- 材料記号ってどう読むの?
- SS400とSN490の違いって何?
- SUSとかFCって何の略?
- 図面のどこを見れば分かるの?
- ミルシートの記号は?
- 施工管理として何を見ればいい?
上記の様な悩みを解決します。
「材料記号」は、施工図・鉄骨製作図・ミルシートのいたるところに出てくるアルファベット+数字の組み合わせで、「これってどう読むの?」で止まりがちなところです。SS400とSN490の違いを聞かれて即答できると、鉄骨製作の打ち合わせで一段話が早くなる、わりと現場価値の高い知識だったりします。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
材料記号とは?
材料記号とは、結論「JIS(日本産業規格)で定められた、金属材料の種類・成分・強度などを識別するためのアルファベット+数字の表記」のことです。
「SS400」「SN490B」「SUS304」「S45C」のように、図面・ミルシート・カタログで部材の素性を一意に特定するための共通言語と捉えるとイメージしやすいです。
→ ざっくり、「金属の身分証」が材料記号、というイメージです。
基本構造と必要性
材料記号は、おおよそ次のブロックで構成されています。頭文字(カテゴリ)がS(Steel:鉄)、A(Aluminum:アルミ)、C(Copper:銅)、F(Ferrous casting:鋳鉄)など、2〜3文字目(用途・成分)がS(Structural:構造用)、N(建築構造用)、M(Marine/溶接構造)、US(Stainless)など、数字が引張強さ・降伏点・炭素含有量などの数値、末尾の記号が等級(A/B/C)、規格バリエーション(H:熱処理あり)など、というところ。
たとえば「SN490B」を分解すると、SがSteel、NがNewly Building(建築構造用)、490が引張強さ490N/mm²以上、BがB種(化学成分・降伏点・シャルピー値の規定が標準)、という意味になります。
材料記号がなければ、図面に「鋼材」とだけ書いて、現場で「どの鋼を持って来ればいいか分からない」という事態になります。引張強さ・降伏点が違えば必要な部材寸法が変わる、溶接性の違いで施工方法・予熱条件が変わる、化学成分の違いで耐食性・延性が変わる、価格が桁違いに違うことも多い、という背景があるので、「同じ鉄に見えて、実は全く別物」を区別する札として、材料記号が機能しているわけです。
JISと材料記号の関係
材料記号は基本的にJIS規格番号と紐づきで使われます。代表的な対応は、JIS G 3101(一般構造用圧延鋼材)→SS材、JIS G 3136(建築構造用圧延鋼材)→SN材、JIS G 3106(溶接構造用圧延鋼材)→SM材、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼鋼材)→S-C材、JIS G 4303(ステンレス鋼棒)→SUS材、JIS G 5501(ねずみ鋳鉄品)→FC材、というところ。
ミルシートには「材料記号」と「規格番号」がセットで印字されているので、両方を確認するのが基本動作です。ミルシートの読み方は別記事でも詳しく整理しています。

