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ネットワーク工程表とは?書き方、読み方、バーチャートとの違いなど

  • ネットワーク工程表ってなに?
  • どういう構成要素があるの?
  • どうやって書くの?
  • どうやって読むの?
  • バーチャート・ガントチャートとどう使い分けるの?
  • 現場で何に使うの?

上記の様な悩みを解決します。

ネットワーク工程表は、施工管理の世界で「上級者の工程表」と呼ばれます。バーチャートやガントチャートに慣れている人でも、ネットワーク工程表を渡されると「矢印多すぎ」「数字の意味が分からない」と固まりがち。ですが、構成要素と読み方を一度理解すれば、複雑な現場の工程管理が劇的にやりやすくなります。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ネットワーク工程表とは?

ネットワーク工程表とは、結論「作業の前後関係を矢印で結び、各作業の所要時間と最早・最遅時刻を計算して、工程の中で最も時間のかかる経路(クリティカルパス)を可視化する工程表」のことです。

「PERT図」「アロー図」「アクティビティネットワーク」などとも呼ばれ、米国海軍のポラリス計画(1957年頃)で発展したのが始まり。日本の建設業界では1970年代から普及し、現在は1級施工管理技士の試験にも頻出する基礎知識になっています。

特徴を一言でいえば「作業の繋がりが見える、遅延の影響が分かる」。バーチャートが「いつ、何をやるか」をカレンダー上に並べた表なのに対し、ネットワーク工程表は「作業同士の依存関係」と「遅らせてはいけない作業(クリティカルパス)」を可視化する表。これが工程管理の本領を発揮します。

クリティカルパスについては別記事を参照してください。

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電気の若手だった頃、工程会議で初めてネットワーク工程表を渡されて、「赤いラインが何を意味してるのか分からない」状態でした。先輩から「赤いラインがクリティカルパスだ。これが伸びると工事全体が伸びる」と教わって、ようやく工程表の意味を理解した記憶があります。

ネットワーク工程表の構成要素

ネットワーク工程表は、次の3つの要素で構成されます。

要素 表記 意味
イベント(結合点) 〇(番号付き) 作業の開始・終了時点
アクティビティ(作業) 矢印(→) 実際の作業(時間と資源を消費)
ダミー作業 点線矢印(→) 時間ゼロの仮想作業(順序関係を表すだけ)

イベントには番号(①②③…)を振り、矢印で結びます。矢印の上には作業名、下には所要日数を書くのが一般的。

ダミー作業(点線矢印)は重要な概念です。実際の作業ではなく、「この作業は前の作業が終わってから始まる」という順序関係だけを示す仮想の矢印。例えば、配筋作業と型枠作業がそれぞれ別の流れで進み、両方が終わった時点で初めてコンクリート打設に入る、というケースで使います。

ネットワーク工程表の例(簡略)

①─[A:5日]─②─[B:3日]─③─[D:4日]─⑤
              ↘[C:6日]      ↗(合流)
                    ④──[ダミー]

ネットワーク工程表の作り方

実務で書くときの手順を5ステップで整理します。

ステップ1:作業の洗い出し

工事を完了させるために必要な作業を全て列挙します。例:「掘削」「砕石」「捨てコン」「配筋」「型枠」「コンクリート打設」「養生」など。

ステップ2:作業の所要時間を見積もる

各作業に必要な日数を見積もります。実績データやメンバーの経験から「この規模なら何日」を決めます。

ステップ3:作業の前後関係を整理

「この作業は何が終わってから始まるか」を1つずつ書き出します。表にすると整理しやすい。

作業 先行作業
A:掘削 (なし)
B:砕石 A
C:杭打ち A
D:捨てコン B、C
E:配筋 D

ステップ4:ネットワーク図を描く

イベント番号とアクティビティ矢印で図を組み立てます。①から始めて、流れに沿って矢印を伸ばし、最後のイベント(⑩等)で完結させます。

ステップ5:時刻計算

各イベントの最早開始時刻(EST)最遅完了時刻(LFT)を計算し、クリティカルパスを特定します。

  • 最早開始時刻:その時点までに必要な作業が最も早く完了できる時刻(前向き計算)
  • 最遅完了時刻:プロジェクト全体を遅らせない範囲で許される最遅時刻(後ろ向き計算)
  • EST=LFTのイベントを結ぶ経路がクリティカルパス

