- 講座に金を払わないと受からないのか
- 独学だと、自分の答案が合っているかを誰が見てくれるんだ
- 応用能力って何だ。普通の問題と何が違う
- 89問も出るのか。全部やらないといけないのか
- 過去問は何年分やればいいのか
- 参考書のおすすめ記事ばかりで、結局どれを何冊買うのか決まらない
- 現場から帰ってからの時間で足りるのか
- 一次だけ先に受かっておくのはアリなのか
- 二次の経験記述は独学で埋まるのか
- 前回落ちたが、何が足りなかったのか自分で分からない
上記の様な悩みを解決します。
1級電気工事施工管理技士の第一次検定は、89問が出題されて解答するのは60問、各問1点の60点満点という形で公表されています。合格基準は事前に2つ示されていて、全体で60%以上、そして施工管理法(応用能力)で50%以上。令和8年度に確定した基準は100点換算で60.0点、施工管理法(応用能力)は6問中3問以上でした。全体で基準を超えていても応用能力だけで落ちる作りになっていて、独学でつまずくのは勉強量より先に、この構造を知らないまま過去問を回してしまう点なんですよね。今回は出題と解答の内訳・2つの合格基準・公表される資料の範囲といった基本を押さえた上で、講座を運営する側が書いた記事では踏み込まれない「〔No.55〕〜〔No.60〕の6問だけに別の合格基準がかかること」「成績通知に、応用能力だけが足りないときの専用の書き方があること」まで、施工管理の目線で整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、独学で受けるか講座を取るかで迷っている方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
独学の設計図は、89問ではなく解答する60問の側から引く
「89問も出るのか。全部やらないといけないのか」という不安と、「過去問は何年分やればいいのか」という問いは、どちらも同じところから出てきます。自分がどこまで手を広げれば終わりなのかが、数で決まっていないからです。参考書の目次を先に開くと、この状態はいつまでも解消しません。
先に押さえるのは出題数と解答数のほうです。令和8年度の第一次検定は、午前と午後を合わせて89問が出題され、解答するのは60問です(出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定問題(午前の部・午後の部)」表紙の注意事項)。配点は各問1点で60点満点と公表されています(出典:同「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定 正答肢」)。
問題番号ごとの指定は、次のように分かれています。
| 区分 | 問題番号 | 出題 | 解答 | 解答しない数 |
|---|---|---|---|---|
| 午前 | No.1〜No.6 | 6問 | 6問(全問) | 0問 |
| 午前 | No.7〜No.12 | 6問 | 4問(選択) | 2問 |
| 午前 | No.13〜No.44 | 32問 | 14問(選択) | 18問 |
| 午前 | No.45〜No.52 | 8問 | 5問(選択) | 3問 |
| 午前 | No.53・No.54 | 2問 | 2問(全問) | 0問 |
| 午後 | No.55〜No.60 | 6問 | 6問(全問) | 0問 |
| 午後 | No.61〜No.67 | 7問 | 7問(全問) | 0問 |
| 午後 | No.68〜No.76 | 9問 | 6問(選択) | 3問 |
| 午後 | No.77〜No.89 | 13問 | 10問(選択) | 3問 |
| 合計 | ― | 89問 | 60問 | 29問 |
出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定問題(午前の部・午後の部)」表紙の注意事項
右端の列を足すと29問。ここは自分が解答しなくてよい問題です。ただし解答用紙には、選択しなかった問題の解答欄も並んでいます。指定された数を超えてマークすると減点になり、消し方が十分でないために指定数を超えた解答とみなされた場合も同じ扱いです(出典:同表紙の注意事項4・7)。外すというのは「マークしない」ことであって、「欄が無い」ことではありません。89問という総数を見て身構えるのと、60問を埋める作業だと捉えるのとでは、同じ試験でも見え方がまったく変わります。独学で最初にやるのは、この29問を数えて自分の側に置き直すところからです。
