- 電柱と電信柱って何が違うの?
- 目の前のこの柱、電力会社のやつ?NTTのやつ?
- 電柱の長さって何mが標準なの?
- 根入れって、そもそも何の1/6なんだ?
- コンクリート柱ってどれくらい重いの?
- 電柱に付いてる機器の名前が分からない
- 電柱番号のプレートって何が書いてあるの?
- 敷地の電柱を動かしたいとき、誰に言えばいい?
上記の様な悩みを解決します。
結論から言うと、電柱は用途で3種類、材質で主に2種類に分かれ、長さは10m・12m・14m・16mが標準、根入れは全長の6分の1以上が原則です。今回はこの数字を軸に、目の前の柱が誰の資産でどの規格なのかを見分ける手順、電柱番号の読み方、離隔と建柱間隔、移設の窓口と費用負担までを、僕なりに整理しました。読み終えたときには、図面の柱を指して「これはこういう柱です」と自分の言葉で説明できるようになります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
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電柱とは?
電柱とは、結論「架空の電線やケーブルを、地上から一定の高さに支えておくために立てられた柱」のことです。
経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」(以下、電技解釈)では、この手の柱をまとめて架空電線路の支持物と呼んでいて、木柱・鉄筋コンクリート柱・鉄柱・鉄塔が横並びで規定されています。法令の側から見ると、電柱は支持物のうち柱状のものという位置づけなんです。柱そのものの役目は「電線を空中に保持する」ことだけで、変圧器や開閉器が載っているのは、支えるものが増えた結果に過ぎません。
で、最初に引っかかるのが呼び方だと思います。電柱、電力柱、電信柱と、現場では全部飛んできますからね。整理すると次の関係になります。
- 電力柱:高圧・低圧の配電線、つまり電気を配る線を支えている柱
- 電信柱:電話線や光ファイバなど、通信の線を支えている柱
- 電柱:上の2つをまとめた総称。現場ではほぼこの一語だけで会話が回る
ここで大事なのは、この呼び分けは言葉の整理でしかないという点です。「電信柱と言わないと間違い」みたいな話ではないので、覚え違いを気にする必要はありません。実務で効いてくるのは呼び名ではなく、その柱を誰が持っているかです。持ち主が変わると、申込先も、費用の出どころも、自分が触れる範囲も全部変わります。だから本記事では、種類の話をこの後すぐ所有者の話とセットで扱います。
電気設備全体の中でどこに位置する話なのかを俯瞰しておくと、頭に入りやすいです。

僕の感覚だと、電柱は「電気設備の中でいちばん目にする回数が多いのに、いちばん自分の管理外だと思い込みやすい設備」です。電力会社の領分だと決めつけて避けていると、引込や外構の段取りで毎回止まります。逆に、持ち主と規格の見分けがつくだけで、話が急に前に進むようになります。
電柱の種類と所有者(電力柱・電信柱・共用柱)
電柱を用途で分けると、電力柱・電信柱・共用柱の3つになります。そして施工管理として押さえるべきなのは、この3つが所有者の違いとほぼ一致していることです。
| 種類 | 支えているもの | 主な所有者 | 自分の工事でできること |
|---|---|---|---|
| 電力柱 | 高圧・低圧の配電線、柱上変圧器、引込線 | 一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドなど各エリアの送配電会社) | 触らない。離隔の確保と、所有者への申込・協議までが自分の範囲 |
| 電信柱 | 電話線、光ファイバ、CATVの線 | NTT東日本・NTT西日本などの通信事業者 | 触らない。通信事業者の窓口に申込・協議 |
| 共用柱(共架柱) | 配電線と通信線の両方 | どちらか一方が所有し、もう一方が共架している | 触らない。所有者と共架者の両方の調整が必要になる |