クリティカルパスの計算方法はPERTの記事で詳しく扱っているので、合わせて読んでください。

ネットワーク工程表の読み方

工程会議で渡されたネットワーク工程表を読むコツは次の3つ。

①矢印の流れを追う

イベント番号順に矢印を追い、何の作業が並列で進み、どこで合流するかを把握。並列作業の数が多いほど、現場のリソース確保が重要になります。

②クリティカルパスを見つける

赤線・太線で示されることが多い経路がクリティカルパス。この経路の作業が1日遅れると、工事全体が1日遅れます。逆にここ以外の経路にはフロート(余裕日数)があり、ある程度の遅延を吸収できます。

③フロートを把握する

各作業のフロート=(LFT − EST − 所要時間)。フロートが0の作業がクリティカル、1〜3日のものは「準クリティカル」として注意、5日以上あれば余裕あり。

工程会議で「この作業遅れたら全体への影響は?」と問われたとき、「フロートが○日あるので影響なし」または「クリティカルパス上なので○日遅延します」と即答できれば一人前です。

ネットワーク工程表と他工程表(バーチャート/ガントチャート)の使い分け

3種類の工程表の違いを整理します。

項目 バーチャート工程表 ガントチャート工程表 ネットワーク工程表
縦軸 作業項目 作業項目 (図形配置)
横軸 暦日(日付) 進捗率(%) (矢印の流れ)
表現 横棒で期間 棒の塗りつぶしで進捗 矢印・イベント番号
強み 直感的、現場に貼りやすい 進捗が一目瞭然 依存関係・クリティカルパスが明確
弱み 作業間の依存関係が不明 期間が読みにくい 描くのが難しい、慣れが要る
主用途 現場掲示用、月間工程 進捗管理 工事全体計画、遅延影響分析

実務での使い分け

  • 施主・元請への報告:バーチャート(直感的でわかりやすい)
  • 現場の進捗確認:ガントチャート(進捗率が見える)
  • 工程計画・遅延対策:ネットワーク工程表(依存関係とCPが見える)

僕の電気工事仲間でも、ベテランの所長になるほど「3つの工程表を場面で使い分ける」と言います。新人がネットワーク工程表だけで頑張ろうとすると現場が動かない、バーチャートだけだと依存関係が見えなくて遅延が拾えない。3者は補完関係にあるんですね。

ネットワーク工程表の注意点

①作業の粒度設定

作業の粒度(1作業の大きさ)が粗すぎると依存関係が見えず、細かすぎると図が複雑になりすぎます。1作業=1〜5日程度を目安にするのが無難。

②計算ミスの確認

ESTとLFTの計算を手作業でやるとミスが起きます。最近は工程管理ソフト(Microsoft Project、JIH、ASTAなど)が自動計算してくれるので、図面化は手書き、計算はソフトで、というハイブリッドが実務的。

③フロートの管理

フロートが0でなくても、現場では「材料納入遅延」「天候不順」「他工種との取り合いズレ」で簡単にフロートが消費されます。準クリティカル作業を見落とすと、いつの間にかクリティカルパスが変わって工程が遅延する事故になります。

④更新頻度

ネットワーク工程表は「最初に1回作って終わり」では使えません。週次または月次で実績を反映し、計画を更新することで真価を発揮します。実績反映を怠ると、現場と乖離した「お飾り」の工程表になります。

⑤クリティカルパスは1本とは限らない

複数の経路の合計日数が同一になると、クリティカルパスが複数並走します。これを見落とすと「片方を短縮したのに工期が縮まなかった」ということが起きます。

⑥工程会議での合意形成

ネットワーク工程表は数字と図形で説得力がある反面、現場職人さんには敷居が高い。工程会議ではバーチャートに変換した補足資料を併用すると、合意形成がスムーズです。

ネットワーク工程表に関する情報まとめ

  • ネットワーク工程表とは:作業の前後関係を矢印で結び、所要時間とクリティカルパスを可視化した工程表
  • 構成要素:イベント(結合点)、アクティビティ(作業矢印)、ダミー作業(点線矢印)
  • 作り方:作業洗い出し→所要時間→前後関係→図の作成→時刻計算
  • 読み方:矢印の流れ→クリティカルパス→フロート確認
  • 他工程表との使い分け:報告はバーチャート、進捗はガント、計画はネットワーク
  • 注意点:作業粒度、計算ミス、フロート管理、更新頻度、CP複数、合意形成

以上がネットワーク工程表に関する情報のまとめです。

ネットワーク工程表は最初の壁が高い分、使いこなせるようになると工程管理の解像度が一段上がります。クリティカルパスとフロートの感覚を身につけて、工程会議で「ここを縮めれば全体が縮む」「ここはまだ余裕がある」と即答できるようになると、現場の信頼が一気に増しますよ。

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