外せる29問は均等に散っていない
もう一段だけ細かく見ておきたいのが、29問の偏り方です。No.13〜No.44のブロックだけで18問。29問のうち6割以上が、この1ブロックに集まっています。残りは2問・3問・3問・3問と小さく分かれているだけです。
つまり「解答しなくてよい範囲」は全体に薄く広がっているのではなく、特定の1ブロックに固まっている構造になっています。32問出題されて解答するのは14問なので、このブロックは半分以上を外せる計算です。逆にそれ以外のブロックでは、外せてもせいぜい2問から3問しかありません。
そして外せる数はブロックごとに閉じています。No.13〜No.44で全問解いたからといって、別のブロックで余分に外せるようになるわけではない。ここを取り違えると、「苦手な範囲を丸ごと飛ばす」という計画が途中で破綻します。
なお午後のNo.55〜No.60の6問は「施工管理法の応用能力問題」と表紙に明記されていて、この6問だけには全体とは別の合格基準がかかります。詳しくは次の見出しで扱います。
全問解答のブロックが21問ある
もうひとつの見方として、全問解答を指定されているブロックを足すと21問になります。No.1〜No.6、No.53・No.54、No.55〜No.60、No.61〜No.67の4つです。ここは選択の余地がないので、得意か苦手かにかかわらず解答することになります。
60問の内訳としては、固定枠が21問、選択枠が39問。選択枠は68問の出題から39問を選ぶ形なので、選ぶ作業そのものが本番の持ち時間に食い込みます。
試験時間は午前が10時15分から12時45分まで、午後が14時15分から16時15分までです。解答形式は午前が四肢択一式、午後が四肢択一式又は五肢択一式とされています(出典:同「第一次検定問題(午前の部・午後の部)」表紙の注意事項)。午前は150分で54問に目を通して31問を解答し(うち選ぶのは23問)、午後は120分で35問から29問を解答する形になります。午前のほうが読む量が多く、選ぶ回数も多いという配分です。
- 令和8年度は出題89問・解答60問・各1点の60点満点。到達点はこの60問の側にある
- 指定数を超えてマークすると減点になる。消し残しで超過扱いになった場合も同じ
- 解答しなくてよいのは29問。うち18問はNo.13〜No.44の1ブロックに集中している
- 外せる数はブロックごとに閉じていて、他のブロックへ持ち越せない
- 全問解答のブロックは合計21問。ここは得意不得意にかかわらず解答対象になる
- 午前は四肢択一式、午後は四肢択一式又は五肢択一式で、時間は午前150分・午後120分
- ブロックの区切りは年度ごとの問題冊子に印刷されているので、受検する年度の表紙を必ず見る
なお、どのブロックがどの検定科目にあたるのかまで断定できる公表資料は手元にありません。この記事では番号と解答数の指定だけで組み立てています。科目名で範囲を仕分けるより、番号と問数で仕分けるほうが、公表されている情報だけで完結する分だけ崩れにくいというのが僕の整理です。
「現場から帰ってからの時間で足りるのか」という不安も、時間の総量から考えると答えが出ません。60問という到達点を先に固定して、埋まった数で進捗を測るほうが、可処分時間がバラバラな社会人には向いています。時間量のほうから組み立てたい場合は、目安の考え方をこちらで扱っています。

応用能力の6問には、全体とは別の合格基準がかかる
「応用能力って何だ。普通の問題と何が違う」という疑問に、出題の中身から答えるのは難しいところです。公表されているのは基準と解答形式であって、何が問われるかではありません。ただ、独学の設計に効いてくるのは中身ではなく、基準のかかり方のほうです。
第一次検定の合格基準は、事前に2つ示されています。
| 判定の区分 | 合格基準 |
|---|---|
| 第一次検定(全体) | 得点が60%以上 |
| 第一次検定(施工管理法(応用能力)) | 得点が50%以上 |
