塑性ひずみとは?弾性ひずみとの違い、計算、応力ひずみ線図など

  • 塑性ひずみってなに?結局「戻らない伸び」でいいの?
  • 弾性ひずみとどこで線を引くのか分からない
  • 除荷したら応力ひずみ線図はどう動くの?
  • 「全ひずみ=弾性+塑性」を数値でやってほしい
  • 単位は無次元って言うけど%なの?μなの?
  • 残留ひずみと塑性ひずみって同じ?違う?
  • コンクリートみたいな脆性材料にも塑性ひずみはあるの?
  • 0.2%耐力って塑性ひずみと関係あるの?
  • そもそもこれ、現場で使うの?試験のためだけ?
  • 地震で建物が「塑性化する」ってこのひずみの話?

上記の様な悩みを解決します。

塑性ひずみは、応力ひずみ線図を勉強し始めた施工管理1〜3年目や、一級・二級建築士の学科(構造)を勉強中の人が最初につまずく用語です。「弾性ひずみ・塑性ひずみ・残留ひずみ」が頭の中で混ざって、線図のどこを指しているのか整理できない。さらに参考書は定義で終わっていて「で、これが建築や現場の何に効くのか」が書いていない。今回は定義・線図・違いといった基礎を押さえた上で、現役の施工管理経験者目線で「除荷線を引いて塑性ひずみを数値で出す計算」「耐震設計で塑性ひずみが主役になる理由」「現場で塑性ひずみが発生する場面」まで、試験でも実務でも使えるレベルに落とし込みました。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

塑性ひずみとは?

塑性ひずみとは、結論「荷重を取り除いても元に戻らずに残ってしまうひずみ」のことです。読みは「そせいひずみ」。

材料を引っ張ると伸びます。このとき、力を抜けば元の長さにスッと戻る範囲と、力を抜いても伸びっぱなしになる範囲があります。後者の「抜いても戻らなかった分の伸び」が塑性ひずみです。

ひずみそのものは「変形量 ÷ 元の長さ」で表す、伸びの割合のこと。100mmの鉄筋が101mmになったら、ひずみは 1 ÷ 100 = 0.01 です。このうち力を抜いて戻った分が弾性ひずみ、戻らなかった分が塑性ひずみ、という分け方になります。

ひずみの基本があいまいな方はこちらを先に読むと早いです。

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塑性ひずみが出るということは、材料が「降伏点を超えて変形した」サインでもあります。鋼材なら降伏点を超えて引っ張られた、コンクリートならひび割れに向かって損傷が進んだ、という状態。だから塑性ひずみは「材料がもう元に戻れない領域に入った」という重要な合図です。

僕の整理では、塑性ひずみは「戻らない伸び」と一言で覚えてしまっていいです。そのうえで「いつ・どれだけ戻らなくなったか」を応力ひずみ線図で読む、という順番で理解すると一気にクリアになります。

弾性ひずみと塑性ひずみの違い

弾性ひずみと塑性ひずみの違いは、結論「除荷したときに消えるか、残るか」の一点です。除荷とは荷重を取り除くことです。

両者の違いを整理すると以下になります。

項目 弾性ひずみ 塑性ひずみ
除荷後 0に戻る(消える) 残る(戻らない)
発生する範囲 弾性域(降伏点まで) 塑性域(降伏点超え)
応力との関係 比例(フックの法則) 比例しない
元の形 完全に戻る 戻らない(永久変形)
別名 永久ひずみ・残留ひずみ

ここで心の声に多い「残留ひずみと塑性ひずみは同じ?」に答えておきます。基本は同じものを指していると思って大丈夫です。除荷後に残ったひずみ=塑性ひずみ=永久ひずみ=残留ひずみ。ただし「残留ひずみ」という言葉は、溶接や曲げ加工で内部に残る変形(残留応力に対応するひずみ)を指す文脈でも使われるので、出てきた場面で「単純引張の話か、加工の話か」を見分けると混乱しません。

