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鉄筋の溶接とは?種類、ガス圧接との違い、JIS規格、施工管理など

  • 鉄筋って溶接できるの?
  • ガス圧接とどう違う?
  • どんな種類があるの?
  • JIS規格や継手の等級は?
  • 検査ってどんな項目がある?
  • 施工管理で気をつけるところは?

上記の様な悩みを解決します。

鉄筋の溶接とは、結論「異形鉄筋を熱で溶融接合する継手工法」のことです。建築・土木の現場で、長尺の鉄筋を継ぐ必要があるとき、重ね継手・ガス圧接・機械式継手・溶接継手の4種類から選びますが、溶接継手はその中でも 「現場での柔軟性が高い」選択肢。フレア溶接・突合せ溶接・エンクローズ溶接の3種類があり、JIS Z 3112で規格化されています。一方で、施工管理の難易度は高く、「気軽にやって良い継手ではない」のも事実。本記事では、鉄筋溶接の種類・ガス圧接との違い・JIS規格・継手等級・施工管理のポイントまで、現場で困らないレベルで整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

鉄筋の溶接とは?

鉄筋の溶接とは、結論「異形鉄筋同士を熱で溶融させて接合する継手工法」のことです。

英語では rebar welding または reinforcing bar welding。日本語で「鉄筋溶接継手」「溶接継手」とも呼ばれます。

鉄筋の継手4種類の中での位置づけ

鉄筋を長く繋ぐには、4つの方法があります。

継手方法 仕組み 主な適用
重ね継手 2本の鉄筋を重ねて結束線で固定 細径(D25以下)、一般部
ガス圧接継手 加熱して圧力で接合 太径(D29以上)、重要部
機械式継手 カプラー・ナット等で機械接合 プレキャスト、太径
溶接継手 熱で溶融接合 特殊配筋、現場継手

→ 溶接継手は 「他の3つで対応できない場面の救援役」として使われます。

特に溶接継手が選ばれる場面

溶接継手が選ばれる典型シーンは、太径鉄筋(D32〜D51)でガス圧接機が入らない狭所、異径同士の接合(ガス圧接は同径が原則)、既存鉄筋との接続(補強工事・改修)、機械式継手の選定外仕様、というあたり。

→ ガス圧接や機械式継手で対応できないとき、溶接が 最後の砦となります。

鉄筋溶接が「特殊」と言われる理由

鉄筋溶接が特殊とされる理由は、鉄筋は冷間加工で硬化しているため溶接で靭性が低下しやすい、高炭素・高マンガンのSD345・SD390は溶接性に注意が必要、現場の屋外環境では品質確保が難しい、検査の難易度が高い、というあたり。

→ そのため、鉄筋溶接は 「資格者による施工+第三者検査」が原則。

鉄骨と鉄筋の違いはこちらに整理しています。

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鉄筋の溶接の3種類

JIS Z 3112で 3種類の鉄筋溶接が規格化されています。

①フレア溶接(fillet weld)

2本の鉄筋を重ねて、側面に隅肉溶接するタイプ。最もシンプル。

   ╲   /
    ╲ /    ← 溶接ビード
  ────────  ← 鉄筋A
  ────────  ← 鉄筋B
    ╲ /
   ╲   /

適用径はD10〜D32程度、用途はプレキャスト工場の補助配筋や既製基礎の継手、特徴は母材を完全に溶融させず重ねた側面だけを溶接する点。

→ 「フィレット溶接(隅肉溶接)」と同じ原理。施工は比較的容易ですが、強度評価は重ね継手より高い程度

②突合せ溶接(butt weld)

2本の鉄筋を 端面で突き合わせ、開先を作って溶接するタイプ。

鉄筋A ───┐
         ├──溶接ビード──┐
鉄筋B ───┘                 ├ 鉄筋C ─
                          ────────

適用径はD16以上(細径は加工困難)、用途は重要部位の継手やプレキャスト橋梁の現場継手、特徴は母材を完全溶け込みさせるため強度評価が最も高い点。

→ 鉄筋を 「一本のように繋ぐ」のがイメージ。開先加工・溶接姿勢・検査がすべて重要。

③エンクローズ溶接(enclose weld)

鉄筋の継手部に 専用の銅板枠(モールド)を取り付け、その中で 半自動・自動で溶接する工法。適用径はD32以上の太径が中心、用途は鉄筋コンクリート造の柱・梁の太径継手、特徴は品質が安定し半自動化で人為的バラつきが少ない点、というあたり。

