- 内部結露って何?普通の結露と何が違うの?
- なぜ壁の中で結露が起きるの?
- 内部結露が起きるとどんな被害が出るの?
- どうやって防げばいい?防湿シートとか通気層って何?
- 既存の家で内部結露が起きてるかどうやって調べる?
- 改修工事で何をすればいい?
上記の様な悩みを解決します。
「結露」と聞くと窓ガラスの水滴をイメージしがちですが、施工管理として怖いのは目に見えない壁の中の結露=内部結露のほう。発見が遅れて構造材が腐っていた…というケースは断熱改修や雨漏り補修の現場で実際に出てきます。本記事では内部結露の仕組み・原因・対策・現場でのチェック方法を整理していきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
内部結露とは?
内部結露とは、結論「壁・床・屋根の内部(断熱材の中や、外壁と内壁の間)で発生する結露」のことです。
壁体内(へきたいない)結露とも呼ばれます。室内で発生した水蒸気が壁の中に入り込み、温度が下がる位置で水蒸気が水滴に変わる、という現象です。表面に水滴が見えないので「見えないところで進行している」のが最大の怖さです。
内部結露の主な特徴
- 壁の内部・床下・屋根裏で発生
- 外から見えないので発見が遅れる
- 木材の腐朽・断熱材の機能低下を引き起こす
- カビ・ダニの温床になる
- 構造体(土台・柱)まで腐朽すると重大な不具合に
「気付いたら土台が腐っていた」「断熱材がベチョベチョだった」という事例の多くが、内部結露の長年の蓄積によるものです。
内部結露と表面結露の違い
「結露」と一言で言っても、見える結露と見えない結露があります。整理しておきましょう。
| 項目 | 表面結露 | 内部結露 |
|---|---|---|
| 発生場所 | 室内側の表面(窓・壁・天井) | 壁体内・床下・屋根裏の内部 |
| 視認性 | 見える | 見えない |
| 主な被害 | 拭けば終わり、カビが生える程度 | 構造材腐朽、断熱性能低下、シロアリ |
| 発見方法 | 目視 | 含水率測定、サーモグラフィ、解体 |
| 対策の難易度 | 換気・除湿で対応可 | 設計レベルでの対策が必要 |
| 修繕費用 | 安い | 高額(壁の解体伴う場合多い) |
「見えるから怖い」のは表面結露、「見えないから怖い」のが内部結露、という対比が一番しっくりきます。
表面結露は冬の朝に窓を見れば誰でもわかりますが、内部結露は専門機材(含水率計・サーモグラフィ)または解体工事をしないと確認できないのが厄介な点です。
内部結露の発生メカニズム
なぜ壁の中で結露が発生するのかを整理します。空気と水蒸気の物理現象として理解しておくと、対策の意味が一気にクリアになります。
内部結露が発生する3つの条件
- 室内側で水蒸気が発生する(炊事・入浴・呼気)
- その水蒸気が壁内に侵入する(防湿層の不備)
- 壁内のどこかで露点温度以下になる(断熱不足)
露点温度とは
空気が水蒸気をもうこれ以上含めない(飽和した)温度のことを露点温度と言います。
例:室温20℃・相対湿度50%の空気の露点は、概ね9.3℃。この空気が、壁内のどこかで9.3℃以下に冷やされると、その時点で水蒸気が水に変わって結露します。
冬場、壁の中を内側から外側に断面で見ると、温度は徐々に下がっていきます。断熱材の中、もしくは外壁直前で露点温度を割り込むと、その位置で結露します。これが内部結露。
よくある発生位置
| 部位 | 結露しやすい位置 |
|---|---|
| 外壁 | 断熱材と外壁面材の境界 |
| 屋根 | 野地板の裏、断熱材上部 |
| 床下 | 断熱材直下、土台周辺 |
| サッシ周辺 | サッシ枠の取付部 |
夏型結露も増えている
「結露=冬」のイメージですが、近年は夏型結露(逆転結露)も注目されています。エアコンで冷えた室内に、湿度の高い外気が侵入することで、外壁側ではなく室内寄りの位置で結露が発生する現象。高断熱住宅で防湿層を欠陥施工した場合に起きやすいパターンです。
内部結露の原因(施工不良が絡みやすい)
設計通りに施工していれば内部結露は防げるはずなのに、現場で発生する代表的な原因を整理します。
現場で発生しやすい内部結露の原因
- 防湿シート(気密シート)の破れ・テープ切れ
- 断熱材の隙間・欠損
- コンセント・スイッチ周辺の気密処理不良
- 配管貫通部のコーキング不足
- 通気層の閉塞(虫の死骸、断熱材のはみ出し)
- 屋根換気口の不足
- サッシ枠周辺の防水テープ施工ミス
これらの大半は「ちゃんと施工していなかった」事に起因します。設計図書のディテール(納まり詳細図)通りに丁寧に施工することが、最大の対策です。
サッシ周辺の納まりはこちらに整理しています。

