エアハンドリングユニットとは?仕組み、構成、FCUとの違いなど

  • エアハンドリングユニットって結局なに?
  • AHUの構成機器って何が入ってるの?
  • 仕組み・空気の流れがイメージできない
  • FCUと何が違う?どう使い分ける?
  • パッケージエアコンとの違いは?
  • 種類が多くて整理できない(外調機・全熱交換型って?)
  • メーカーはどこがある?
  • 据付で施工管理は何を見ればいい?
  • 搬入できないくらいデカいって本当?
  • 試運転調整って何を測るの?
  • フィルターやコイルの掃除ってどのくらいの頻度?
  • 結露・カビ・臭いのクレームが出た時どうする?

上記の様な悩みを解決します。

エアハンドリングユニットは、ビル・病院・工場・クリーンルームなど「広い空間をまとめて空調する」現場で必ず出てくる中央式の空調機です。設備施工管理にとっては、図面で拾って、搬入して、据え付けて、配管・ダクト・自動制御をつないで、試運転調整まで持っていく、わりと手のかかる機器でもあります。今回は定義・構成・仕組みといった基本を押さえた上で、現役の設備施工管理目線で「FCU・パッケージとの使い分け」「据付で見るべきポイント」「試運転調整(TAB)」「結露・カビ対策」など、現場で実際にハマるところまで網羅的に整理しました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

エアハンドリングユニットとは?

エアハンドリングユニットとは、結論「エアフィルタ・冷却/加熱コイル・加湿器・送風機をケーシングに収め、空気の温度・湿度・清浄度をまとめて整えて各室へ送る中央式の空調機」のことです。略してAHU(Air Handling Unit)、現場では「エアハン」と呼ばれます。

JIS B 8616では、空調機のうち「ケーシング内に空気冷却器、空気加熱器、空気加湿器、エアフィルタおよび送風機を収めた中央式空気調和ユニット」がエアハンドリングユニットとして定義されています。冷水・温水・蒸気といった熱源(チラー・ボイラー・冷凍機など)とは配管でつながっていて、AHU自体は冷凍サイクルを持たないのがポイントです。ここがパッケージエアコンとの根本的な違いになります。

設置場所は基本的に建物内の機械室(空調機械室)や屋上のペントハウスで、AHUで整えた空気をダクトで各フロア・各ゾーンに配って回します。オフィスビルの基準階空調、病院・製薬・半導体のクリーンルーム、工場の大空間など、「面で広く・安定して効かせたい」場所で使われる機器です。

空調設備全体の中での位置づけはこちらが整理しやすいです。

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僕の感覚だと、AHUは「熱源でつくった冷温水を、空気に乗せ替えて部屋まで届ける中継装置」と捉えると一気に分かりやすくなります。チラーやボイラーが熱をつくる工場、ダクトが配送ルート、AHUがその間で空気に熱・湿度・清浄度を仕込む加工場、というイメージですね。新人の頃はAHU単体で冷やしてると勘違いしがちですが、熱源とセットで初めて成立する機器だと押さえておくと、系統図の読み方がガラッと変わります。

エアハンドリングユニットの構成

エアハンドリングユニットは、空気の流れる順に次の機器が並んで構成されています。最低限この構成を頭に入れておけば、系統図でもカタログでも迷わなくなります。

順番 構成機器 役割 現場で確認すること
エアフィルタ 塵埃・花粉・微粒子を除去 フィルタ種別(プレ/中性能/HEPA)と更新スペース
冷却コイル 冷水で空気を冷却・除湿 冷水往還の接続向き、ドレンパン勾配
加熱コイル 温水/蒸気で空気を加熱 凍結防止(外気側コイル)の要否
加湿器 蒸気・気化式などで湿度付与 給水・蒸気配管とドレン処理
送風機(ファン) 整えた空気をダクトへ送出 静圧・回転方向・防振
ダンパー 外気・還気・排気の風量調整 連動制御とリンク機構の動作
制御盤・センサ 温湿度に応じて自動制御 自動制御業者との取り合い範囲