| 引込柱(私設柱) | 敷地内の引込線、計量器、開閉器 | 建物側の所有者(=発注者) | 自分たちの工事範囲。ただし責任分界点の位置を先に確認する |
共架というのは、他人が持っている柱に自分の線を添架させてもらう仕組みです。共用柱はこれが成立している柱で、たとえば電力会社の柱の下段をNTTが借りている、という形になります。だから共用柱で何かをしたいときは、所有者に話を通すだけでは終わりません。共架している側の線も一緒に動くので、その事業者の了解と工程が必要になります。「共架は取れてるの?」と聞かれて固まった経験がある人は、この二者調整の話だと理解すれば整理がつきます。
そして施工管理がいちばん混同しやすいのが、電力会社の電柱と引込柱(私設柱)の区別です。この2つは見た目が似ていても、資産としては完全に別物です。電力会社の柱は送配電会社の設備なので、こちらが図面に書いても勝手には動きません。一方の引込柱は建物側の資産なので、位置も本数も自分たちの設計判断で決められます。敷地の中に立っている柱でも、それが電力会社の柱なら自分の判断では動かせない、というのがここでのポイントですね。
所有者が変わると、自分の側で変わるのは次の3点です。
- 申込先:送配電会社か、通信事業者か、共架者を含む二者か、自分たちの設計判断か
- 費用の出どころ:他人の設備を動かす費用は原則こちら持ち、自分の設備なら工事費に載る
- 触れる範囲:他人の柱は離隔の確保と協議まで、自分の引込柱は施工そのものが範囲
責任分界点というのは、送配電会社の設備と需要家の設備の境目のことです。どこが境目かは受電方式で変わるので、契約と受電の考え方をセットで押さえておくと、引込柱まわりの判断が速くなります。

通信側の線が何を運んでいるのかは、こちらで補足しています。

個人的には、この章の表を頭に入れておくだけで現場での事故が一段減ると思っています。「この柱は誰のものか」を最初に確定させないまま外構や掘削の段取りを組むと、後から所有者協議が発生して工程が丸ごとずれます。図面を開いたら、柱の記号を見る前にプレートの所有者を見る、くらいの順番でいいです。
電柱の規格(材質・長さ・重量・A種とB種)
ここが本記事でいちばん数字が出てくる章です。図面に「14m」と書いてあるのが何を意味するのか、その柱が何kgあるのかまで一気に押さえます。
まず材質です。冒頭で「材質で主に2種類」と書いたのは、いま実際に立っている柱がコンクリート柱と鋼管柱のほぼ2択になっているからです。ただし法令上はもっと広く規定されていて、電技解釈は支持物として木柱・鉄筋コンクリート柱・鉄柱(鋼管柱または鋼板組立柱)・鉄塔を並べています。
- コンクリート柱:遠心力を使って成形した鉄筋コンクリート柱。配電で最も一般的
- 鋼管柱:鋼管を使った柱。軽くて運びやすく、狭い場所や山間部で使われる
- 鋼板組立柱:鋼板を組み立てて建てる柱。搬入経路が厳しい場所に向く
- 木柱:かつての標準。現在はほとんど残っていないが、法令上の規定は今も生きている
次に寸法です。配電用のコンクリート柱は、メーカーの公表仕様を見ると長さが10m・12m・14m・16mで揃っていて、末口径(細い側=先端の直径)は19cmと22cmが代表的な値になります。柱は根元に向かって太くなるテーパが付いていて、原則1/75です。75cm進むごとに直径が1cm太くなる、という割合ですね。
そして建柱車の能力を判断するときに要るのが質量です。ここは競合サイトでもほとんど数字が出てこないところなので、長さ別に並べておきます。
| 長さ | 参考質量 | 現場での目安 |
|---|---|---|
| 10m | 約690kg | 小型の建柱車でも扱える範囲 |
| 12m | 約850〜880kg | 引込や低圧の柱で多く見る長さ |
| 14m | 約1,240〜1,820kg | 設計荷重で幅が大きい。手配前に仕様の確認が必要 |
