- シーリング工事ってどんな工事?
- コーキングと何が違うの?
- 材料の種類が多すぎて選べない…
- 打ち替えと打ち増しの違いは?
- 施工手順はどう進むの?
- 失敗しないための注意点は?
上記の様な悩みを解決します。
シーリング工事は、外壁や窓まわり、ALCの目地などに「ゴム状のパッキン」を充填して、雨水や空気の侵入を防ぐ工事です。地味な工事に見えて、ここが切れると外壁の中に水が回り、構造体・断熱材・電気配線まで一気に巻き込んで腐食・漏電する怖い工種でもあります。電気施工管理として絡むのは、外壁貫通部のケーブル引込み口や、屋上の防水立上り部のシーリング納まり確認あたりですね。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
シーリング工事とは?
シーリング工事とは、結論「建物の目地・隙間にシーリング材(ゴム状の充填材)を打ち込んで、防水・気密・追従の機能を持たせる工事」のことです。
主な役割は3つ。
- 防水:外壁や開口部の隙間から雨水が入らないようにする
- 気密:すきま風・断熱性能の低下を防ぐ
- 追従(変位吸収):地震・温度変化で建物がわずかに動く際、目地のズレを吸収する
特に3つ目の「追従」が重要で、外壁材(ALC・ECP・サイディング)は温度変化や地震で1mm単位で伸び縮みします。ここに硬い素材(モルタルなど)を詰めるとすぐクラックが入るので、弾性のあるシーリング材 で受けるわけですね。外壁全体の話は別記事に詳しいので合わせてどうぞ。

ALC・ECPの目地はシーリング前提で設計されています。
シーリング工事とコーキング工事の違い
「シーリング」と「コーキング」、現場では同じ意味で使われますが、本来の語源は違います。整理すると以下のとおり。
| 用語 | 元々の意味 | 現在の使われ方 |
|---|---|---|
| シーリング(sealing) | 目地・隙間を「封ぜる」全般 | 建築業界の正式名称。JIS A 5758もこちら |
| コーキング(caulking) | 船舶の隙間にタールを詰める作業 | 主にホームセンター・DIY・住宅業界で慣用的に使用 |
実務的にはほぼ同義で、「ALCのコーキング打ち替え」「サッシ廻りのシーリング工事」のように混在します。JIS規格・公共建築工事標準仕様書(公共建築標仕)はシーリング、町場の住宅会社・職人さんはコーキング で呼ぶ傾向、と覚えておくと混乱しません。
ちなみに、ホームセンターで売っている「コーキング材」は、業界用語的にはほぼ「シーリング材」と同じものです。
シーリング材の種類
シーリング材は、主成分(化学組成)と1成分/2成分の違いで分類されます。代表的なものを表で整理します。
主成分による分類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 変成シリコーン系 | 万能・塗装可能・耐候性高 | 外壁目地・サッシ廻り・ALC・ECP |
| シリコーン系 | 撥水性・耐候性高、塗装NG | ガラス廻り・水廻り・浴室 |
| ポリウレタン系 | 動きに追従、塗装可能、紫外線弱い | 外壁打ち替え(塗装の下) |
| アクリル系 | 安価、耐久性低い | 内装・屋内目地 |
| ポリサルファイド系 | 耐薬品性高 | 石材・タイル目地・空港 |
| ブチルゴム系 | 防水性・気密性高、ヤニあり | 仮設・防水補助 |
1成分形・2成分形
- 1成分形:チューブから出すだけで使える。空気中の水分や酸素で硬化する
- 2成分形:基剤と硬化剤を専用ミキサーで混ぜて使う。大量施工向け、硬化が安定
サッシ廻りや小規模工事は1成分形、外壁の長い目地や大型工事は2成分形、というのが大まかな使い分けです。
ノンブリードタイプの選定
シーリング材の中の 可塑剤(柔軟性を出すための添加物) が、塗装後に表面に染み出して塗膜を汚す現象を「ブリード」と呼びます。打ち替え後に塗装する外壁では、可塑剤の出ない ノンブリードタイプ を選ばないと、シーリング上の塗装が黒っぽく汚れて見える事故が起きます。塗装する外壁=ノンブリード、覚えておきたいキーワードです。
シーリング工事の工法(打ち替え・打ち増し)
外壁シーリングの改修工事は、大きく 打ち替え と 打ち増し の2種類に分かれます。新築工事は当然「新規打設」になります。
打ち替え(ぜんぶ撤去して新規)
既存のシーリング材をカッターで切り、専用工具で全部撤去してから、新しいシーリング材を入れる工法。最も信頼性が高いやり方で、外壁塗装と同時のリフォーム ではほぼ打ち替えが標準。
打ち増し(既存の上から追加)
既存のシーリングが残った状態で、その上から新しいシーリング材を打ち重ねる工法。費用は安いものの、既存と新規の付着が弱く、数年で剥離するリスクがあります。サッシ廻りの一部 や、目地が深くて打ち替え不可能な場所に限定して使うのが基本。
新築工事(新規打設)
施工目地に対して、3面接着回避(バックアップ材を入れて2面接着)の原則で打設します。詳しい手順は次の章で。
シーリング工事の施工手順
新築・打ち替えのいずれも、基本の流れは同じ。標準的な手順を整理します。
手順1: 既存撤去(打ち替えの場合)
カッター・スクレーパーで既存シーリングを物理的に切除。撤去面の凹凸はサンダーで均します。打ち替え工事の8割はこの撤去作業です。地味だけど、ここで手を抜くと後の付着が一気に悪くなります。
手順2: 清掃
撤去面の粉塵・水分・油分を除去。雑巾+ブラシ+エアブローの組合せが基本です。湿気が残っていると硬化不良を起こすので、雨上がりは時間を置く判断が必要。
手順3: バックアップ材/ボンドブレーカー
3面接着を避けるため、目地の奥に バックアップ材(発泡ポリエチレンの丸棒)または ボンドブレーカー(粘着テープ)を入れます。
3面接着回避の理由
目地の左右の壁とシーリング、さらに目地の奥(底面)の3面に接着すると、建物の動きでシーリング材が引きちぎれます。底面を縁切りすることで、シーリングが目地幅方向に伸び縮みできるようにする、というのが原則。
手順4: マスキング(養生テープ貼り)
目地のキワに沿ってマスキングテープを貼り、シーリング材がはみ出すのを防ぎます。仕上がりの綺麗さを左右する工程。
手順5: プライマー塗布
シーリング材の付着を高めるためのプライマーを刷毛で塗布。プライマーの種類はシーリング材の種類とセット で指定されています(A種・B種など)。塗り忘れ・乾燥不足は剥離事故の最大要因なので、ここはマスト。
手順6: シーリング材の充填
コーキングガンで目地にシーリング材を打ち込みます。気泡が入らないよう、奥から手前に押し出すように打つのがコツ。
手順7: ヘラ仕上げ
ゴムヘラで表面をならして、目地内に密着させ、表面を平滑に仕上げます。最初の充填量が重要で、ヘラで圧をかけて隙間を潰します。
手順8: マスキング除去
シーリング材が硬化を始める前にマスキングテープを撤去。早すぎると寄れる、遅すぎると剥がれない、という絶妙なタイミングが要ります。
手順9: 養生・硬化
1成分形なら24時間〜数日、2成分形でも12〜24時間で表面硬化。完全硬化まで1〜2週間ほどかかるので、その間は強い力をかけない。
シーリング工事の注意点
施工管理として押さえたいポイントを整理します。
注意点1: 3面接着の禁止(最重要)
繰り返しになりますが、シーリング工事の事故の半分くらいは「3面接着で引きちぎれた」。バックアップ材/ボンドブレーカーは絶対省略しない、というのを叩き込みたい現場ルールです。
注意点2: プライマーの選定ミス
シーリング材とプライマーの相性は厳しく決まっています。例えば変成シリコーンに別メーカーのウレタン用プライマーを塗ると、付着不良で1〜2年で剥離します。メーカー指定のセットで揃える のが鉄則。
注意点3: 既存材との混在打ち替え
外壁の改修時、既存がポリサルファイド系で新規が変成シリコーン系の場合、相性によっては界面で剥離します。打ち替え時は 既存材の特定→相性確認 を発注者と協議。判断つかないときは打ち替えで全撤去するのが安全。
注意点4: ノンブリードタイプの選定
繰り返しですが、塗装する外壁=ノンブリード。塗装屋さんから「シーリングの上だけ塗料が浮く」とクレームが入るのは、ほぼこれが原因。
注意点5: 防火区画貫通部のシーリング
電気・設備のケーブル貫通部は、シーリング材だけで止水・防火を兼ねさせると 防火認定が取れません。耐火パテ・耐火モルタル・フィブロックなど、認定品を使った防火区画貫通処理が必要です。