構成で押さえておくと現場で効くポイント

  • 混合チャンバー:外気(OA)と還気(RA)を混ぜる入口。外気取入口の位置とガラリ・防虫網の有無を図面で確認
  • エリミネータ:冷却コイルや加湿器の下流で水滴の飛散(キャリーオーバー)を防ぐ部材。これが無いとダクト内が濡れる
  • ドレンパン・ドレントラップ:冷却コイルの結露水を受けて排水する部分。封水切れ=臭気・空気漏れの元
  • 点検口・抜き出しスペース:フィルタ交換やコイル抜き出しのための開口と前面スペース。据付段階で潰すと一生後悔する
  • 防振架台:ファンの振動を躯体に伝えないための防振ゴム・防振バネ
  • キャンバス継手(たわみ継手):AHUとダクトの間に入れる帆布製の継手。振動絶縁と芯ズレ吸収を兼ねる

僕の感覚だと、初心者が最初に落とすのは「混合チャンバー」と「エリミネータ」と「ドレンパン回り」です。コイルや送風機みたいな主役は誰でも覚えますが、結露水・臭気・水滴飛散といったトラブルは、だいたいこの脇役の部材で起きます。系統図を読むときは主役より脇役を先に拾うクセをつけておくと、後の手戻りがぐっと減ります。

エアハンドリングユニットの仕組み

エアハンドリングユニットの動作原理は、結論「外気と還気を混ぜて、ろ過→温度調整→湿度調整→送風の順に空気を加工し、ダクトで各室へ届ける」という一本道です。

具体的には次の流れで空気を処理しています。

  1. 外気(OA)と室内からの還気(RA)を混合チャンバーで混ぜる
  2. エアフィルタで塵埃・微粒子を除去する
  3. 冷却コイル(冷水)または加熱コイル(温水・蒸気)で温度を調整する
  4. 必要に応じて加湿器で湿度を上げる(冷却コイルでの除湿で湿度は下がる)
  5. 送風機で所定の風量・静圧をつけてダクトへ送り出す

この処理した空気(給気=SA)が各室の吹出口から供給され、室内を空調したあと、一部は排気(EA)として捨てられ、残りは還気としてAHUに戻ってきます。コイルへ流す冷温水の量をモーターバルブ(MV)で増減させ、ダンパーで外気・還気・排気の比率を変えることで、室内の温湿度を狙った値に保つ、という制御をしています。

湿度設計の考え方を一段深く知りたい場合は、湿り空気線図の読み方を押さえておくと、冷却除湿と加湿の関係がスッキリ理解できます。

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僕としては、AHUの仕組みは「空気が左から右へ一本道で加工されていく」とイメージするのが一番ラクだと感じます。フィルタで掃除して、コイルで温度を直して、加湿器で湿度を足して、ファンで押し出す。順番が決まっているので、トラブルが起きたとき「どの工程で空気がおかしくなったか」を上流から順に追えるのが強みです。逆に言うと、機器の並び順を覚えていないと不具合の切り分けができないので、ここは丸暗記でも構わないので頭に入れておくといいです。

エアハンドリングユニットの種類

エアハンドリングユニットは、分類の切り口が3つあると整理しやすいです。カタログや設計図書で「○○型」と出てきたら、どの切り口の話かを見極めると混乱しません。

分類の切り口 主な種類 特徴・使われる場面
設置形態 標準型/コンパクト型/分割(分離)型 機械室の広さ・搬入条件で選ぶ
空気処理方式 一般空調用/外調機(OAHU)/全熱交換型/クリーンルーム用 外気処理・省エネ・清浄度で選ぶ
熱源の組み合わせ 冷温水コイル式/DX式(直膨)/蒸気式 建物の熱源方式に合わせる