| 16m | 約2,170kg | 揚重も搬入も別扱いで計画する重さ |
質量はメーカーの公表仕様に基づく値で、同じ長さでも設計荷重の条件で変わります。14mで1,240kgと1,820kgの差が出るのは、そこが原因です。だから「14mだから何kg」と暗記するのではなく、長さと設計荷重の2つが揃って初めて重量が決まる、と覚えるのが正解です。手配の段階でメーカー仕様を1枚もらっておくと、揚重計画で迷わなくなります。
柱の呼び名は「長さ-末口径-ひび割れ試験荷重」で構成されます。この3つ目のひび割れ試験荷重が、その柱が頭部でどれだけの荷重に耐えるかを表す数字で、先ほどの質量の幅もここに連動します。
重量物の揚重は仮設計画の中で先に決めておきたい項目です。

最後に、混乱の元になっている「種」の話を片付けます。電柱には2系統の「種」があって、これがごちゃ混ぜに語られることがとても多いです。
| 分類軸 | 区分 | 何を分けているか |
|---|---|---|
| 電技解釈のA種/B種 | A種鉄筋コンクリート柱、B種鉄筋コンクリート柱 | 基礎の強度計算をするかどうか。A種は計算をせずに規定の根入れ深さを確保するもの、B種はそれ以外(計算を行うもの) |
| JIS A 5373のポール区分 | 1種ポール、2種ポール | 柱の形状と用途。1種はテーパ柱で送配電・通信・信号用、2種はノーテーパ柱で鉄道・軌道の電車線路用 |
つまりA種とB種は基礎の扱いの話、1種と2種は形状と用途の話で、まったく別の分類軸です。ここを混ぜると「A種の1種って何ですか」みたいな迷子になります。それぞれ独立した属性だと考えてください。
もう一つ大事な注意点として、JIS A 5373のポール区分は1種と2種の2つだけで、3種はありません。解説記事の中には3種があるように書いているものもありますが、規格を見ると存在しない区分です。試験勉強でも実務でも、ここは覚え間違えると恥ずかしいので押さえておきたいところです。
正直なところ、この章の内容は覚えるより「毎回メーカー仕様と電技解釈に当たる」姿勢の方が実務では効きます。数字は条件で動くので、暗記した1つの値を全現場に当てようとすると必ずどこかで外れます。
電柱に付いている機器と電柱番号の読み方
柱に何が付いているかを読めるようになると、その柱の性格が分かります。名前の羅列で終わらせず、「これが付いているなら、この柱はこういう柱だ」という読み取り方まで持っていきましょう。
| 機器・電線 | 何をしているもの | 見えたら分かること |
|---|---|---|
| 高圧配電線 | 柱の最上部に張られる6.6kVの配電線 | この柱は高圧の配電線路の上にある |
| 架空地線 | 高圧配電線のさらに上に張る裸線。雷を受けて大地へ逃がす | 雷害対策が施された区間である |
| がいし(碍子) | 電線を腕金に保持しながら絶縁する部品 | 電線の張り方(引通しか引留めか)の手がかりになる |
| 柱上変圧器 | 6.6kVを100V/200Vに落とす箱型の機器 | この柱の系統から低圧の需要家に配っている |
| 高圧カットアウト | 柱上変圧器の高圧側に入る開閉・保護器具 | 変圧器をここで切り離せる構成になっている |
| 低圧配電線 | 変圧器から出た100V/200Vを配る電線 | 一般の建物への供給がこの高さで走っている |
| 引込線 | 低圧配電線から各建物へ分岐する電線 | この柱に需要家の取付点がある |
| 区分開閉器 | 高圧受電の需要家の受電点に置き、構内事故を切り離す | この先に高圧受電の施設(キュービクル)がある |
読み取りのコツは、上から順に見ることです。最上部に3条の電線が走っていて、その上に細い線が1条乗っていれば高圧の配電線路と架空地線です。中ほどに箱型の柱上変圧器と高圧カットアウトが載っていれば、この柱で高圧から低圧に落としていることになるので、周辺の建物はこの柱の系統から電気をもらっています。逆に変圧器が無く低圧配電線だけが通っている柱なら、その柱は配るだけの中継です。