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僕の感覚だと、新人のうちは「弾性=バネ、塑性=粘土」とイメージしておくのが一番早いです。バネは離せば戻る、粘土は曲げたら曲がったまま。鋼材は引っ張る量が小さいうちはバネ、降伏点を超えると粘土に変わる、という二段構えの材料だと捉えると線図が読めるようになります。

応力ひずみ線図で見る塑性ひずみ

塑性ひずみは、応力ひずみ線図の上で「除荷線を引く」と一発で見えます。これがこの記事で一番伝えたい読み方です。

応力ひずみ線図とは、縦軸に応力度(σ)、横軸にひずみ(ε)をとったグラフのこと。鋼材を引っ張っていくと、線図は次のように進みます。

段階 線図の動き 何が起きているか
① 弾性域 原点から直線で上昇 応力とひずみが比例(フックの法則)。離せば戻る
② 降伏点 直線が折れる 弾性の限界。ここから戻らなくなる
③ 塑性域 応力ほぼ横ばいでひずみ増加 伸びるだけ伸びる(降伏棚)
④ 加工硬化 再び応力が上昇 粘りながら強くなる
⑤ 最大点 引張強さ(最高点) 受け持てる最大の応力
⑥ 破断 下降して切れる くびれて破断

ポイントは「除荷したときの戻り方」です。塑性域まで伸ばした材料の荷重を抜くと、線図は来た道を戻らず、弾性域と同じ傾き(=ヤング率の傾き)で斜めに下りていきます。そして応力が0になっても、横軸のひずみは0まで戻らず、途中で止まります。この「0まで戻らずに残った横軸の値」が塑性ひずみ。同時に、除荷線の傾き分だけ戻った量が弾性ひずみです。

つまり線図のある一点では、その点の横軸(全ひずみ)が「弾性ひずみ+塑性ひずみ」に分解できる、という関係になっています。

応力ひずみ曲線の見方を体系的に押さえたい方はこちらが詳しいです。

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なお単位の話もここで片付けておきます。塑性ひずみも弾性ひずみも、ひずみは「長さ÷長さ」なので無次元(単位なし)です。表記は小数(0.002)でも、%(0.2%)でも、μ(マイクロストレイン、2000μ)でも構いません。どれも同じ値の書き換えなので、試験では問題文に合わせればOKです。

僕の考えでは、線図は「眺める図」ではなく「除荷線を自分で引いて読む図」です。降伏点を超えた点から斜めに線を引いて横軸との交点を見る、この動作を一度手で描くと、弾性ひずみと塑性ひずみの分解が体に入ります。

塑性ひずみの計算(全ひずみ=弾性ひずみ+塑性ひずみ)

塑性ひずみの計算は、結論「全ひずみから弾性ひずみを引く」だけです。式にすると ε(全)= εe(弾性)+ εp(塑性)。これを塑性ひずみについて解くと εp = ε − εe となります。

弾性ひずみ εe は、その時の応力 σ をヤング率 E で割れば出ます(フックの法則 σ=E×ε の変形で εe=σ/E)。だから計算手順は次の3ステップです。

  • 全ひずみ ε を線図(または問題文)から読む
  • その点の応力 σ をヤング率 E で割って弾性ひずみ εe を出す
  • ε から εe を引いて塑性ひずみ εp を出す

数値で1問通してみます。鋼材(ヤング率 E=205,000 N/mm²)を引っ張って、ある点で応力 σ=250 N/mm²、全ひずみ ε=0.005(0.5%)だったとします。

弾性ひずみは εe=σ/E=250 ÷ 205,000 ≒ 0.00122。
塑性ひずみは εp=ε − εe=0.005 − 0.00122 = 0.00378。

つまり0.5%伸びたうち、約0.12%は離せば戻る弾性ひずみ、残りの約0.38%が戻らない塑性ひずみ、という分解になります。除荷すると線図は εe 分だけ斜めに戻り、横軸0.00378のところで止まる、というのが先ほどの「除荷線」の正体です。

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実務だと、この「全ひずみを弾性と塑性に割り振る」考え方は、地震応答解析やFEMで材料の挙動を扱うときの土台になります。試験では数値を出せれば十分ですが、裏でこの分解が効いていると知っておくと、後で解析の話が出てきたときに繋がります。