出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 受検の手引(旧受検資格用)」p.31、同「技術検定の合格基準」
この表には但し書きが添えられています。「次の基準以上の者を合格としますが、試験の実施状況等を踏まえ、変更する可能性があります」。60%と50%は固定された数字として置かれているのではなく、その年の実施状況で動きうる線として示されています。
そして令和8年度に確定した基準は、100点換算で60.0点、施工管理法(応用能力)は6問中3問以上でした(出典:同基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定 実施結果」。確定した基準は検定の実施後に公表されるもので、受検の手引には載りません)。
6問は全問解答で、選ぶ余地がない
施工管理法(応用能力)にあたるのは、午後の〔No.55〕〜〔No.60〕の6問です。前の章の表で見たとおり、このブロックは全問解答の指定になっています。選択の指示が付いていないので、苦手だから外すという処理ができません。
ここが独学の設計で一番効いてくるところです。全体の基準は60問の合計で判定されるので、得意な範囲で積み増せば、苦手な範囲の取りこぼしを埋め合わせられます。ところが応用能力の基準は、その6問の中でしか満たせない。他の54問をどれだけ積み上げても、応用能力の判定にはまったく振り替えられません。
令和8年度の確定基準である6問中3問以上を裏返すと、落とせるのは3問までということになります。母数が6問しかないので、1問の重みが他のブロックとは比べものになりません。No.13〜No.44であれば18問を解答対象から外せるのに、応用能力では2問落とした時点で残り4問のうち1問しか間違えられない状態になります。
配点の側から見ても同じです。各問1点なので、6問で取れるのは最大6点。60点満点に対する比率としては小さいのに、判定はこの6点の内側だけで別に行われます。全体の得点を押し上げる効果と、応用能力の基準を満たす効果は、同じ1問でも別々に数えられているということです。
- 事前に公表される基準は2つ。全体が60%以上、施工管理法(応用能力)が50%以上
- 基準には「試験の実施状況等を踏まえ、変更する可能性があります」という但し書きが付く
- 令和8年度の確定基準は100点換算で60.0点、施工管理法(応用能力)は6問中3問以上
- 応用能力は午後〔No.55〕〜〔No.60〕の6問で全問解答。設問を外して逃げる形が取れない
- 全体の得点をいくら積んでも、応用能力の判定には振り替えられない
全体の基準は「何問正解」の形では公表されていない
ひとつ注意しておきたいのが、全体の基準の書き方です。事前公表は「得点が60%以上」、確定した基準は「100点換算で60.0点」。どちらも割合や換算後の点数で示されていて、60問のうち何問正解すればよいという形にはなっていません。
各問1点の60点満点であることは、検定問題とあわせて公表される正答表に書かれていますが、そこから素点の何問にあたるかを機関が示しているわけではないので、この記事でも問題数には換算しません。応用能力だけが「6問中3問以上」と問題数で示されているのは、確定基準の公表でそう書かれているからです。
独学の組み方としては、全体の側は「何問落としてよいか」を逆算するのではなく、60問すべてを解答対象として扱って取りこぼしを減らす方向で積むほうが安全だと考えています。基準そのものが実施状況で動きうる以上、ぎりぎりの線を目標に置く意味があまりありません。
応用能力を先に測ると、残りの負荷が見える
前回落ちた原因が自分で分からないという状態で厄介なのは、過去問の正答率を1本の数字で記録していることです。全体で7割取れていても、その中身が応用能力以外に偏っていれば、応用能力は2問のままかもしれません。数字の上では順調に見えて、判定の側では引っかかっている、ということが起こります。
記録を2本に分けるだけで、この見落としは消えます。応用能力6問の正答数と、それ以外54問の正答数。別の欄に書くようにすると、毎回どちらの基準に届いていないかがその場で分かります。
順番としても、応用能力から手を付けるほうが合理的です。ここは外しようがない枠なので、後回しにしても負荷が減りません。6問を先に固めておけば、残り54問の対策は全体の基準だけを見て進められます。
