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鉄骨のササラ階段とは?意味、種類、寸法、納まり、注意点など

  • ササラ階段ってなに?
  • 「ササラ」ってそもそも何のこと?竹の楽器のササラと関係あるの?
  • 側桁階段とどう違うの?
  • ササラ桁の厚みやサイズはどれくらい?
  • 段板はどうやって付いてるの?
  • 現場でササラ階段を見るときに、施工管理として何をチェックすべき?

上記の様な悩みを解決します。

ササラ階段とは、結論「段板(踏面)の左右にギザギザの切り込みを入れた鋼板(または木板)を桁として通し、その切り込みに段板を載せて構成した階段のこと」です。鉄骨造の屋外階段、工場・倉庫の作業階段、鉄骨RCの階段室の鉄骨階段で、よく出てきます。「ササラ」という言葉の語源は、竹を細かく割って束ねた楽器の「簓(ささら)」。桁の側面に段板を受ける切り込みが連続している様子が、簓の姿に似ているところから来ています。図面で「ササラ桁 PL-12」と書かれていたら、「12mm厚の鋼板で、段差形状にカットしたササラ桁を使う」という意味です。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

ササラ階段とは?

ササラ階段とは、結論「段板(踏み板)を支える桁の上端をギザギザに切り欠き、その切り欠きの上に段板を載せた構造の階段」のことです。鉄骨でも木造でも使われますが、現代の建設現場で出てくるのはほぼ鉄骨製のササラ階段。鉄板(PL)を段差形状に切り出して使います。

「ササラ」の語源は、竹を細かく裂いて束ねた簓(ささら)という楽器(あるいは茶筅状の道具)。桁の上端が連続して切り欠かれた姿が、簓の毛先に似ているのでこう呼ばれるようになりました。業界用語そのものに「形が似てるから」という素朴さが残っているのが、ササラの面白いところです。

階段を支える「桁」の3タイプ

階段の構造は、段板を何で支えるかで大きく3つに分類できます。

タイプ 桁の位置 段板の付き方 特徴
ササラ桁階段 段板の左右両側 桁の切り欠きの上に載せる 段板の裏側に桁が見える
側桁階段 段板の左右両側 桁の側面に溝を切って差し込む 段板の小口が桁に隠れる
力桁階段 段板の中央下 中央桁から左右に段板が片持ち 桁が1本だけで意匠的に軽快

ササラ桁階段は、段板の裏側から見たときに桁の段差形状が見えるのが最大の特徴。製作も比較的シンプルで、屋外階段や非常階段でよく採用されます。

なぜササラ階段が現場で多いのか

鉄骨のササラ階段が現場で多く採用される理由は、ざっくり3つ。

  • 製作が単純:鋼板を段差にカットして溶接するだけで桁ができる
  • 現場での建て込みが速い:工場で段板まで組み込んで搬入できるユニット階段にしやすい
  • 段板の交換・補修がしやすい:段板がボルト固定なら、踏面のチェッカープレートだけ交換できる

S造の建物は躯体と階段の取り合いがシビアで、現場で組み立てる方式が多いのですが、ササラ階段は鉄骨建方と並行してユニットを揚重するだけで済むので、工程がきれいに流れます。

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ササラ階段の種類

ササラ階段といっても、桁の本数や形状でいくつかバリエーションがあります。

①両側ササラ(標準型)

段板の左右両側にササラ桁を1本ずつ通し、段板を架け渡したタイプ。最もスタンダードで、屋外階段・工場の作業階段・避難階段で広く使われます。

  • 桁:左右2本
  • 段板:両端をササラに載せて固定
  • 用途:一般的な階段すべて

②片側ササラ+側桁

片側はササラ桁、もう片側は壁付きで側桁(チャンネル等)にするタイプ。階段室の壁に沿って付ける場合に多い構成です。

③力桁ササラ(中桁型)

段板の中央下にササラ状の力桁を1本だけ通すタイプ。意匠的にスッキリ見せたい屋内階段で使われますが、設計の自由度は高いが製作精度がシビア。中央1本で全荷重を受けるので、桁の断面がそれなりに大きくなります。

