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全熱交換器とは?仕組み、顕熱との違い、メリット、選定、注意点など

  • 全熱交換器ってどんな機器?
  • どうやって熱を交換してるの?
  • 顕熱式と何が違うの?
  • 省エネ効果ってどれくらい?
  • 選定で押さえるポイントは?
  • 故障やメンテのリスクは?

上記の様な悩みを解決します。

全熱交換器は、室内の汚れた空気を排気しながら、外気を取り入れる際に 温度と湿度の両方を熱交換する 換気装置。冷暖房負荷を減らせるので、省エネ性能が問われるオフィス・学校・住宅でいまや必需品です。電気施工管理として絡む場合は電源と接続接点が主担当ですが、設備全体の仕組みを押さえておくと現場の調整がスムーズになります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

全熱交換器とは?

全熱交換器とは、結論「排気と給気を同時に行いながら、温度(顕熱)と湿度(潜熱)の両方を熱交換する換気装置」のことです。

通常の換気は、夏場なら 冷房した室内の冷気を捨てて、暑い外気を取り込む ことになります。これでは冷房の意味が薄れますよね。全熱交換器は、捨てる空気と取り入れる空気をユニット内ですれ違わせて、

  • 夏:取り入れる外気を 冷やしてから 室内に入れる
  • 冬:取り入れる外気を 暖めてから 室内に入れる

ということを行います。さらに湿度(水分)も交換するので、湿気も上手に出入りさせる仕組み。これにより、空調機の冷暖房負荷が大きく下がり、結果として 冷暖房の電気代が約20〜40%削減 できる、というのが代表的な効果です。

24時間換気の主役装置の1つとしても採用されるので、24時間換気の基本もあわせてどうぞ。

全熱交換器の仕組み

熱交換のしかたで大きく 回転式静止式 の2タイプがあります。

回転式(ロータリー型)

吸湿性のあるロータ(円盤)が回転しながら、排気側で熱・湿気を吸い、給気側でそれを放出する方式。大風量に対応 でき、ZEB対応のオフィスや学校で多く採用されます。

静止式(プレート型/クロスフロー型)

平板状の特殊紙やフィルムを積層したエレメントの中で、給気と排気がクロスして流れる方式。可動部がないので故障しにくく、戸建て住宅・小規模オフィス向け に多い。市場の多数派はこちら。

タイプ 風量 特徴 主な用途
回転式 大風量(数千m³/h以上) 高効率、可動部あり オフィスビル、学校
静止式 中小風量(数十〜千m³/h) 可動部なし、メンテ容易 住宅、小規模事務所、店舗

エレメントは 特殊な吸湿シート(ポリエステル+吸湿剤) が使われていて、空気中の水分子を通しつつ、ニオイ成分やCO₂はほぼ通さないという、よくできた選択透過膜になっています。

全熱交換器のメリット

1. 冷暖房の負荷を大きく削減

外気の温度と湿度をそのまま入れずに済むので、空調機側の負荷を 20〜40%削減 できる、というのが代表的な数字。エアコンの設備容量も小さく済むため、初期コストも下がります。

2. 省エネ法・建築物省エネ法の評価で有利

非住宅建築では PAL*やBPI などの省エネ評価の中で、全熱交換器の導入が評価対象。ZEBやBEMS導入物件ではほぼマストです。ZEBやHEMSはこちら。

https://seko-kanri.com/zeb/
https://seko-kanri.com/hems/

3. 室内の湿度を保ちやすい

冬の乾燥した外気を直接入れると湿度が下がりますが、全熱交換器は 湿度も交換 するので室内が乾燥しにくい。逆に夏は湿度の高い外気を絞って取り込めるので、除湿負荷も下がる。

4. 結露しにくい

冬の窓際や壁際に発生しがちな結露も、室内の湿度をうまくコントロールすれば軽減できます。結露対策の全体像はこちら。

5. CO₂濃度を維持したまま冷暖房効率を確保

24時間換気で必ず 30m³/h・人 以上の換気量を確保しないといけませんが、全熱交換器を使えば「換気はしっかりしつつ、冷暖房負荷は最小に」が成立します。

顕熱交換器との違い

セットで覚えるべきが 顕熱交換器(Sensible Heat Recovery Ventilator)。比較表で整理します。

項目 全熱交換器 顕熱交換器
交換対象 温度+湿度 温度のみ
構造 吸湿性エレメント 金属/樹脂エレメント
適合地域 高温多湿の日本本土全般 寒冷地(湿度交換不要・凍結リスク回避)
価格 やや高い やや安い
メンテ エレメントの汚れ・カビに注意 比較的シンプル
  • 本州・四国・九州・関東圏など高温多湿エリア → 全熱交換器
  • 北海道など寒冷地で凍結リスクのあるエリア → 顕熱交換器

