【現場監督が解説】S造とは?工事の流れや特徴、耐用年数など

  • S造ってなに?
  • どんな流れでS造はできるの?
  • どんな特徴があるの?
  • S造の耐用年数って?

上記のような悩みを解決します。

RC造やSRC造と並んで、日本で数多く採用されているのがS造です。施工する人からしても、S造の建築に携わることは避けられません。ですが安心してください。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

 

S造とは?

S造とは、結論「鉄骨を骨組みとした建物のこと」です。

そもそもS造の「S」ってなに?といったところですが、結論「Steel(鉄)」のSという意味になります。そもまんまですね。

似たような用語で「RC造」や「SRC造」などがあります。

これらとの違いですが、要は「何を建物の骨組みに使っているか?」という話です。鉄筋を骨組みにしていれば「RC造」と呼ばれ、鉄骨も鉄筋も使っていれば「SRC造」と呼ばれます。

それぞれの建物によって特徴が異なるので、違いを押さえておくことが重要です。(後ほど詳しく解説します)

大きな建物に採用されることが多いのがS造です。

オフィスビルやマンションなどに採用されます。

 

S造の工事の流れ

基礎工事

まずは建物ができる基礎(地盤)を作ります。

ここに関してはRC造もSRC造も共通です。

イメージ、歯茎がグラグラだったら歯も安定しませんよね。それと同じで、地盤が安定しなければ、建物も安定しません。

まずは穴を掘って、コンクリートを流し込んで、地盤を整えます。

地盤の状態があまり良くなければ、ラップルコンクリートなどで地盤改良を行うこともあります。地盤の状態は現場によって異なるので、臨機応変な対応が必要です。

下記のような業者がメインになります。

基礎工事でメインになる業者

  • 土工
  • コンクリート打設業者
  • 墨出し屋

 

躯体工事

建物の基礎が出来たら、次は躯体工事に移ります。

躯体工事とは、建物の骨組みを作る工事です。床や柱、壁などの構造体を施工します。

S造の場合、超大枠の流れとしては下記のような流れになります。

S造の躯体工事流れ

躯体工事はやり直しの効かない重要な工事です。

コンクリートは固まったら元には戻りません。ミスなく正確に仕事を完遂しなければなりません。工程表を確認して、コンクリート打設までに自分の工事を必ず終わらせるようにしましょう。

また、同時進行で、建物の中身を決める定例会議も進みます。

工事が始まった段階で、設計図は完成しています。ただ設計図はあくまで「こんな感じで行くよ」というざっくりの図面でしかありません。

施工するに当たって、詳細な部分を詰める必要があります。

ただ、現場は進んでいきますから、ずっと悩んでいる訳にもいきません。躯体工事と同時進行で、建物の詳細が決まっていく段階です。

 

内装工事

S造の骨組みが完成したら、内装工事に入ります。

内装工事は、いわば「仕上げ」です。

躯体工事が終わった段階で、建物の基本的な部分は出来上がっています。ただ言ってしまえば、まだ「コンクリートの塊」状態です。ここから完成まで持っていかなければなりません。

建物を快適に使うには、下記のようなものが必要になります。

内装工事で施工すること

  • 床(フローリング)
  • 壁や床の仕上げ
  • ドアや窓などの建具関係
  • コンセントなどの電気工事
  • エアコンなどの空調設備
  • トイレなどの衛生設備
コンクリートの塊に対して、上記のような設備を施工するのが内装工事です。

大枠の流れとしては「天井と壁の施工→床の施工」になります。床を早い段階で施工しても汚れてしまうので、床は最後です。

天井と壁に関しては、軽量(LGS)と呼ばれる下地が使われます。

流れとしては「下地の施工→ボードの施工→仕上げ」でして、この流れで建物が出来ていくんです。詳しくは下の記事にまとめてあります。

 

S造の特徴

S造の特徴その①遮音性が低い

S造の特徴その①は「遮音性が低い」という点が挙げられます。

RC造なんかではスラブtoスラブといって、壁がコンクリートで出来ていたりします。コンクリートは遮音性能が高いので、隣の音が聞こえてきません。

対してS造の場合、部屋と部屋を区切るのはボードです。

要は板ですから、隣の音がよく聞こえてきます。マンションの隣人トラブルがあるのは、だいたいS造やSRC造のボード区切りです。

遮音性の低さは一つ、S造の特徴と言えるでしょう。

 

S造の特徴その②建築費用が安い

S造の特徴その②は「建築費用が安い」という点になります。

理由としては、鉄筋を使用しないからです。

鉄筋を使用する場合、鉄筋の材料費も職人の人件費も必要になります。鉄筋を搬入し、加工し、施工しなければなりません。

S造でも鉄骨の施工は必要ですが、鉄骨を立てるだけです。鉄筋の場合と比較すると、全体的に建築費用は安上がりになります。

もしマンションだったら、家賃も安いです。レオパレスなんか典型ですね。

 

S造の特徴その③工期が短い

S造の特徴その③は「工期が短い」という点です。

先ほどもいった通り、鉄筋ではなく鉄骨を立てるだけですので、その分手間はかかりません。お金が安くなるのと同時に、工期も短くなります。

例えばオフィスビルがS造で作られるとしましょう。

RC造で作るよりもS造で作る方が1ヶ月完成が早いとしたら、オーナーは1ヶ月早く客に部屋を貸すことが出来ます。シンプルにお得ですよね。

工期の短さもS造の特徴になります。

 

S造の耐用年数って?

S造の耐用年数は、結論「50年」です。

勿論、建物の利用頻度や用途によっても異なりなる。。。というのは大前提になります。ただ、ざっくり言えば50年程度です。

もう少し詳細に話すと「水」が使われる頻度によって、耐用年数は変化します。

簡単な話、水をよく使えば、鉄は錆びますよね。S造はその名の通り「鉄骨」で出来ていますから、水によって劣化してしまうんです。

劣化が早いS造の利用用途

  • 銭湯や温泉などの浴場施設
  • 旅館やホテル
  • 飲食店
  • 工場

上記の場合は、30年から40年くらいが耐用年数です。

対してオフィスビルなど、水があまり使われないような用途であれば50年程度になります。用途によって耐用年数は異なりますので注意が必要です。

 

S造に関する情報のまとめ

S造に関する情報まとめ

  • S造とは:鉄骨を骨組みとした建物のこと
  • S造の工事の流れ:基礎工事→躯体工事→内装工事
  • S造の特徴:遮音性が低い、建築費用が安い、工期が短い
  • S造の耐用年数:50年(用途によって多少変化)

以上がS造に関する情報のまとめです。

一通りS造の基礎情報は押さえられたかなと思います。

似たような用語で「RC造」と「SRC造」があります。施工者なら、それぞれの違いを抑えていて当然です。幅広い知識を身につけていきましょう。

それでは!