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隅肉溶接とは?サイズ、脚長、突合せとの違い、記号の読み方など

  • 隅肉溶接ってなに?
  • サイズと脚長ってどう違うの?
  • 突合せ溶接とどう違うの?
  • 図面の溶接記号はどう読むの?
  • 強度の計算ってどうやるの?
  • 検査ではなにを見るの?

      上記の様な悩みを解決します。

      隅肉溶接は鉄骨工事で最も多く出てくる溶接の種類で、現場で「サイズ6で隅肉だね」みたいな指示が飛んでくるんですが、サイズと脚長の違いが分かっていないと図面が読めなくなるんですよね。記号の読み方と検査ポイントを押さえておけば、現場での指示も腹落ちしやすくなります。

      なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

      それではいってみましょう!

      目次

      隅肉溶接とは?

      隅肉溶接とは、結論「直交または角度をつけて重ねた2枚の鋼材の隅(コーナー)に、肉を盛って接合する溶接」のことです。英語では fillet weld(フィレットウェルド)と呼びます。

      例えばL字に組んだ2枚の鋼板、Tの字に交差させたフランジとウェブ、平鋼と角鋼の取り合いなど、「角ができる接合部」に三角形のビードを盛って固定するイメージですね。

      特徴を整理すると:

      • 開先加工が不要:突合せ溶接と違って、母材に開先(V字や K字の溝)を取らなくていい
      • 施工が比較的容易:開先加工分の手間がなく、現場でも工場でも対応しやすい
      • コストが安い:開先加工費・溶接金属量ともに少なくて済む
      • 強度はやや劣る:母材を貫通させる突合せ溶接よりは強度が出にくい

      鉄骨造の柱梁接合部、ブレース取付、ベースプレートと柱の接合、デッキプレート用受材など、現場ではあらゆる場所で使われています。鉄骨工事全体での溶接の位置づけはhttps://seko-kanri.com/diaphragm/ の鉄骨梁接合部の記事もあわせて読むと感覚がつかめます。

      隅肉溶接の「サイズ」と「脚長」の違い

      ここが隅肉溶接で最も混同しやすいポイントです。図解できれば一発なんですが、文字でも丁寧に解説します。

      脚長(きゃくちょう、Leg Length)

      ビードの三角形の「2辺の長さ」のこと。直角に交わる2枚の鋼板に隅肉を盛ると、ビードの断面は直角二等辺三角形になります。その「直角を挟む2辺」の長さが脚長。

      サイズ(Weld Size)

      JIS Z 3021 で「2つの脚長のうち、短い方の長さ」と定義されています。等脚(脚長が両方とも等しい)の場合は脚長=サイズですが、不等脚の場合は短い方をサイズとして扱います。

      のど厚(Throat Thickness)

      ビード断面の三角形の「内接する高さ」のこと。サイズSの等脚隅肉なら、のど厚は約0.7×S(数学的にはS/√2)。強度計算では、こののど厚が「実際に荷重を伝える有効断面」として使われます。

      ざっくり数値感を表にすると:

      サイズ S 脚長(等脚) のど厚 a 用途の目安
      4 4mm 約2.8mm 小規模な軽量鉄骨、ブラケット類
      6 6mm 約4.2mm 一般的な鉄骨ブレース、梁取付
      8 8mm 約5.6mm 重量鉄骨の柱梁接合部
      10 10mm 約7.0mm 高荷重部材、橋梁
      12 12mm 約8.5mm 大スパン構造、産業設備

      設計図に「△6」と書いてあれば、サイズ6mmの隅肉溶接、つまり脚長6mmで盛ってね、という指示。サイズ6は鉄骨工事ではかなり頻出なので、まず覚えてしまうと現場対応が楽になります。

      ちなみに、サイズには上限があって、「母材の薄い方の板厚以下」が原則。10mm板に対してサイズ12を盛ると、過剰溶接で母材が変形・焼け落ちするリスクがあるので、設計でサイズが板厚を超えないかは要注意ポイントです。