区分開閉器が載っている柱は特に意味が大きくて、その先に高圧受電の施設があることを示しています。自分の現場が高圧受電なら、受電点の柱がどれかを最初に確認しておきたいところです。

柱上変圧器の外箱や避雷器のような高圧機器の接地は、接地工事の種別で言うとA種にあたります。種別の考え方はこちらで整理しています。

引込線から先、建物側に入った低圧の主回路がどう配られるかは盤の中の話になります。

さて、電柱番号のプレートです。柱には金属や樹脂の小さな板が付いていて、そこに所有者と柱の識別情報が書かれています。ここから読み取って役に立つのは、次の3つです。
- 所有者:社名やマークで、電力会社の柱なのか通信事業者の柱なのかが分かる
- 柱の識別名:地区名と番号の組み合わせで、電話口で「どの柱の話か」を一発で共有できる
- 設置年など付随情報:柱の世代の目安になる
注意したいのは、番号の付け方に全国共通のルールがあるわけではないことです。書式や桁数は所有者ごとに決められていて、電力柱と通信柱ではプレートの形自体も違います。だから桁の意味を暗記しようとしなくていいです。実務で必要なのは「所有者が読める」ことと「識別名を正確に写せる」ことの2点だけで、この2つが押さえられていれば申込も問い合わせも通ります。
実務だと、現場に着いたらまず対象の柱のプレートをスマホで撮っておく、というのが一番効きます。後で申込書を書くときに、社名も番号も写真1枚で片付きます。
電柱の根入れと支線
根入れは「何の1/6なのか」でつまずく人が多いところです。ここを条文で確定させておきます。
結論として、根入れは全長の1/6以上です。全長というのは地上に出ている高さではなく、柱そのものの長さ、つまり地上高と埋設長を足した値です。14mの柱なら14mの1/6なので、約2.33m埋めることになります。地上高14mだと思って計算すると値がずれるので、ここは押さえておきたいポイントですね。
数値の根拠は電技解釈にあります。A種鉄筋コンクリート柱の根入れ深さは、第59条第2項第二号(59-3表)で設計荷重と全長の組み合わせごとに決まっています。
| 設計荷重 | 全長 | 根入れ深さ |
|---|---|---|
| 6.87kN以下 | 15m以下 | 全長の1/6 |
| 6.87kN以下 | 15mを超え16m以下 | 2.5m |
| 6.87kN以下 | 16mを超え20m以下 | 2.8m |
| 6.87kNを超え9.81kN以下 | 14m以上15m以下 | 全長の1/6に0.3mを加えた値 |
| 6.87kNを超え9.81kN以下 | 15mを超え20m以下 | 2.8m |
| 9.81kNを超え14.72kN以下 | 14m以上15m以下 | 全長の1/6に0.5mを加えた値 |
| 9.81kNを超え14.72kN以下 | 15mを超え18m以下 | 3m |
| 9.81kNを超え14.72kN以下 | 18mを超え20m以下 | 3.2m |
表を見ると分かるように、「全長の1/6」は設計荷重が6.87kN以下で全長15m以下のときの値です。荷重が上がれば1/6に0.3mや0.5mを足すことになり、15mを超えれば2.5m・2.8m・3m・3.2mと固定値に切り替わります。だから「電柱の根入れは全長の1/6」という言い方は、いちばん一般的なケースを指した表現だと理解しておくのが正確です。
木柱については、電技解釈 第60条第1項第一号に書かれています。ここは支持物の基礎の安全率を定めた条文で、木柱を全長15m以下なら根入れを全長の1/6以上、全長15mを超えるなら根入れを2.5m以上として施設する場合は、安全率の規定によらないことができるという構成になっています。A種鉄筋コンクリート柱とA種鉄柱も同じく、この安全率の例外として並んでいます。要するにA種というのは、基礎の強度計算をやらない代わりに規定の根入れを確保する柱のことなんです。前章のA種とB種の違いが、ここでつながります。
