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軽量鉄骨と重量鉄骨の違いとは?厚み、耐用年数、用途、見分け方など

  • 軽量鉄骨と重量鉄骨ってなにが違うの?
  • 厚みで区別するって聞いたけど何mmが境目?
  • 耐用年数ってどっちが長いの?
  • 自分のアパートはどっち?
  • 戸建ては軽量鉄骨でも大丈夫なの?
  • ハウスメーカーのCMでよく聞くけど結局どっち選べばいい?

上記の様な悩みを解決します。

「軽量鉄骨」「重量鉄骨」は鋼材の厚みで区別される鉄骨造の分類で、ハウスメーカー・賃貸サイト・税務上の耐用年数表など、いろんな場所で出てくる用語。両者は単に厚さが違うだけでなく、用途・建てられる規模・税法上の扱い・施工方法まで全部変わってきます。本記事では現場目線でこの違いを整理します。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

軽量鉄骨と重量鉄骨とは?

軽量鉄骨とは、結論「鋼材の厚みが6mm未満の鉄骨を使った構造」のことです。重量鉄骨は逆に「鋼材の厚みが6mm以上の鉄骨を使った構造」のこと。

つまり、6mmが境目で、それより薄ければ軽量、厚ければ重量、というシンプルな分類。建築の現場では「ライト」「ヘビー」と呼んだり、契約書類では「S造(軽量)」「S造(重量)」と表記されたりしますが、指している中身は同じです。

→ ざっくり、「鋼材6mmの厚みが軽量と重量の境目」というイメージです。

呼称の整理と6mmの理由

呼称を整理しておきます。

呼び方 定義 主な用途
軽量鉄骨造 厚み6mm未満の鋼材を主要構造に使用 戸建て、アパート、低層住宅、店舗
重量鉄骨造 厚み6mm以上の鋼材を主要構造に使用 マンション、ビル、工場、倉庫、商業施設

なぜ6mmで分けるのかというと、直接的にはJIS(日本産業規格)と建築基準法施行令上の慣習で、6mm以上の鋼材は溶接構造に耐え、本格的な構造体として使えるから。これを下回ると、薄板の冷間成形(プレス加工)で作られる「軽量形鋼」の領域になり、リップ溝形鋼(Cチャン)などの曲げ加工材が中心になります。S造(鉄骨造)全体の流れはこちら。

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軽量鉄骨と重量鉄骨の違い(一覧表)

実務で押さえるべき違いを一覧にまとめます。

比較項目 軽量鉄骨 重量鉄骨
鋼材の厚み 6mm未満(一般に1.6〜4.5mm) 6mm以上(梁・柱で12〜25mmが多い)
主な部材 リップ溝形鋼、軽みぞ形鋼、軽量H形鋼 H形鋼、角形鋼管、CT形鋼、L形鋼
接合方法 ボルト接合中心、一部溶接 高力ボルト摩擦接合+現場溶接
工法 プレハブ・在来工法 ラーメン構造、ブレース構造
建築可能規模 〜3階建て程度(住宅メーカー型) 中高層、大スパン、無柱空間も可能
法定耐用年数 19〜27年(住宅・店舗) 34年(住宅・事務所)
建設コスト(坪単価) 60〜80万円/坪 80〜120万円/坪
主な施主 個人住宅、賃貸オーナー 法人、デベロッパー、自治体
代表的な建物 アパート、戸建て、店舗 マンション、オフィス、工場

法定耐用年数の根拠

国税庁の減価償却資産の耐用年数等に関する省令では、鉄骨造の法定耐用年数は鋼材の厚みで以下のように区分されています(住宅用の場合)。厚み3mm以下が19年、厚み3mm超〜4mm以下が27年、厚み4mm超が34年、というあたり。

つまり3mm・4mmで段階が変わる仕組みで、軽量鉄骨でも厚みのある材を使っていれば27年、重量鉄骨は基本34年、という関係になります。中古不動産の評価や減価償却の計算では、ここの厚みが直接効いてきます。鉄筋コンクリート造との違いはこちら。