過去問を解く順番も、この記録の取り方に合わせて変えておきたいところです。年度の頭から順に解くと、午後の後半にある応用能力に手が届くのは毎回最後になります。先に〔No.55〕〜〔No.60〕だけを抜いて解き、そこから午前に戻る。同じ1年ぶんの問題でも、判定が厳しいほうの数字が先に出るので、残り時間の配分を決め直せます。
なお受検の手引 p.31「試験区分等に関する注意」には、第一次検定と第二次検定を同時に申請した場合、第一次検定の合格基準を満たさなかったときは第二次検定を受検できない、という規定が置かれています(出典:同手引 p.31)。同時申請で出す年は、第一次の6問がその年の第二次を受けられるかどうかにまで効いてくる構造だと捉えておきたいところです。
落ちたときの成績通知が、独学の穴をそのまま映す
「前回落ちたが、何が足りなかったのか自分で分からない」という状態は、独学でいちばん消耗するところだと思います。次に何を厚くすればいいかが決まらないまま、また同じ範囲を頭から回すことになるからです。
ここについては、成績通知の書き方が答えを持っています。受検の手引の「技術検定における個人成績の通知について」には、不合格の場合の表記が2通り示されています。
| 状況 | 通知される表記 |
|---|---|
| 全体の得点が合格基準未満の場合 | ◯◯問 正解 |
| 全体は合格基準以上で、施工管理法(応用能力)の得点が合格基準未満の場合 | ◯◯問 正解(施工管理法(応用能力)の得点が合格基準未満のため不合格) |
出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 受検の手引(旧受検資格用)」p.32「技術検定における個人成績の通知について」
括弧の中に理由が入るかどうかで、敗因が切り分けられる形になっています。括弧が付いていなければ、全体の得点そのものが基準に届いていない。括弧が付いていれば、全体は超えていて、応用能力の6問だけで落ちている。
括弧の有無で、翌年に厚くする範囲が変わる
この2通りは、そのまま対策の分岐になります。全体が足りていないなら、60問なり54問なりの広い範囲で底上げが要ります。応用能力だけが足りていないなら、範囲を広げる話ではなく、6問の枠に対して何をするかの話です。
同じ「不合格」でも、この2つは打ち手がまったく違います。前者で応用能力の6問だけを詰めても、動かせるのは最大6点なので全体の底上げには足りませんし、後者で範囲を広げても6問の判定は変わりません。通知を見ずに「勉強量が足りなかった」と結論づけてしまうと、この分岐を丸ごと飛ばすことになります。
括弧付きで落ちた場合は、状況としてはかなり惜しいところにいます。全体では基準を超えているので、範囲の広さそのものは問題になっていない。翌年に必要なのは、6問の枠に対して何をどう積むかという一点だけです。前の章で書いたとおり、応用能力の枠は他の54問から得点を振り替えられないので、全体の底上げをもう一周しても判定は動きません。
逆に括弧なしで落ちた場合は、広い範囲の底上げが本筋になります。そのうえで着手の順番だけは、外しようがない6問を先に片づけておくほうが楽です。6問は全問解答で後回しにしても負荷が減らない枠なので、ここを埋めてしまえば残りの時間を全体の底上げに丸ごと回せます。
次に備えて残しておくもの
この切り分けが効くのは、通知が手元に残っている場合だけです。前回の通知を捨ててしまっていると、括弧が付いていたかどうかを後から確かめる手立てがありません。同じ範囲をもう一周するか、6問に絞るかという判断を、記憶だけで決めることになります。
残しておきたいのは通知そのものと、次の章で扱う問題用紙の2つです。この2つが揃っていれば、翌年の対策は「何が足りなかったか」から始められます。揃っていなければ、また全範囲を頭から回すところに戻ります。独学で一番もったいないのは、勉強していない時間ではなく、前回の結果を材料にできないまま同じ一年を繰り返すことのほうです。
念のため書いておくと、通知されるのは正解した問題数と、応用能力で落ちた場合の理由の一文までです。どの設問を間違えたか、設問ごとに何点だったかまでが分かるものではありません。