地盤が弱い場所の扱いも条文にあります。水田その他地盤が軟弱な箇所では、A種鉄筋コンクリート柱は設計荷重を6.87kN以下・全長を16m以下とし、特に堅ろうな根かせを施すことと決められています(電技解釈 第59条第2項第三号)。根かせというのは、埋設部に取り付けて土との支持面積を稼ぐ部材です。柔らかい地盤では根入れを深くするだけでは足りず、条件を絞ったうえで根かせで持たせる、という考え方ですね。
埋設深さそのものの考え方は、こちらでもう少し掘り下げています。

次に支線です。支線を張るのは、柱に一方向へ引っ張る力が残るときです。電技解釈 第62条は、高圧・特別高圧の架空電線路で木柱・A種鉄筋コンクリート柱・A種鉄柱を使う場合について、支線を施設すべき場面を挙げています。
- 電線路の水平角度が5度以下でも、その柱の両側の径間の差が大きい場合は、径間差による不平均張力の水平力に耐える支線を、電線路に平行な方向の両側に設ける
- 電線路の水平角度が5度を超える箇所の柱は、各架渉線の想定最大張力による水平横分力に耐える支線を設ける
- 全架渉線を引き留める箇所の柱は、想定最大張力に等しい不平均張力の水平力に耐える支線を、電線路の方向に設ける
- 直線が連続する区間で連鎖的に倒壊するおそれがある場合は、16基以下ごとに電線路と平行な方向の両側、5基以下ごとに直角方向の両側に支線を設ける(第70条第3項)
角度点と末端に支線が立っているのは、この2番目と3番目の規定に対応しています。まっすぐな区間の途中に突然支線が現れるのは、径間差が大きい柱か、連鎖倒壊防止の区間だと考えると読めます。
支線そのものの仕様も第61条で決まっていて、引張強さは10.7kN以上(第62条および第70条第3項による支線は6.46kN以上)、安全率は2.5以上(同じく1.5以上)です。より線を使うときは素線を3条以上より合わせ、素線は直径2mm以上かつ引張強さ0.69kN/mm2以上の金属線とすることになっています。道路を横断して張る支線の高さは路面上5m以上で、やむを得ず交通に支障がない場合は4.5m以上、歩行専用の部分では2.5m以上まで下げられます。
現場目線で言えば、支線は「邪魔な斜めの線」ではなく「この柱には片側に力が残っている」というサインです。支線の根かせの位置は掘削と干渉しやすいので、外構や配管ルートを引くときは柱本体だけでなく支線の足元まで見ておくと手戻りが減ります。
電柱の離隔距離と建柱間隔
この章は、法令が決めている値と実務でよく言われる値を分けて示します。ここを混ぜて覚えると、現場で根拠を聞かれたときに答えられなくなります。
まず建柱間隔です。街中の電柱はおおむね30〜50m程度の間隔で立っていますが、これは実務上の目安で、法令がこの数字を定めているわけではありません。法令が定めているのは径間の上限、つまり「これ以上は飛ばしてはいけない」という値です。高圧・特別高圧の架空電線路の径間は電技解釈 第63条(63-1表)で決まっています。
| 支持物の種類 | 径間(長径間工事以外の箇所) | 長径間工事箇所 |
|---|---|---|
| 木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱 | 150m以下 | 300m以下 |
| B種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱 | 250m以下 | 500m以下 |
| 鉄塔(使用電圧170,000V未満) | 600m以下 | 制限無し |
| 鉄塔(使用電圧170,000V以上) | 800m以下 | 制限無し |