      隅肉溶接と突合せ溶接の違い

      隅肉と並んでよく出てくるのが「突合せ溶接(バット溶接、開先溶接)」。両者の違いを表で整理します。

      項目 隅肉溶接 突合せ溶接
      接合部の形 直交・重ね合わせ 端面同士を突き合わせ
      開先加工 不要 必要(V、X、Kなど)
      強度 のど厚で決まる(母材より劣ることが多い) 完全溶け込みなら母材同等
      施工性 比較的容易 開先精度・パス数管理が必要
      検査 外観・浸透探傷が中心 超音波探傷(UT)で内部検査
      コスト 低い 高い

      簡単に言うと「強度が必要なら突合せ、コストと施工性なら隅肉」。一般的な鉄骨造建物では、柱梁の主要接合部は突合せ完全溶け込み+スカラップなどの開先加工で施工し、ブラケットやフランジ補強リブなど二次的な接合は隅肉で済ます、という使い分けが標準です。

      ダイヤフラム周りの溶接についてはhttps://seko-kanri.com/diaphragm/ で詳しく扱っているので、突合せ溶接の感覚はそちらも参考に。

      溶接記号の読み方

      JIS Z 3021 の溶接記号は、最初は呪文に見えますが構造を理解すれば読めます。隅肉溶接の代表的な書き方を解説します。

      基本構成

      • 基線:水平に引かれた線
      • 矢印:溶接位置を示す
      • 記号:基線の上下に配置(▷や△など)
      • 数字:サイズ、長さ、ピッチを表す

      隅肉溶接の記号は△(基本)または▽(裏側を示す位置)

      • 基線の下側に△:矢印側で溶接(手前側)
      • 基線の上側に▽:矢印反対側で溶接(裏側)
      • 基線の上下両方に△▽:両側溶接

      数字の意味

      • 記号の前の数字:サイズ(mm)
      • 記号の後の数字(()内):溶接長さ−ピッチ(断続溶接の場合)

      具体例:

      • △6:サイズ6mmの全周連続隅肉溶接(矢印側)
      • △6 50-150:サイズ6mm、長さ50mm、ピッチ150mmの断続隅肉溶接
      • △6▽6:両側にサイズ6mmの隅肉
      • ○ △6:全周(all-around)にサイズ6mmの隅肉

      「全周連続」は基線の交点に小さな丸(フラッグ)を入れて示します。一見複雑ですが、実務でよく出るのは「△数字+全周」のパターンと、断続溶接の「数字-数字」パターンの2つくらい。これさえ読めれば、現場の図面の8割はカバーできます。

      隅肉溶接の強度計算

      実務で全部自分で計算する場面は少ないですが、感覚として知っておくと現場判断に役立ちます。

      有効断面積

      隅肉溶接の強度を支えるのは「のど厚 × 溶接長」の有効断面積。サイズ6×全長300mmなら、のど厚=4.2mm、有効断面積=4.2×300=1,260mm²。

      せん断応力度の計算

      許容せん断応力度を fs(例:90N/mm²)とすると、長期許容せん断耐力 Q は:

      Q = fs × のど厚 × 溶接長 = 90 × 4.2 × 300 = 113,400N = 約113kN

      つまり、サイズ6×長さ300mmの隅肉なら、長期せん断で113kNまで耐えられる、という感覚。

      端部の処理

      実務では、有効長さは「全長 − 2×サイズ」として計算するのが安全側。これは溶接の始点・終点(クレーター部)が品質的に弱いため、有効長から差し引く考え方です。

      サイズの最小・最大

      JASS6(鉄骨工事標準仕様書)では、隅肉溶接のサイズは以下のように規定されています。

      • 最小サイズ:母材厚さに応じて4〜6mmが下限
      • 最大サイズ:薄い方の母材厚さ以下

      設計図に書かれているサイズはこの範囲で構造設計者が決めているので、施工管理としては「設計通りに盛る」ことが基本ですね。

      隅肉溶接の検査

      隅肉溶接の検査は、外観検査が中心です。突合せのような超音波探傷(UT)は、内部欠陥を見たい突合せが主で、隅肉では原則使いません。代わりに浸透探傷(PT)や磁粉探傷(MT)で表面欠陥を確認することがあります。