→ 太径鉄筋の 「現場継手の決定版」と呼ばれる方法。施工効率と品質を両立。

3種類の使い分け

種類 強度 施工難易度 検査の厳しさ 主な用途
フレア溶接 一般部・補助配筋
突合せ溶接 重要部・橋梁
エンクローズ溶接 中〜高 太径継手

→ 設計図書で 継手等級が指定されていて、それに見合う溶接種類を選びます。

引張鉄筋の概念はこちらに整理しています。

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ガス圧接との違い

鉄筋継手で最もポピュラーな ガス圧接と比較してみます。

①方式の違い

項目 ガス圧接 溶接継手
接合の仕組み 加熱+圧力で 塑性流動させて接合 熱で 溶融させて接合
熱源 酸素・アセチレンガス炎 アーク(電気)
接合温度 約1200〜1300℃(融点未満) 1500℃以上(融点超)
仕上がり形状 ふくらみ(こぶ)状 溶接ビード状
異径接合 不可(同径が原則) 可能

→ ガス圧接は 「鍛接」に近い接合、溶接は文字通り 「溶融接合」

②品質特性の違い

項目 ガス圧接 溶接継手
母材への熱影響 大きい 中〜大
HAZ(熱影響部)の幅 広い
強度信頼性 高い(成熟した技術) 中〜高(資格者次第)
靭性 やや低下 やや低下
屋外施工性 良好 風雨に弱い

→ ガス圧接は 「現場で安定して質の良い継手が作れる」のが強み。溶接は 環境条件に左右されやすい。

③コスト・施工性の違い

項目 ガス圧接 溶接継手
1本あたり費用 約2,000〜5,000円 約3,000〜8,000円
必要技能 ガス圧接技能者 溶接技能者(JIS Z 3801等)
設備 ガスバーナー・加圧器 溶接機・ガス(CO2等)
施工速度 標準 標準〜遅

→ コスト的にはガス圧接が有利、技能のハードルも溶接の方が若干高い。

④使い分けの実態

実際の使い分けは、一般の建築・土木ではガス圧接が主流、太径鉄筋(D38以上)ではエンクローズ溶接が選ばれることも、異径接合・特殊継手では溶接が唯一の選択肢、既存鉄筋の補強では溶接で対応、という棲み分けが基本。

→ 「まずガス圧接、無理なら溶接」という選定順序が、現場での暗黙の了解。

配筋検査の話はこちらに整理しています。

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JIS規格と継手の等級

鉄筋溶接の品質は、JIS規格継手等級で管理されます。

①JIS Z 3112:鉄筋の突合せ抵抗溶接・突合せ溶接

鉄筋溶接の 中心規格。適用鉄筋(SD295A、SD345、SD390、SD490)、溶接方法(突合せ溶接、突合せ抵抗溶接)、引張試験・曲げ試験の合格基準、検査の頻度・抜き取り数、といった項目が定められています。

②JIS G 3551:溶接金網

工場製作の溶接金網に関する規格。主筋の継手用ではないことに注意。

③日本鉄筋継手協会基準

JIS規格を補完する 実務基準。継手等級を A・B・C で区分。

等級 強度要件 主な適用
A級 母材の規格降伏点以上+特別な靭性 塑性ヒンジ部・耐震重要部
B級 母材の規格降伏点以上 一般部・標準的な耐震要求
C級 母材の規格降伏点の80%以上 軽微な部位

→ 設計図書では「B級継手」「A級継手」のように指定されているのが普通。施工管理として、指定等級を満たす溶接方法・検査方法を選定するのが基本業務。

④継手位置の制限

継手位置の制限としては、同じ箇所に継手を集中させない(千鳥配置)、継手中心から重ね長さの2倍の範囲には他の継手を入れない、応力の大きい場所(柱・梁の端部、塑性ヒンジ予定部)には継手を作らない、というあたりが基本ルール。

→ 図面の 「継手位置の指定」は構造設計者の意図。施工管理として勝手にずらすのは絶対NG。

鉄筋定着・配筋ルールはこちらに整理しています。

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鉄筋の溶接の検査

溶接継手の品質確保のための 検査体系を整理します。

①外観検査(VT:Visual Testing)

最も基本的な検査。施工管理者が必ず実施。ビード形状が均一・連続しているか、アンダーカット(母材表面に深さ0.5mm以上の溝)がないか、オーバーラップ(余盛が母材と一体化しているか)、割れ・ピット・スパッタの有無、というあたりを目視で確認します。

→ 「目で見て分かる欠陥」を100%排除。簡単だが、全数検査が原則。

②超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)

内部欠陥の検出に使う代表的な非破壊検査。適用は突合せ溶接・エンクローズ溶接、検出可能欠陥は内部割れ・融合不良・ブローホール、検査資格者はUT-1級または2級、というのが標準仕様。