鋼材以外の材料と0.2%耐力

鋼材以外の材料では、塑性ひずみの「線引き」がやや特殊になります。結論、降伏点がハッキリ出ない材料は「0.2%耐力」で代用します。

材料は大きく延性材料と脆性材料に分かれます。

区分 塑性ひずみの出方
延性材料(降伏点あり) 軟鋼(SS400など) 明確な降伏点で弾性→塑性に切り替わる
延性材料(降伏点なし) アルミ・銅・ステンレス・樹脂 なだらかに塑性域へ。0.2%耐力で線引き
脆性材料 コンクリート・ガラス・鋳鉄 ほぼ伸びずに破断。塑性域が極端に小さい

アルミやステンレスのように降伏点がカクッと出ない材料は、「塑性ひずみが0.2%残る応力」をもって降伏応力の代わりにします。これが0.2%耐力(耐力、σ0.2)です。心の声にあった「0.2%耐力って塑性ひずみと関係あるの?」の答えはここで、まさに塑性ひずみ0.2%を基準に決めた応力が0.2%耐力です。

脆性材料の代表であるコンクリートは、塑性域がほとんどなく、弾性的にわずかに変形したあと一気にひび割れ・破断に向かいます。だから「コンクリートに塑性ひずみは?」と聞かれたら、「概念としてはあるが極めて小さく、設計上は脆性破壊として扱う」が実務的な答えです。鉄筋コンクリートで鉄筋を入れるのは、この「粘りのなさ」を鉄筋の塑性変形能力(粘り)で補うため、という理解にも繋がります。

ちなみに、ひずみには変形前の長さで割る「公称ひずみ」と、変形後の長さで割って対数をとる「真ひずみ」があります。試験や一般的な構造計算は微小変形を前提にした公称ひずみでOK。真ひずみは大変形を扱う材料試験・解析の世界の話なので、まずは公称ひずみで覚えて問題ありません。

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個人的には、0.2%耐力は「塑性ひずみの定義がそのまま規格になった例」として覚えると忘れません。降伏点が見えない材料に対して、人間が「塑性ひずみ0.2%を降伏とみなそう」と取り決めた、という成り立ちを知っておくと、数字の意味が腹に落ちます。

加工硬化(ひずみ硬化)と降伏比

塑性域に入った材料が再び強くなる現象を、加工硬化(ひずみ硬化)といいます。結論「塑性変形させると、その分だけ降伏応力が上がる」現象です。

心の声に「加工硬化で応力が上がるのに塑性って矛盾してない?」というものがありました。これは矛盾ではありません。降伏棚を過ぎて塑性域でさらに引っ張ると、線図は再び右肩上がりになります。ここで一度除荷して、もう一度引っ張り直すと、前回伸ばしたところまでは弾性的に戻り、新しい降伏点が前より高い位置に移動しています。これが加工硬化で、心の声#18「再載荷したら降伏点が上がる」の正体です。

この性質と直結するのが降伏比です。降伏比とは「降伏点 ÷ 引張強さ」のこと。

降伏比 意味 材料の性格
高い(1に近い) 降伏点と引張強さが近い 降伏したらすぐ破断。粘りが小さい
低い(0.8以下など) 降伏点と引張強さに余裕 降伏後も塑性域で粘れる

建築用のSN材(建築構造用圧延鋼材)は降伏比0.8以下が規定されています。なぜかというと、降伏比が低いほど「降伏してから破断するまでの塑性域が広い」=塑性ひずみをたくさん吸収できるからです。地震で建物が降伏しても、すぐには壊れず粘って耐えてほしい。だから建築の鋼材は「降伏してからの伸びしろ(塑性ひずみの余裕)」を規格で確保しているわけです。

降伏比の意味と数値はこちらにまとめてあります。

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現場目線で言えば、加工硬化と降伏比は「材料の粘り強さ」を語るための言葉です。塑性ひずみは欠陥ではなく、むしろ「建物が地震で粘るための余白」。この発想に切り替わると、次の耐震設計の話が一気に繋がります。

