- 免震構造ってなに?
- どうやって地震を防ぐの?
- 種類はどんなものがある?
- 価格はどれくらい?
- 耐震・制震と何が違う?
- どんな建物に使われる?
上記の様な悩みを解決します。
「免震構造」は、阪神大震災以降に注目され、現在では重要建築物の標準的な耐震対策として普及している先進技術。施工管理として、仕組みと耐震・制震との違いを整理しておきましょう。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
免震構造とは?
免震構造とは、結論「建物と地盤の間に免震装置を入れて、地盤の揺れが建物に伝わるのを大幅に低減する構造形式」のことです。
英語で「Base-Isolated Structure」「Seismic Isolation」。「免(まぬか)れる震動」=建物が地震動から逃れる、という意味合いの構造ですね。
免震構造の基本特性
- 建物と地盤を構造的に切り離す
- 免震装置(アイソレータ+ダンパー)で揺れを吸収
- 上部建物の水平加速度を1/3〜1/5に低減
- 建物自体の損傷ゼロを目指す
- 重要建築物・高層マンションで採用
- コストは耐震構造より高い
「地震の揺れを建物に伝えない」のが免震構造の核心。
免震構造の仕組み
具体的な仕組みを整理します。
基本原理
地震動は地盤から建物に伝わるので、その伝達路を遮断するのが免震の発想。
免震構造の動作原理
- 地震が発生
- 地盤が揺れる
- 免震装置が柔らかい変形で地盤の動きを吸収
- 上部建物はゆっくりとした周期で揺れる
- 建物への入力加速度が大幅低減
周期の伸長効果
通常の建物の固有周期が0.3〜1秒程度なのに対し、免震建物は3〜5秒まで周期が伸びます。
地震動の卓越周期は0.5〜2秒程度なので、免震で建物の周期を3秒以上に伸ばすことで、地震動と共振しない領域に逃がせるわけです。
免震構造の主な種類(免震装置)
免震装置は支持装置(アイソレータ)と減衰装置(ダンパー)の組み合わせ。
支持装置(アイソレータ)
主な支持装置
- 積層ゴム支承:ゴム板+鋼板を交互積層
- 天然ゴム系(NRB):標準
- 鉛プラグ入り(LRB):減衰機能内蔵
- 高減衰ゴム(HDR):減衰機能内蔵
- 滑り支承:球面支承、平面支承
- 転がり支承:球面ベアリングで転がり
積層ゴム支承が最も普及しており、低層〜中高層建築の標準。
減衰装置(ダンパー)
主なダンパー
- オイルダンパー:粘性流体で減衰
- 鋼製ダンパー(U形・ハニカム形):金属の塑性変形
- 鉛ダンパー:鉛の塑性変形
- 粘弾性ダンパー:高分子材料の粘性
- 摩擦ダンパー:摩擦力で減衰
これらを組み合わせて最適な免震性能を実現します。
免震構造と耐震・制震の違い
最も問われる比較ポイント。3兄弟として整理しましょう。
| 構造方式 | 仕組み | 揺れ低減 | コスト | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 耐震構造 | 建物自体を強くする | 小(建物は揺れる) | 標準 | すべての建物 |
| 制震構造 | 制震ダンパーで揺れを吸収 | 中 | やや高 | 中高層、超高層 |
| 免震構造 | 地盤と切り離す | 大(建物はゆっくり揺れる) | 高 | 重要建築物 |
三兄弟のイメージ:
– 耐震:「踏ん張る」スタイル
– 制震:「揺れを吸収」スタイル
– 免震:「揺れから逃げる」スタイル
耐震構造の話は別記事で。

免震構造の建物例
実際に免震構造が採用される建物
- 超高層マンション:地震時の家具転倒防止
- オフィスビル:BCP(事業継続)対応
- 病院:手術中の地震対応
- データセンター:機器保護
- 官公庁:災害時の機能維持