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軽量鉄骨の特徴

軽量鉄骨は、冷間成形(鋼板を常温でプレス・ロール成形)で作られる薄板部材が中心。

主要部材と用途

軽量鉄骨の主要部材は、リップ溝形鋼(Cチャン)(壁の下地、床根太、軽量間仕切に多用)、軽量H形鋼(低層住宅の柱・梁)、軽みぞ形鋼(補強材、間柱)、というあたり。これらは工場で冷間プレスして曲げ加工で形を作るので、量産効率が良く、コストも安い。プレハブ住宅の柱・梁部材として大量に流通しています。軽量形鋼の話はこちら。

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軽量鉄骨が多用されるシーンは、大手ハウスメーカーのプレハブ系戸建て(積水ハウス・大和ハウス・パナソニックホームズ等の鉄骨系)、2〜3階建てアパート(賃貸経営用)、ロードサイドの店舗・薬局・コンビニ、車庫・倉庫・物置の小規模建物、というあたり。

特に大手ハウスメーカーは、軽量鉄骨でブレース構造(筋交いで横揺れに耐える)またはラーメン構造(柱梁の剛接合で耐える)を組み、独自の制振装置やパネル構造を組み合わせて販売しています。

メリット・デメリット

軽量鉄骨のメリットは、軽い(建物自体が軽いので基礎の負担が少ない)、工期が短い(工場でプレカット部材が用意されるので現場作業が早い)、コストが安い(材料費・施工費とも重量鉄骨より低い)、品質のばらつきが少ない(工場生産の比重が高い)、というあたり。

デメリットは、大スパン・高層は難しい(耐力が足りず、3階建て以上は基本不可)、間取り変更が難しい(プレハブ部材の関係で柱位置を動かしにくい)、錆びやすい(薄い鋼材は錆腐食の影響を受けやすく、防錆処理が必須)、遮音性・断熱性で工夫が必要(軽量=薄い壁、なので別途仕様で補う)、というところ。ブレース(筋交い)の話はこちら。

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重量鉄骨の特徴

重量鉄骨は、熱間圧延(赤熱した鋼を圧延機で形を作る)で作られた厚板の鋼材が中心。

主要部材と用途

重量鉄骨の主要部材は、H形鋼(柱・梁の主役、200×200から1000×400までサイズ豊富)、角形鋼管(BCR・BCP)(柱に多用、四方から梁を接合できる)、CT形鋼(トラス上下弦材、特殊な梁)、L形鋼(アングル)(補強材、ブレース)、というあたり。H形鋼単体で見ても、フランジ厚20mm・ウェブ厚12mmといった「厚物」が普通に出てくるので、軽量鉄骨とは見た目から重量感が違います。H鋼・I鋼の話はこちら。

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重量鉄骨が多用されるシーンは、マンション(5階以上)、オフィスビル、工場・倉庫(無柱大スパン)、商業施設・物流施設、病院・学校、駅前再開発の中高層ビル、というあたり。公共・民間問わず、スパンを飛ばしたい・高さを稼ぎたい・耐震性を確実に確保したいプロジェクトでは重量鉄骨が選ばれます。

メリット・デメリット

重量鉄骨のメリットは、大スパンが可能(柱なしで20m以上飛ばせる工場・倉庫向き)、高層建築も可能(ラーメン構造で10階以上の建物も普通)、間取り自由度が高い(構造耐力に余裕があるため改装で柱を抜く・移動が比較的しやすい)、耐震・耐風性能が高い(厚物鋼材+溶接接合で剛性が出る)、耐用年数が長い(法定34年、実建物は60年以上の例も多い)、というあたり。

デメリットは、工事費が高い(軽量鉄骨より坪単価で2〜4割増)、工期が長い(鉄骨製作工場での加工→現場組立に時間がかかる)、基礎工事が大規模(建物が重いので杭基礎・大型独立基礎が必要)、重機・揚重計画が複雑(大型クレーン・夜間搬入などが必要なことも)、というところ。杭基礎の話はこちら。