建築・耐震設計で塑性ひずみが主役になる理由

ここがこの記事の核心です。結論、塑性ひずみは「試験のための概念」ではなく、耐震設計そのものを支える考え方です。

日本の耐震設計は、大地震に対して「建物を壊さない」のではなく「壊れ方をコントロールしながら粘って耐える」という思想で組まれています。この「粘って耐える」の正体が、まさに部材を降伏させて塑性ひずみを出させ、地震のエネルギーを塑性変形で吸収させることなのです。

塑性ひずみが建築で主役になる場面を整理します。

概念 塑性ひずみとの関係
塑性化 部材が降伏点を超え、塑性ひずみが出始めること
塑性ヒンジ 梁端などが集中的に塑性化し、ヒンジのように回転する箇所
靭性(じんせい) 塑性ひずみをどれだけ出しても壊れないか=粘り強さ
保有水平耐力 建物が塑性化しながら最終的に保持できる水平力
層間変形角 各階の塑性的な変形量の指標

心の声#17「塑性ひずみが大きい材料は良い?悪い?」への答えがここにあります。建築では、降伏後に塑性ひずみをたくさん出せる(=靭性が高い)材料が「良い材料」です。脆くてポキッと折れる材料より、グニャリと曲がって粘る材料のほうが地震に強い。塑性ヒンジをわざと梁端に作って、そこで塑性ひずみを吸収させる「崩壊メカニズム」を設計者がコントロールする、というのが耐震設計の中身です。

ちなみに心の声#20「塑性変形は体積変化しない」が嬉しい理由も、ここに繋がります。塑性変形は原子の配置がずれるだけで体積が変わらない(=形は変わるが詰まっている)ので、降伏後も荷重を支え続けられる。だから粘れる、というわけです。

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僕としては、この「塑性ひずみ=地震に粘るための余白」という見方を持てるかどうかで、構造の勉強が暗記から理解に変わると感じています。線図の塑性域は、建物が命を守るために変形している領域なんだ、と捉えると一気に意味が出てきます。

現場で塑性ひずみに出会う場面

塑性ひずみは設計の中だけの話ではなく、現場でも普通に発生しています。結論「材料を降伏点まで変形させる作業は全部、塑性ひずみを出している」と思っていいです。

施工管理が現場で塑性ひずみに出会う代表的な場面を挙げます。

  • 鉄筋の曲げ加工:フックやスターラップを曲げる=鉄筋を降伏させて塑性変形させている
  • 鋼材の曲げ・プレス加工:鉄板を折り曲げる、デッキを成形する
  • 高力ボルトの締付け:軸部を降伏点近くまで引っ張って固定する種類がある
  • 座屈後の部材:座屈した柱・ブレースは塑性変形が残っている
  • ひずみ取り(矯正):溶接で歪んだ鉄骨を熱や力で塑性変形させて直す

鉄筋の曲げ加工が分かりやすい例です。鉄筋をフック形状に曲げると、曲げた箇所には塑性ひずみが残ります。だから一度曲げた鉄筋を無理に伸ばし直すと、その箇所は加工硬化で脆くなっていて折れやすい。「曲げ直しはNG」と言われるのは、塑性ひずみと加工硬化の理屈で説明できます。

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実務だと、塑性ひずみを意識する一番の場面は「曲げ加工した材料を元に戻そうとしない」という判断です。教科書では抽象的な概念でも、現場では「一度降伏させた材料は性質が変わっている」という具体的な注意点として効いてきます。

試験(建築士・施工管理技士)での問われ方

塑性ひずみは、一級・二級建築士や施工管理技士の構造分野で繰り返し問われるテーマです。結論、問われ方は3パターンに集約されます。

パターン 問われ方の例 押さえどころ
用語の正誤 「除荷後に残るひずみを塑性ひずみという」の正誤 弾性=戻る/塑性=残る
線図の読み取り 降伏点・塑性域・除荷線・残留ひずみの位置 除荷線はヤング率の傾き
数値計算 全ひずみと応力からεpを求める εp=ε−σ/E

