低圧電気取扱特別教育の対象業務は?電気工事士の免状との違い

  • 低圧電気取扱特別教育って、そもそも誰がやる教育?
  • ブレーカーを上げ下げするだけの人も対象になる?
  • 電気工事士を持っている職人なら、特別教育はいらない?
  • 何時間やればいい?開閉器の操作だけなら短くなる?
  • 修了証が出てこない作業員は、どう扱えばいい?
  • 会社は何を何年残しておけばいい?
  • 法律が変わると聞いたけど、何がいつ変わる?

上記の様な悩みを解決します。

低圧電気取扱特別教育は、低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務や、区画された場所にある低圧の電路で充電部分が露出している開閉器の操作の業務に労働者をつかせるときに、事業者が行う教育です。労働安全衛生法第59条第3項と労働安全衛生規則第36条第4号が根拠で、電気工事士の免状とは根拠の法律が別です。安全衛生特別教育規程第6条では、学科5科目の時間を足すと7時間以上、実技は7時間以上(開閉器の操作の業務のみを行なう者は1時間以上)です。

協力会社の名簿で「修了者」の欄を見る機会は多いのに、どの作業が対象なのかを条文で確かめようとすると、言葉の限定が重なっていて読みにくいテーマなんですよね。講習機関の案内は日程や受講方法が中心で、対象を決めている第4号の文言そのものや、修了証の法的な扱い、2027年に施行される改正までは扱っていないものがほとんどです。今回は根拠になる条文、対象の業務、学科と実技の時間という土台を固めたうえで、第4号を3つに分けて読む方法、短くなるのは実技だけという点、電気工事士法との関係まで、施工管理の目線で整理しました。

条文の言葉が続く記事ですが、できるだけ噛み砕いて書いていくので、名簿を受け取る側の方にも読み進めやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

低圧電気取扱特別教育とは?法律・省令・告示の3段で決まる教育

「誰が受けるものなのか」を確かめる出発点は、労働安全衛生法第59条第3項の1文です。条文は「事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。」となっています(労働安全衛生法 第59条第3項)。

この1文から読み取れるのは3つです。義務を負うのは事業者であること、教育が要るのは業務に「つかせるとき」であること、そして対象の業務と教育のやり方は厚生労働省令に預けられていることです。条文の主語は事業者で、労働者個人が取りに行く免許のような書き方にはなっていません。

預けられた先が労働安全衛生規則第36条で、柱書は「法第五十九条第三項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。」です。この列挙の第4号が電気の業務で、低圧電気取扱特別教育の対象はここで決まります(労働安全衛生規則 第36条第4号)。さらに安衛則第39条は、第36条第1号から第13号までなどの業務について、特別教育の実施に必要な事項は厚生労働大臣が定めるとしていて、第4号もこの範囲に入っています(労働安全衛生規則 第39条)。

大臣が定めたものが安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)で、その第6条第1項に「学科教育及び実技教育により行なうものとする」とあります(安全衛生特別教育規程 第6条第1項)。法律が義務を置き、省令が業務を選び、告示が中身と時間を決める、という3段の作りです。

なお、第4号には高圧・特別高圧の業務も同じ号の中に書かれています。ただ、高圧・特別高圧は「敷設、点検、修理若しくは操作」、低圧は「敷設若しくは修理」と、業務の動詞が違います。この違いは次の見出しで表にします。特別教育の別の例としては、アーク溶接の特別教育を扱った記事もあります。

対象かどうかは第4号の文言で決まる。低圧は「敷設若しくは修理」、開閉器には2つの限定

「ブレーカーを上げ下げするだけでも要るのか」「100Vの作業も入るのか」という疑問は、第4号の長い1文を区切って読むと整理できます。第4号は、高圧・特別高圧、低圧の充電電路、低圧の開閉器の3つを、1つの号に続けて書いています(労働安全衛生規則 第36条第4号)。

区分 電圧の範囲(第4号の括弧書き) 業務(条文の動詞) 付いている限定・除外
高圧・特別高圧 高圧=直流750V超・交流600V超で7,000V以下/特別高圧=7,000V超 充電電路若しくは当該充電電路の支持物の「敷設、点検、修理若しくは操作」 除外の括弧書きは付いていない
低圧の充電電路 直流750V以下・交流600V以下 「敷設若しくは修理」 対地電圧50V以下のもの/電信用・電話用のもの等で感電による危害を生ずるおそれのないもの、を除く。次号(第4号の2)の業務も除く
低圧の開閉器 直流750V以下・交流600V以下 開閉器の「操作」 配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路のうち、充電部分が露出している開閉器。電路の側に除外の括弧書きあり