保安上の配慮が必要な区間では、この上限がさらに絞られます。高圧保安工事として施設する場合の径間は、木柱・A種鉄筋コンクリート柱・A種鉄柱が100m以下、B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄柱が150m以下、鉄塔が400m以下です(電技解釈 第70条第2項・70-2表)。
つまり、A種の柱で150m以下という上限に対して、街中の30〜50mは相当な余裕をとった数字だということになります。実際の間隔は上限で決まるのではなく、供給する需要家の位置、変圧器を置く場所、道路の形、離隔の確保といった条件の積み上げで決まっています。「30〜50mと決まっている」と言い切らず、「法令の上限はA種で150m以下、実際は30〜50m程度」と分けて言えると、根拠のある説明になります。
次に離隔距離です。低圧・高圧の架空電線と建造物の造営材との離隔距離は、電技解釈 第71条(71-1表)に電線の種類と部位ごとに定められています。
| 架空電線の種類 | 区分 | 離隔距離 |
|---|---|---|
| ケーブル | 上部造営材の上方 | 1m |
| ケーブル | その他 | 0.4m |
| 高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線を使用する低圧架空電線 | 上部造営材の上方 | 1m |
| 高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線を使用する低圧架空電線 | その他 | 0.4m |
| その他 | 上部造営材の上方 | 2m |
| その他 | 人が建造物の外へ手を伸ばす又は身を乗り出すことなどができない部分 | 0.8m |
| その他 | その他 | 1.2m |
電線が建造物の下方に接近する場合は同条の71-2表で、低圧は高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線・ケーブルが0.3m、その他が0.6m、高圧はケーブルが0.4m、その他が0.8mと定められています。道路と接近する場合は第72条で、水平離隔距離を低圧は1m以上・高圧は1.2m以上とするか、離隔距離を3m以上とすることになっています。
表を使うときに気をつけたいのは、どの行を読むかが3つの条件で決まる点です。
- 電線の種類(ケーブルか、絶縁電線か、その他の裸線か)
- 使用電圧の区分(低圧か高圧か)
- 対象の部位(上部造営材の上方か、手を伸ばせない部分か、その他か)
この3つを埋めないと行が決まらないので、現地で「近いか遠いか」を目で判断せず、まず電線の種類を所有者に確認するのが順序としては先になります。
電線の高さ(地上高)も同じく数値で決まっていて、電技解釈 第68条(68-1表)が根拠です。
| 区分 | 高さ |
|---|---|
| 道路を横断する場合(車両の往来がまれなもの、歩行専用部分を除く) | 路面上6m |
| 鉄道又は軌道を横断する場合 | レール面上5.5m |
| 低圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 | 横断歩道橋の路面上3m |
| 高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 | 横断歩道橋の路面上3.5m |
| 低圧架空電線を道路以外の場所に施設する場合 | 地表上4m |
| その他の場合 | 地表上5m |
足場や重機を計画するときに効いてくるのは、この地上高と離隔の組み合わせです。既設の電線に対してこちらの構台や外壁がどこまで寄れるかを判断する場面では、電線の種類が何かを所有者に確認するのが先になります。同じ位置でもケーブルなら0.4m、裸線なら1.2mと3倍違うので、種類を勘で決めると数字がまるごと変わってしまいます。