という棲み分けが基本。寒冷地で全熱を入れると、湿度が交換されることで エレメントが結露・凍結しトラブル になることがあるためです。

ちなみに「温度だけ移す=顕熱、温度+湿度を移す=全熱」と覚えればOK。「全熱=顕熱+潜熱」という関係です。

全熱交換器の選定とサイズ

選定で押さえる項目を順に見ていきます。

1. 必要換気量を計算

建築基準法の24時間換気では、住宅で 0.5回/h以上、非住宅オフィスで 30m³/h・人以上 が基準。在席人数とフロア面積から必要風量を出します。

2. 機種ラインナップ

代表的な風量レンジは以下の通り。

風量 用途
100〜250m³/h 戸建て住宅
350〜800m³/h 小規模事務所・店舗
1,000〜2,000m³/h 中規模オフィス1フロア
3,000〜10,000m³/h 学校・大規模オフィス
10,000m³/h以上 超大型施設(複数台連結 or AHU内蔵型)

3. 熱交換効率

カタログには 温度交換効率エンタルピー交換効率(湿度込み) が記載されています。一般に温度交換効率は 70〜80%、エンタルピー効率は 60〜70% が目安。

4. 静圧(外部静圧)

ダクト経路が長い場合は外部静圧が大きくなり、対応機種が絞られます。設計者がここで詰まる場面が多いので、施工管理として ダクト経路と機械静圧の整合確認 をしておきます。

5. 設置場所

天井隠ぺい型・天井吊り型・床置き型・壁付け型と多様。点検口の確保 とフィルター交換動線が大事です。点検口の基本はこちら。

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6. 電気施工管理が押さえるポイント

項目 内容
電源 AC100V または三相200V(風量による)
容量 戸建用で50〜200W、業務用で500W〜数kW
制御接点 中央監視・防災連動(火災時の停止信号)/ON-OFF信号
インターロック 排煙設備・防火ダンパとの連動が必要な場合あり

特に 防災連動の停止信号(火災発生時に火を煽らないよう停止)は、消防検査で必ず確認される項目。配線設計の段階で見落とさないように。消防検査全般はこちら。

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全熱交換器の注意点

1. フィルターの定期交換

エレメントの上流側にあるフィルターは 3ヶ月〜半年に1回 の清掃/交換が必要。サボると風量低下・モーター負荷増・結局省エネにならないという本末転倒に陥ります。

2. 高温多湿地域で使うこと

寒冷地・厨房直近・サウナ近接など、極端な温湿度差がある場所では エレメント結露・カビの発生リスク。設計段階で適否判断が必要です。

3. 取り合いダクトの結露対策

冬季、室内側に冷たい外気ダクトが露出していると、ダクト自体が結露します。保温材(グラスウール 25mm以上) を巻くのが定石。

4. ニオイの混合

廃熱回収時、排気側のニオイ成分が一部給気側へ移ってしまう「クロスリーク」現象がゼロではありません。トイレ・厨房・喫煙室の排気は 全熱交換器を経由しない別系統 で出すのが原則。

5. 中央監視との接点設計

ON/OFF・運転状態・故障接点を中央監視に上げる場合は、配線本数・接点容量・通信プロトコル(BACnet等)を設計段階で固めておく必要があります。動力盤・制御盤との取合いはこちら。

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全熱交換器に関する情報まとめ

  • 全熱交換器とは:給気と排気の温度・湿度を同時に熱交換する換気装置
  • 仕組み:回転式(大風量)/静止式(中小風量)。吸湿性エレメントで顕熱+潜熱を交換
  • メリット:冷暖房負荷20〜40%減/省エネ法評価有利/湿度維持/結露軽減
  • 顕熱式との違い:温度のみ vs 温度+湿度。高温多湿の日本本土は全熱、寒冷地は顕熱
  • 選定:換気量/効率/外部静圧/設置場所、電気側は電源・防災連動接点が肝
  • 注意点:フィルター定期交換/適合地域/結露対策/クロスリーク/中央監視取合い

以上が全熱交換器に関する情報のまとめです。

全熱交換器は「省エネと換気を両立させる、設備の縁の下を支えるキー機器」。電気施工管理として直接買って取り付ける機器ではないですが、電源・接点・防災連動が絡むので、設備設計者と話せるレベルの理解は持っておきたい。換気・空調・省エネ系の関連記事もあわせて押さえると、建物全体の設備感が見えてきます。

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