- ダクトって角とスパイラル、結局どっちがいいの?
- フレキシブルダクトはどこに使う?
- グラスウールダクトのメリットは?
- 低圧ダクトと高圧ダクトの境目は?
- 消防法でダクトに制約ってある?
- どのタイプを選ぶと工期短縮できる?
上記の様な悩みを解決します。
ダクトは空調・換気・排煙など建物の「空気を運ぶ大型配管」で、一見シンプルに見えるんですが、角/スパイラル/フレキ/グラスウールなど実に多様な種類があり、使う場所と圧力区分でほぼ機械的に決まるという性質を持っています。種類の選定理由をきちんと理解しておくと、設計者・サブコンとの会話がスムーズになります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
ダクトとは?種類分類の全体像
ダクトとは、結論「ファンから室内まで空気を運ぶための大型管路」のことです。英語ではDuct。空調設備(給気・還気)、換気設備(外気導入・排気)、排煙設備、厨房排気、トイレ排気など、空気を扱うほぼすべての系統で使われます。
種類分類は「材質」「形状」「圧力区分」の3軸で考えるのが分かりやすいです。
- 材質:亜鉛メッキ鋼板/ステンレス/グラスウール/塩ビ/フレキ
- 形状:角ダクト/丸ダクト(スパイラル)/フレキシブル
- 圧力区分:低圧(500Pa以下)/高圧1(500〜2,500Pa)/高圧2(2,500〜3,500Pa)
僕としては、ダクト選定は「用途→圧力区分→材質→形状」の順に絞り込めば9割は機械的に決まるなと感じていて、施工管理として効くのは「天井懐の高さを設計初期に確保する交渉」と「TAB作業を引渡し1か月前に開始する工程組み」の2点だと思います。
これに加えて、建築基準法・消防法の防火ダクト要件で板厚・防火ダンパーの指定が入ります。
角ダクト(矩形ダクト)
最も汎用的なダクトタイプです。亜鉛メッキ鋼板を長方形断面に折り曲げて、コーナーをハゼ折りまたはコーナークリップで組み立てたもの。
- 任意のサイズ(100×100〜1,500×1,200mmが標準)
- 天井懐の高さに合わせて扁平形状にできる
- 大風量対応(断面積が大きく取れる)
- 板厚は風量・サイズで決まる(0.5〜1.2mm)
- フランジ接続(共板フランジ/角ダクトフランジ)
メリットは天井懐に合わせた自由設計とサイズ選択肢の広さ。デメリットは工場製作必須・重い・支持金具必要・大型サイズの搬入が困難、というところ。中規模以上のオフィス・商業施設・病院など、天井懐に余裕がない大風量系統で標準的に使われます。
板厚はSHASE-S 010で規定されていて、長辺寸法と圧力区分で決まります(〜450mmで低圧0.5mm、〜1,500mmで0.8mmなど)。板厚不足は運転圧力でダクトが「ボコッ」と音を立てて変形する原因なので、設計時に必ず板厚指定を確認します。
スパイラルダクト(丸ダクト)
円形断面の標準ダクトです。亜鉛メッキ鋼板のストリップをらせん状に巻きながら接合して作る円筒形ダクト。
- 直径100〜1,250mmが標準
- 圧力損失が小さい(角より断面効率良い)
- 工場製作品、現場は切断・接続のみ
- 軽量、強度高く板厚薄い
- 接続簡単で工期短縮
メリットは「軽量」「圧損小」「接続簡単」「意匠的に見せる配管にできる」の4点。デメリットは「天井懐の高さを使い切れない」「大風量だと直径が大きくなる」「継手部品コストが高め」。オフィス・店舗・住宅・倉庫など中小規模や扁平な天井懐が不要な場所で多用されます。最近は打ちっぱなしコンクリートの天井露出デザインでスパイラルダクトを塗装してオシャレに見せる使い方も増えています。
フレキシブルダクト(フレキダクト)
ジャバラ状の柔軟なダクト。ワイヤー螺旋にアルミ箔・グラスファイバー・ポリエステル樹脂を巻き付けた柔軟な円筒。
- 直径100〜400mm程度の小口径
- 折り曲げ自由(曲げR=直径の3倍以上推奨)
- 軽量、現場で長さ切断可能
- 差込+ホースバンド+アルミテープ巻きで接続
メリットは「末端配管が楽」「現場での位置調整可能」「工期短縮効果大」。デメリットは「圧力損失が大きい」「長距離不向き(推奨3m以下)」「経年での破損リスク」「排煙ダクトには使えない」。天井内で「角ダクト本管→フレキ→室内吹出口」の末端区間で使うのが定番。
その他のダクト(グラスウール・塩ビ・ステンレス・チャンバー)
特殊用途・特殊材質のダクトを整理します。
- グラスウールダクト:保温+吸音、内貼り型と一体型
- 塩ビダクト(PVC):化学プラント・薬品排気、耐酸耐アルカリ
- ステンレスダクト:厨房・海岸地区・滅菌室、耐食性高
- チャンバー:混合・分配箱、内貼りグラスウールで消音
グラスウールダクトはオフィス・商業施設の静かさが求められる空調ダクトで多用されますが、厨房・病院・無菌室では使用不可(グラスウール繊維の室内飛散リスク)という両極の評価。厨房排気は油煙が付着して防火上問題になるので、清掃しやすいステンレスが標準です。
吸音材の基本はこちら。