ただし、番号レベルの突き合わせができないわけではありません。次の章で扱いますが、第一次検定は検定問題と正答肢番号が公表されます。自分がどの肢にマークしたかを控えて帰っていれば、通知の問題数と突き合わせて「どの番号で落としたか」まで自分で出せます。通知は結論だけを渡してくれるもので、内訳は自分の手元の材料から作る、という分担になっています。
- 不合格時の成績通知には2通りの表記があり、括弧の有無で理由が書き分けられている
- 括弧なしなら全体の得点が基準未満、括弧ありなら応用能力だけが基準未満
- どちらに当たったかで、翌年に厚くする範囲が「広く底上げ」か「6問の枠」かに分かれる
- 通知から分かるのは正解した問題数までで、設問ごとの内訳までは示されない
- 敗因の切り分けは、講座に頼らなくても通知の一文だけで済ませられる
前回の結果が手元に残っていないなら、まず発表と通知のスケジュールを確認しておくところからになります。発表の時期と確認方法はこちらで整理しています。

自分で答え合わせできる範囲は、公表制度が決めている
「独学だと、自分の答案が合っているかを誰が見てくれるんだ」。この線引きは、公表制度の条文が決めています。一般財団法人建設業振興基金『令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 受検の手引(旧受検資格用)』の「検定問題等の公表」では、公表期間は試験日の翌営業日午前9時から1年間、公表方法は財団WEBサイトへの掲載と定められています。公表される範囲は、第一次検定が検定問題と正答肢番号、第二次検定が検定問題と、解答形式がマークシートとなっている設問の正答肢番号です(出典:同手引 p.31)。
そして同じ箇所に、こう書かれています。「解答形式が記述の設問は正答を公表いたしません」。
第一次は閉じる、第二次の記述は閉じない
第一次検定は、出題した側が示した正答肢番号と自分のマークを突き合わせれば、正誤がその場で確定します。他人の採点を待つ必要がありません。
一方で第二次検定は、検定科目のうち施工管理法の知識が五肢択一(マークシート方式)、施工管理法の応用能力が記述となっています(出典:同手引 p.29)。記述の側は正答が公表されないので、答案が基準に乗っているかを公表資料だけでは判定できません。「二次の経験記述は独学で埋まるのか」という問いには、書く材料は自分で揃えられるが答え合わせだけは制度上閉じない、というのが正確な答えになります。
経験記述の書き方と、第二次検定で問われる記述の中身についてはこちらが詳しいです。

「何年分」という数え方は、公表経路では成立しない
「過去問は何年分やればいいのか」という問いも、この制度を見ると前提から崩れます。公表期間は1年間で、それを過ぎれば入れ替わるので、公表経路で手に入るのは常に1年ぶんです。年数を目標に置くより、手元にある1年ぶんの問題と正答肢番号を、番号ごとに説明できるところまで使い切るほうが実務的です。
「結局どれを何冊買うのか決まらない」という悩みも同じところから整理できます。公表されているのは検定問題と正答肢番号であって、解説ではありません。正誤の確認は公表分、理由の説明は解説の付いた教材と役割で分ければ、冊数の議論は「読めない番号を埋められる本が手元にあるか」に置き換わります。
途中で帰ると、自己採点の材料が手元に残らない
見落としやすいのが問題用紙の扱いです。問題用紙は、午前・午後のそれぞれの試験終了時まで在席した者に限り持ち帰ることができるとされています(出典:同手引 p.30)。
自己採点は、どの肢にマークしたかを問題用紙に控えて初めて成立します。途中で退室すると突き合わせる材料が手元に残りません。
- 公表期間は試験日の翌営業日午前9時から1年間、公表方法は財団WEBサイトへの掲載
- 第一次は検定問題と正答肢番号、第二次はマークシート設問の正答肢番号のみ
- 記述の設問は正答が公表されない。第二次の応用能力は記述、知識は五肢択一
- 公表分は1年で入れ替わるので、「何年分」という数え方の前提が成立しない
- 問題用紙は午前・午後のそれぞれの試験終了時まで在席した者に限り持ち帰れる
マークの数と消し方も、そのまま得点に響く
選択して解答する形式には、当日の手つきに関わる条件がもう1つ付いています。検定問題の表紙にある注意事項には、こう書かれています。「選択問題の解答数が指定数を超えた場合は,減点となります。」
