- 階数ってなに?
- 階数の数え方ってどう決まるの?
- 地下階は「階」に入れるの?
- 屋上の塔屋(ペントハウス)は?
- メゾネットや吹抜けはどう数える?
- 建築基準法と消防法で違うの?
上記の様な悩みを解決します。
「階数」って当たり前に使う言葉ですが、実は建築基準法・消防法・申請書類で「数え方が違う」という、地味に厄介な定義があります。施工管理者として「うちのビルは何階建てですか?」を聞かれたとき、「6階建てですけど…塔屋を入れると7階で、確認申請上は地階も含めて B1+6F+PHですね」と答え分けできると、検査・消防・市区役所と話す時のミスが減ります。今回はその「数え方」をキッチリ整理します。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
階数とは?
階数とは、結論「建物の床(フロア)の重なりを数えた数のこと」です。
ただし、何を1階としてカウントするか、地下や塔屋を含めるかは、文脈によって違います。
- 地上3階+地下1階の建物は、
- 一般的な呼び方:「3階建て(地下1階含むと4層)」
- 建築確認申請:「地上3階・地下1階」
- 消防上の階数:3階または4階(建築基準法上の「階数」の定義に従う)
- 不動産登記:「地下1階付3階建」
このように、用途によって表現が変わるのが「階数」です。基本は建築基準法施行令2条1項8号の「階数」の定義が根拠になります。
階数の数え方の基本
建築基準法上の「階数」は、施行令2条1項8号で次のように定義されています。
階数とは、建築物の階の数。地階を含む。ただし、(屋上の)昇降機塔・装飾塔・物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分または地階の倉庫、機械室、その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、階数に算入しない。
これを噛み砕くと、
- 地上階+地下階を全部足したものが「階数」
- ただし、屋上の塔屋・地下の機械室で建築面積の1/8以下のものは含めない
- 同一建築物で部分によって階数が違う場合は、その最大の階数とする
というルールになります。「8分の1ルール」が階数判定の主役。
地下階の扱い
地下階(地階)の定義は、建築基準法施行令1条2号で、
床が地盤面下にある階で、床から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のもの
とされています。要するに「天井高の1/3以上が地中に埋まっている」階を地階と呼びます。これに該当しない階は、たとえ床が一部地下にあっても「地上階」扱い。
階数に含まれる場合
通常の地下階(地下1階の事務室・店舗など)は、面積に関わらず階数に含まれます。地下1階+地上5階の建物は、階数6として扱われる。
階数に含まれない場合
ただし、地下に「機械室・倉庫など」だけがあり、その水平投影面積の合計が建築面積の1/8以下なら、その階は階数にカウントしません。例えば建築面積100m²の建物で、地下が機械室12.5m²以下なら、地下は階数に含めない(=地上だけで階数を数える)扱いになります。
これが効いてくるのが、戸建て住宅で「ドライエリア付きの基礎下機械室」がある場合。1/8基準を超えると地階を1階としてカウントすることになり、固定資産評価・建築規制の階数制限・防火規定が変わる可能性があるため、設計段階の判断が重要。
塔屋(PH)・屋上突出物の扱い
屋上に出る塔屋(ペントハウス、PH)の扱いも、地下と同じく「1/8ルール」で決まります。
階数に含まれない代表例
- 階段室(屋上に出るための階段の上端、屋上塔屋)
- 機械室(エレベーターのワイヤー巻取機室、空調機械室、給水ポンプ室)
- 装飾塔(時計塔、看板柱)
- 物見塔(展望台)
- キュービクルの専用室
これらが、それぞれの水平投影面積を合計して建築面積の1/8以下なら、階数にカウントしない。「9階建て+PH」と言うときの「PH」は、階数9に含まれない屋上の塔屋、という意味です。

