- 仮設計画ってそもそも何のこと?
- 仮設計画書には何を書けばいいの?
- 足場以外に何を計画する必要があるの?
- 仮設電気・仮設水道はどうやって計画する?
- レイアウト図はどう描けばいい?
- 仮設計画でやらかしがちなミスは?
上記の様な悩みを解決します。
仮設計画は、工事現場の作業効率と安全性を決める「骨格」のようなもの。とりあえず足場と仮囲いを描いて済ませる現場もありますが、それで進めると工事中盤で「電源が足りない」「重機が回せない」「資材搬入動線がない」と詰むのが定番です。施工管理が早い段階で全体の仮設レイアウトを決めておくのが、現場をスムーズに回すコツですね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
仮設計画とは?
仮設計画とは、結論「工事中だけ使う設備や仕組みを、どこに・どう設置するかを事前に決めておく計画のこと」です。
「仮設」という言葉の通り、工事が終われば撤去する一時的な設備の集合体ですが、その規模は決して小さくない。中規模ビル工事ともなれば、仮設電気の容量は100kWを超え、仮囲いは数百メートル、足場は数千m²に及びます。これを行き当たりばったりで進めると、工事の中盤で必ず詰まる、という構造になっています。
仮設計画書は、施工計画書の中に組み込まれる場合と、独立した書類として作る場合があります。発注者・元請け・公共工事の発注者によって書式は異なりますが、含まれる項目は概ね共通しています。

仮設計画と関連する書類との違いを整理すると次の通り。
| 書類 | 何を書く | 提出先 |
|---|---|---|
| 施工計画書 | 工事全体の計画(工程・品質・安全・仮設) | 発注者・監理者 |
| 仮設計画書 | 仮設に特化した計画(レイアウト・容量・撤去計画) | 発注者・監理者 |
| 安全衛生計画書 | 安全管理体制と教育計画 | 労基署・発注者 |
| 工程表 | 工事の時間軸での進捗計画 | 発注者・関係者 |
公共工事ではほぼ確実に、民間工事でも大手ゼネコン案件では仮設計画書の提出が求められます。中小案件では「施工計画書の中に仮設の章を設ける」形で済ませることも多いですね。
仮設計画に含まれる項目
仮設計画書に書くべき項目は、大きく7つに分類できます。
①仮設建物(仮設事務所・休憩所・倉庫)
- 現場事務所の位置・サイズ・電気設備
- 作業員休憩所・食堂・更衣室
- 仮設トイレ(労働安全衛生法で女性用も必須)
- 仮設倉庫・資材ヤード
- 関係官庁との打合せに使う応接室
事務所ユニット(プレハブ)の手配と、その敷設位置を平面図に落とし込みます。サイズの目安は、現場員1人あたり3〜4m²の事務所、5〜10人で1ユニット(10〜20m²)程度。
②仮囲い・出入口
- 仮囲いの位置・高さ・材質(ガルバ波板、メッシュフェンス、防音パネル等)
- 出入口(ゲート)の位置・幅・施錠方法
- 警備員配置位置
- 第三者災害防止のための歩行者通路
仮囲いは原則高さ1.8m以上、市街地では3mが標準です。

③仮設足場・乗入れ構台
- 外部足場の種類(くさび・枠組・単管)と平面位置
- 内部足場・移動式足場の配置
- 乗入れ構台の位置・容量・荷重
- 朝顔(防護棚)の設置位置
足場の種類比較はこちらの記事をどうぞ。