内部結露の対策
内部結露の対策は「水蒸気を入れない」と「入った水蒸気を逃がす」の2系統で考えます。
防湿層の設置
室内側に防湿シート(ポリエチレンフィルム0.2mm厚など)を連続的に貼り、水蒸気を壁内に入れないのが基本対策。
防湿層を設ける際のポイント
- シート同士のジョイント部は必ずテープ処理
- コンセント・スイッチ周りは気密パッキンと併用
- 配管貫通部はブチルテープ・コーキング併用
- 床と壁、壁と天井の取り合い部も連続化
防湿シートに小さな穴が1個でも空いていると、そこを起点に大量の水蒸気が壁内に入ってしまいます。「シートが連続している」が原則で、施工中に大工さんがビス打ちで穴を開けたら必ずテープ補修が必要。
通気層の確保
外壁と断熱材の間に通気層(15〜18mm程度)を設けて、入り込んだ水蒸気が外気に逃げる流れを作ります。
通気層が機能する条件
- 軒裏の換気口(給気側)
- 棟換気口・小屋裏換気口(排気側)
- 通気層の連続性(水切り材で塞がない)
- 障害物(蜘蛛の巣・断熱材)がないこと
軒裏から取り入れた外気が、壁体内通気層を通って棟換気口から排気される、という空気の流れが必要です。入口と出口の両方が必要で、片方だけでは流れません。
グラスウールやロックウールの取り扱いはこちらに詳しいです。


断熱性能の確保
断熱材の厚みが不足していると、壁内の温度勾配が急になって露点に達しやすくなります。地域区分に応じた断熱等級(5〜7)の基準値を確保するのが基本です。グラスウールやロックウールの選定もここに関わります。
ロックウール・グラスウール・アスベストの違いはこちらに整理しています。

内部結露の見つけ方
既存住宅で「もしかして内部結露が起きてる?」と疑った場合、どう調べるかを整理します。
内部結露を疑う初期サイン
- 壁紙が部分的に変色・剥がれている
- 壁を叩くと部分的に鈍い音
- 室内側のサッシ枠・木部にカビが集中
- 押し入れ・クローゼットの壁が湿っぽい
- 床下点検口を開けたら土台が黒ずんでいる
- シロアリ被害の痕跡
これらのサインがあれば、専門的な調査(サーモグラフィ・含水率測定・部分解体)に進みます。
専門的な調査方法
| 調査方法 | 内容 |
|---|---|
| サーモグラフィ | 壁面の温度分布を可視化、結露している部分は周囲より低温 |
| 含水率計 | 木材・ボード材に針を刺して含水率を測定(健全:15%以下) |
| 床下・屋根裏点検 | 目視と触診で湿気・カビ・腐朽を確認 |
| 部分解体 | 上記で発見した位置を実際に壊して確認 |
含水率20%を超えると木材の腐朽が始まると言われており、25%以上で構造材として要警戒、30%超で交換検討、というのが目安です。
内部結露の補修
既に内部結露が発生してしまった既存住宅で、何をすべきかを整理します。
内部結露補修の基本フロー
- 範囲調査(サーモ・含水率・点検)
- 部分解体(壁・床・屋根の必要箇所)
- 腐朽部材の交換(土台・柱・面材)
- 断熱材の入れ替え(カビ・湿気汚染品は廃棄)
- 防湿層の再施工
- 通気層の再確保
- 仕上げ復旧
注意点として、根本原因の防湿・通気の見直しを伴わない部分補修は再発します。コーキングだけ打ち直して終わりだと数年で同じ場所が再結露するので、ディテール側の見直しまで踏み込むのが鉄則です。
改修工事の全体像はこちらに整理しています。

ハツリで部分解体する場合の注意点はこちら。

内部結露で施工管理が気を付けるポイント
最後に、施工管理として現場で内部結露を起こさせないコツをまとめます。
現場での予防チェックポイント
- 防湿シートの連続性(特にコンセント・スイッチ・配管周り)
- 断熱材の隙間・欠損の確認
- 通気層の確保(断熱材のはみ出し禁止)
- サッシ周辺の防水テープ施工
- 配管貫通部のコーキング・パッキン
- 引き渡し前に第三者の気密測定で確認
配管・電気貫通部はチェックリスト化
電気・空調・給排水の壁貫通箇所は、それぞれの業者が個別に処理するため、施工管理がリストで一元管理しないと「誰かがやっただろう」で全員ノータッチという事故が起きやすいです。
例えば防火区画と気密層が重なる位置(防火区画貫通処理)は、両方の役割を1個で果たそうとすると施工性が悪く、施工漏れが起きやすい場所。専用のリストで業者ごとの処理を可視化するのがおすすめです。
防火区画貫通処理についてはこちらに詳しいです。

気密測定との併用
防湿層の連続性を最終確認する手段として、完了前に気密測定を行ってC値を実測するのが最も確実な検証方法。気密測定で漏気が見つかった箇所は、内部結露のリスクポイントとも重なります。
気密測定の流れはこちらに。
施工要領書での明文化
防湿層・通気層・防水テープの施工方法は、現場の職人の判断に任せず、施工要領書に図入りで明記するのが安全です。担当者が変わっても再現性のある施工になり、内部結露リスクを下げられます。
施工要領書の作り方はこちらに。

内部結露に関する情報まとめ
- 内部結露とは:壁・床・屋根の内部で発生する結露
- 表面結露との違い:見えないため発見が遅れ、構造材腐朽の原因に
- 発生条件:水蒸気+防湿層不備+断熱不足の3つが揃うと発生
- 対策:防湿層の連続性/通気層の確保/断熱性能の確保
- 発見方法:サーモグラフィ・含水率計・点検・部分解体
- 補修:腐朽部材交換+防湿・通気のディテール見直し
- 施工管理の重点:貫通部リスト化、気密測定との併用、施工要領書の明文化
以上が内部結露に関する情報まとめです。
一通り内部結露の基礎知識は理解できたかなと思います。「水蒸気を入れない+入った水蒸気を逃がす、の2段構えを設計どおり丁寧に施工する」これが内部結露を起こさない王道です。引き渡し直後に問題が出る事故ではなく、5年〜10年後に「土台が腐ってた」と返ってくる事故なので、今の現場の責任範囲を超えてでも、丁寧な施工をしておきたいテーマですね。
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