外調機(OAHU)は特に押さえておく

種類の中でも現場でよく混同されるのが「外調機(OAHU:Outdoor Air Handling Unit)」です。これは外気だけを専門に処理するAHUで、外気の温湿度を整えてから各階のFCUやAHUに送る役割を持ちます。一般のAHUが外気+還気を扱うのに対して、外調機は外気100%を相手にするので、コイル容量も結露量も桁が違います。ドレン処理や凍結防止を甘く見ると、冬場に外気側コイルが凍る・夏場にドレンが溢れる、といったトラブルになりやすい機器です。

全熱交換型とクリーンルーム用

  • 全熱交換型:排気と給気の間で熱と湿気を交換し、外気負荷を減らす省エネ仕様。換気量の多い建物で効く
  • クリーンルーム用AHU:HEPA・ULPAフィルタを搭載し、微粒子を高度に除去。製薬・半導体・医療で必須
  • コンパクト型:研究室・分室向けの小型機。機械室が取れない場所で使う

全熱交換の考え方は、独立した熱交換器としても現場でよく出てくるので、合わせて押さえておくと理解が深まります。

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僕の感覚だと、種類で迷ったら「この機械は外気をどれだけ相手にしてるか」を最初に確認するのが一番実用的です。外気100%(外調機)なのか、外気+還気(一般AHU)なのか、ほぼ還気だけ(循環用)なのかで、コイル容量も結露量も加湿負荷もまるで変わります。型式名を暗記するより、外気の扱い量から逆算して特性を読む方が、現場では応用が効きます。

エアハンドリングユニットとFCUの違い

AHUと一番混同されやすいのがFCU(ファンコイルユニット)です。結論から言うと、両者は「規模と役割」が違います。

比較項目 AHU(エアハン) FCU(ファンコイル)
規模 大型・機械室設置 小型・各室設置
加湿器 あり 基本なし
外気処理 できる(混合チャンバー) 基本できない(外調機と併用)
制御単位 フロア・ゾーン単位 部屋単位
ダクト 必要 不要〜短い
主な役割 空間全体の基本空調 個室の温度微調整

FCU側の詳細な仕組み・施工のコツはこちらが詳しいです。

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現場での使い分け:インテリアとペリメータ

実務では「AHUとFCUのどちらか」ではなく「両方を役割分担で併用する」のが定番です。建物の内部(インテリアゾーン)はAHUでまとめて空調し、窓際で日射や外気の影響を受けやすい外周部(ペリメータゾーン)はFCUで個別に補正する、という組み合わせがオフィスビルの王道です。病院やホテルのように個室が多い建物では、外調機で外気を処理して各室へ送り、各室の温度はFCUで微調整する形がよく使われます。

僕としては、AHUとFCUの違いは「面で効かせるか、点で効かせるか」で捉えると現場で迷わないと感じます。AHUは大きな面をまとめて空調する代わりに、部屋ごとの細かい好みには応えにくい。FCUは部屋単位で効かせられる代わりに、外気処理や加湿は苦手。だから両方を組み合わせて弱点を補い合う設計になるわけです。図面でAHUとFCUが両方載っていたら、まず「どこがインテリアでどこがペリメータか」を色分けして見ると、系統の意図が一気に読めます。

エアハンドリングユニットとパッケージエアコンの違い

もう一つ比較されやすいのがパッケージエアコン(PAC)です。AHU・FCUが冷温水(水)で熱をやり取りするのに対して、パッケージエアコンは冷媒で直接冷暖房する点が決定的に違います。

比較項目 AHU FCU パッケージエアコン
熱の運び方 冷温水(水) 冷温水(水) 冷媒(直膨)
熱源 チラー・ボイラー等が別途必要 同左 室外機に内蔵
規模 大空間向け 個室向け 個室〜中規模
設備費・施工 高い・配管多い 比較的安い・施工が簡単
加湿・清浄度 高度に対応可 限定的 苦手
向いている建物 大規模ビル・工場・病院 個室の多い建物 店舗・小〜中規模オフィス