      外観検査でチェックする項目

      • ビード形状の均一性(脚長が安定しているか)
      • アンダーカット(母材が掘れて段差になる)の有無
      • オーバーラップ(ビードが母材に乗り上げる)の有無
      • 余盛り高さ(盛りすぎていないか)
      • 始点・終点のクレーター処理
      • ピット(小さな穴)・割れ・スラグ巻込み
      • ビード表面の艶(黒く焼けすぎは入熱過大の疑い)

      測定器具

      • 溶接ゲージ(ファイバーゲージ、ブリッジゲージ):脚長・のど厚・余盛りを測る
      • スケール:溶接長さ・ピッチを測る
      • ルーペ・拡大鏡:割れ・ピット確認
      • 浸透探傷剤:表面欠陥の確認

      JASS6 では、外観検査の合否基準として、サイズの不足は -0.5mm 以内、アンダーカットは深さ1mm以内、ピットは1m当たり3個以内など、具体的な数値基準が定められています。検査記録は溶接箇所ごとに残し、不合格があれば是正→再検査の流れ。

      是正方法は不良の種類によって変わりますが、サイズ不足なら追加溶接、アンダーカット過大なら盛り直し、割れがあれば該当部をハツって再溶接するのが標準。割れに関しては「絶対に上から盛らない」のが鉄則で、必ず一度除去してから再施工です。

      隅肉溶接で詰まりやすいポイント

      現場で起きやすいトラブルとその対処をまとめます。

      1. ルートギャップが空きすぎ

      母材同士の隙間(ルートギャップ)が2mm以上空いていると、サイズ通り盛っても有効断面が確保できません。組立精度の問題なので、組立段階での精度確認が肝。隙間がある場合は、サイズを大きくするか、別途裏当て金で対応する判断が必要。

      2. 全周指示なのに途切れる

      「全周連続」と書いてあるのに、現場で塗装の干渉を避けるために部分的に飛ばしてしまうケース。これは構造設計上のNG。塗装範囲は溶接後に決まるので、溶接段階では指示通り全周盛ること。

      3. 入熱過大による焼け落ち

      薄板にサイズの大きい隅肉を一気に盛ると、母材が焼け落ちて穴が空きます。「サイズ≦母材薄板厚」を守るのは基本ですが、ガス流量・電流・速度の調整も必要。入熱の目安は溶接施工要領書に書かれているので、要確認。

      4. クレーター処理の省略

      ビードの終点(クレーター)は、放っておくと割れの起点になります。終点でアークを止める前に、少しビードを盛り増す(クレーター処理)か、終点を母材外に逃がす設計にする。これも僕が現場で先輩に「クレーター割れだけは絶対残すな」と何度も言われた箇所で、検査で必ず指摘される項目です。

      5. 風による品質低下

      屋外現場では風が3m/s以上吹くと、シールドガス(CO2溶接の場合)が流れてしまい、ブローホールやポロシティの原因になります。風よけの仮囲いを設けるか、風が止むタイミングで施工。

      隅肉溶接に関する情報まとめ

      • 隅肉溶接とは:直交・重ね合わせの隅に三角形ビードを盛る溶接
      • サイズと脚長の違い:脚長=ビードの2辺の長さ、サイズ=短い方の脚長
      • のど厚:等脚なら約0.7×サイズ。強度計算の有効断面
      • 突合せとの違い:開先不要、コスト低、強度はやや劣る、検査は外観中心
      • 記号:△(手前)▽(裏)、サイズは記号前の数字、断続なら長さ-ピッチ
      • 検査:外観検査主体、サイズ・アンダーカット・余盛り・割れを溶接ゲージで確認

      以上が隅肉溶接に関する情報のまとめです。

      隅肉溶接は鉄骨造で最も使用頻度の高い接合方法なので、図面の記号と現場の納まりを正確に読み解けるかが、施工管理としての立ち回りに直結します。サイズ・脚長・のど厚の関係をまず体に入れて、検査基準を一緒に押さえておくと、現場での品質管理がぐっと楽になります。

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