- 美術館・博物館:収蔵品保護
- 戸建住宅:富裕層向け
- 歴史的建造物:文化財保護
「地震で機能が止まると困る建物」「中の物が壊れたら困る建物」が免震の主用途。
免震構造の価格
「免震ってどれくらい高い?」という気になる部分。
免震構造のコストアップ目安
- 戸建住宅:500万円〜1,500万円のアップ
- 中規模マンション:建設費の10〜15%アップ
- 大規模ビル:建設費の8〜12%アップ
- 超高層:相対的に安く(規模が大きいほど割合下がる)
イニシャルコストは確実に上がりますが、地震後の補修コストを加味するとライフサイクルコストでは免震が有利になる試算もあります。
免震構造の施工
免震建物の施工は通常建物より複雑で、専門ノウハウが必要。
主な施工フロー
- 基礎工事:免震ピット(地下空間)の構築
- 免震装置の据付:水平精度が極めて重要
- 上部躯体の施工
- エキスパンションジョイント:上部建物と外周を切り離す
- 配管・電気設備の柔軟接続:地震時の変位に追従
- 免震性能試験:完成時に性能確認
エキスパンションジョイントなど絶縁化が重要。
免震建物特有の注意点
免震建物の施工管理ポイント
- 免震装置の取付精度:水平誤差±2mm以内など極めて厳しい
- 建物外周のクリアランス:地震時の変位を吸収する隙間(30〜80cm程度)
- 設備配管の柔軟継手:免震層を跨ぐ配管はフレキシブル化
- 電気配線の余長:地震時に動いても切れない
- 免震ピット内の換気・排水
- メンテ通路の確保:装置点検用
施工管理として押さえる免震構造のポイント
施工管理者として、免震建物の現場で押さえるべきポイント。
免震構造施工管理のチェック項目
- 免震装置メーカーの設計図書遵守
- 取付精度の段階管理(基礎→装置→上部)
- 水平精度の試験
- エキスパンションジョイントの動作確認
- 設備配管の柔軟継手・配線余長
- 免震ピットの常時メンテ通路確保
- 施主・管理者へのメンテナンス説明
- 検査記録の徹底
免震建物特有:「免震層を跨ぐ配線・配管」は変位を吸収する余長が必須
免震マンションの新築で見落とされがちなのが、免震層を跨ぐ電気配線・給排水管・ガス管です。地震時に上部構造が水平に±30〜50cm変位するため、配線・配管はその変位を吸収できるたるみ(余長)を持たせて施工する必要があります。普通の建物の感覚で「ピンと張って美しく」やってしまうと、地震時に配線がブチッと切れる重大事故に直結。免震層クロスポイントの配線詳細図を着工前に必ず確認、特殊継手(フレキシブルジョイント)と配線ルート余長を専用要領書で運用するのが標準です。
タッチアップ・補修も免震建物の長期メンテで重要。

免震構造に関する情報まとめ
- 免震構造とは:建物と地盤を切り離して地震動を伝えない構造形式
- 基本原理:免震装置で建物の固有周期を伸長、地震動と共振回避
- 支持装置:積層ゴム(NRB/LRB/HDR)、滑り支承、転がり支承
- 減衰装置:オイル/鋼製/鉛/粘弾性/摩擦ダンパー
- 耐震との違い:耐震は踏ん張る、免震は揺れから逃げる
- 建物例:超高層マンション/オフィス/病院/データセンター/官公庁/美術館/戸建/文化財
- 価格:戸建500〜1,500万円、ビル全体で8〜15%アップ
- 施工管理の勘所:装置取付精度/クリアランス/設備柔軟接続/配線余長/メンテ通路
以上が免震構造に関する情報のまとめです。
一通り免震構造の基礎知識は理解できたと思います。「地震動と建物の周期をズラして共振させない」という基本原理を押さえておけば、耐震・制震との違いが明確になりますね。
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