- 角ダクトってなに?
- どんなサイズ・規格があるの?
- どうやって作るの?工場製作?現場?
- スパイラルダクトとの違いは?どう使い分けるの?
- 施工で気をつけるところは?
- メンテのポイントが知りたい
上記の様な悩みを解決します。
角ダクトは空調・換気ダクトの王道。オフィスビルや商業施設の天井裏を覗くと、銀色の四角い箱がずらっと連なっているのが見えますよね。あれです。当たり前のように使われていますが、規格・製作・施工にちゃんとルールがあるので、そこを押さえておかないと現場で詰まります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
角ダクトとは?
角ダクトとは、結論「断面が長方形(または正方形)の空調・換気用ダクト」のことです。
材質はほとんどが亜鉛鉄板(ガルバ鋼板)で、まれにステンレス、銅、塩ビ被覆鋼板などが使われます。建築物の天井裏や機械室から各室へ風を運ぶ通路、それが角ダクトの役割。
なぜ「丸」じゃなくて「角」を選ぶのかというと、最大の理由は天井懐の有効活用です。たとえばダクト断面積をで500×250mmで作れば、見かけ上の高さは250mmで済みます。同じ風量を流す丸ダクトだと直径が400mm近くなって、天井懐がパンクしがち。建物の階高には限りがあるので、「高さを抑えて幅で稼ぐ」角ダクトの設計の出番というわけですね。
ただし、角ダクトには弱点もあります。同じ周長で比較すると、断面積が丸ダクトより小さい(つまり通気抵抗が大きい)。さらに製作コストが高く、工場での加工工数が嵩む。ですから「丸でも入るなら丸を使う」のが業界の暗黙ルールになっています。
電気側の施工で天井裏に潜ったとき、角ダクトの上に電線管が走っていて、しかも下にスプリンクラー配管…という三段構成の現場では、天井懐がほぼゼロになって本当に苦しかった記憶があります。設備同士の取り合いでダクトのサイズ選定をどうするかは、設計段階で図面屋さんと喧嘩腰で打ち合わせる場面ですね。
角ダクトの規格・サイズ
角ダクトの寸法はおおよそJIS A 4009(空調ダクト)と公共建築工事標準仕様書に基づいて決まります。代表的な短辺寸法は次の通り。
| 短辺寸法(mm) | 主な用途 |
|---|---|
| 150・200 | 末端枝ダクト、小規模分岐 |
| 250・300 | 中規模オフィスのフロア主管 |
| 350・400 | 大型店舗・倉庫の主管 |
| 500・600・750 | 機械室・PSの幹線、大規模施設 |
| 800以上 | 工場、大空間アリーナ等 |
長辺×短辺の比(アスペクト比)は4:1以下が原則。アスペクト比が大きすぎると、板厚が薄いと「ベコベコ鳴る」、補強が必要、気流の偏りが大きいなどの問題が出ます。設計上は3:1以内に収めるのが望ましいとされています。
板厚は流れる風量と寸法で決まり、JISでは概ね以下の通り。
| 長辺寸法(mm) | 板厚(mm) |
|---|---|
| 〜450 | 0.5 |
| 451〜750 | 0.6 |
| 751〜1500 | 0.8 |
| 1501〜2200 | 1.0 |
| 2201以上 | 1.2 |
低圧用・高圧用で板厚と補強仕様が変わるので、設計図の「ダクト工法(低圧/高圧)」の区分は必ず確認しましょう。
角ダクトの製作方法
角ダクトは基本的に工場でプレハブ製作→現場搬入→継手で接続の流れです。
工場での主な工程
- 板取り(CADで展開図を作り、板金プレスで切断)
- 折り曲げ(プレスブレーキで90度曲げ)
- 接合(ピッツバーグはぜ、ボタンパンチスナップはぜなどの「はぜ」で板同士を接合)
- 補強(タイロッド、リブ加工、アングル枠で剛性確保)
- フランジ取付(接続用のフランジを四隅に取付け)
接合方式の代表的なものとして「共板フランジ工法(TDC、TDF工法)」があります。これはダクト本体の板を折り返してそのままフランジ代わりにする工法で、現場での組立がボルトとクリップで済むため施工性が良く、近年の主流になっています。
現場での組立工程
- 搬入(フロアごと、長さ1.5〜2m単位)
- 仮吊り(吊りボルト+アングル受け)
- ジョイント部のガスケット貼付け
- ボルト・クリップ締結
- 本吊り、レベル調整
- 気密試験(必要に応じて)
「TDC工法のクリップが少ない!」「ガスケットが切れてる!」みたいな指摘は気密試験で必ず炙り出されるので、納品時の検品は本当に重要です。僕の同業の友人(設備施工管理)も、夜中までクリップを増し締めしたエピソードを愚痴っていました。
角ダクトとスパイラルダクトの違い
角ダクトと並んでよく使われるのが「スパイラルダクト(丸い亜鉛鉄板の螺旋巻きダクト)」。両者は使い分けが明確に分かれています。
| 項目 | 角ダクト | スパイラルダクト |
|---|---|---|
| 断面 | 長方形 | 円形 |
| 製作 | 工場プレハブ | 工場巻き製作(汎用品も) |
| コスト | 高い | 安い |
| 通気抵抗 | やや大きい | 小さい |
| 気密性 | TDC等で確保 | 継手シールが要る |
| 天井懐の使い方 | 低い高さで広い断面が取れる | 直径分の高さが必要 |
| 意匠性 | 隠蔽前提 | 露出意匠もOK |
| 主な用途 | 大規模幹線、PS内、機械室 | 中小規模分岐、露出意匠、店舗 |
スパイラルダクトについて詳しくはこちらの記事を参照してください。

