- バスダクトってなに?
- どんな種類があるの?
- 工事の流れは?
- 注意点って?
- 支持間隔はどれくらい?
- 価格ってどれくらい?
- 制作してるメーカーって?
上記の様な悩みを解決します。
バスダクトは比較的大きな設備に使われることの多い設備ですが、繊細な設備でもあります。
工事を行う際には注意点がいくつもあり、間違えるとバスダクトの稼働に影響を与えることもあります。工事の流れや注意点など、正しい知識を身につけておきましょう。
この記事ではバスダクトとは?といったところから、種類、工事の流れ、工事の際の注意点、支持間隔、価格、制作しているメーカーについて解説していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事を執筆していくので、初心者の方にも分かりやすい内容になっているかなと思います。
バスダクトとは?
バスダクトとは、結論「変圧器二次側に使用される幹線のこと」です。
通常の電気設備はケーブルを使って、分岐します。
まず電柱にある電線に電気が通っていますよね。この電線から建物内に電気を引き込みます。受変電設備に電線を引き込んでから各部屋各フロアに分岐しなければ、各部屋各フロアで電気は使えません。分岐します。
分岐する際に必要なのはケーブルですが、大きな電気を取り扱う際にはケーブルが太くなりすぎてしまいます。量も増えます。そこで登場するのがバスダクトです。
もう少し詳しく解説すると、バスダクトは「変圧器の二次側」に使われます。
そもそも変圧器とは?といったところですが、結論「電圧を下げる設備のこと」です。発電所で作った大きな電気を建物で使えるくらいの電圧まで電気を落とすのが役割になります。
二次側とは、簡単に言えば、入る側と出る側の内「出る側」のことを刺します。
多くの場合、盤に幹線ケーブルが入り、そこから負荷へと分岐する訳ですが、負荷へと分岐する側を二次側と呼びます。
変圧器の二次側とはつまり、変圧器の出る側です。ここでバスダクトが採用されます。
以上が電気設備の大枠の流れですが、この中で言うと「トランスから配電盤まで」を担当するのがバスダクトと言えるでしょう。
勿論、ケーブルでも同様の役割を果たすことができますが、先ほどもいった通り太さと量が膨大になってしまいます。
バスダクトで一括送電しておけば、大量の幹線は必要がありません。
スペース的にもメリットがあります。天井には各設備の配管や配線、ダクトやケーブルラックがありますので、スペースに余裕が無い場合もあります。バスダクトを使用すれば、省スペースを実現できます。
バスダクトの種類
バスダクトの種類
- 絶縁導体バスダクト:導体を絶縁しているバスダクト
- 耐火バスダクト:耐火性能を持ったバスダクト
- フィーダバスダクト:受口の無いバスダクト
- プラグインバスダクト:プラグインで分岐できるバスダクト
- ストレートバスダクト:直線状のバスダクト
- エルボーバスダクト:直角に曲がっているバスダクト
- エキスパンバスダクト:熱収縮耐性を持ったバスダクト
バスダクト工事の流れ
バスダクト工事の流れ
以上がバスダクト工事の流れです。
基本的にバスダクトは部屋の上部に取り付けます。ただ残念ながらバスダクトは宙に浮きません。よって天井とバスダクトを固定する部分が必要です。
コンクリート打設前にインサート(めねじ)を仕込みます。改修工事等、躯体が出来上がった後の段階で施工が必要になった場合、アンカーで対応します。
めねじに対して、おねじである吊りボルトを差し込むと、天井からボルトがぶら下がっている状態になりますよね。ここまでが下準備です。
次はバスダクト本体を施工していきます。近年ではPC工法(プレキャスト工法)が流行っており、工場でバスダクトを制作し、現場では据え付けるだけ、という施工が多いです。
工場で制作するといっても多少の施工誤差は発生します。建築の平面図が100%1mm単位であっている訳ではありません。どこかしらで調節する必要があります。
変圧器側、盤側での調節は難しいです。よって、直線状の部分で調節することになりますので、先に変圧器側、盤側での接続を行います。
それぞれ端部の施工が終わった段階で、直線部分の施工を行います。
配線工事で変圧器とバスダクト、盤とバスダクトが終わったら導通試験をして、絶縁抵抗測定を行ったら施工完了という流れです。