④折返し階段のササラ

階段が踊り場で折り返すタイプ。踊り場のところで2方向のササラ桁が直交して取り合うので、納まりが少し複雑になります。施工図ではこの取り合いが特に重要。

木造のササラ

木造住宅の階段にも「ササラ桁」があります。木の側板の上端をギザギザにカットして段板を載せる方式で、民家建築や蔵などで見かける伝統的な階段です。本記事では鉄骨ササラを中心に扱いますが、語源は木造から来ているので押さえておくと混乱しません。

ササラ桁の寸法と材質

鉄骨ササラ階段で使われる桁(ササラ)の寸法・材質の目安です。

ササラ桁に使う鋼板

ササラ桁は基本的に普通鋼板(SS400)を切り出して作ります。SS400の特徴は別記事の通り、溶接性と加工性が良く、コスト面でも標準的な鋼材です。

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部位 一般的な厚み 鋼種
ササラ桁本体 PL-9〜PL-16 SS400
段板(チェッカープレート) PL-3.2〜PL-6 SS400
段板(グレーチング) グレーチング規格 SS400 / SUS
手摺取付ブラケット PL-6〜PL-9 SS400

ササラ桁の厚みはスパンと荷重で決まるのが基本。短い屋外階段ならPL-9、工場の重荷重作業階段ならPL-16、踊り場が大きい長物だとそれ以上、というイメージです。

蹴上・踏面の寸法

階段の段差ピッチは、建築基準法施行令第23条で用途ごとに上限・下限が決まっています。実務でよく出てくる規定は次のあたり。

用途 蹴上 踏面
住宅 23cm以下 15cm以上
学校・劇場・公衆トイレ等 18cm以下 26cm以上
物品販売(床面積1500㎡超) 18cm以下 26cm以上
その他(事務所等) 22cm以下 21cm以上

ササラ桁の切り欠きピッチはこの蹴上・踏面寸法に直接連動します。図面で「蹴上180/踏面260」と書かれていたら、ササラ桁も水平方向260mm/垂直方向180mmのピッチで切り欠かれているわけです。

ササラ階段の納まり(段板の取付方式)

段板(踏面)をササラ桁にどう留めるか、現場でよく見る方式は3つ。

①ボルト固定方式

ササラ桁の切り欠き部にボルト穴を開けて、段板をボルト・ナットで固定する方式。一番施工性が良いので屋外階段や非常階段で多く使われます。

  • メリット:現場で取付が早い、段板交換が可能
  • デメリット:段板裏のボルト頭が見える、緩みチェックが必要
  • 使うアンカー類:建築のアンカー
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②溶接方式

段板をササラ桁に直接すみ肉溶接する方式。強度的には最も安定しますが、現場溶接が必要なので工事中の火気養生・作業環境への配慮が要ります。

  • メリット:剛性が高い、緩みなし
  • デメリット:現場溶接の手間、後の交換不可
  • 使う部材:JIS規格に準拠した溶接棒(JIS Z 3211等)

③段板+蹴込み板の二重構成

ササラの切り欠きに段板(水平面)と蹴込み板(垂直面)の両方を組み込み、L字型のユニットとして溶接する方式。意匠的にきれいに見せたい屋内階段で使われます。

グレーチング段板

工場・屋外で多いのは、段板にグレーチングを載せた構成。グレーチング自体の解説は別記事に詳しいですが、水切れと滑り止めを兼ねるのでメンテフリーになるのが利点。ササラ桁の切り欠きにフラットバーを溶接して、その上にグレーチングを載せる構成が多いです。

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施工管理として見るポイント

ササラ階段の建て込みで、施工管理として現場で確認しておきたいポイントを整理します。

工場製作段階

  • ササラ桁の切り欠き寸法:蹴上・踏面の寸法精度(±2mm以内が目安)
  • 桁の通り:長手方向に反りがないか
  • 取付ボルト穴の位置:段板側のボルト穴とずれていないか
  • 塗装の仕様:屋外・屋内で塗装系(ジンクリッチ/溶融亜鉛メッキ等)を確認

現場搬入・建方段階

  • 建方位置:墨出しの通り芯と階段ササラ桁の通りが合っているか
  • アンカー芯:上下階のササラ桁取付ベースプレートのアンカー位置
  • 建ち:階段全体の傾きと水平度
  • 取り合い:上下階のスラブ・梁との段差・隙間
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段板取付段階