選定の判断軸を1行でまとめると、
- 「天井懐が低くて、断面積を稼ぎたい」→角ダクト
- 「天井懐に余裕があって、コスト・気密を優先したい」→スパイラルダクト
実務上は、機械室から各フロアまでの幹線は角ダクト、フロア内の枝管はスパイラルダクト、というハイブリッドが定番ですね。
角ダクトの施工と注意点
施工管理として見ておくべきポイントを項目ごとに整理します。
①支持間隔
吊り間隔は短辺長さによるのが基本ルール。低圧ダクトの場合、概ね3m以下、共板フランジ工法では3.6m以下が目安。地震時の脱落防止のため、振れ止め(ブレース)を含めた耐震支持を計画する必要があります。
②曲がり(エルボ)の作り方
直角曲がりはR曲がり(中心線で1.0R以上)が原則。直角に折り曲げるエルボ(マイターエルボ)を使う場合は、案内羽根(ベーン)を必ず入れます。これがないと気流が乱れて騒音と圧損の原因に。
③貫通部の処理
防火区画の壁・床を貫通する場所には防火ダンパーが必須。電気の防火区画貫通処理と同じ考え方で、認定品の防火ダンパーをルール通りに設置しないと、消防検査でひっくり返ります。

④保温(断熱)施工
冷風が流れる空調ダクトは結露防止のため、ロックウール25mm+アルミガラスクロスでの保温施工が標準。継手部のテープ巻き、フランジ部の補修処理を雑に済ませると、シーズンインで結露水が天井に垂れる事故になります。

⑤気密試験
低圧でも高圧でも、引き渡し前に気密試験(漏気量の測定)を行います。漏気率の許容値はSMACNAやHASS基準で「漏気率5%以内」が一つの目安。試験NGならジョイント部のガスケット交換からやり直しです。
⑥ガラリ・吹出口との取り合い
ダクト末端の吹出口・吸込口は、ガラリやアネモ吹出口と接続します。ガラリの開口面積とダクト断面積が合っていないと風速が想定外になり、騒音や気流偏りの原因になります。

角ダクトに関する情報まとめ
- 角ダクトとは:断面が長方形の空調・換気ダクト。亜鉛鉄板製が主流
- 規格・サイズ:JIS A 4009と公共仕様書ベース。短辺150〜800mm、アスペクト比4:1以下
- 製作方法:工場プレハブ→現場接続。共板フランジ工法(TDC/TDF)が主流
- スパイラルダクトとの違い:天井懐節約は角、コスト・気密はスパイラル
- 注意点:支持間隔、エルボのベーン、防火ダンパー、保温、気密試験、吹出口取合い
以上が角ダクトに関する情報のまとめです。
角ダクトは派手さこそないものの、建物の換気・空調を支える主役。天井懐の制約と気流のバランスを取る設計の仕事ぶりを、施工管理として現場で目視確認するときの目線を持っておくと一段レベルが上がりますよ。
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