特に頻出なのが「弾性ひずみ・塑性ひずみ・全ひずみの分解」です。問題文で全ひずみと応力、ヤング率が与えられて「塑性ひずみを求めよ」と来たら、εe=σ/E を出して全ひずみから引く、という先ほどの手順そのまま。公称ひずみで計算すればよく、真ひずみは出てきません。

降伏比やSN材の規定(0.8以下)も、構造の材料分野で問われます。「なぜ建築用鋼材は降伏比を制限するのか=塑性域で粘らせて地震エネルギーを吸収させるため」をワンセットで覚えておくと、応用問題に対応できます。

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僕の整理では、試験対策は「定義の正誤」「線図の位置」「εp=ε−σ/E の計算」の3点を押さえれば塑性ひずみの問題は落としません。あとは降伏比だけ材料分野とセットで覚えておけば十分です。

塑性ひずみでやりがちな誤解5パターン

最後に、塑性ひずみで初心者がやりがちな誤解を5つ整理します。どれも線図の読み違いから来ています。

誤解1:降伏点を超えたら全部が塑性ひずみ

降伏点を超えても、その点のひずみは「弾性ひずみ+塑性ひずみ」です。弾性ひずみ分は除荷すれば戻ります。全部が戻らないわけではない、が正解。

誤解2:除荷したら線図は真下に落ちる

除荷線は真下(垂直)ではなく、弾性域と同じ傾き(ヤング率の傾き)で斜めに下ります。真下に落ちると思っていると塑性ひずみの位置を読み違えます。

誤解3:線図の傾きは全区間でヤング率

ヤング率の傾きは弾性域だけです。塑性域では傾きが変わります。ただし「除荷線」だけは塑性域から引いてもヤング率の傾きになる、というのが要注意ポイント。

誤解4:塑性ひずみが出る材料は欠陥材料

建築ではむしろ逆で、塑性ひずみを出せる粘り(靭性)が高い材料が良い材料です。脆くて折れる材料のほうが地震には危険。

誤解5:単位は%でないと間違い

ひずみは無次元なので、小数でも%でもμでも同じ値です。0.002=0.2%=2000μ。表記が違うだけで間違いではありません。

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僕の感覚だと、この5つはどれも「線図を手で描かずに言葉だけで覚えた」ときに起きる誤解です。除荷線を一度自分で引いてみれば、誤解1〜3はその場で解消します。

塑性ひずみに関する情報まとめ

  • 塑性ひずみとは:荷重を取り除いても元に戻らずに残るひずみ(永久ひずみ・残留ひずみ)
  • 弾性ひずみとの違い:除荷で消えるのが弾性ひずみ、残るのが塑性ひずみ。弾性=バネ、塑性=粘土
  • 応力ひずみ線図:弾性域→降伏点→塑性域→加工硬化→引張強さ→破断。除荷線はヤング率の傾きで斜めに下る
  • 計算:全ひずみ=弾性ひずみ+塑性ひずみ。εp=ε−σ/E で求める
  • 単位:無次元(小数・%・μは同じ値の書き換え)
  • 鋼材以外:降伏点が出ない材料は0.2%耐力で線引き。脆性材料(コンクリ)は塑性域が極小
  • 加工硬化と降伏比:塑性変形で降伏点が上がる。建築用SN材は降伏比0.8以下で粘りを確保
  • 耐震設計での役割:塑性化・塑性ヒンジ・靭性・保有水平耐力。塑性ひずみで地震エネルギーを吸収
  • 現場の場面:鉄筋の曲げ加工・鋼材プレス・高力ボルト・座屈後・ひずみ取り
  • 試験:用語正誤/線図の位置/εp=ε−σ/E の計算の3パターン

以上が塑性ひずみに関する情報のまとめです。

塑性ひずみは「戻らない伸び」という一言から入って、応力ひずみ線図で除荷線を引いて読み、最後は耐震設計で「建物が地震に粘るための余白」として効いてくる、という一本の線で繋がっています。試験のために覚える概念に見えて、実は鉄筋の曲げ加工から建物の崩壊メカニズムまで貫く、構造を理解する上での背骨のような考え方です。線図を一度自分の手で描いて、弾性ひずみと塑性ひずみを分解できるようになれば、構造の勉強も現場の材料の扱いも一段見え方が変わってくるはずです。

塑性ひずみに関するよくある質問

Q1:塑性ひずみと残留ひずみは同じものですか?

