検査は外観検査と寸法測定が中心で、突合せ溶接ほどの厳密さは求められないものの、押さえるべきポイントがあります。施工管理として、現場でチェックする項目をリスト化しておくと検査対応がスムーズです。

外観検査の必須7項目を整理するとこうです。

項目 確認内容 判定基準
脚長 図面・基準書の指定長を満たすか 規定値以上
溶接長さ 片面10d・両面5dを満たすか 規定値以上
余盛り高さ 適切な盛り高さか 脚長の1/3〜1/2
表面の連続性 途中切れ・部分溶込み不足の有無 連続した溶接金属
ピット 表面の小さな穴の有無 原則として認めない
アンダーカット 母材が掘れすぎている箇所 深さ0.5mm以下
割れ 表面・止端部に割れがないか 認めない

寸法測定で使う工具を整理しておきます。

  • ノギス:脚長・溶接長さの計測
  • 溶接ゲージ:脚長・余盛り高さの専用測定
  • 直尺:溶接長さの全長確認
  • 目視+拡大鏡:表面欠陥の確認

非破壊検査が必要なケースを押さえます。

  • 主筋の構造的継手として使う場合:抜取りで超音波探傷(UT)または浸透探傷(PT)
  • 杭頭補強筋で重要構造物に使う場合:抜取りで浸透探傷
  • 設計図書で指定がある場合:その仕様に従う

通常の補助的な小物部材ではUT・PTまではやらず、外観検査と寸法測定で品質判定をするのが現場の標準です。

検査記録の残し方も施工管理として押さえます。

  • 検査箇所の写真(脚長・余盛りが分かる角度)
  • 寸法測定の結果(ノギス・ゲージの読みを記録)
  • 不適合があった場合の是正記録(再溶接の前後写真)
  • 検査日・検査者・立会者の記名

僕としては、検査ポイントで一番見落とされやすいのが「溶接長さの実測」だと感じます。脚長や余盛りは目視で違和感を感じやすいですが、溶接長さは「10dは確保している気がする」で済まされがちです。直尺で実測して写真に残す習慣をつけると、後の検査で詰まりません。

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必要な溶接技量資格

フレア溶接を行う溶接士には、JISの溶接技量資格が要求されます。施工管理として、業者が有資格者の名簿を提出できるかを着工前に確認するのが基本です。

主な溶接技量資格を整理するとこうです。

資格名 規格番号 対象溶接 フレア溶接での要否
手溶接技能者 JIS Z 3801 被覆アーク溶接 鉄骨小物部材・補助接合で必要
半自動溶接技能者 JIS Z 3841 CO2・MAG半自動溶接 杭頭補強筋・鉄筋籠で必要
鉄筋溶接技量資格 JIS Z 3881 鉄筋同士・鉄筋と鋼材の溶接 鉄筋のフレア溶接で必要
ガス溶接技能者 JIS Z 3811 酸素・アセチレンガス溶接 限定的用途
TIG溶接技能者 JIS Z 3821 TIG溶接 ステンレス・特殊鋼で必要

各資格の取得方法と試験項目を押さえておきます。

  • JIS Z 3801(手溶接):被覆アーク溶接の技量試験、姿勢別(下向・横向・立向・上向)に分かれる
  • JIS Z 3841(半自動溶接):CO2・MAGの技量試験、同じく姿勢別に分かれる
  • JIS Z 3881(鉄筋溶接):鉄筋同士の継手溶接、鉄筋径と姿勢で区分

鉄筋のフレア溶接で重要なのがJIS Z 3881で、ここで合格した溶接士でないと正式な鉄筋継手溶接ができません。補助的な小物部材なら手溶接技能者(Z 3801)で足りるケースもありますが、主要構造の鉄筋なら Z 3881 を必須にするのが安全側の運用です。

業者から有資格者名簿を受け取る時のチェックポイントを整理するとこうです。

  • 資格証の写し(顔写真付き)の添付
  • 資格の種類と合格年月日
  • 合格区分(姿勢・板厚範囲・鉄筋径範囲)
  • 有効期限(多くは合格後3年で再認証が必要)
  • 失効・再認証の履歴

僕の感覚だと、資格名簿の確認で一番落とし穴になるのが「有効期限切れ」です。JIS資格は合格後3年で再認証が必要ですが、現場で「以前合格した資格証」を提出してくる業者がいるので、有効期限を必ず確認します。期限切れの資格者で施工した溶接は、検査時に是正対象になることがあります。