→ 重要部位は 100%UT、一般部は 抜き取りUT(20〜30%)が指定されることが多い。

③引張試験

材料試験用の試験体を作って、実際の継手強度を確認。試験頻度はロットごとに3本程度、評価基準は継手等級ごとに規定された値を満たすこと、A級は母材引張強さ以上で母材破断することが望ましい、というのが基本ライン。

→ 引張試験は 「破壊試験」なので、本番の継手とは別の試験体で行うのが基本。

④曲げ試験

延性・靭性の確認。試験体を90度・180度曲げして割れの有無を見る形で、鉄筋の靭性が損なわれていないかをチェックします。

⑤検査記録の保管

施工管理として、溶接施工要領書(WPS)、施工者の資格証明、全数外観検査の結果、UT検査結果、引張・曲げ試験結果、ロット管理表、という記録を物件竣工後5年以上は保管します。

→ 後で 品質トラブルが起きたときに、これらの記録が 施工側の防御になります。

鉄筋の溶接に関する施工管理の注意点

施工管理者として 絶対に押さえるべきポイントを整理します。

①資格者による施工の徹底

鉄筋溶接は 資格者が施工するのが大原則。代表的な資格はJIS Z 3801(手溶接技能者)、JIS Z 3841(半自動溶接技能者)、日本鉄筋継手協会の認定資格、というあたり。

→ 無資格者の溶接は 継手強度の保証ができない。施工計画段階で 資格証明書を全員分揃えるのが基本。

②天候・環境条件の管理

屋外で鉄筋溶接するときは、降雨・降雪時は原則中止(水分は溶接欠陥の元凶)、風速5m/s超でシールドガスが飛ぶ、気温が氷点下では予熱が必須、高湿度は水素侵入で割れリスク、というあたりを管理します。

→ 朝礼で 「今日溶接できるか」を判断するのも施工管理者の役目。

③溶接前の準備

溶接前の準備としては、鉄筋の清浄(油・水・錆をワイヤーブラシで除去)、開先加工の確認(突合せ溶接は角度・ルートギャップが命)、位置決め(継手位置・芯ズレなし)、予熱(必要時は100〜150℃の母材温度を確保)、というあたりが基本動作。

→ 「溶接前準備で品質の8割が決まる」のは、鉄骨と同じ。

母材の話はこちらに整理しています。

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④溶接中の管理

溶接中の管理は、溶接電流・電圧が施工要領書通りか、溶接姿勢(下向き・横向き・立向きの難易度に応じた技量)、入熱量を抑えて母材への熱影響を最小化、多パス時のパス間温度管理、というあたりが要点。

→ 標準的な溶接条件は WPS(Welding Procedure Specification)に従う。

⑤施工後の確認

施工後は、ビード冷却後の目視検査、スラグの除去、マーキング(継手番号・施工者・日付)、UT検査の段取り、という流れで確認していきます。

→ 「マーキング=トレーサビリティ」。後で問題が出たときに どの継手が誰の施工かを遡れるようにする。

⑥よくある不具合

よくある不具合は、ピット・ブローホール(気孔=ガス溜まり。水分・油分由来)、アンダーカット(電流過大、運棒不良)、割れ(水素脆化、急冷)、融合不良(母材と溶接金属が一体化していない)、オーバーラップ(余盛が母材と接着不良)、というあたり。

→ どれも 施工計画と現場管理で予防可能。発生してから対策ではなく、事前にWPSで規定するのが鉄則。

鉄筋の強度・規格はこちらに整理しています。

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鉄筋の溶接に関する情報まとめ

  • 鉄筋の溶接とは:異形鉄筋を熱で溶融接合する継手工法
  • 3種類:フレア溶接(隅肉)、突合せ溶接(端面接合)、エンクローズ溶接(モールド使用)
  • ガス圧接との違い:溶接は溶融、ガス圧接は塑性流動。異径接合は溶接のみ
  • JIS規格:JIS Z 3112(鉄筋の突合せ溶接)。継手等級A/B/C
  • 検査体系:外観検査100%、UT検査、引張・曲げ試験
  • 施工管理の要点:資格者施工、天候管理、溶接前準備、WPS遵守、トレーサビリティ確保

以上が鉄筋の溶接に関する情報のまとめです。

鉄筋の溶接は 「他の継手で対応できない場面の救援役」として重要ですが、施工管理の難易度は4種類の継手の中で最も高い、と覚えてください。「資格者・天候・WPS・検査」の4ポイントを守れば、品質を確保できます。逆に、これらを軽視するとあっという間に欠陥が発生する繊細な工法です。設計図で「溶接継手」と指定があったら、まず 継手等級と検査範囲を確認するのが施工管理の第一歩ですね。

合わせて、鉄筋・継手・配筋関連のテーマをまとめてあるので、鉄筋溶接の理解を深める参考にしてください。

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