表の2行目と3行目が、低圧電気取扱特別教育の範囲です。規程第6条第1項も「低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務又は配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務に係る特別教育」と、第4号と同じ言葉で対象を受けています(安全衛生特別教育規程 第6条第1項)。

低圧の充電電路は「敷設若しくは修理」

低圧の充電電路について第4号が挙げている動詞は、「敷設若しくは修理」の2つです。高圧・特別高圧の部分にある「点検」「操作」、それに「支持物」という語は、低圧の充電電路の部分には書かれていません。第4号の低圧の充電電路の業務に「点検」の語は入っていない、というのが条文から言えることです。

開閉器は「区画された場所」と「充電部分が露出」の2つ

開閉器の操作の業務には限定が2つ付いています。1つは「配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路」で、これは電路がどこに設置されているかの限定です。もう1つは「充電部分が露出している開閉器」で、これは開閉器そのものの状態の限定です。「区画された場所」について、第4号は配電盤室・変電室を例に挙げているだけで、定義の文は置いていません。

条文で使われている語は「開閉器」と「電路」で、「ブレーカー」や「分電盤」という言葉は第4号に出てきません。現場の分電盤まわりの操作が当たるかどうかは、設置場所が区画された場所に当たるか、操作する開閉器の充電部分が露出しているか、の2点を条文の文言に照らして確かめることになります。この記事では、個別の設備が当たるかどうかの判定はしません。分電盤という設備の構成は分電盤の解説記事で整理しています。

「低圧」の数字と、2か所にある除外

第4号の括弧書きは、低圧を「直流にあつては七百五十ボルト以下、交流にあつては六百ボルト以下である電圧」と定めています。電気設備に関する技術基準を定める省令第2条の低圧も「直流にあっては七百五十ボルト以下、交流にあっては六百ボルト以下のもの」で、数字は同じです(電気設備に関する技術基準を定める省令 第2条/労働安全衛生規則 第36条第4号)。交流100Vや200Vは、数字の上では「交流にあつては六百ボルト以下」の側に入ります。

違うのは除外です。安衛則の第4号には、低圧の充電電路の側に「対地電圧が五十ボルト以下であるもの及び電信用のもの、電話用のもの等で感電による危害を生ずるおそれのないものを除く。」、開閉器の電路の側に「対地電圧が五十ボルト以下であるもの及び電信用のもの、電話用のもの等で感電による危害の生ずるおそれのないものを除く。」と、除外の括弧書きが2か所あります(労働安全衛生規則 第36条第4号)。電技第2条の電圧の区分には、この除外がありません。「50V以下なら要らないのか」への条文の答えは、対地電圧が50V以下のものをこの括弧書きで外している、という形になります。

蓄電池を内蔵する自動車の整備は別の号

低圧の充電電路の部分には「(次号に掲げる業務を除く。)」という括弧も付いています。次号の第4号の2は「対地電圧が五十ボルトを超える蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務」で、教育の中身も規程の第6条の2という別の条に定められています(労働安全衛生規則 第36条第4号の2/安全衛生特別教育規程 第6条の2)。

学科は5科目で足すと7時間以上、実技は7時間以上(開閉器の操作のみなら1時間以上)

「何時間かかるのか」は、規程第6条の第2項と第3項に書かれています。第2項は「前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行なうものとする。」で、各科目の時間は下限として書かれています(安全衛生特別教育規程 第6条第2項)。

科目 範囲 時間(この時間以上)
低圧の電気に関する基礎知識 低圧の電気の危険性/短絡/漏電/接地/電気絶縁 一時間
低圧の電気設備に関する基礎知識 配電設備/変電設備/配線/電気使用設備/保守及び点検 二時間
低圧用の安全作業用具に関する基礎知識 絶縁用保護具/絶縁用防具/活線作業用器具/検電器/その他の安全作業用具/管理 一時間
低圧の活線作業及び活線近接作業の方法 充電電路の防護/作業者の絶縁保護/停電電路に対する措置/作業管理/救急処置/災害防止 二時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 一時間

