検電器とは?原理や種類、テスターとの違いや選び方など

検電器とは?

検電器とは、結論「電線に電気が通っているか通っていないかを確認する機器」です。

電気は目に見えません。パッと見たときに人の目では「電気が通っているか通っていないか」を理解することはできないですよね。

当然のことながら、電気が流れている電線に触れることは危険です。人の目に電気が流れているかは分からないので、検電器を使うことにより、電線に電気が流れているか否かを判別することができるんです。

例えば、盤に電線を結線する際などに使います。

コンセントの増設工事なんかでは、盤の予備用の銅バーに電線を結線しますよね。遮断器が電路を遮断していれば安全に結線をすることができるんです。

ただ万が一、銅バーに電流が流れている可能性もあります。

検電器を使用することにより、電気が流れていないことを確認してから、結線工事を行うことができるんで。検電器の役割は、電気工事を安全に行うことです。

 

検電器は新築工事よりも改修工事の方がよく使われる

検電器は新築工事よりも、改修工事の方がよく使われます。

というのも、新築工事は「これから電気設備を作る」というフェーズですからね。受電するまで電気設備ができていないので、検電器の出番はありません。

対して改修工事では、既存の設備がたくさんあります。

現在進行形で電気を使っている建物ですので、実際に電気が通っている幹線も多く、検電器の出番が増えます。

改修工事では、全ての電気設備を一気に更新することは多くなく、既存設備の一部を取り替えるのが一般的です。間違って電気の通っている電線を切ってしまったら感電してしまいます。

改修工事は新築工事に比べて、電気の流れている電線が多いです。

すると必然的に検電器が活躍する回数が増えていきます。

 

検電器の原理

検電器の原理は、一言で言えば「電界の変化に対する反応」です。

電線に電気が流れると、電気が流れている周辺の電界が変化します。検電器を電気が流れている電線の近くに近付けると電界の変化を察知し、音を鳴らします。

逆に、電線に電気が流れていない場合は電界が変化しませんから、検電器は反応しません。アースが反応しないのは、これが原因ですね。

*正確に言うと検電器の種類によって動作原理は異なるので、一概には言えません。あくまで一例です。

 

検電器の種類

最も一般的に使われているのが、低圧検電器です。

その名の通り、低圧の電圧を検出します。

電気工事業者のほとんどが使っている「HIOKI」の低圧検電器では、40〜600Vの電圧を検出します。感度調整すると若干の上下はありますが、大体はこれくらいです。

 

検電器の種類その②高低圧用検電器

検電器の種類その②は高低圧用検電器です。

その名の通り、高圧と低圧を検出します。

現場が高圧だと低圧用だけでは物足りなくなってくるので、使用されます。そこそこ現場が大きくなると高圧になりますし、利用されることが多いです。

 

検電器の種類その③特高用検電器

検電器の種類その③は特高圧用検電器です。

その名の通り、特別高圧の電圧を検出します。

特別高圧が使われる現場ってそこまで多くはないので、あまり利用されない検電器です。イメージ、10階立てのビルとかでも高圧ですからね。大型現場もしくは超大型現場なんかでは必要になってきます。

 

検電器の種類その④発光式

検電器の種類その④は発光式検電器です。

低圧高圧という切り口ではなく、電気を検出した際の反応で分けました。

発光式の検電器は電気の流れている電線の近くへ行くと、光ります。それまで光っていなかった検電器が光れば、電気が流れていることを知ることができるんです。

発光式は正直、そこまでメジャーではありません。

 

検電器の種類その⑤発音式

検電器の種類その⑤は発音式検電器です。

その名の通り、電気が流れている電線の近くへ行くと音を発します。目で確認しなくても音で判断できるので、比較的楽に工事を進めることができます。

 

検電器の種類その⑥発音・発光両用式

検電器の種類その⑥は発音・発光式検電器です。

その名の通り、電気が流れている電線に近付くと光ってかつ音を発します。

これが一番メジャーなタイプでして、僕も発音・発光式の検電器を使っています。電気屋さん100人集めたら100人全員が持っていると思いますよ。

 

検電器の使い方

検電器の使い方①感度の調整

検電器を使う際は、まずは感度の調整が必要です。

感度が高すぎると、本来測りたい電線以外の電気を検出してしまいます。

例えば、ケーブルが3本並んでいたとしましょう。感度が良すぎる場合、真ん中の電線に電気が流れているかを確認したいのに、左の電線に流れている電気を感知して音を鳴らしてしまったりします。

それでは真ん中の電線に電気が流れているかを知ることはできません。

感度を適度に調節する必要があります。(と言っても簡単です。)

こんな感じで検電器がありますよね。

スイッチがある方向とが逆側に「OPEN」と書かれている所があると思います。

横にある小さな穴に細い棒を突っ込みながら、スライドさせてみてください。

細い棒は細いIV線なんかで使えます。

こんな感じで蓋が開きます。

ADJと書いてある部分がありますよね。これを「ー」の方向に回せば感度が弱くなり、「+」の方向に回せば感度が強くなります。

じゃあどれくらいにすればいいの?って思いますよね。

結論「ー」の方向に全部振り切ってしまって構いません。

「反応しなくて困るんじゃないの?」と思う方も安心してください。これがベストです。業界最大手の電気工事会社でもーに振り切ってますので安心してください。

ーに振り切って困ったことなんて一度もありません。

 