④仮設電気
- 受電方式(仮設受電設備、または既設からの分岐)
- 容量計算(ピーク負荷の見積)
- 主幹分電盤の位置・経路
- 仮設配線(架空・地中)
- 仮設照明・通路照明
- 雷保護・接地
電気施工管理が専任で関わる部分。ここは後述します。
⑤仮設給排水・空調
- 仮設給水(既設取り合い、メーター設置)
- 仮設排水(汚水・雨水の排水ルート)
- 仮設トイレへの給排水
- 工事用水のタンク設置位置
- 仮設事務所のエアコン
⑥揚重・搬入動線
- タワークレーンの位置・揚程・旋回半径
- 工事用エレベーターの位置・容量
- 資材搬入車両の動線・待機場所
- ダンプの土砂搬出ルート
- 騒音・振動対策
⑦緊急時対応
- 救急車・消防車のアクセス動線
- 避難経路・避難集合場所
- 消火設備(消火器・防火水槽)
- 緊急連絡先一覧
7項目すべてを1枚の平面図にまとめると複雑になりすぎるので、用途別に複数の図面を作るのが現実的です。
仮設計画書の作成手順
仮設計画書を作る手順を、実務に近い流れで整理します。
手順①:敷地条件の整理
- 敷地境界・道路境界の確認
- 既設インフラ(電柱・マンホール・既設配管)の位置
- 隣地建物との距離・高さ関係
- 道路幅員・通学路の有無
- 風向・日照(仮設照明計画に影響)
地中埋設物は事前に「ガス工事会社」「水道局」「通信会社」「電力会社」に試掘調査を依頼するのが鉄則。これを忘れると本工事中に既設配管を破損させるトラブルに直結します。
手順②:工事工程と仮設変動の把握
- 着工〜竣工までの工事フェーズ(地下工事・躯体・仕上)
- 各フェーズで必要な仮設の種類・容量
- 仮設の組替えタイミング(足場・電気容量の変動)
例えば躯体工事中は溶接機を含めて電気容量200kWが必要だが、仕上げ段階では50kWで足りる、といった変動を見越しておくと、仮設受電設備の容量設計に役立ちます。
手順③:レイアウト図の作成
- 1/200〜1/500縮尺で敷地全体を作図
- 1階レベル・各階レベルで仮設要素を配置
- 動線(資材搬入・人員)を矢印で表記
- 各設備の容量・サイズを注記
最近はBIMで仮設計画を作るゼネコンも増えてきました。
手順④:容量計算と詳細図
- 仮設電気容量の計算(負荷ごとに集計)
- 仮設給水量の試算
- タワークレーンの揚程・旋回半径計算
- 足場の構造計算(必要な場合)
仮設電気の容量計算では「同時負荷率」を考慮するのが実務のコツ。例えば100kVAの溶接機が10台あっても、同時に全機が動くわけではないので、同時負荷率0.4をかけて400kWではなく160kWで設計、といった具合です。
手順⑤:関係者との協議・調整
- 発注者・設計者との確認
- 近隣住民への説明(騒音・通行止めの予告)
- 道路使用許可・道路占用許可の申請
- 近隣自治会への挨拶
道路使用許可は警察署、道路占用許可は道路管理者(市役所・国交省)と提出先が違うので注意。
手順⑥:書類化とアップデート
- 仮設計画書として書類化
- 工事の進捗に応じて改訂
仮設計画は「最初に決めて終わり」ではなく、現場の状況に応じてアップデートしていくものです。
主要レイアウト要素:仮設電気の計画
電気設備の施工管理視点で、仮設電気の計画はとくに踏み込んで書きたいところ。
仮設受電方式の選定
- 仮設受電設備(キュービクル)方式
- 既設建物の電源を分岐する方式
- 電力会社からの低圧供給(小規模工事)
中規模以上の現場では、仮設受電設備(キュービクル)を設置するパターンが主流です。