迷ったから両方マークしておいて、当たっているほうを拾ってもらう。マークシートに慣れているほど出てくる発想ですが、この試験ではその手が制度で塞がれています。
消し残しも「多く塗った」と同じ扱いになる
同じ注意事項には、訂正についても書かれています。「解答のマークを訂正する場合は,消しゴムできれいに消してください。消しかたが十分でないと指定数を超えた解答となり,減点となります。」
1つに絞ったつもりでも、前のマークが読み取れる状態で残っていれば指定数を超えた解答として扱われる。減点の入口は「迷って多く塗る」だけでなく、「直したつもりで消し切れていない」側にもあります。なお減点の幅は公表されていないので、失点の大きさまでは見積もれません。
もう1点、同じ表紙に筆記具の指定があります。解答はHBの芯を用いたシャープペンシル又はHBの鉛筆で記入すること、ボールペン・サインペン・色鉛筆などそれ以外の筆記具を使用した場合は採点されない、とされています(出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定問題(午前の部・午後の部)」表紙 注意事項4・6・7)。減点ではなく採点されないという書き方なので、こちらのほうが重い扱いです。
- 選択問題で指定数を超えて解答すると減点される。多めに塗る保険は成立しない
- マークを訂正するときは消しゴムできれいに消す。消し方が不十分だと指定数超過として扱われる
- 減点の幅は公表されていないので、失点の大きさは見積もれない
- 解答はHBの芯のシャープペンシル又はHBの鉛筆。それ以外の筆記具では採点されない
- 過去問を解く段階から、ブロックごとにマークした数を数える手順を入れておく
最後の項目は独学のうちから習慣にしておきたいところです。解き終わったブロックごとに解答数を数えて次へ進む。本番だけでやろうとすると忘れます。
申込の区分を間違えると、勉強と関係なく1年遅れる
「一次だけ先に受かっておくのはアリなのか」という問いは、勉強の話に見えて実は申込の話です。
令和8年度の日程と費用は次のとおりでした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付 | 2月13日〜2月27日(第一次検定のみの受検申請に限り4月7日まで) |
| 第一次検定 | 7月12日(日) |
| 第一次検定の合格発表 | 8月25日(火) |
| 第二次検定 | 10月18日(日) |
| 第二次検定の合格発表 | 令和9年1月8日(金) |
| 受検手数料 | 第一次検定・第二次検定とも各15,800円(非課税) |
| 試験地 | 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄 |
出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度1級 電気工事施工管理技術検定のご案内」1.試験日程/3.受検手数料/4.試験地/5.受検資格
同時に申請する場合、当初支払った手数料は第一次検定の分に充当され、第二次の手数料は第一次に合格した後で改めて支払う形になります(出典:同基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 受検の手引(旧受検資格用)」p.28)。
「第一次検定のみ」で合格すると、その年の第二次は受けられない
ここが今回いちばん注意してほしいところです。「第一次検定のみ」を申請して合格した場合、当年度の第二次検定は受検できません。
第一次検定のみの受検申請は締切が4月7日まで延びていて、受検資格も試験実施年度に満19歳以上で実務経験は要りません。とりあえず一次だけ申し込むのが得に見えます。ただし延びるのは「第一次検定のみ」だけで、第一次・第二次の同時申請はインターネット申請でも2月27日で締め切られます(出典:前掲のご案内 2.申請方法、および受検の手引 p.1)。ところが区分を「第一次検定のみ」にした時点で、その年の10月18日は日程から消えます。