5科目の時間を足すと、1+2+1+2+1で7時間です。これは表の数字を足した算出値で、規程の中に「合計7時間」という文言があるわけではありません。各科目が「時間以上」と書かれているので、学科全体も7時間以上と言うのが原文に沿った書き方です。

実技は第3項で、「第一項の実技教育は、低圧の活線作業及び活線近接作業の方法について、七時間以上(開閉器の操作の業務のみを行なう者については、一時間以上)行なうものとする。」と定められています(安全衛生特別教育規程 第6条第3項)。

短くなるのは実技だけ

ここで押さえておきたいのは、短縮の括弧書きが実技の第3項にしか付いていないことです。第2項の学科の表には、開閉器の操作の業務のみを行う者を分ける欄も括弧書きもありません。規程の表の上では、開閉器の操作だけを担当する人でも学科は5科目をそれぞれの時間以上受けることになり(科目の省略は安衛則第37条の別の話です)、変わるのは実技の「七時間以上」が「一時間以上」になる部分だけです。

もう1つは「のみ」の2文字です。括弧書きは「開閉器の操作の業務のみを行なう者」なので、開閉器の操作に加えて低圧の充電電路の敷設や修理もする人は、実技も七時間以上の側に入ります。実技の科目名は、敷設・修理をする人も開閉器の操作のみの人も同じ「低圧の活線作業及び活線近接作業の方法」です。

学科の1科目目の範囲には「漏電」「接地」が並んでいます。漏電という現象そのものは漏電の仕組みを扱った記事で確認できます。

個人的には、名簿を受け取る側が時間の面で確かめたいのは「学科の5科目がそろっているか」と「実技を7時間以上と1時間以上のどちらの区分で受けたか」の2点だと思います。

教育を行うのは事業者。外部講習、科目の省略、記録と修了証、2027年の改正

「社内でやっていいのか」「外の講習に出せばいいのか」を考える前に、第59条第3項の主語をもう一度見ておきます。教育を行わなければならないのは事業者で、講習機関や受講者本人ではありません(労働安全衛生法 第59条第3項)。

講師の要件と外部機関について厚労省が示していること

厚生労働省のページ「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」は、特別教育について「教習科目について十分な知識、経験を有する者が講師となって行う必要があります(昭和48年3月19日付け基発第145号等)」と講師の要件を挙げています。同じページには「事業者は外部機関が実施する特別教育を受講させることができますが、外部機関は特別教育を実施するのに当たり各都道府県労働局の登録を受ける必要はありません。」ともあります(厚生労働省「労働安全衛生関係の免許・資格・技能講習・特別教育など」)。

このページが述べているのは、講師に求められる知識・経験、外部機関の講習を受けさせられること、その外部機関に労働局の登録は要らないことの3点です。社内で行う場合に何をそろえればよいかを、このページが個別に挙げているわけではありません。

科目の省略は現行の第37条

現行の安衛則第37条は「事業者は、法第五十九条第三項の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略することができる。」です(労働安全衛生規則 第37条)。省略は科目ごとで、省略できるとしている主語は事業者です。現行の文言には、特定の免許や資格の名前は出てきません。

残すのは記録で、修了証は任意発行

記録は安衛則第38条が「事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない。」と定めています(労働安全衛生規則 第38条)。

修了証の扱いは、厚労省FAQ「○○特別教育の修了証を再交付してほしい。」の回答に書かれていて、文言は「特別教育の修了証については、実施した会社又は機関が任意で発行するものであり、行政では承知しておりませんので、交付を受けた会社か機関へのお問い合わせをお願いいたします。」です(厚生労働省 よくある質問)。安衛法第59条と安衛則第36条〜第39条の範囲を見ても、修了証の交付を義務づける条文はありません。法令が求めているのは、第38条の受講者・科目等の記録を3年間保存することです。

修了証を無くした作業員の再交付は、このFAQのとおり発行した会社か機関に問い合わせる流れになります。名簿の確認では、修了証の写しとは別に、所属会社が第38条の記録を持っているかを聞ける形にしておくと話が早く進みます。協力会社が作業員を現場へ出す前の教育の段取りは、送り出し教育の記事にまとめています。

施行前の改正:作業従事役員等と第37条の書きぶりが変わる

ここからは、2026年10月時点ではまだ施行されていない改正の話です。安衛法第59条には、2027年4月1日施行で第4項「作業従事役員等は、労働者と同一の場所において前項の業務に就くときは、同項に規定する教育を受けなければならない。」が加わります(労働安全衛生法 第59条第4項・2027年4月1日施行)。