最後に掘削です。「電柱の近くをどこまで掘っていいか」を距離で書いた条文はありません。電技解釈 第60条は支持物の基礎の安全率を求めている条文なので、掘削の位置は数値ではなく「基礎が効いている状態を崩さないこと」で判断することになります。根入れと根かせ、それに支線の根かせが埋まっている範囲を崩す掘削は、所有者との協議が前提です。個人的には、柱の近くで掘る計画が出た時点で、掘削図を持って所轄の送配電会社へ相談に行くのが唯一の正解だと思っています。事後に「もう掘りました」で持っていくと、最悪は仮支持や仮移設で工程が飛びます。
埋設物の土かぶりの考え方はこちらで整理しています。

電柱を移設したいときの手続きと費用負担
ここが本記事で一番手薄になりやすい範囲です。競合の解説記事は種類と規格までで終わっていて、「じゃあ誰に何を言えばいいのか」が書かれていません。順番で並べます。
| 手順 | やること | 相手 |
|---|---|---|
| 1 | 柱のプレートを見て所有者を確定する | 自分 |
| 2 | 所有者の申込窓口に移設の相談を入れる | 送配電会社/通信事業者 |
| 3 | 移設先を現地で詰める(道路占用、離隔、支線の位置、他の埋設物) | 所有者、道路管理者 |
| 4 | 費用負担の考え方と見積の確認 | 所有者 |
| 5 | 工事日程を決める(停電の有無、近隣周知) | 所有者、発注者、近隣 |
まず相談先は柱の所有者です。ここは各社の案内でも明確になっていて、東京電力パワーグリッドは自社所有の電柱について「設備改修(電柱移設等)のお申込み」の窓口を用意しています。一方で関西電力送配電は、自社以外が所有している電柱の移設申込は電柱所有者へ連絡するように案内しています。中部電力パワーグリッドも同様に、NTTなど自社柱以外の場合は当該物件の所有者へという案内です。つまり「電力会社に言えばだいたい何とかなる」ではなく、持ち主を間違えると入口で止まります。
共用柱は、ここに一段手間が増えます。柱の所有者に申込を入れても、共架している通信事業者の線が一緒に動くので、その事業者の了解と工程が必要になります。所有者側で調整してくれる範囲と、こちらから別途申込を入れる範囲が事業者によって違うので、最初の相談時に「共架者は誰で、その調整は誰がやるのか」を確認しておくのが安全です。
道路上の柱には、もう一つ道路占用という話が付いてきます。道路に柱を立てておくこと自体が占用の許可を受けた状態なので、位置を変えるなら道路管理者側の手続きも動きます。移設先の候補を自分たちだけで決めても、占用の許可が下りなければ成立しません。だから手順3の現地協議には、所有者と道路管理者の両方が絡むという前提で工程を組んでおきます。
費用の考え方は、原則として移設を求めた側の負担です。各社の案内でも、移設に伴って自社設備の改修が必要になった場合の費用は申込者の負担になる旨が示されています(中部電力パワーグリッドは移設にあたって費用負担をお願いする場合があると案内、東京電力パワーグリッドは共架にともなう自社設備の改修工事費を全額申込者負担と案内)。公共事業に伴う移設については、関西電力送配電が公共補償基準要綱に基づく機能回復の考え方を示しています。金額は柱の種類、移設距離、電線や共架物の量、停電を伴うかどうかで大きく変わるので、この記事で相場を書くことはしません。窓口で見積を取るのが唯一の確定手段です。
期間も同じで、標準日数のような形では言えません。ただ、所有者の設計・現地協議・道路占用・停電調整が直列で並ぶ以上、思ったより時間がかかる種類の手続きだという感覚は持っておいた方がいいです。工程表を引く段階で移設が視野に入っているなら、着工までの余裕を先に確保しておくのが現実的です。
申込前に手元に揃えておくと話が速く進むものを挙げておきます。
- 対象の柱のプレート写真(所有者と識別名が読めるもの)
- 現況と移設希望位置を入れた配置図
- 移設が必要な理由(建物位置、車両の動線、外構計画など)
- 希望する時期と、動かせない工程の日付
