接地線とは?太さ、サイズ、選定方法、色、保護管など

  • 接地線ってなに?
  • どんな種類があるの?
  • 色はどれ?
  • 太さやサイズを知りたい
  • 選定方法って?
  • 保護管はどれが適切なの?

上記の様な悩みを解決します。

電気の仕事をするとなると「接地」という概念は非常に重要になってきます。同様に、接地に使用される接地線も重要です。

抽象的で分かりにくい部分ですので、キッチリと理解しておきましょう。

この記事では接地線とは?といったところから、太さ、サイズ、選定方法、色や接地線に使用する保護管について解説していきます。

なるべく専門用語は使わずに分かりやすい言葉で編集していきますので、それなりに理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

接地線とは?

接地線とは、結論「電気機器と大地を接続する電線のこと」です。

まず、接地線を理解するには「接地」に対する理解を深める必要があります。接地とは、簡単に言えば「電気機器と大地を電気的に接続すること」です。

電気は危険なものになります。発電所などで作っている何千万ボルトが危険なのは想像に容易いかと思いますが、実際には数アンペアで人の命を奪うのが電気です。よって、電気機器を使用する際には「安全性」が不可欠になります。

ここで「安全性」を確保するのが接地線です。電気機器と大地が電気的に接続されていれば、人体ではなく、大地に電気が流れます。

簡単に言えば、人の代わりに大地が感電してくれるということです。

以上が簡単な接地の概念な訳ですが、現実的に接地を達成するには、電気機器と大地を電気的に接続する必要がありますよね。ここで登場するのが接地線です。接地線をしようすることにより、電気機器と大地を電気的に接続することが可能になります。

もう少し具体的なやり方を話すと、下記のような流れです。

接地工事の流れ

  • 大地に接地極を打ち込む
  • 接地極と接地線を接続する
  • 接地線と電気機器を接続する
接地工事において接地線は、接地極と電気機器の中継役のよう様な役割を果たしていると言えます。

 

接地線の種類

接地線の種類

  • IVケーブル
  • HIVEケーブル
  • SHIVEケーブル

接地線の種類は上記の通りです。

基本的にIVケーブルが採用されます。他にも種類がありますが、あまり使用されているシーンは見かけません。とりあえず「接地線=IVケーブル」という認識で間違い無いでしょう。

では上に挙げた3種類がどこが違うのでしょうか?

結論から言うと「許容温度」が異なります。

IVケーブルの許容温度は60℃程度なのに対し、HIVEケーブルの許容温度は75℃です。ちなみにSHIVEケーブルの許容温度は105℃になります。

普通に考えればHIVEケーブルはIVケーブルの上位互換ですし、SHIVEケーブルはHIVEケーブルの上位互換です。「じゃあ全ての現場でSHIVEケーブルを使えばいいのでは?」という考え方になりますが、そう単純な話ではありません。価格が異なります。

施工はあくまで経済的に行われる必要があります。多くの場合、周囲温度が60℃を超えることはありませんから、IVケーブルが採用されることが多いです。

 

接地線の色

接地線の色

接地線の色は上に示す通りです。

まず、接地線の色の説明を一言ですると「現場状況によって異なる」というのが正しいです。現場によって、接地線の色を何色にしているのかは変わります。

多くの場合、接地線は緑です。ただ、複数の配線がある場合、緑以外がアースになることもあります。それが「赤」だったり「白」だったり「黒」です。

その場合はそれぞれ「赤アース」「白アース」「黒アース」と呼ばれたりします。

もう少し詳しい説明をしていきましょう。

基本的に接地線の色は緑です。接地工事に使用される様な接地線も間違いなく緑でし、ボンドアースに使われる様な接地線も緑になります。

接地線に緑以外の配線が使用されるのは、VVFケーブルの中でどれか接地線を決めなければならないパターンです。

例えば、VVFの2.0mm3Cは「白・黒・赤」の電線が入っています。この中で接地線を一つ決めなければならない時に、3色の中から一つ選ぶ形です。

基本的に接地線は緑ですが、緑が無い場合はそれ以外を選ぶという訳です。

 

接地線の太さ(サイズ)

接地線の太さ(サイズ)

  • 2sq
  • 3.5sq
  • 5.5sq
  • 8sq
  • 14sq
  • 22sq

接地線の太さ(サイズ)は上記に示す通りです。

もう少し大きなサイズもありますが、基本的には22sqまでで事足ります。イメージとしては、大きな電気機器になればなるほど太いケーブルが必要になってきます。

では具体的に、どうやってケーブルの太さを選定していくのか?