金額に直すと分かりやすいところです。同時申請なら第一次15,800円を払い、合格した後で第二次の15,800円を払って同じ年度内に両方を受けられます。「第一次検定のみ」を選ぶと払う額は同じでも、第二次の機会が1年後ろにずれる。差が出るのは費用ではなく時間のほうです。そのため、同時申請を選べるかどうかは2月27日で決まります。令和8年度で言えば、3月に入ってから申し込む時点で残っているのは「第一次検定のみ」だけで、当年度の第二次はこの時点で選択肢から外れていました。実務経験の要件をまだ満たしていないなら合理的な選択ですが、同じ年度で二次まで行けるつもりで一次だけを申し込むと、勉強の進み具合と無関係に1年待つことになります。
受検区分ごとの条件はこちらで確認できます。

技士補と、旧受検資格の経過措置
第一次検定に合格すると、翌年度以降は「第二次検定のみ」で申請できます。ただし第二次検定には別途、区分ごとの実務経験が要ります。1級第一次検定の合格を起点にする【区分1】なら、合格後に実務経験5年以上、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上、監理技術者補佐としての実務経験1年以上のいずれかです。新受検資格はこの区分1だけではなく、2級第二次検定の合格者を起点にする【区分2】、第一種電気工事士試験の合格または免状の交付を起点にする【区分4】などが別に置かれていて、区分によって実務経験の起算点が変わります(出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級 電気工事施工管理技術検定のご案内」5.受検資格)。第一次に受かっただけで第二次に申し込めるわけではない、という点は先に押さえておいてください。なお令和3年度以降の第一次検定合格者は、国土交通省へ交付申請することで技士補の合格証明書が交付されます(出典:一般財団法人建設業振興基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 受検の手引(旧受検資格用)」p.27、施工技術検定規則 第十三条。技士補という称号の根拠は建設業法施行令 第四十条)。区分1が「第一次検定合格後に実務経験5年以上」といった年単位の要件を置いていること自体、制度が第一次合格を後の年度で使うことを前提にしている、という読み方はできます。
ただし移行期の条件が1つあります。旧受検資格による第二次検定の受検申請は令和10年度までの経過措置で、令和11年度以降は廃止されます。例外は、令和6年度から令和10年度までに「第二次検定のみ」の再受検対象者となっている人、つまり旧受検資格で申請を行い、第二次検定の受検票の交付を受けた実績がある人(欠席者を含み、辞退者は除く)で、この人たちは令和11年度以降も「第二次検定のみ」の再受検申請ができます(出典:同手引 p.2。「欠席者を含み、辞退者は除く」の限定は前掲のご案内 5.受検資格)。
- 申請受付は2月13日〜2月27日。「第一次検定のみ」に限り4月7日まで
- 「第一次検定のみ」で合格した場合、当年度の第二次検定は受検できない
- 受検手数料は第一次・第二次とも各15,800円。同時申請なら当初の支払いが第一次に充当
- 第一次検定の受検資格は試験実施年度に満19歳以上で、実務経験は要件に入っていない
- 旧受検資格での第二次検定の申請は令和10年度までの経過措置
実務経験の数え方はこちらにまとめています。

なお2級は受検資格の年齢要件と実務経験の扱いが1級と別に定められています。どちらから入るか迷っているなら、2級側も見ておくと早いです。

独学と講座の線引きは、費用ではなく答え合わせができるかで引く
「講座に金を払わないと受からないのか」。この問いに正面から答えている記事が見つかりにくいのは、書き手の立場が偏っているからでしょう。上位に並ぶのは講座や教材を売る側が書いた記事が多く、見出しの段階から自社の講座や教材選びに接続する構成になっています。資格を取った後の求人の案内で終わる記事もあります。
判断の線は、精神論でも費用でもなく、制度の側にすでに引かれています。第一次検定は正答肢番号が公表されるので自己採点が閉じ、第二次検定の記述式は正答が公表されないので閉じません。
合格率は難易度の目盛りであって、判断材料ではない
参考までに、直近の合格率を並べておきます。
| 年度 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 41.5% | 69.6% |