バスダクト工事の際の注意点
注意点その①取り合い
天井には様々な設備が飛び交います。
例えば、バスダクトを施工するところに設備の配管が通っていたら、バスダクトを施工することはできませんよね。困ります。よって事前の取り合いが重要になってきます。
どの高さにどの機器が通るのか?を各業者で事前に検討しておくことが重要です。
また、バスダクト以外の設備も施工図通りに施工されていることも必要になります。事前段階として、ルートを確保できているか?といった点に注意しましょう。
注意点その②室内環境
バスダクトは繊細な部品です。大きな振動のあるところだったり、他バスダクトに悪い影響を及ぼす場合、適切に動作しない可能性があります。
具体的には、下記のような項目について留意する必要があります。
バスダクトが適切に稼働する為に必要な室内環境
- 湿度が適切である(湿度が高すぎるとNG)
- 温度が適切である(温度が高すぎるとNG)
- 振動が無い
- 有害なガスが無い
注意点その③支持間隔
バスダクト工事に必要な支持間隔
- 水平方向の場合:3m以内
- 垂直方向の場合:6m以内
上記の支持間隔を守る必要があります。
改修工事になってみると分かりますが、ダクトの上には人が乗ったりします。天井で作業する際などですね。適切な支持を取らなければ、バスダクトがおかしくなってしまいます。
バスダクトの価格
バスダクトの価格はメーカーに見積もりを取ることでしか知り得ません。
そもそもバスダクトの大きさによっても異なりますし、現場状況によって必要な部品というのも変わってきます。変数が多すぎて、価格については一概には言えません。
例えば、バスダクトから隣の部屋に行くだけならば、そこまで多くの部品を必要としません。
トランスから上へと伸び、エルボで直角に曲げて横移動して、盤の下に入るよう再びエルボを使えば良いです。ただ、部屋を5部屋またぐ場合、ルートを考えて横移動や縦移動を含む場合、複数ルートに分岐する場合など、現場によるところが多すぎます。
一個人がバスダクトの価格を導き出すのは、まず厳しいでしょう。
バスダクトを施工するのに必要な部品には下記のようなものがあります。
バスダクトを施工する為に必要な部品
- バスダクト本体
- エルボ:直角に曲がるところで使用するバスダクト
- 固定金具
- スプリングハンガー(床にバスダクトを固定する金具)
- エンドタップ(ケーブルのジョイントを収納するボックス)
- 相燃架(R相S相T相を変える)
- エンドクローザ(バスダクトの端部を閉める部品)
- etc
これら全てを検討しなければなりません。メーカー毎に価格が違うのは当たり前ですし、発注する会社によって、掛け率も異なります。
掛け率とは、要するに価格の何割で購入できるか?といった話です。
例えば100万円のバスダクトの掛け率が20%なら、20万円でバスダクトを購入することができます。大きな会社であれば掛け率は低く安い価格で買えますが、掛け率が高いところもあります。
バスダクトを制作しているメーカー
バスダクトを制作しているメーカー
- 共同カイテック
- パナソニック
- 日立金属
- 日立産機
- 古河電気工業
- 住電機器システム
- 昭和電線ケーブルシステム
- 日新電機ベトナム
- 長谷川ジャバラ
バスダクトに関する情報のまとめ
バスダクトに関する情報のまとめ
- バスダクトとは:変圧器二次側に使用される幹線のこと
- 種類:絶縁導体バスダクト、耐火バスダクト、フィーダバスダクト、他
- 工事の流れ:上章参照
- 注意点:取り合い、室内環境、支持間隔
- 支持間隔:水平なら3m以内、垂直なら6m以内
- 価格:メーカーに見積もり以来
- メーカー:共同カイテック、パナソニック、他
以上がバスダクトに関する情報のまとめです。
一通り、基礎知識は網羅できたと思います。
バスダクトを施工する為にはバスダクト単体ではなく、インサートやアンカー等の部品も必要です。それぞれについても理解を深めておきましょう。
また、バスダクトは内装工事において施工されます。
内装工事全体の流れを理解しておくことで、バスダクト工事に対する理解もより深まります。合わせて知識を蓄えておくことがオススメです。
下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。