- 構造図ってそもそもなに?
- 意匠図とどう違うの?
- 種類が多すぎて何から見ればいいか分からない
- 施工管理として最低限どこを見ればOK?
- 構造図の独特な記号や略号を解読したい
- 設計者と現場でズレが起きやすいポイントは?
上記の様な悩みを解決します。
構造図は、その建物が地震・自重・風・積雪などの力に耐えられるかを設計者が「形」として表現した図面群です。意匠図ばかり眺めていると見落としがちですが、施工管理が躯体施工で食らう手戻りや是正は、9割方この構造図側に答えがあります。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
構造図とは?
構造図とは、結論「建物の構造体(柱・梁・スラブ・基礎・耐力壁など)の形状・寸法・配筋・材質を示した図面の総称」のことです。
構造設計者(構造一級建築士など)が構造計算の結果をもとに作成し、施工者はこれをベースに躯体を組んでいきます。
意匠図が「建物の見た目・使い勝手」を担当しているのに対して、構造図は「建物が壊れないための骨格」を担当している、と理解しておけばまずOKです。
構造図に含まれる主な情報
- 柱・梁・スラブ・基礎の位置と寸法
- 鉄筋の本数・径・間隔(RC造の場合)
- 鋼材のサイズ・板厚・グレード(S造の場合)
- 接合部のディテール(ガセットプレート・スプライス等)
- 構造仕様書(コンクリート強度、鉄筋・鋼材の規格、溶接基準など)
ここに書かれている数値はすべて構造計算と紐づいているので、現場で「ちょっと位置ズレてもいいか」と勝手に判断するとアウト。動かしたい時は必ず構造設計者に確認、という運用になります。
構造図と意匠図・施工図・躯体図の違い
ここがいちばん混乱しやすいポイント。図面は「誰が」「何のために」描いたかで役割がガラッと変わります。
| 図面種別 | 描く人 | 主な目的 | 何が描かれているか |
|---|---|---|---|
| 意匠図 | 意匠設計者 | デザイン・空間構成・仕上げ | 平面プラン、外観、内装仕上げ表 |
| 構造図 | 構造設計者 | 構造耐力の表現 | 柱梁伏図、軸組図、配筋詳細、部材リスト |
| 設備図 | 設備設計者 | 給排水・電気・空調の経路 | 配管ルート、機器配置、系統図 |
| 施工図 | 施工者(ゼネコン) | 設計図を実際に作れる形に落とし込む | 製作可能な寸法・割付・取合い |
| 躯体図 | 施工者 | 躯体(コンクリート部分)の作り方を指示 | 型枠寸法、開口位置、スリーブ位置 |
設計図(意匠+構造+設備)は「どう作ってほしいか」、施工図・躯体図は「どう作るか」を表します。設計図と施工図は表裏一体ですが、責任の所在が違うのが大事なポイントですね。
意匠図・施工図・躯体図それぞれの詳細はこちらの記事もどうぞ。




施工管理として現場で頻繁に並べて見るのは「意匠図と構造図」もしくは「構造図と躯体図」のペアです。設備図は設備担当に任せる場面が多いですが、スリーブやインサート位置の干渉は構造図と必ず突き合わせる必要があります。
構造図の種類(中身の構成)
構造図と一口に言っても、中身は数十枚〜数百枚に及ぶ図面の集合体です。よく出てくるものをカテゴリ別に整理します。
構造図の主な構成(一般的な順序)
- 構造特記仕様書
- 杭伏図・基礎伏図
- 各階柱伏図・梁伏図
- 各階軸組図(X方向・Y方向)
- 部材リスト(柱リスト・梁リスト・スラブリスト・壁リスト)
- 接合部詳細図(仕口・継手)
- 階段・特殊部位の詳細図
構造特記仕様書
構造設計者が「この建物はこの仕様で作ってください」と宣言する文書。コンクリート強度(Fc24、Fc30など)、鉄筋の規格(SD295A、SD345)、鋼材グレード(SS400、SN400B)、溶接の検査基準などが箇条書きで並んでいます。
ここを読まずに現場に入るのは、結論「自殺行為」ですね。Fc24と書かれているのに生コン伝票がFc21だった、というレベルの事故は仕様書を見ていれば未然に防げます。
伏図(柱・梁・スラブを上から見た図)
平面図のような見た目で、その階の柱・梁・スラブの配置と符号(C1、G1、B1、S1など)が振られています。
施工管理が躯体検査で「どの梁がG1なのか」を確認するときに必ず開く図面ですね。符号さえ分かれば、後述の「部材リスト」を引いて寸法・配筋を読めば必要情報がすべて揃います。
軸組図(建物を横から見た図)
建物を縦方向に切った断面のような図で、柱の高さ、梁レベル、階高、基礎レベルなどが入っています。
X方向(桁行)とY方向(梁間)の2セットが用意されているのが普通。「2階のG1梁の天端レベルがGL+5,800」みたいな高さ情報を拾うときに使います。
平面方向と高さ方向の図面の違いは「梁間方向と桁行方向」の関係も知っておくとスムーズに読めます。
部材リスト
柱リスト・大梁リスト・小梁リスト・スラブリスト・壁リストなど、それぞれの符号ごとの寸法と配筋を表形式で並べたものです。
たとえば梁リストならG1の主筋・スターラップ・腹筋を上下端それぞれ何本何ミリで入れる、までが書かれている。配筋検査の現場では、この部材リストと現物を照らし合わせるのがメイン作業になります。
スターラップの基本については以下の記事に詳しいです。