| 令和6年度 | 36.7% | 49.6% |
| 令和5年度 | 40.6% | 53.0% |
| 令和4年度 | 38.3% | 59.0% |
| 令和3年度 | 53.3% | 58.8% |
出典:一般財団法人建設業振興基金「令和3〜7年度 1級電気工事施工管理技術検定 結果表」
令和8年度の第一次検定は、受検者27,387名・合格者9,947名と公表されています(出典:同基金「令和8年度 1級電気工事施工管理技術検定 第一次検定 実施結果」)。割り算をすれば率は出ますが、機関が合格率として公表している数字ではないので、受検者数と合格者数のまま置いておきます。
第一次は36.7%から53.3%まで振れていますが、この幅を見て身構えても対策の中身は決まりません。合格基準は上位から人数を区切る書き方ではなく、基準以上の者を合格とする書き方だからです。
年度ごとの推移と難易度の位置づけはこちらが詳しいです。

独学で閉じる領域と、閉じない領域
- 第一次の正誤判定:公表された正答肢番号で閉じる。外部に頼る理由がない
- 第一次の理由の説明:解説の付いた教材で埋まる。読めない番号を埋められるかで選ぶ
- 応用能力6問の位置づけ:記録を分けて測れば自分で把握できる。閉じる
- 第二次の記述式:正答が公表されないので、答案が基準に乗っているかを自力で判定できない
- 進め方の設計と時間の圧縮:どこまで時間を買うかの話になる
金を払う理由があるとすれば、第一次検定の正誤判定ではなく、第二次の記述の判定か、進め方の設計を外部に任せる部分です。講座を検討する前に、公表されている問題と正答肢番号で1年ぶん通して解き、応用能力6問がどこまで取れているかを見る。ここまでは費用をかけずにできますし、この2つの数字が出てから決めたほうが具体的になる、というのが現場目線での見方です。
※本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
【PR】独学の答え合わせ、自分ひとりでできていますか
第一次検定は公表された正答肢番号で自己採点が閉じますが、第二次検定の記述式はそこが閉じません。
- 89問から60問を選ぶ時点で、どれを解答対象にするか自分では決めきれない
- 〔No.55〕〜〔No.60〕の応用能力6問は全問解答で、ここだけ別の合格基準がかかる
- 第二次検定の記述式は正答が公表されないので、自分の答案が何点なのか確かめられない
受検手数料は第一次検定・第二次検定とも各15,800円です。教材を買い足す前に、どこを外部に任せるかだけ先に決めておく手はあります。
1級電気工事施工管理技士の独学に関する情報まとめ
- 設計図の引き方:出題89問に対して解答は60問、各1点の60点満点。解答しなくてよい29問のうち18問はNo.13〜No.44に集中している
- 応用能力:午後〔No.55〕〜〔No.60〕の6問は全問解答で、全体とは別に合格基準がかかる。令和8年度の確定基準は6問中3問以上
- 成績通知:不合格時の表記は2通り。括弧の有無で、全体が足りないのか応用能力だけが足りないのかが分かれる
- 公表される資料:試験日の翌営業日9時から1年間。第一次は検定問題と正答肢番号、第二次の記述式は正答が公表されない
- マークのルール:指定数を超えた解答は減点。消し方が不十分でも指定数超過として扱われる
- 申込の区分:「第一次検定のみ」で合格すると当年度の第二次は受検できない。手数料は第一次・第二次とも各15,800円
- 独学と講座:第一次は自己採点が閉じる領域、第二次の記述は閉じない領域。線はここで引く
以上が1級電気工事施工管理技士の独学に関する情報のまとめです。
独学で行けるかどうかを決めるのに、まだ教材を買い揃える必要はありません。公表されている検定問題を1年ぶん開いて表紙の解答指定を書き写し、午後の〔No.55〕〜〔No.60〕の6問だけを解いてみる。ここまでで、解答対象から外せる問題数と、応用能力でいま何問取れるのかという2つの数字が出ます。範囲の広さに押されて動けなくなっていたものが、番号と問数の話に変わるはずです。工事に取りかかる前に数量を拾うのと、順番としては同じだと捉えています。
第一次と第二次を通した進め方は、次の1本で扱っています。