鉄鋼材料の主な記号
建築・施工管理の現場で圧倒的によく見るのが鉄鋼系の材料記号です。SS材、SN材、SM材、SS-C材の違いを最初に押さえておきます。
SS材とSN材
SS材(一般構造用圧延鋼材)は、規格がJIS G 3101、代表記号がSS400・SS330・SS490・SS540、数字は引張強さの最低値(N/mm²)、用途は一般構造用・軽量・小規模な鉄骨・機械架台・下地金物、というあたり。SS400は最もポピュラーな汎用鋼で、引張強さ400〜510N/mm²・降伏点245N/mm²程度。化学成分は炭素・マンガン以外の規定が緩く、「とりあえずの構造用鋼」として軽量鉄骨や下地金物で広く使われます。ただし降伏点・シャルピー値・溶接性の保証が薄いため、大規模建築の主要構造材としては使いません。
SN材(建築構造用圧延鋼材)は、規格がJIS G 3136、代表記号がSN400A/B/C・SN490B/C、用途は建築の主要構造(柱・梁)・鉄骨造の標準。SN材は1994年制定の比較的新しい規格で、「建築の地震に耐える鋼材」として設計された材料です。SS材との違いを表にすると次の通り。
| 項目 | SS材 | SN材 |
|---|---|---|
| 降伏点上限 | なし | あり(過剰な強度を抑制) |
| シャルピー吸収エネルギー | 規定なし | B種・C種で規定 |
| 板厚方向の絞り | 規定なし | C種で規定(厚板向け) |
| 化学成分の制限 | 緩い | 溶接性確保のため厳格 |
SN490Bは建築の鉄骨柱・大梁の標準で、地震時に塑性変形でエネルギー吸収することを前提に化学成分・降伏比が管理されています。
SM材・炭素鋼・鉄筋
SM材(溶接構造用圧延鋼材)は、規格がJIS G 3106、代表記号がSM400A/B/C・SM490A/B/C、用途は溶接が前提の構造(橋梁・土木鉄骨・機械フレーム)。SM材は溶接性を重視した規格で、橋梁・船舶・大型機械フレームでよく使われますが、現代の鉄骨建築の主流はSN材です。
炭素鋼(機械構造用)は、規格がJIS G 4051、代表記号がS20C・S35C・S45C・S55C、数字は炭素含有量×100(例:S45Cは炭素0.45%)、用途は機械部品・シャフト・ピン・ボルト・歯車、というところ。S45Cは焼入れ・焼戻しで強度を出す機械材料の代表格で、建築でもピン・シャフト・特殊ボルトで見かけます。
鉄筋コンクリート用棒鋼は、規格がJIS G 3112、代表記号がSD295A/B・SD345・SD390・SD490、数字は降伏点(N/mm²)、用途は鉄筋コンクリートの主筋・あばら筋。SD345は建築の鉄筋では最もポピュラーで、SD390・SD490は高層・高強度RCの主筋に使われます。
形鋼の表記
形鋼自体に固有の記号はなく、素材にSS400・SN490B等を指定します。H鋼ならH-300×150×6.5×9(寸法表記)+材質SS400/SN490B、Lアングルなら L-50×50×4+材質SS400、Cチャンネルなら C-100×50×5×7.5+材質SS400、というかたち。形鋼の規格・寸法詳細は別記事も参考にしてください。



ステンレス・非鉄・鋳物の記号
鉄鋼以外も、現場では意外と多用されます。
ステンレス鋼(SUS)
ステンレス鋼は、規格がJIS G 4303(棒)・JIS G 4304/4305(板)、代表記号がSUS304・SUS316・SUS430・SUS201、用途は耐食性が必要な部材・外装・屋外金物・厨房・医療機器、というあたり。
| 記号 | 系統 | 主な特徴 | よくある用途 |
|---|---|---|---|
| SUS304 | オーステナイト系 | 耐食性◎、加工性◎ | 外装、笠木、手摺、配管 |
| SUS316 | オーステナイト系 | 耐食性◎◎(海岸・薬品) | 海岸建築、化学プラント |
| SUS430 | フェライト系 | 安価、磁性あり | 内装、厨房一般 |
| SUS201 | オーステナイト系 | 304の代替廉価版 | 安価ステンレス品 |
→ 「SUS304は磁石にくっつかない」「SUS430は磁石にくっつく」が現場での簡易判別法。ただし加工硬化したSUS304も多少磁性を持つので、確実な判別はミルシートで。
アルミ・銅・鋳鉄
アルミニウム(A)は、規格がJIS H 4000系、代表記号がA1100・A5052・A6061・A6063、用途はサッシ・外装パネル・軽量金物。A6063はアルミサッシの代表格、A5052は強度・加工性のバランスがよく看板・パネル類で多用されます。
銅(C)は、規格がJIS H 3100系、代表記号がC1100(タフピッチ銅)・C1020(無酸素銅)、用途は電気部品・配線・屋根板・電線管。ケーブル・電線の素材としても銅は基本です。電線管・配電盤関連は別記事でも整理しています。

鋳鉄・鋳鋼(FC、FCD、SC)は、代表記号がFC200・FC250・FCD400・FCD500・SC450、FCがねずみ鋳鉄(Flake graphite Cast iron)、FCDが球状黒鉛鋳鉄(Ductile Cast iron=ダクタイル)、SCが鋳鋼(Steel Casting)、用途がマンホール蓋・グレーチング・配管継手・ダクタイル鋳鉄管、というあたり。数字は引張強さ(N/mm²)を表します。
図面での材料記号の見方
施工図・鉄骨製作図では、部材表(マテリアルリスト)または部材横の引出し線に材料記号が記載されます。
部材表と引出し線
部材表での記載例はこんな感じ。
| 符号 | 形状寸法 | 材質 | 数量 |
|---|---|---|---|
| C1 | □-400×400×16 | BCR295 | 12 |
| G1 | H-700×300×13×24 | SN490B | 8 |
| B1 | H-500×200×10×16 | SN490B | 36 |
| K1 | L-90×90×7 | SS400 | 24 |
このように「部材記号→寸法→材質→数量」の順で並ぶのが一般的。「BCR295」は冷間成形角形鋼管の建築構造用記号です。
引出し線(リーダー)での記載例は、H-500×200×10×16 SN490B のように、部材図に引出し線を引いて寸法と材質を併記する形式。設計者によって「(材質)」として括弧書きにするスタイルもあります。
等級とミルシート照合
SN材・SS材ともに等級(A・B・C)が併記されることがあります。SN400Aは化学成分の規定のみ、SN400BはA種+降伏点上限・シャルピー値の規定、SN400CはB種+板厚方向絞りの規定(厚板用)、という違い。主要構造材はB種以上を指定するのが原則で、設計図書を読むときは末尾のアルファベットまで確認します。
鉄骨が現場入荷したら、ミルシートと現物の材料記号を照合します。形状・寸法、材質(SN490B等)、製造番号(ロット番号)、化学成分・機械的性質の試験値、をチェック。施工管理として、入荷検査でミルシートと現物のラベルを必ず照合するのが基本動作です。配筋検査・鉄骨受入検査で頻出するチェック項目で、検査の流れは下記でも整理しています。