最後に、柱そのものへの作業についてです。昇柱して電線や機器に触る作業は所有者側の領分で、こちらが勝手に登ったり動かしたりする範囲ではありません。敷地の中に立っている電力会社の柱でも同じで、自分の土地だからという理由で触れるものではないです。自分たちの工事範囲は責任分界点から建物側で、そこから先の申込と協議が施工管理の仕事になります。
電気工事を請け負う側の枠組みそのものは、こちらで整理しています。

僕としては、この章の内容が本記事で一番使う頻度が高いと思っています。規格の数値は調べれば出てきますが、「誰に何をどの順番で持っていくか」は経験でしか身につかないところで、それが原因で工程が飛ぶ現場が実際にあります。順番だけでも頭に入れておけば、初めての移設でも動けるはずです。
電柱に関する情報まとめ
- 電柱とは:架空の電線を地上から一定の高さに支えるための柱。法令上は架空電線路の支持物の一種
- 種類と所有者:電力柱は送配電会社、電信柱は通信事業者、共用柱は所有者と共架者の二者、引込柱は建物側の資産
- 規格(材質):いま立っているのはコンクリート柱と鋼管柱がほぼ2択。法令上は木柱・鉄筋コンクリート柱・鉄柱・鉄塔が規定されている
- 規格(寸法・質量):長さは10m・12m・14m・16m、末口径19cmと22cmが代表、テーパは原則1/75。質量は10mで約690kg、16mで約2,170kg
- A種とB種/1種と2種:A種・B種は基礎の強度計算をするかどうかの区分、1種・2種ポールはJIS A 5373の形状と用途の区分で別軸。3種は存在しない
- 付属機器と番号:柱上変圧器と高圧カットアウトがあれば高圧から低圧に落としている柱、区分開閉器があればその先に高圧受電の施設がある。プレートは所有者と識別名の2つが読めれば十分
- 根入れと支線:根入れは全長の1/6以上が原則(電技解釈 第59条第2項・第60条第1項)。支線は径間差の大きい柱、水平角度5度超、引留め箇所に必要(第62条)
- 離隔と建柱間隔:径間の法令上限はA種で150m以下・B種で250m以下(第63条)、実際の建柱間隔はおおむね30〜50m。建造物との離隔は第71条、地上高は第68条
- 移設:相談先は柱の所有者。費用は原則として移設を求めた側の負担で、金額と期間は窓口で確認するしかない
以上が電柱に関する情報のまとめです。
なお、電柱そのものを減らす無電柱化も国土交通省が推進計画に沿って進めていて、都市部の幹線道路などでは電線を地中化した区間が増えています。とはいえ全国の配電網の大半は今も架空配線なので、施工管理として電柱と付き合う機会がなくなるという話ではありません。
一通り電柱の基礎知識は網羅できたかなと思います。最後に判断の順序だけ繰り返しておくと、電柱の話は必ず持ち主の確認から入ってください。長さや根入れの数値は後から調べれば分かりますが、持ち主を間違えたまま進めた段取りは、丸ごとやり直しになります。柱を見たらプレート、これを癖にするだけで現場の詰まりが目に見えて減るはずです。
設備・電気の知識は職種を変えずに条件を上げやすい強みになります。年収・拘束時間・職種のどれを変えたいかで選ぶ形にまとめています。

次の一歩:電柱まわりの知識を資格につなげる
ここまで見てきた根入れや離隔の考え方は、そのまま第一種電気工事士や電験三種で問われる架空配電の範囲です。現場で覚えた知識がそのまま得点になりやすい分野なので、電気系に強い能センと、施工管理技士向けの独学サポート事務局を並べて比べておきます。
| 講座 | 主な対象 | この記事の読者との相性 |
|---|---|---|
| 能セン | 第一種・第二種電気工事士、電験三種などの電気系国家資格 | 架空配電・離隔・根入れがそのまま試験範囲。電気工事の実務者向け |
| 独学サポート事務局 | 1級・2級 施工管理技士(施工管理全般) | 電柱を含む屋外設備の施工管理を続けるなら次の資格。経験記述の対策が中心 |
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