パッケージエアコンの種類・施工はこちらが参考になります。

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僕の感覚だと、3者の使い分けは「建物の規模と熱源方式」でほぼ決まります。チラーやボイラーで中央熱源を持つ大規模建物ならAHU+FCU、熱源を中央に持たず個別で完結させたい中小規模ならパッケージ、という大枠です。「とりあえずパッケージの方が安いから」で大空間に多数台入れると、室外機の置き場所・電源容量・更新時の手間で結局割高になることもあるので、規模とライフサイクルで判断する視点を持っておくといいです。

エアハンドリングユニットの主要メーカー

AHUは専業色の強い機器で、メーカーによって得意分野がはっきり分かれます。代表的なメーカーを整理しておきます。

メーカー 特徴
新晃工業 AHU・外調機の国内最大手。大型から特注まで幅広い
木村工機 コンパクト機・特殊用途に強み
昭和鉄工 鋳鉄系の歴史が長く、空調機全般を展開
三菱重工サーマルシステムズ 熱源とのシステム提案に強い
ダイキン工業 冷媒技術を活かした機種・制御連携が得意

選定で見る主な仕様は、必要風量(m³/h)と機外静圧(Pa)、コイルの冷却・加熱能力、フィルタ構成、加湿方式、設置環境(屋内/屋外/防音)あたりです。設計が決めることが多いですが、施工管理も承認図のチェックで必ず通る項目なので、何を見る欄なのかは把握しておきたいところです。

僕としては、メーカー名そのものより「承認図でどの仕様を確認するか」を覚えておく方が現場では役に立つと感じます。風量・静圧・コイル能力・フィルタ種別・電源仕様、このあたりが設計図と承認図で食い違っていないかを照合するのが施工管理の仕事です。メーカーごとの優劣を語れるより、承認図を正しく読めることの方が、現場ではよっぽど信用されます。

エアハンドリングユニットの据付で施工管理が見るポイント

ここからが本題です。AHUは「図面に載ってる機器」ではなく「現場で据え付けて配管・ダクト・制御をつなぐ機器」です。競合の解説記事はメーカーや用語の説明で止まっていることが多いので、施工管理が実際の据付で何を見ているかを整理します。

搬入・分割組立の検討(最初の関門)

AHUは大型機だと「そのままでは機械室に入らない」ことがよくあります。搬入経路(建物の開口・エレベーター・階段・廊下幅)と機器寸法を照合し、入らない場合はメーカーと分割搬入・現地組立を相談します。

  • 搬入経路の最小開口寸法と機器の分割可否を着工前に確認する
  • 分割組立になる場合、現地での接合・気密処理の手間と工程を見込む
  • 揚重(クレーン・チェーンブロック)の段取りと養生を計画する

基礎・防振・水平の確保

  • コンクリート基礎の天端レベルと寸法を躯体段階でメーカー図と照合する
  • 防振架台(防振ゴム/防振バネ)の選定と据付水平を確認する
  • 重量物なので床荷重・吊り荷重に問題がないか構造側と確認する

配管・ダクトの取り合い

AHUは取り合う相手が多い機器です。冷温水配管、加湿給水・蒸気配管、ドレン配管、ダクト、自動制御、それぞれの接続を漏れなく押さえます。

  • 冷温水配管:往き・還りの向きを間違えない。保温・空気抜き・水抜きの位置も確認
  • ドレン配管:必ず勾配を確保し、ドレントラップ(封水)を設ける。封水切れは臭気・カビの原因
  • 加湿給水:純水・軟水の要否、ドレン処理を確認
  • ダクト:たわみ継手(キャンバス)で振動絶縁。芯ズレ・無理な接続をしない
  • 自動制御:センサ・バルブ・ダンパーの取り合い範囲を制御業者と明確に分担

冷温水配管の施工は専門知識が要るので、こちらを押さえておくと取り合いの確認がスムーズです。

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配管の保温・結露防止の考え方はこちらが参考になります。

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ダクトの種類・接続はこちらが詳しいです。

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メンテナンススペースの確保(将来まで効く)