安衛則第37条も同じ日に文言が変わります。第1項は「特別教育の対象業務に係る免許を受け、又は技能講習を修了している等十分な知識及び技能を有していると認められる労働者」という書き方になり、第2項として、作業従事役員等が特別教育の科目の全部又は一部を受けることを要しない場合の規定が加わります(労働安全衛生規則 第37条・2027年4月1日施行)。

施行日までは、前の見出しで引いた現行の第37条の文言が効いています。改正後の「免許を受け、又は技能講習を修了している等」に電気工事士の免状が当たるかを示した公式資料は、確認した範囲にはありません。

電気工事士の免状と特別教育は、根拠の法律が別

「第二種電気工事士を持っている人に特別教育は要るのか」「特別教育を受ければ配線の工事をしていいのか」という2つの疑問は、2つの法律の条文を並べると整理できます。

条文 条文の骨格(括弧書きを省いたもの)
労働安全衛生法 第59条第3項 事業者は、厚生労働省令で定める業務に労働者をつかせるときは、特別の教育を行なわなければならない
電気工事士法 第3条第1項 第一種電気工事士でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない
電気工事士法 第3条第2項 第一種電気工事士又は第二種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない

電気工事士法第3条の原文は、第1項が「第一種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第一種電気工事士」という。)でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事(第三項に規定する電気工事を除く。第四項において同じ。)の作業(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。」、第2項が「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者(以下「第二種電気工事士」という。)でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(一般用電気工作物等の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事してはならない。」です(電気工事士法 第3条第1項・第2項)。

第1項は第一種だけ、第2項は第一種又は第二種と、対象の電気工作物によって求める免状が書き分けられています。どちらの項にも、保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令で定めるものを除く括弧書きがあり、同条には認定電気工事従事者などを扱う別の項もあります。電気工事の作業は例外なく電気工事士でなければできない、という全称の書き方にはなっていません。

これに対して安衛法の特別教育は、業務につかせる事業者に教育を求める規定です。片方は作業に従事できる人を免状で限る規定、もう片方は事業者に教育の実施を求める規定で、条文が向いている相手も書き方も違います。

2つを結ぶ文言は、確認した範囲に無い

安衛法第59条、安衛則第36条〜第39条、規程第6条、厚生労働省の特別教育のページとよくある質問、電気工事士法第3条を確認した範囲では、「電気工事士の免状があれば特別教育を省略できる」という文言も、「特別教育を修了すれば電気工事の作業に従事できる」という文言も出てきません。どちらかに言い切る根拠は、この範囲の公式資料には無いということです。

現行の第37条の科目の省略は、前の見出しで見たとおり、事業者が十分な知識及び技能を有していると認める労働者についての規定です。電気工事士の免状がこれに当たるかを、条文や厚労省の資料が名指ししているわけではありません。

免状で何ができるかは電気工事士法の側の話なので、第二種の作業範囲は第二種電気工事士ができることの記事に、電気工事そのものの区分は電気工事の全体像をまとめた記事に分けて書いています。

現場目線で言えば、名簿の上では「特別教育の修了」と「電気工事士の免状」を別の欄として扱い、片方があるからもう片方も埋まったことにしない、というのが条文の書き方にいちばん沿った整理です。

※以下はPR(アフィリエイト広告)を含みます。

【PR】電気工事士の免状を、講座で確かめる選択肢

「特別教育を受ければ電気の仕事ができるのか、免状はまた別なのか」と迷う場面があります。特別教育は事業者が行う教育で、電気工事士の免状とは根拠の法律が別です。免状の側を知りたいときの選択肢として、電気系の国家資格に向けた対策講座の内容を確認できます。

電気系の資格講座の内容を見る

教育で習う活線作業・活線近接作業は、安衛則第346条〜第348条で事業者の措置になっている

学科の4科目目と実技の科目名は「低圧の活線作業及び活線近接作業の方法」でした。教育を受けた人が現場で作業するときに事業者が講じる措置は、安衛則第2編第5章「電気による危険の防止」に置かれています。第5章の節は次の6つです(労働安全衛生規則 第2編第5章)。

  • 第一節 電気機械器具(第329条〜第335条)
  • 第二節 配線及び移動電線(第336条〜第338条)
  • 第三節 停電作業(第339条〜第340条)
  • 第四節 活線作業及び活線近接作業(第341条〜第349条)
  • 第五節 管理(第350条〜第353条)
  • 第六節 雑則(第354条)