階数に含まれる場合
塔屋部分が1/8を超える場合、または事務室・住居など居室として使う部分があれば、それは「階」として階数に含めます。例えば、屋上の階段室と機械室で1/8を超える場合、その階を1階分カウントする必要があります。
このため、屋上の機械室の配置・サイズは、設計初期段階で1/8をギリギリでクリアするように調整するのが通例。少し増やすと「階数+1」になって防火・避難規定が一段厳しくなり、コスト・採算が大きく変わるので。
メゾネット・吹抜け・スキップフロアの扱い
複雑な空間構成での階数判定。
メゾネット(住戸内2層)
1住戸の中に2層(リビング階+寝室階)があるメゾネット住戸。建物全体としての階数は、その住戸の上下層を合わせて数える、つまり「メゾネットを含む建物全体で何階か」で判定。「3階建てマンション、上層2層がメゾネット」は階数3です。
吹抜け
リビングの吹抜けや、エントランスの2層吹抜けなど。吹抜け部分だけは「床がない」ので、その部分は階数に含めない。建物全体の階数は、最も多くの床がある場所での階数で判定。
スキップフロア(中2階・中3階)
階段で半階ズレているスキップフロアは、それぞれ独立した階としてカウントするのが原則。「中2階」が居室として独立しているなら、別の階としてみなされます。ただし、面積が小さく付随的な使い方(吹抜けのキャットウォーク程度)なら階数に含めない場合も。
平屋(1階建て)
文字通り階数1の建物。屋根裏部屋・ロフトがある場合、ロフトの天井高1.4m以下、面積がその階の1/2以下、独立した出入り口や設備がない、などの条件を満たせば「階数」にも「居室面積」にも算入されません。法的には平屋として扱える。
建築基準法と消防法での違い
「階数」の定義そのものは建築基準法ベースですが、消防法では別の概念として「無窓階」「特定階」「11階以上」など、階を切り分けて扱います。
消防法上の「階」
消防法では、避難・消火活動の観点から、
- 11階以上:スプリンクラー設置義務(用途による)
- 高層階(11階以上、または高さ31m超):避難安全検証・特別避難階段
- 無窓階:採光・排煙が確保できない階。スプリンクラー・自動火災報知設備の規制が強化される
といった形で「階」が問われます。同じ建物でも、建築基準法上の階数と、消防法上の規制対象階の数え方が違うので、消防検査の時はどっちで話しているかを必ず確認。

建築面積と延床面積の違いも要注意
階数とは別に、建物全体の規模を表す指標として、
- 建築面積:1階の水平投影面積(軒・庇は1m以上突出部のみ算入)
- 延床面積:各階の床面積の合計
があります。これらと階数を組み合わせて、容積率(延床面積÷敷地面積)・建ぺい率(建築面積÷敷地面積)が決まります。建築面積の解説も合わせて押さえておきたい。

階数と階層を混同しない
「階数」と「階」は意味が違います。「階数」は建物全体の階の総数、「階」は特定の床(5階、地下1階など)。確認申請書の記載でも、
- 「階数:地上6 地下1」(数の話)
- 「主要用途を行う階:1階〜5階」(個別の階の指定)
と使い分けます。
階数に関する情報まとめ
- 階数とは:建物の床(フロア)の重なり数。建築基準法施行令2条1項8号が根拠
- 数え方:地上+地下を合算。屋上塔屋・地下機械室は建築面積1/8以下なら除外
- 地下階:天井高の1/3以上が地中の階。原則カウント、機械室で1/8以下なら除外
- 塔屋(PH):階段室・機械室・装飾塔は1/8以下なら階数に算入しない
- 特殊:メゾネットは1住戸内2層、吹抜けは床なしカウント、ロフトは条件付きで除外
- 法律別の違い:建築基準法と消防法で「階」の捉え方が異なる
以上が階数に関する情報のまとめです。
階数は数を答えるだけの簡単な話に見えて、設計者・確認検査機関・消防・施主それぞれで「どの定義で話しているか」がズレやすい用語です。施工管理として現場の打合せ・申請変更協議で「うちの建物は階数何ですか」を聞かれたら、建築基準法上の階数で答えるのが基本、と覚えておくと混乱しません。一通り基礎知識は理解できたと思います。
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