据付で一番後悔が多いのが「メンテナンススペースを潰す」ことです。フィルタ交換、コイルの抜き出し、ファンの整備、点検口の開閉、これらに必要な前面・側面スペースを据付段階で確保しておかないと、将来の保守でまるごとやり直しになります。

僕の感覚だと、AHUの据付で施工管理が本当に問われるのは「搬入」と「取り合い」と「メンテスペース」の3点です。機器そのものはメーカーが作って持ってくるので、現場の腕が出るのは、入らない機器をどう入れるか、たくさんある接続をどう漏れなくつなぐか、将来の保守をどう殺さないか、ここです。逆にこの3点を着工前に詰めておけば、AHUの据付は驚くほどスムーズに進みます。新人のうちは承認図と搬入経路図を並べて、寸法を当たるところから始めるのがおすすめです。

エアハンドリングユニットの試運転調整(TAB)

据え付けて配管・ダクト・制御をつないだら終わり、ではありません。AHUは試運転調整(TAB:Testing, Adjusting and Balancing)で性能を出して初めて引き渡せます。ここも競合記事ではほぼ触れられていない領域です。

試運転で確認する主な項目

項目 確認内容
風量 設計風量が出ているか(吹出口・ダクトで測定)
風量バランス 各室・各吹出口への配分が設計通りか
機外静圧 ファンの静圧が設計値に収まっているか
温湿度 コイル出口・各室の温湿度が狙い値か
自動制御 バルブ・ダンパーが指令通り動くか、連動が正しいか
異音・振動 ファン・ベルト・防振の異常がないか

試運転調整の現場での流れ

  • まず単体で送風機を回し、回転方向・異音・振動を確認する
  • ダンパー全開で総風量を測り、設計風量との差を見る
  • 各系統のダンパーを絞って風量バランスを調整する
  • 冷温水を通してコイル性能・温湿度を確認する
  • 自動制御の連動(温度上昇でバルブ開、など)をシーケンスで確認する

風量や流量の測定・計算の基礎はこちらが参考になります。

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僕としては、試運転調整こそAHU工事の本当の山場だと感じます。図面通りに据え付けても、ダクトの抵抗や施工誤差で風量は必ずズレるので、最後に人の手でバランスを取る工程が要ります。ここを「動いたからOK」で流すと、引き渡し後に「奥の部屋だけ効かない」「特定の階だけ暑い」というクレームになって戻ってきます。試運転調整の記録(風量・温湿度・静圧)は、後々の保守やクレーム対応の証拠にもなるので、丁寧に残しておくのが鉄則です。

エアハンドリングユニットのメンテナンス・保守点検

AHUは引き渡したら終わりではなく、定期的な保守点検が前提の機器です。点検を怠ると風量低下・臭気・カビ・効率低下につながります。日本冷凍空調工業会も定期点検を強く推奨しています。

点検対象 主な内容 目安
エアフィルタ 清掃・交換(差圧で判断) 月次〜数ヶ月、用途で変動
冷却・加熱コイル フィン洗浄・目詰まり確認 年1回程度
ドレンパン・ドレン配管 汚れ・詰まり・封水確認 定期的に
送風機・ベルト 異音・摩耗・張り調整 年次
加湿器 スケール・給水確認 シーズン前
ダンパー・制御 動作・連動確認 年次

フィルタは「時間で交換」ではなく「差圧(前後の圧力差)で判断」するのが本来の考え方です。差圧が上限に達したら、たとえ見た目がきれいでも交換時期です。

僕の感覚だと、AHUのトラブルの大半は「フィルタとドレン回り」に集約されます。フィルタが詰まれば風量が落ちて効かなくなり、ドレンが詰まれば水が溢れてカビと臭気が出る。派手な故障より、この地味な2つの点検をサボったことによる不調が圧倒的に多いです。引き渡し時に建物管理者へ「フィルタは差圧で、ドレンは定期的に」とだけでも伝えておくと、後々のクレームがかなり減ります。