現場での体験談
僕も電気施工管理時代、配電盤の銘板を見て「SS400」と書いてあったのを「あぁ普通の鉄ね」と流していたら、鉄骨業者から「いやこれSN材で見積しているはず」と指摘されたことがあります。同じ鉄でも、規格・等級が変われば値段が1.3〜1.5倍変わるレベルで違うので、図面上の材料記号を「読まずに流す」のは現場の損失になりかねないと痛感しました。
材料記号の注意点
現場で材料記号を扱う上での注意点を整理します。
混同・旧記号・溶接性
SS400とSN400は、同じ「400」でも規格・等級が全く違うので注意。主要構造には必ずSN材を選定、既製品の二次部材(金物・架台)はSS400で十分、設計者の指定なしに勝手にSS↔SNの置換をしない、というのが鉄則です。
古い図面の旧記号として、SS41→SS400(旧JIS、引張強さ41kgf/mm²→400N/mm²)のような表記が、既存改修・改装案件では混在することもあり。現代換算表で読み替えてから発注します。
溶接性の確認では、炭素当量(Ceq)が高いと溶接時の予熱・後熱が必要、SS400は炭素当量規定なしで不確かな溶接性、溶接が前提ならSM材・SN材を選定、というのがルール。
板厚・代用材・ミルシート保管
板厚と等級の関係では、板厚40mmを超える厚板はSN材C種を指定、板厚方向の絞り(Z方向特性)が必要、厚板の溶接で板厚方向に応力が掛かる場合に効く、というあたり。
代用材の禁止としては、SUS304の代わりにSUS201(耐食性が大きく劣る)、SN材の代わりにSS材(降伏点・シャルピー値の保証なし)、というケースがあり、代用は設計者承認を必ず取るのが原則です。
ミルシートの保管は、鉄骨工事ではミルシートを竣工図書に綴じるのが原則。改修・解体時の元材料情報として何十年も使われ、提出資料はコピーではなく原本で(PDF化は別途運用)、というあたり。竣工図書全般については下記の記事も参考にしてください。

材料記号に関する情報まとめ
- 材料記号とは:JISで定められた金属材料の種類・成分・強度を識別するためのアルファベット+数字の表記
- 鉄鋼の主要記号:SS400(一般構造用)、SN490B(建築構造用)、SM490(溶接構造用)、S45C(機械構造用)、SD345(鉄筋)
- 数字の意味:SS・SN・SM材は引張強さ(N/mm²)、SD材は降伏点、S-C材は炭素含有量×100
- 等級(A/B/C):A→化学成分のみ、B→+降伏点上限・シャルピー値、C→+板厚方向絞り
- ステンレス・非鉄:SUS304/316(ステンレス)、A6063(アルミサッシ)、C1100(銅)、FC・FCD(鋳鉄)
- 図面での見方:部材表または引出し線に部材記号+寸法+材質+数量で記載、末尾のアルファベットまで確認
- 施工管理視点:入荷時のミルシート照合、SS400/SN材の混同回避、代用材の禁止、ミルシート保管
以上が材料記号に関する情報のまとめです。
材料記号は「読めると3秒、読めないと打合せが止まる」タイプの知識で、鉄骨工事・電気金物・サッシなど、部材を扱う現場では避けて通れない共通言語です。SS400・SN490B・SUS304あたりまでは反射で意味が出てくるレベルにしておくと、施工管理として図面の読み速度が一段上がります。一通り材料記号の基礎知識は理解できたと思います。
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