- 熱伝導率ってなに?
- 単位とか公式って覚える必要ある?
- 材料ごとにどれくらい違うの?
- 熱貫流率(U値)との違いって?
- 省エネ計算でどう使うの?
- 現場で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
熱伝導率は断熱性能を語るときの最も基本的な物性値で、λ(ラムダ)という記号で書かれます。2025年4月から省エネ基準適合義務化が全面スタートしたこともあり、施工管理者が断熱材の数値を読めないとシビアに困る場面が増えています。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
熱伝導率とは?
熱伝導率とは、結論「材料が熱をどれくらい通しやすいかを表す物性値」のことです。
正確には「厚さ1mの板の両側に1℃の温度差があるとき、1平方メートルあたり1秒間に通る熱量(W)」を示す値で、記号はλ(ラムダ)。単位は W/(m・K) です。
数値が小さいほど熱を通しにくい=断熱性能が高いと判断します。グラスウールやロックウールなどの断熱材はλ値0.04前後、コンクリートはλ値1.6前後と、桁違いに差があります。
似た言葉に「熱貫流率(U値)」「熱抵抗値(R値)」がありますが、それぞれ役割が違います。混同すると省エネ計算でミスるので、後ろのセクションで整理します。
熱伝導率の単位と公式
熱伝導率は素材そのものの性質を表す値で、形状や厚みに依存しません。基本式はフーリエの法則と呼ばれ、以下のように書きます。
Q = λ × A × ΔT / d
- Q:熱の流れ(W)
- λ:熱伝導率(W/m・K)
- A:断面積(㎡)
- ΔT:温度差(K もしくは ℃)
- d:厚み(m)
省エネ計算では、この熱伝導率λと厚みdを組み合わせて「熱抵抗R = d / λ(m²・K/W)」を求め、各層のRを合計していくという流れになります。
要するに「素材の性質を語るのが熱伝導率λ」、「厚みも込みで部材の性能を語るのが熱抵抗R」、「壁全体・室内外の対流まで含むのが熱貫流率U」と覚えれば混同しません。
熱伝導率の材料別の数値
施工管理として最低限把握しておきたい主要材料の熱伝導率です。出典はJIS A 1412・住宅の省エネルギー基準解説書などの公開値ベースで、概算として置いた数値です。
| 材料 | 熱伝導率 λ(W/m・K) | 性質 |
|---|---|---|
| 普通コンクリート | 1.6 | 構造材、断熱性は期待しない |
| アルミニウム | 約200 | 熱橋になりやすい |
| 鉄(鋼) | 約53 | サッシ枠・アンカーが熱橋 |
| 木材(針葉樹) | 0.12 | 構造材として断熱性も持つ |
| 石膏ボード | 0.22 | 内装下地、若干の断熱性 |
| 高性能グラスウール 16K相当 | 0.038 | 戸建で標準採用 |
| ロックウール(保温筒) | 0.038前後 | 不燃で配管に多用 |
| 押出法ポリスチレンフォーム3種 | 0.028 | 基礎断熱・外断熱で定番 |
| フェノールフォーム | 0.020前後 | 同厚で最も高性能 |
| 真空断熱パネル | 0.005前後 | 高価、限定用途 |
ぱっと見て分かるのは、コンクリートはλ=1.6、断熱材はλ=0.02〜0.04と100倍近い差があるということ。だからコンクリート躯体はそれ単独では断熱を期待できず、外側か内側に必ず断熱層を追加することになる訳です。
ロックウール・グラスウールの違いは別記事で詳しく書いています。



熱伝導率と熱貫流率(U値)との違い
ここが省エネ計算で一番混乱しやすいポイント。
| 指標 | 記号 | 単位 | 何を表すか |
|---|---|---|---|
| 熱伝導率 | λ | W/m・K | 素材そのものの熱の通りやすさ |