施工管理として押さえる注意点と試験対策

フレア溶接で施工管理として詰まりやすい3つの注意点と、1級建築・土木施工管理技士の試験での出題パターンを整理します。

施工管理として押さえる注意点はこうです。

①構造主筋には原則として使わない

鉄筋の主筋を継ぐ正規の継手は重ね継手・ガス圧接・機械式の3つが原則で、フレア溶接で主筋を継ぐ場合は設計者の承認とJIS Z 3881の合格者による施工が必須です。「承認なしのフレア継手」は設計図と異なる施工で重大な不具合になります。

②節(リブ)部のスラグ除去を丁寧に

異形鉄筋にはリブ・節がありますが、節部分にスラグ・スパッタが残っていると後工程の組立精度に影響します。施工後のスラグ・スパッタ除去はワイヤブラシで丁寧に行います。

③溶接欠陥が応力集中を生む

フレア溶接は構造的に応力集中が起きやすい形状で、割れ・ピットなどの欠陥は疲労破壊の起点になります。見えにくい裏側まで目視で確認し、可能なら鏡で死角を確認する習慣をつけます。

1級建築・土木施工管理技士の試験での出題パターンを整理するとこうです。

出題系統 一次(学科) 二次(実地)
定義・種類系 フレア溶接の定義、ベベルとVの違い
数値・基準系 片面10d・両面5dの数値、脚長基準 経験記述で溶接長さ・脚長を書く
資格系 JIS Z 3801・3841・3881の区分 有資格者の配置を記述
検査系 外観検査項目、非破壊検査の必要性 品質管理項目を3つ書く

経験記述で書ける材料を5つ整理しておきます。

  • 杭頭補強筋のフレア溶接で片面10d以上の溶接長さを確保した
  • JIS Z 3881有資格者を配置し溶接技量を確認した
  • 外観検査で脚長・余盛り・割れ・ピットを全数目視で確認した
  • 雨天時は施工を中止し、母材の含水を防止した
  • 溶接後のスラグ・スパッタを除去し、節部の清掃を徹底した

頻出キーワードを整理しておきます。

  • 片面10d、両面5d
  • フレア・ベベル開先、フレア・V開先
  • JIS Z 3801(手溶接技能者)、JIS Z 3841(半自動)、JIS Z 3881(鉄筋)
  • 杭頭補強筋
  • 脚長、余盛り、のど厚
  • アンダーカット、ピット、割れ

僕としては、試験対策で一番効くのが「片面10d・両面5d」を口で言えるようにしておくことだと感じます。この数字は鉄筋径dに依存するので、D22なら220mm/110mm、D25なら250mm/125mmといった具体例を3〜4パターン頭に入れておくと、二次試験の経験記述で「D22鉄筋を片面溶接で250mmにて溶接した」というように具体的な数字で書けます。

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フレア溶接に関する情報まとめ

  • フレア溶接とは:丸断面が作る自然な開先(フレア)に溶接金属を流し込む溶接方法
  • 開先の種類:フレア・ベベル(丸+平)、フレア・V(丸+丸)
  • 溶接長さ基準:片面溶接 10d 以上、両面溶接 5d 以上(dは鉄筋径)
  • 主な使用場面:杭頭補強筋/鉄筋同士の重ね補強/鉄筋籠/鉄筋と鋼板の取付/小物部材
  • 構造主筋には原則使わない:主筋継手は重ね継手・ガス圧接・機械式が原則
  • 施工手順:母材前処理→仮付け→本溶接(多層盛り)→仕上げ
  • 溶接機:被覆アーク(手棒)、半自動(CO2・MAG)、TIG
  • 検査ポイント:脚長/溶接長さ/余盛り/表面の連続性/ピット/アンダーカット/割れ
  • 必要な資格:JIS Z 3801(手溶接)、JIS Z 3841(半自動)、JIS Z 3881(鉄筋溶接)
  • 資格有効期限:合格後3年で再認証必要
  • 注意点:主筋に使わない/節部のスラグ除去/欠陥が応力集中を生む/雨天時は施工中止
  • 試験対策:片面10d・両面5dの数字、有資格者の配置、外観検査項目を経験記述で書く

以上がフレア溶接に関する情報のまとめです。

フレア溶接は地味な施工に見えて、杭頭補強筋・鉄筋籠・補助接合では現場で頻繁に出てきます。突合せ溶接やすみ肉溶接ほどの厳格な基準はないものの、「片面10d・両面5d」「脚長確保」「JIS Z 3881有資格者の配置」「外観検査項目の徹底」の4点を押さえれば、検査で詰まることはありません。鉄筋主筋には使わない、雨天時は施工しない、という基本ルールを守りながら、現場では溶接技量資格者と協力して進めるのが安全な進め方です。

フレア溶接に関するよくある質問

Q1:フレア溶接とすみ肉溶接の違いは何ですか?