  • 段板の水平度:水準器で各段板の傾きを確認(左右差5mm以内目安)
  • 段差の均一性:1段だけ蹴上が高い/低いとつまずきの原因になる
  • ボルト締付トルク:M12なら70〜90N・m程度(高力ボルトを使うなら別途規定値)
  • 段板の小口処理:滑り止め加工(チェッカープレートなら凸の向き)

完了検査

  • ガタつきの有無:歩いて全段振動・たわみをチェック
  • 手摺の剛性:手摺ブラケットの溶接・ボルトに緩みがないか
  • 塗装の仕上げ:傷・ハジキ・ピンホールの補修
  • 竣工図への反映:実際の納まりが竣工図と整合しているか

1段だけ蹴上が違う」というのは、ササラ桁の切り欠き加工ミスか、段板取付時のボルト位置ズレで起きます。一度見落とすとつまずき・転倒事故の原因になるので、段板取付直後に全段の蹴上を実測しておくのが施工管理の最低ライン。

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ササラ階段の注意点

最後に、現場でやらかしがちなポイントをまとめます。

①溶接ひずみで桁が反る

ササラ桁を工場で段板と溶接すると、入熱で桁が反ってしまうことがあります。長物のササラほど顕著で、組み上げてみたら段板が水平にならない、という事故。対策は溶接順序の管理(千鳥溶接)と、組立後の歪み取り

②屋外階段の防錆

屋外で使うササラ階段は、雨水が段板の切り欠き部に溜まりやすい構造。塗装が剥がれた段差付け根から錆が進行して、5〜10年でササラ桁の段差部が腐食する事例があります。塗装系の選定(溶融亜鉛メッキ+上塗り)と、定期点検で塗膜を補修するのが鉄則。

③グレーチング段板の脱落

ボルト固定なしで載せただけのグレーチング段板は、地震や大型機材搬入時の振動で踊り場へずれることがあります。ササラ桁にフラットバーを溶接して落下防止のストッパーを付ける、もしくは固定金具で確実に固定するのが正解。

④寸法精度のごまかしはきかない

階段の蹴上・踏面の寸法は人間が直接踏むので、わずかな誤差が体感で違和感になります。建築基準法の規定値に対して5〜10mmズレるとつまずきの原因。ササラ桁の切り欠き寸法は工場製作段階で必ずチェックし、製作完了図と現場納まりを突き合わせます。

⑤手摺の取付高さ

ササラ階段の手摺は、ササラ桁の側面または段板に取り付けますが、建築基準法では階段の手摺高さ85cm以上(手摺壁内法)。傾斜部分の高さは段鼻からの寸法で測ります。手摺ブラケットの取付ピッチも、強度が出る範囲で詰める(一般的に1m前後)。

ササラ階段に関する情報まとめ

  • ササラ階段とは:段板を支える桁の上端を段差状に切り欠いた階段。語源は楽器の「簓」
  • 桁のタイプ:両側ササラ/片側ササラ+側桁/力桁ササラ/折返し型
  • 桁の鋼板厚:PL-9〜PL-16(SS400)が標準、荷重とスパンで決まる
  • 段板の固定方式:ボルト固定、すみ肉溶接、L字ユニット溶接、グレーチング載せ
  • 蹴上・踏面:建築基準法施行令第23条で用途別に規定。住宅は蹴上23cm以下/踏面15cm以上
  • 施工管理の確認:工場製作精度→現場墨出し→段板水平度→ガタつき→塗装
  • よくあるトラブル:溶接ひずみ、屋外腐食、段板脱落、寸法ズレ、手摺高さ不足

以上がササラ階段に関する情報のまとめです。

ササラ階段は、鉄骨階段の中で最もシンプルで現場仕事と相性が良い形式ですが、その分「とりあえず付けておけばいい」と扱いが雑になりがちな部位でもあります。図面に「PL-12 ササラ桁」と書かれていたら、切り欠きピッチが基準法を満たしているか・段板取付方式が用途に合っているか・屋外なら防錆計画は妥当か、この3点を最初に確認するクセを付けておくと、引き渡し後の手戻りがグッと減ります。一通り基礎知識は理解できたかと思います。

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