接合部詳細図
S造ではガセットプレート・ベースプレート・スプライスプレートの寸法、RC造では仕口部の配筋納まりなどが描かれます。
施工管理として、この詳細図を読まずに鉄骨建方や配筋を進めると、ほぼ確実に「あれ、ここの溶接どっち向き?」「鉄筋どう逃げる?」みたいな問い合わせが現場から飛んできます。
スプライスプレートやダイヤフラムの基礎知識は以下の記事も参考にどうぞ。


構造図の読み方(施工管理の優先順位)
構造図は枚数が多くて、どこから手をつければいいか迷いがち。施工管理の立場で実用的な読み方の順番を提案するとこんな感じです。
構造図を読む推奨ステップ
- 構造特記仕様書を通読(コンクリート強度・鉄筋規格・検査基準)
- 基礎伏図で杭・基礎の配置を把握
- 各階柱伏図で柱の符号・本数を確認
- 部材リストで主要符号(C1、G1、S1)の寸法と配筋を頭に入れる
- 軸組図で階高・梁レベルを把握
- 接合部詳細図は「自分の工区の納まり」だけでもいいので確認
施工管理1〜2年目の人にありがちなのが「とりあえず伏図ばっかり見ている」というパターン。伏図だけだと配筋の細かい仕様が拾えないので、必ず部材リストとセットで読む癖をつけたほうがラクです。
よく出てくる符号の読み方
| 符号 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|
| C1, C2… | Column=柱 | 数字は種類番号 |
| G1, G2… | Girder=大梁 | 主要構造の梁 |
| B1, B2… | Beam=小梁 | 大梁から大梁へ架かる小さい梁 |
| FB | Foundation Beam=基礎梁 | 地中梁 |
| S1, S2… | Slab=スラブ | 床版 |
| W1, W2… | Wall=壁(耐力壁) | 構造的に効く壁 |
| P1, P2… | Pile=杭 | 杭基礎の場合 |
| F1, F2… | Footing=独立フーチング | 基礎の独立部分 |
これらの符号は構造設計者によって独自ルールがある場合もあるので、必ず構造特記仕様書の凡例ページを最初に確認するのがコツです。
配筋表記の読み方(RC造の場合)
部材リストの梁の欄でよく見るのが「4-D25 + 2-D22」みたいな表記。これは「上端筋がD25を4本、第2段としてD22を2本」という意味です。
スターラップ欄の「D13@200」は「D13のスターラップを200mm間隔で配筋する」の意。「@」はピッチ記号として現場では当たり前のように使われます。
鉄筋のかぶり厚さや配筋検査の話は以下に詳しいです。

構造図を見るときの施工管理的な注意点
構造図は「描いた人と読む人が違う」ので、現場で食い違いが起きやすいのが宿命です。経験上ハマりやすかったポイントを挙げておきます。
構造図を読む際にハマりやすい落とし穴
- スリーブ位置と梁の配筋干渉
- 設備配管のスラブ貫通位置の見落とし
- 階段・吹抜け周辺の梁レベル変化
- 設計変更時の構造図と施工図の不整合
- 構造特記の改訂版・最新版の差し替え漏れ
特に多いのが設計変更時の図面差し替え漏れ。構造図は改訂のたびに「○月○日改訂」スタンプが押されるので、現場で持っている図面が最新版か必ず日付チェックする習慣をつけておきたいところ。
僕が電気の施工管理で現場に入っていた頃、構造図の旧版で打合せを進めて、後から「実は梁の高さが100mm下がっていた」という事故に近いことがありました。CD管の通り道が梁にぶつかって全部やり直し。構造図の差し替えタイミングは、設備屋にも一報入れてくれる現場とそうでない現場とで、現場のしんどさが本当に変わります。
スリーブと梁の関係は別記事でまとめているので合わせて読んでみてください。

構造図と意匠図の食い違いに気づくコツ
意匠図と構造図のズレで現場が混乱するパターンの代表例:
- 意匠の天井高 vs 構造の梁レベル → 「天井ぶつかる」問題
- 意匠の開口位置 vs 構造の耐力壁 → 「ここ穴開けられない」問題
- 意匠の階段位置 vs 構造の梁配置 → 「踊場の梁干渉」問題
施工管理としては、図面を受領した段階で意匠と構造を重ね描きして整合確認する作業をやっておくと、後の手戻りが激減します。最近はBIMで自動チェックできるツールも増えていますが、紙ベースで突き合わせる現場もまだ多いです。
構造図に関する情報まとめ
- 構造図とは:建物の構造体(柱・梁・スラブ・基礎・耐力壁)の形状・寸法・配筋・材質を示す図面の総称
- 意匠図との違い:意匠図=デザインを担当、構造図=骨格を担当。施工管理は両方を必ずセットで読む
- 構造図の中身:構造特記仕様書/伏図/軸組図/部材リスト/接合部詳細図 が主要構成
- 読み方の順序:仕様書→基礎伏図→柱伏図→部材リスト→軸組図→接合部、で読み進めるとラク
- 符号の読み方:C=柱、G=大梁、B=小梁、S=スラブ。配筋は「本数-径」「径@ピッチ」で表記
- 注意点:設計変更時の改訂日チェック必須。意匠図・設備図とのズレを事前に潰しておく
以上が構造図に関する情報まとめです。
一通り構造図の基礎知識は理解できたかなと思います。構造図は枚数が多くて最初は身構えますが、「仕様書と部材リストさえ読めれば6割は戦える」と覚えておけば、入社1年目でも十分に現場で使い物になりますよ。
設計図・施工図に関連する周辺知識も以下の記事でまとめているので、合わせてどうぞ。