フレア溶接は「丸い断面が作る自然な開先」に施す溶接、すみ肉溶接は「直交する2面の隅」に施す溶接です。フレア溶接は鉄筋同士・鉄筋と鋼板など丸断面が関わる接合で使い、すみ肉溶接は鉄骨ガセットプレート・ブラケットなど平面同士の直交部で使います。両者とも部分溶込み溶接である点は共通ですが、開先の作り方と対象部材が異なります。

Q2:フレア溶接の溶接長さ「10d」「5d」の根拠は?

公共建築工事標準仕様書とJASS5(鉄筋コンクリート工事仕様書)に規定されています。片面溶接の場合は鉄筋径dの10倍以上、両面溶接の場合は5倍以上が最小溶接長さです。この長さで鉄筋の引張耐力に対して十分な溶接断面積が確保できる、という構造的根拠から決められています。D22鉄筋なら片面220mm、両面110mmが最小です。

Q3:フレア溶接で鉄筋の主筋を継いでもいいですか?

原則として使えません。鉄筋主筋の正規の継手は重ね継手・ガス圧接・機械式継手の3つで、フレア溶接は補助的・小物的な接合の選択肢です。どうしても主筋に使う場合は、設計者の承認とJIS Z 3881有資格者による施工、抜取りでの浸透探傷検査(PT)など追加の品質確認が必要になります。承認なしのフレア継手は設計図と異なる施工で重大な不具合になります。

Q4:フレア溶接に必要な資格は何ですか?

鉄筋のフレア溶接ではJIS Z 3881(鉄筋溶接技量資格)、鉄骨小物部材ではJIS Z 3801(手溶接技能者)またはJIS Z 3841(半自動溶接技能者)が必要です。資格は姿勢別(下向・横向・立向・上向)と板厚・鉄筋径範囲で区分されており、合格区分内の作業に限定されます。資格は合格後3年で再認証が必要で、有効期限切れの資格者で施工した溶接は検査で是正対象になります。

Q5:フレア・ベベル開先とフレア・V開先の違いは何ですか?

開先を作る部材の組合せが違います。フレア・ベベル開先は「丸(鉄筋)+平(鋼板・アングル)」の組合せで、片側がR形・反対側が平面の開先になります。代表例は杭頭補強筋の鋼管杭への取付です。フレア・V開先は「丸(鉄筋)+丸(鉄筋)」の組合せで、両側がR形の開先になります。代表例は鉄筋同士の重ね補強です。「丸+平ならベベル、丸+丸ならV」と覚えると現場で混乱しません。

Q6:フレア溶接の検査で非破壊検査は必要ですか?

通常の補助的な小物部材では外観検査と寸法測定のみで足ります。一方、構造主筋として使う場合、杭頭補強筋で重要構造物に使う場合、設計図書で指定がある場合は、抜取りで超音波探傷(UT)または浸透探傷(PT)を実施します。検査方法と頻度は設計図書・特記仕様書で指定されているので、施工前に確認します。

Q7:フレア溶接の脚長はどれくらい必要ですか?

鉄筋径dの0.4〜0.6倍程度が目安です。D22鉄筋なら9〜13mm、D25鉄筋なら10〜15mm程度の脚長になります。同時に余盛り高さは脚長の1/3〜1/2、のど厚は脚長の0.7倍程度が目安です。設計図書や特記仕様書に脚長指定がある場合はそれに従い、ない場合はこの目安に基づいて施工計画書を作成します。

Q8:雨天時にフレア溶接をしてもいいですか?

原則として施工を中止します。母材表面の水分は溶接欠陥(ピット・ブローホール・割れ)の主原因になり、品質が著しく低下します。やむを得ず雨天時に施工する場合は、防雨テントで作業範囲を完全に覆い、母材表面の水分を完全に除去してから溶接します。湿度の高い時期は予熱で母材温度を上げる対策も有効です。

Q9:フレア溶接で使う溶接機はどれがいいですか?

被覆アーク溶接(手棒)と半自動溶接(CO2・MAG)が一般的です。屋外現場の小物施工なら被覆アーク溶接が機動性が高く向いており、工場製作・杭頭補強筋など安定環境では半自動溶接が品質が出やすく向いています。TIG溶接はステンレス・特殊鋼の高品質溶接に使いますが、フレア溶接の標準工法では一般的ではありません。

Q10:1級建築施工管理技士の試験でフレア溶接はどう問われますか?

一次(学科)ではフレア溶接の定義、フレア・ベベルとフレア・Vの違い、片面10d・両面5dの数値、JIS Z 3801・3841・3881の区分が選択肢で問われます。二次(実地)では経験記述で「鉄筋工事の品質管理を3つ挙げよ」というパターンで、JIS Z 3881有資格者の配置、片面10d以上の溶接長さ確保、外観検査で脚長・余盛り・割れ・ピットの確認、の3点セットを書けるようにしておくと安定して点が取れます。

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