次の章で詳しく解説します。

 

接地線の選定方法

接地線の選定方法は、結論「AT(アンペアトリップ)×0.052=接地線の太さ」です。

まずAT(アンペアトリップ)とは、ブレーカーの情報です。

全ての電気機器にはブレーカーが接続されます。ブレーカーは安全装置でして、機能を簡単に説明すると「ある電流値を超えた時に電路を遮断する」ということです。そして「ある電流値」というのが「AT(アンペアトリップ)」という訳です。

例えば、30ATのブレーカーがあったとしましょう。電路に対して29Aの電気が流れても、電路は遮断されません。ただ31Aの電気が流れた際、電路が遮断されます。

規定以上の電気が流れるということは「過電流」と呼ばれ、電路に大きな負担がかかります。簡単に言えば、ケーブルがバカになってしまいます。ケーブルがバカになるのを防ぐ為に、ブレーカーが電路を遮断するという訳です。

さて、話を戻すと、ブレーカーのAT(アンペアトリップ)に0.052という値をかけると接地線の太さが出てきます。

例えば、100ATのブレーカーが付いている電路について考えみましょう。

100に0.052を書けると「5.2」になりますよね。つまり接地線の太さは「5.2sq」以上にしなければなりません。現実的に5.2sqの接地線はありませんから、5.5sqの接地線を使用するという訳です。

そこまで難しくない計算式ですので、覚えておきましょう。

接地線の選定方法AT×0.052=接地線の太さ(最小)

 

接地線に使用される保護管

接地線に使用される保護管は、結論「PF管」です。

もう少し広い言い方をすると「合成樹脂管」ですね。プラスチックで可とう性の電線管になります。合成樹脂管の中に「CD管」と呼ばれるものもありますが、CD管は接地線の保護管としては不適切です。

そもそもCD管は打ち込み専用になります。

打ち込みとはつまり、コンクリートの中に埋め込むものです。CD管がコンクリート内部以外に使用されることはありません。それ以外はPF管が使用されます。接地線はもれなく「それ以外」に分類されますから、CD管は外されます。

他の電線管で言えば、厚鋼電線管薄鋼電線管などを筆頭とした金属管があります。

結論から言うと、金属管は接地線に使用される電線管としては不適切です。

簡単な話、金属は電気を通すからです。基本的に金属管を使用する場合はボンドアースといって、金属管に接地線を接続する必要があります。

電線管の中に接地線があって、電線管にも接地線を付けるって意味不明ですよね。接地線には金属管ではなく、プラスチックである合成樹脂管が適切です。

資格試験でも出てくる部分ですので、覚えておきましょう。

接地線の保護に使用される電線管PF管

 

接地線に関する情報のまとめ

接地線に関する情報のまとめ

  • 接地線とは:電気機器と大地を接続する電線のこと
  • 接地線の種類:IVケーブル、HIVEケーブル、SHIVEケーブル
  • 接地線の色:緑、赤、白、黒
  • 接地線の太さ(サイズ):2sq、3.5sq、5.5sq、8sq、14sq、22sq他
  • 接地線の選定方法:AT(アンペアトリップ)×0.052=接地線の太さ
  • 接地線の保護管:PF管

以上が接地線に関する情報のまとめです。

一通り接地線の基礎知識は網羅できたと思います。

電気工事において「接地」というのは非常に重要な概念です。似た様な単語としては「接地工事」だったり「接地極」などがあります。合わせて抑えておきましょう。

接地工事に関しては、A種からD種までの種類があります。どの種類の接地工事をするのか?どんな接地工事なのか?は理解しておく必要があります。

また、接地極に関しては、基礎工事において必須です。

改修工事をする人はあまり必要ない知識ですが、新築工事の人には必須の知識になります。基礎工事のタイミングで使用されるので覚えておきましょう。

下に分かりやすい記事のリンクを貼っておくので、よかったら読んでみてください。

それでは!