低圧の活線作業は第四節の第346条で、「事業者は、低圧の充電電路の点検、修理等当該充電電路を取り扱う作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該労働者に絶縁用保護具を着用させ、又は活線作業用器具を使用させなければならない。」とされています。第2項は労働者の側の義務で、絶縁用保護具の着用又は活線作業用器具の使用を事業者から命じられたときは、これを着用し、又は使用しなければならないと定めています(労働安全衛生規則 第346条)。

第346条は「点検、修理等」と書いていて、第36条第4号の低圧の業務(敷設若しくは修理)とは言葉が違います。第346条は作業のときの措置を定めた条、第36条第4号は特別教育の対象を決める条で、別々の条文です。2つの範囲を混ぜて読まないようにしておきます。

活線近接作業は第347条です。第1項の本文は「事業者は、低圧の充電電路に近接する場所で電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が当該充電電路に接触することにより感電の危険が生ずるおそれのあるときは、当該充電電路に絶縁用防具を装着しなければならない。」で、ただし書は「当該作業に従事する労働者に絶縁用保護具を着用させて作業を行なう場合において、当該絶縁用保護具を着用する身体の部分以外の部分が当該充電電路に接触するおそれのないときは、この限りでない。」です(労働安全衛生規則 第347条第1項)。第2項は絶縁用防具の装着又は取りはずしの作業を労働者に行わせるときの措置、第3項は命じられた労働者の義務を定めています(労働安全衛生規則 第347条第2項・第3項)。

器具の絶縁効力は第348条第2項で、「直流で七百五十ボルト以下又は交流で三百ボルト以下の充電電路に対して用いられるもの」について、当該充電電路の電圧に応じた絶縁効力を有するものを使用しなければならないとされています(労働安全衛生規則 第348条第2項)。この項の対象は直流750V以下又は交流300V以下の充電電路に用いるもので、低圧全体(交流600V以下)を指す書き方ではありません。

規程の学科3科目目の範囲には、第346条〜第348条に出てくる絶縁用保護具・絶縁用防具・活線作業用器具と、検電器が並んでいます。検電器の種類や使い方は検電器の記事で確認できます。

教育をしないまま就かせたときの罰則は、第119条と第122条

罰則は安衛法第119条です。本文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」で、第1号の列挙の中に「第五十九条第三項」が入っています(労働安全衛生法 第119条第1号)。

ここに第122条の両罰規定が重なります。条文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」です(労働安全衛生法 第122条)。

組み立てとしては、違反行為をした者が第119条の拘禁刑又は罰金の対象になり、その法人又は人には第122条で罰金刑が科される、という2本立てです。法人又は人に科されるのは各本条の罰金刑で、拘禁刑ではありません。

低圧電気取扱特別教育に関する情報まとめ

  • 根拠と対象:安衛法第59条第3項→安衛則第36条第4号→規程第6条。低圧の充電電路は「敷設若しくは修理」、開閉器は区画された場所と充電部分の露出の2つの限定つき
  • 時間:学科は5科目で足すと7時間以上、実技は7時間以上(開閉器の操作の業務のみを行なう者は1時間以上)。短くなるのは実技だけ
  • 実施と記録:教育を行うのは事業者。外部機関の講習を受けさせられ、受講者・科目等の記録は3年間保存。修了証は任意発行
  • 2027年4月1日施行の改正:第59条第4項が加わり、第37条の文言が変わる。施行前は現行の第37条で読む
  • 電気工事士との関係:根拠の法律が別で、両者を結ぶ文言は確認した範囲に無い
  • 教育の後と罰則:活線作業・活線近接作業は第346条〜第348条の措置。教育をしないと第119条、法人又は人には第122条で罰金刑

以上が低圧電気取扱特別教育に関する情報のまとめです。

名簿で「低圧電気取扱特別教育 修了」の欄を見たら、次に確かめるのは、実技を7時間以上と1時間以上のどちらの区分で受けたかと、その作業員に任せる仕事が開閉器の操作だけなのか、敷設や修理まで含むのかの組み合わせです。電気工事士の免状は別の欄で確かめ、2027年4月1日からは第37条の文言が変わることも頭に置いておく。修了証の紙1枚より、第4号の言葉と第38条の記録を手元で突き合わせておく方が確実だと、僕は考えています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次