エアハンドリングユニットの結露・カビ・臭気トラブルと対策

最後に、AHUで実際に多い「結露・カビ・臭気」のトラブルを、原因と対策で整理しておきます。引き渡し後にクレームとして戻ってきやすい部分なので、施工段階で潰しておきたいところです。

トラブル 主な原因 対策
ドレンパンから水が溢れる ドレン勾配不足・トラップ詰まり 据付時に勾配確保、封水と清掃口を設ける
ダクト内が濡れる エリミネータ不良・風速過大 部材の確認、風速設計の見直し
カビ・臭気 ドレン封水切れ・コイル汚れ 封水管理、コイル洗浄、保温の結露対策
機械室結露 外気側コイル・配管の保温不足 配管・コイルの結露防止保温を確実に
冬場のコイル凍結 外気100%で温水が回らない 凍結防止制御・予熱コイル・水抜き

結露そのものの原因と対策を体系的に知りたい場合はこちらが詳しいです。

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僕としては、結露・カビ・臭気は「据付段階で7割決まる」と感じます。ドレン勾配と封水、配管・コイルの結露防止保温、この2つを施工で確実にやっておけば、運用後のトラブルは大きく減ります。逆に、ここを雑にやると、どれだけ機器が良くても水とカビの問題は必ず出ます。AHUは「動かす機器」であると同時に「水を扱う機器」でもあるので、水の行き場(ドレン)と水の付着(結露)を常に意識して施工するのが、設備施工管理の腕の見せどころです。

エアハンドリングユニットに関する情報まとめ

  • 定義:フィルタ・コイル・加湿器・送風機をケーシングに収め、空気の温湿度・清浄度をまとめて整える中央式空調機(略称AHU、現場では「エアハン」)
  • 構成:エアフィルタ→冷却/加熱コイル→加湿器→送風機の順+ダンパー・制御盤。脇役の混合チャンバー・エリミネータ・ドレンパンが重要
  • 仕組み:外気と還気を混合→ろ過→温度調整→湿度調整→送風の一本道で空気を加工
  • 種類:設置形態/空気処理方式/熱源で分類。外気100%の外調機(OAHU)、全熱交換型、クリーンルーム用が代表
  • FCUとの違い:AHUは面で効かせる大型機・加湿あり、FCUは点で効かせる小型機。インテリアはAHU、ペリメータはFCUで併用が定番
  • パッケージとの違い:AHU・FCUは冷温水、パッケージは冷媒で直膨。建物規模と熱源方式で使い分ける
  • メーカー:新晃工業・木村工機・昭和鉄工・三菱重工・ダイキン等。施工管理は承認図の仕様照合が肝
  • 据付の3要点:搬入(分割組立)・取り合い(冷温水/ドレン/加湿/ダクト/制御)・メンテスペース確保
  • 試運転調整(TAB):風量・バランス・静圧・温湿度・自動制御を確認。記録を残す
  • 保守点検:フィルタ(差圧判断)とドレン回りが要。コイル洗浄・ベルト点検も定期的に
  • トラブル対策:結露・カビ・臭気は据付段階のドレン勾配・封水・結露防止保温で7割決まる

以上がエアハンドリングユニットに関する情報のまとめです。

エアハンドリングユニットは「大きくて手のかかる機器」ですが、構成と空気の一本道を押さえれば、仕組みの理解は難しくありません。施工管理として本当に問われるのは、搬入・取り合い・メンテスペースを着工前に詰め、試運転調整で性能を出し切り、結露とドレンを施工で潰しておくこと。FCU・パッケージとの使い分けや、外調機・全熱交換型といった種類の整理も合わせて押さえておくと、空調設備全体の系統図がスッと読めるようになるはずです。

エアハンドリングユニットに関するよくある質問

Q1:エアハンドリングユニットとファンコイルユニットは何が違うんですか?