ダクト種類の選定基準
実務での使い分けを整理します。
| 用途 | 標準ダクト |
|---|---|
| 空調給気・還気(オフィス) | 角ダクト or スパイラル |
| 換気給気・排気(オフィス) | スパイラル |
| 末端吹出口接続 | フレキ |
| 厨房排気 | ステンレス角 |
| 排煙 | 角ダクト(耐熱仕様) |
| 化学排気 | 塩ビ/ステンレス |
| 静粛性要求空間 | グラスウール内貼り |
圧力区分は低圧(500Pa以下)が標準、高圧1(500〜2,500Pa)が大型施設・高速ダクト、高圧2(2,500〜3,500Pa)が特殊用途。消防法対応として、排煙ダクトは建築基準法施行令第126条の3、防火区画貫通は防火ダンパー+耐熱仕様、厨房排気は消防法で清掃義務+グリースフィルター必須、という規制が入ります。

ダクト施工に関する注意点
施工管理として現場で詰むポイントを3つ。
注意点①:天井懐の高さと他系統干渉
ダクトは天井懐の一番大きな専有スペースを取るので、設備総合図での他系統(電気ケーブルラック・配管・スプリンクラー)との干渉調整が必須。設計初期にダクトサイズを確定して、他系統のスペースを引いた残りで天井高を確保するのが正攻法です。

注意点②:フランジ接続部の漏気と防火ダンパー位置
ダクトのフランジ接続部から漏気すると、風量低下・消費電力の無駄・結露の原因に。接続部のガスケット・シーリング・ボルト均等締付を施工要領通りに実施。漏気試験(リークテスト)で全数確認するのが理想です。防火区画を貫通するダクトは建築基準法施行令第112条で防火ダンパー設置が義務なので、区画位置と整合を建築・構造と照合します。
注意点③:試運転時の風量バランス調整(TAB)
ダクト系統はTAB(Testing, Adjusting, Balancing)作業で各吹出口の風量を設計値に調整します。これを「とりあえずファン動かして空気が出ればOK」で済ませると、引渡し後に「特定の部屋だけ寒い」「換気不足で空気が悪い」というクレームが来ます。社内検査と合わせて押さえておきましょう。

ダクトの種類に関する情報まとめ
- ダクトとは:ファンから室内に空気を運ぶ大型管路
- 3軸分類:材質/形状/圧力区分
- 角ダクト:扁平対応、大風量、フランジ接続
- スパイラル:圧損小、軽量、工期短縮
- フレキ:末端接続専用、3m以下、排煙NG
- グラスウール:保温+吸音一体、医療食品NG
- 特殊:塩ビ/ステンレス/チャンバー
- 注意点:天井懐干渉/フランジ漏気/防火ダンパー/TAB調整
以上がダクトの種類に関する情報のまとめです。
「ダクトはどれも空気を運ぶ管」と一括りにすると、引渡し後の風量クレーム・結露・騒音という3大トラブルに繋がるので、種類の特性を踏まえた使い分けが本当に大事なんですよね。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
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