| 熱抵抗 | R | m²・K/W | 部材の厚みも含めた熱の通りにくさ(R=d/λ) |
| 熱貫流率 | U | W/m²・K | 壁・天井全体の熱の通りやすさ(複層・対流込み) |
例えばグラスウール100mm(λ=0.038)だけで考えると、
- R = 0.1 / 0.038 ≒ 2.63(m²・K/W)
ここに石膏ボード・通気層・外壁材・室内外側の表面熱伝達抵抗を加算して合計R値を出し、最後にUを「U = 1 / 合計R」で求める、という流れ。
省エネ計算ソフトを使うとUを自動算出してくれますが、各層のλと厚みを正しく入力できないとUは出ないので、結局は熱伝導率を理解しているかが肝心です。
省エネ基準・断熱等級での使い方
2025年4月から、新築の住宅・非住宅の省エネ基準適合が義務化されました。これに伴い、断熱等級は等級4が最低ライン、等級5以上を求められる地域や用途も増えています。
熱伝導率λの数値そのものが基準値として登場することはあまりないですが、
- 各層のλから熱抵抗Rを算出
- 部位ごとのU値を出す
- 外皮平均熱貫流率(UA値)を算出
- UA値が地域区分の基準値を下回るか判定
という計算フローのスタート地点が熱伝導率λになっています。
つまり、断熱材のメーカーカタログを見るときに最初にチェックするのがλ値。「同じ厚みで他社より低いλ=高性能」と判断します。建築基準法改正2025との関係を整理しておくと、現場で営業対応もしやすくなります。

熱伝導率を扱う上での施工注意点
カタログのλ値が低くても、現場の施工が雑だと一気に性能が落ちます。施工管理視点で注意したいポイントを並べます。
断熱性能を落とさないための現場ポイント
– 隙間ができると対流伝熱で性能ダウン → 防湿気密シートの連続性を確保
– 熱橋(ヒートブリッジ)を抑える → 鉄骨・アルミサッシまわりの欠損を埋める
– 雨水・結露で濡らさない → グラスウールは濡れるとλが大きく上がる
– 配管・ダクトでの貫通部 → 断熱を切らずに連続させる
– 圧縮しない → グラスウール16Kを潰すと密度が上がってλが上がる方向に変わる場合がある
特に結露で濡れたグラスウールは、メーカーカタログ値のλ=0.038が0.05以上に跳ね上がる、という話が省エネ業界では有名です。これは断熱材の性能ではなく、施工管理のミスで発生する性能劣化なので、防湿気密シートと結露計算をセットで考える必要があります。
電気の天井裏配線で、グラスウール100mmが押し込まれた状態の所をケーブル通すために一時的にめくり、終わったら元に戻す、という作業は意外と時間がかかります。雑に戻すと数センチの隙間が梁全長で残ることになり、その箇所が熱橋になります。1本の配線のためでも、断熱の連続性を切らない手順を職人さんと共有しておかないと、省エネ計算の前提条件が崩れる訳です。
結露の起きやすい部位については露点温度や湿気の話と絡めて理解すると深まります。
熱伝導率に関する情報まとめ
- 熱伝導率とは:材料が熱を通しやすさを表す物性値、記号λ、単位W/m・K
- 単位と公式:Q=λ×A×ΔT/d、R=d/λで部材の熱抵抗を計算
- 材料別:コンクリート1.6、グラスウール0.038、フェノールフォーム0.020前後
- U値との違い:λ=素材、R=部材厚み込み、U=壁全体(対流込み)
- 省エネ計算:UA値算出のスタート地点
- 施工注意:隙間・熱橋・結露・圧縮で性能が落ちる
以上が熱伝導率に関する情報のまとめです。
熱伝導率は数値の意味が分かれば、メーカーカタログを開いた瞬間に「この断熱材は使えるか」が判断できるようになります。現場で性能を落とさないための施工管理こそが施工管理者の本分なので、λの数値を呪文のように覚えるよりも「どう施工すればこのλを実現できるか」をセットで考えるのがおすすめです。グラスウール・ロックウールの基礎知識と合わせて押さえておきましょう。