容量計算の例
例えば中規模ビル工事で、躯体工事中の最大ピーク負荷を試算すると次の通り。
| 機器 | 容量 | 台数 | 同時負荷率 | 計算容量 |
|---|---|---|---|---|
| アーク溶接機 | 30kVA | 5 | 0.6 | 90kVA |
| 揚重設備(ホイスト) | 15kW | 2 | 0.5 | 15kW |
| 工事用エレベーター | 22kW | 1 | 1.0 | 22kW |
| 仮設照明 | 15kW | 1式 | 1.0 | 15kW |
| 事務所空調・OA | 20kW | 1式 | 0.7 | 14kW |
| ポンプ・コンプレッサ | 25kW | 1式 | 0.4 | 10kW |
| 合計 | 約170kW |
単純に全機器の定格を合計すると300kVA超になりますが、同時負荷率を加味して170kVA程度が現実的なサイズです。実際にはここに余裕(10〜20%)を見て、200kVAキュービクルを選定するイメージ。
仮設配線・分電盤
- 主幹分電盤から各エリアへの幹線配線
- 各階・各ゾーンに小分電盤を配置(電圧降下対策)
- 仮設照明回路と動力回路を分離
- 漏電遮断器を全回路に設置(労働安全衛生規則)
幹線の電圧降下は3%以内が目安。長距離になるとケーブルサイズが上がるので、分電盤の配置で距離を短くするのがコツ。


接地・雷保護
仮設受電設備にはB種・D種接地が必須。仮設キュービクルが屋外設置の場合は雷保護も検討。



仮設計画における注意点
仮設計画でやらかしがちなミスを順に挙げていきます。
注意点①:途中で容量が変わるのを忘れる
着工時の仮設容量と、躯体ピーク時の容量、仕上げ時の容量は全部違う。容量変動を時系列で書いておくと、仮設設備の組替え時期を逃しません。
注意点②:搬入動線とクレーン旋回の干渉
タワークレーンの旋回半径と、資材搬入車両の動線、隣地建物が干渉していないかを必ず確認。「旋回中に隣の建物に当たる」が一番ヤバいトラブル。
注意点③:地中埋設物の見落とし
ガス管・水道管・通信ケーブルなど、地中埋設物を破損させると数百万円の賠償+工期遅延に直結。試掘調査を必ず行う。
注意点④:仮設の撤去計画を最初から織り込む
仮設は「設置して終わり」ではなく「最後に撤去する」前提。工事の終盤に「足場が外せない」「クレーンが解体できない」状態にならないよう、撤去動線も最初から計画する。
注意点⑤:第三者災害対策
仮設足場・仮囲い・揚重設備が、通行人や近隣住民に被害を出さないよう、朝顔・防護ネット・歩行者用通路を必ず計画。第三者災害は元請けの責任が重く問われます。
注意点⑥:仮設計画と本設工事の取り合い
仮設の出入口位置と、本設の出入口位置、仮設の電気経路と本設の電気経路、これらが矛盾していないか確認。仮設配管が本設の打設場所と被ると、いったん仮設を撤去して打って戻すことになります。
注意点⑦:労働安全衛生法・関連法令の遵守
仮設足場の高さ・墜落防止柵・仮設電気の漏電遮断器・仮設トイレの男女別など、法令で決まっている項目は必ず満たす。「現場のクセで省略していた」が労基署の指導対象になります。
仮設計画に関する情報まとめ
- 仮設計画とは:工事中だけ使う設備や仕組みを、どこに・どう設置するかを事前に決めておく計画
- 含まれる項目:①仮設建物、②仮囲い・出入口、③足場・構台、④仮設電気、⑤仮設給排水、⑥揚重・搬入動線、⑦緊急時対応
- 作成手順:敷地条件整理→工程把握→レイアウト作図→容量計算→協議調整→書類化
- 仮設電気のポイント:受電方式選定、同時負荷率を加味した容量計算、電圧降下対策、接地・漏電保護
- 注意点:容量変動・搬入動線干渉・地中埋設物・撤去計画・第三者対策・本設取り合い・法令遵守
以上が仮設計画に関する情報のまとめです。
一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。仮設計画は「工事の品質・安全・工期・利益すべてに効くインフラ設計」と捉えるのが正しい姿勢で、ここを軽く考える現場ほど後で大量の手戻りに苦しむ印象です。書類のテンプレを真似するのではなく、自分の現場の条件に応じて1つずつ積み上げて作るのが結局は近道ですね。
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