注意点6: 動きの大きい目地は変位対応形を選ぶ
ALC・ECPなど、動きの大きい外壁の目地は 変位対応形(耐ムーブメント形) のシーリング材を選ばないと、追従しきれずに切れます。JIS A 5758の MJ(ムーブメントジョイント) 用の規格品を使うのが安全です。
注意点7: 雨天・低温時の施工
シーリング材は 5℃以下 または 湿度85%以上 の環境では硬化不良を起こすことがあります。冬季・梅雨時の施工は気象条件をシビアに管理する必要があります。
注意点8: 結露との関係
外壁の気密性低下は内部結露の原因になります。シーリングの劣化を放置すると、壁内に水が回って構造材を腐らせる二次被害につながります。結露対策の全体像は別記事を合わせてどうぞ。

注意点9: サッシ廻りの納まり
アルミサッシ廻りはシーリング材だけで防水するのではなく、サッシフィン(耳)と防水層、二次防水(透湿防水シート)との連携で水を切るのが基本。サッシそのものの選定は別記事で解説しています。
シーリング工事に関する情報まとめ
- シーリング工事とは:建物の目地・隙間にゴム状の充填材を打ち、防水・気密・追従の機能を持たせる工事
- シーリング vs コーキング:本来の語源は違うが、現場ではほぼ同義。JIS規格・公共建築仕様はシーリング表記
- 材料の種類:変成シリコーン/シリコーン/ウレタン/アクリル/ポリサルファイド/ブチルゴム。1成分形と2成分形の使い分け
- 塗装する外壁:ノンブリードタイプを選ぶ
- 工法:打ち替え(全撤去再施工)/打ち増し(上塗り)/新規打設
- 施工手順:撤去→清掃→バックアップ材→マスキング→プライマー→充填→ヘラ仕上げ→養生
- 重要原則:3面接着の禁止、プライマー選定、変位対応形の選定、防火区画貫通部は耐火認定品
以上がシーリング工事に関する情報のまとめです。
シーリング工事は、外壁の中で最も「経年劣化が早い」部位の1つで、外壁全体の防水寿命をシーリング材の寿命が握っているとも言えます。電気施工管理として直接打つ機会は少ないですが、外壁ケーブル貫通部の止水、屋上機器据付け部の縁切り、防火区画貫通の境界部 あたりは、シーリングの納まりを把握しておかないと工事完了後の漏水・防火違反トラブルに直結します。地味だけど効く工種、それがシーリングですね。
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