検電器の使い方②電源を入れる

感度の調整ができたら、電源を入れましょう。

青いボタン(ON/OFFと書いてあるボタン)がありますよね。

このボタンを押してみてください。

こんな感じに先っちょが光ります。

もし光らない場合は電池切れですので、電池の取り替えが必要です。

 

検電器の使い方③調べたい部分に触れる

先っちょが光ったら、調べたい電線に近付けましょう。

僕の検電器の場合は、電気が流れている電線の近くに行くと赤く光って音を発します。ピーッって感じですね。電線に電気が流れていない場合は白い光のままですから、判断できます。

 

検電器とテスターの違い

検電器とテスターの違いは、結論「被覆の上からでも分かるか否か」です。

テスターは実際に電気が流れている部分に触れなければ、電気が流れているかいないかを知ることはできません。対して検電器の場合は、絶縁被覆の上からでも電気が流れているかいないかを知ることがでいます。

簡単な話、テスターの上位互換が検電器といった感じですね。

「じゃあテスターとか存在価値ないやんw」と思う方もいるかもしれません。

結論、存在価値はあります。

テスターでは導通以外にも測れるものがあります。例えば、電流の大きさですね。検電器では電気の大きさは測ることができないのに対して、テスターでは測ることができます。

他にも、下記のようなものを測定可能です。

テスターが測定できるもの

  • 温度測定
  • 直流電流の大きさ
  • 交流電流の大きさ
  • 直流電圧の大きさ
  • 交流電圧の大きさ
  • 抵抗値
  • その他もろもろ

 

検電器を作っているメーカー

検電器を作っているメーカー

  • HIOKI(日置電機)
  • 共立電気計器
  • 長谷川電機工業

上記のようなメーカーが検電器を作っています。

ほとんどの人はHIOKIの検電器を使っているイメージですね。一番シェアが多いのはHIOKIだと思われます。悩んだらHIOKIにしておくことを勧めます。

僕は業界最大手の会社含め3社の電気工事会社で働いた経験がありますが、どの会社でもHIOKIの検電器が使われていました。

HIOKI最強!って感じで。

普通の検電器プラスアルファの機能が必要になった時は、別のメーカーを使う感じになりと思います。

 

検電器の選び方

検電器を選ぶ基準

  • 直流か?交流か?
  • 低圧か?高圧か?特別高圧か?
  • 信頼できるか?信頼できないか?

上記のような観点で検電器を選びましょう。

まず、建物で使われる電気のほとんどが交流ですので、交流を検出できる検電器にしておきましょう。検電器に「AC」と書かれていれば、交流を検出できます。

次は電圧の大きさですが、特別高圧以外の現場なら「高低圧用」にしておきましょう。

新規入場者教育なんかで、低圧か?高圧か?特別高圧か?の説明は受けると思います。それに対して適切なものを選んでいく形です。

特別高圧の現場なんてあまりないし、高圧の現場もそこそこ多いです。

高圧と低圧の両用が一番汎用性が高いので、オススメですよ。ちなみに僕が使っている検電器は「HIOKI 3481」という検電器です。参考までに。

あとはそのメーカーが信頼できるか否かです。

先ほど挙げた3社なら信用できますので安心ですが、怪しそうなメーカーにするのはオススメしません。可能性として機器の不良があったり、アフターサポートを受けられない可能性もあります。

安心感、信頼性といった意味で、先ほど挙げた3社くらいにしておきましょう。

 

検電器に関する情報のまとめ

検電器に関する情報のまとめ

  • 検電器とは:電線に電気が通っているか通っていないかを確認する機器
  • 検電器は新築よりも改修の方が出番が多い
  • 検電器の原理:電界の変化を察知する
  • 検電器の種類:低圧用、低圧高圧用、特別高圧用、発光式、発音式、発光・発音式
  • 検電器の使い方:感度の調整→電源を入れる→近付ける
  • 検電器とテスターの違い:被覆の上からでも測定できるか否か
  • 検電器を作っているメーカー:HIOKI、長谷川電機工業、共立電機
  • 検電器の選び方:直流か交流か、低圧か低圧高圧か特別高圧か、信頼できるか

以上が検電器に関する情報のまとめとなります。

建設業においては安全が何よりも大切であり、安全を守るためには検電器が必要です。適切な知識を身につけなければ、自身を危険に晒してしまう可能性もあるので注意しましょう。

また、電気工事に慣れてくると、検電器を使うのが面倒になってきたりします。

「慣れるな、舐めるな、手を抜くな」

という格言もある通り、電気工事に慣れてきた時も忘れずに検電確認を行うようにしましょう。安全が何よりも大切です。それでは。