基本的には同じで、どちらも除荷後に残るひずみを指します。単純な引張で残ったひずみは塑性ひずみ=残留ひずみ=永久ひずみと考えてOKです。ただし「残留ひずみ」は溶接や曲げ加工で部材内部に残る変形(残留応力に対応するもの)を指す文脈でも使われます。出てきた場面が「単純な引張の話」か「加工・溶接の話」かを見分ければ混乱しません。

Q2:塑性ひずみの単位は何ですか?

無次元(単位なし)です。ひずみは「変形量÷元の長さ」で長さ同士の比なので、単位が打ち消し合います。表記は小数(0.002)、パーセント(0.2%)、マイクロストレイン(2000μ)のいずれでも構いません。すべて同じ値の書き換えなので、試験では問題文の表記に合わせれば大丈夫です。

Q3:塑性ひずみはどう計算しますか?

全ひずみから弾性ひずみを引きます。式は εp=ε−εe で、弾性ひずみは εe=σ/E(フックの法則)で求めます。例えば応力250N/mm²、全ひずみ0.005、ヤング率205,000N/mm²なら、弾性ひずみは250÷205,000≒0.00122、塑性ひずみは0.005−0.00122=0.00378となります。「全ひずみ=弾性+塑性」の分解を覚えておけば計算問題は解けます。

Q4:除荷すると応力ひずみ線図はどう動きますか?

塑性域まで伸ばした材料を除荷すると、線図は来た道を戻らず、弾性域と同じ傾き(ヤング率の傾き)で斜めに下ります。応力が0になっても横軸のひずみは0まで戻らず、途中で止まります。この止まった位置が塑性ひずみ、除荷線で戻った分が弾性ひずみです。真下に垂直に落ちるわけではない、というのが読み違えやすいポイントです。

Q5:コンクリートにも塑性ひずみはありますか?

概念としてはありますが、極めて小さいです。コンクリートは脆性材料で、弾性的にわずかに変形したあと、塑性域をほとんど経ずにひび割れ・破断に向かいます。そのため設計では脆性破壊として扱います。鉄筋コンクリートで鉄筋を入れる目的の一つが、この「粘りのなさ」を鉄筋の塑性変形能力(靭性)で補うことにあります。

Q6:0.2%耐力と塑性ひずみはどう関係しますか?

0.2%耐力は「塑性ひずみが0.2%残る応力」のことで、塑性ひずみそのものを基準に決めた値です。アルミやステンレスのように明確な降伏点が出ない材料では、降伏応力の代わりにこの0.2%耐力を使います。つまり「塑性ひずみ0.2%を降伏とみなそう」という取り決めが0.2%耐力なので、両者は定義の段階で直結しています。

Q7:地震で建物が「塑性化する」とは塑性ひずみの話ですか?

その通りで、塑性化とは部材が降伏点を超えて塑性ひずみが出始めることです。日本の耐震設計は、大地震時に部材をあえて塑性化させ、塑性変形で地震エネルギーを吸収させる思想で組まれています。梁端などに塑性ヒンジを作り、そこで塑性ひずみを集中して吸収させる崩壊メカニズムを設計者がコントロールします。塑性ひずみは建物が地震に粘るための余白、という理解が実務的です。

Q8:塑性ひずみが大きい材料は良い材料ですか、悪い材料ですか?

建築では「降伏後に塑性ひずみをたくさん出せる材料=靭性が高い良い材料」です。脆くてポキッと折れる材料より、グニャリと曲がって粘る材料のほうが地震に強いからです。建築構造用のSN材が降伏比0.8以下に規定されているのも、降伏してから破断までの塑性域を広く確保し、粘りを担保するためです。塑性ひずみは欠陥ではなく、地震に耐えるための性能と捉えるのが正解です。

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