AHUは機械室に置く大型機で、加湿器を持ち外気処理もできて、フロアやゾーン単位で空間全体をまとめて空調します。FCUは各室に置く小型機で、基本的に加湿器はなく外気処理もできず、部屋単位で温度を微調整する機器です。実務では「どちらか」ではなく、建物内部(インテリア)をAHU、窓際(ペリメータ)をFCUで補正、という併用が定番です。AHUは面で、FCUは点で効かせると捉えると分かりやすいです。

Q2:AHUとパッケージエアコンはどう使い分けますか?

熱の運び方が根本的に違います。AHUはチラーやボイラーが作った冷温水を使うのに対し、パッケージエアコンは室外機の冷媒で直接冷暖房します。中央熱源を持つ大規模ビル・工場・病院はAHU(+FCU)、中央熱源を持たず個別で完結させたい店舗・中小オフィスはパッケージ、というのが大枠の使い分けです。規模だけでなく、更新時の手間や室外機の置き場所まで含めて判断するのが実務的です。

Q3:外調機(OAHU)と普通のAHUは何が違うんですか?

外調機は外気だけを専門に処理するAHUです。一般のAHUが外気と還気を混ぜて扱うのに対し、外調機は外気100%が相手なので、コイル容量も結露量も加湿負荷も大きくなります。処理した外気を各階のFCUや室内機に送り、室温は別の機器で微調整する、という役割分担で使われます。外気100%ゆえに、夏のドレン処理と冬のコイル凍結対策をしっかりやらないとトラブルになりやすい機器です。

Q4:AHUの据付で施工管理が一番気をつけることは何ですか?

「搬入」「取り合い」「メンテナンススペース」の3点です。大型機は機械室に入らないことがあるので、搬入経路と機器寸法を着工前に照合し、必要なら分割搬入・現地組立を計画します。取り合いは冷温水・ドレン・加湿給水・ダクト・自動制御と多いので、漏れなく分担を決めます。そして将来のフィルタ交換やコイル抜き出しに必要なスペースを潰さないこと。この3点を事前に詰めれば据付は大きくつまずきません。

Q5:フィルタやコイルの掃除はどのくらいの頻度でやればいいですか?

フィルタは「期間」ではなく「差圧(前後の圧力差)」で判断するのが本来の考え方で、差圧が上限に達したら交換時期です。用途によりますが、目安は月次〜数ヶ月です。コイルは年1回程度のフィン洗浄、ドレンパン・ドレン配管は詰まりや封水を定期的に確認します。送風機のベルトや防振も年次で点検します。点検を怠ると風量低下・臭気・カビにつながるので、引き渡し時に建物管理者へ点検の考え方を伝えておくのがおすすめです。

Q6:試運転調整(TAB)では具体的に何を測るんですか?

主に風量・風量バランス・機外静圧・温湿度・自動制御の動作・異音振動を確認します。まず送風機単体で回転方向と異音を見て、総風量を測り、各系統のダンパーで風量バランスを調整します。その後、冷温水を通してコイル性能と温湿度を確認し、自動制御の連動(温度に応じたバルブ開閉など)をシーケンスで確認します。施工誤差で風量は必ずズレるので、最後に人の手で調整する工程です。測定記録は保守やクレーム対応の証拠として必ず残します。

Q7:引き渡し後に結露やカビ、臭いのクレームが出ました。原因はどこですか?

多くはドレン回りと結露防止保温に原因があります。ドレンパンの勾配不足やドレントラップの封水切れ・詰まりで水が溢れたり臭気が上がったりするケース、配管やコイルの保温不足で機械室やダクトが結露するケースが典型です。封水の管理とコイル洗浄、配管・コイルの結露防止保温の確認が対策になります。こうしたトラブルは据付段階の施工品質で7割が決まるので、本来は施工時にドレン勾配と保温を確実にしておくのが一番効きます。

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