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軽量鉄骨と重量鉄骨の見分け方

「自分が今住んでいる物件はどっち?」という疑問は意外と多いので、見分け方を整理します。

公的書類・サイト・規模

①建築確認済証・検査済証で確認。公的書類に「主要構造部の構造種別」が必ず明記されています。「鉄骨造」「鉄骨ブレース造」「鉄骨ラーメン造」とだけある場合、添付の構造図書を見ると鋼材の規格が書いてあるので、そこから厚みを読み取れます。確認済証・検査済証の話はこちら。

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②不動産物件サイトの表示。賃貸・分譲サイトでは構造種別がほぼ必ず記載されており、「軽量鉄骨造」「重量鉄骨造」で明示されています。アパートで2〜3階建てなら軽量、5階以上のマンションは重量、と覚えておけばだいたい当たります。

③建物の階数・規模で推測。

階数・規模 だいたいの構造
1〜2階の戸建て・アパート 軽量鉄骨が多い
3階建てアパート 軽量・重量どちらも
4階以上のマンション 重量鉄骨が多い
大規模工場・倉庫 重量鉄骨

見た目と書類確認

④建物を見たときの簡易判別としては、大手ハウスメーカーの2階建て→軽量鉄骨の可能性高、鉄骨むき出しの倉庫・工場でH鋼が太い→重量鉄骨、賃貸アパートで「鉄骨造2階建て」と書いてある→ほぼ軽量鉄骨、というあたり。

⑤売却・購入・投資時の確認方法。中古不動産の取引では、減価償却の関係で構造種別を絶対確認します。建物登記簿の構造欄、固定資産税評価証明書、設計図書、これら3点が揃って初めて確実な判定ができます。

固定資産税の評価証明書だけでは「鉄骨造」とだけ書いてあって厚みまで分からないこともあるので、設計図書(特に構造図と仕様書)で主要部材の鋼材寸法を必ず確認してください。

軽量鉄骨と重量鉄骨の選び方

新築・建て替え時の選択基準を整理します。

選び方の基準

軽量鉄骨を選ぶべきケースは、戸建て・2〜3階建てアパートを建てたい、工期と予算を抑えたい、大手ハウスメーカーの保証・アフターを重視、標準的な間取りで満足できる、というあたり。

重量鉄骨を選ぶべきケースは、4階建て以上または大スパンの建物を建てたい、工場・倉庫など無柱空間が必要、将来の間取り変更を見越したい、投資・賃貸経営で長期保有を考えている(耐用年数の差)、商業施設・店舗で意匠性の高い大空間がほしい、というところ。

意外な点と独自構法

意外と知られていない「軽量鉄骨でも34年扱い」のケースとして、軽量鉄骨でも主要構造部の鋼材が4mm超なら、法定耐用年数は34年(住宅用)になります。「軽量鉄骨=19年・27年」と決めつけると損をする場合があるので、税務上の耐用年数を判断するときは設計図書の鋼材厚をすべて拾い出す作業が必要です。

ハウスメーカーの「独自構法」に注意。大手ハウスメーカーには「鉄骨制振系の独自構法」がたくさんあって、軽量鉄骨ベースでも独自の補強・制振機構を組み込んだ構造になっています。耐震等級は2や3を取得しているケースが多いので、「軽量鉄骨だから耐震性能が低い」は誤解です。仕様書を読み込んで、構法の中身まで把握するのが大事。意匠図・構造図の見方はこちら。

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軽量鉄骨と重量鉄骨に関する情報まとめ

  • 境目:鋼材の厚みが6mm未満なら軽量鉄骨、6mm以上なら重量鉄骨
  • 法定耐用年数(住宅):3mm以下19年、3mm超〜4mm27年、4mm超34年
  • 軽量鉄骨の主要部材:リップ溝形鋼(Cチャン)、軽量H形鋼、軽みぞ形鋼
  • 重量鉄骨の主要部材:H形鋼、角形鋼管、CT形鋼、L形鋼
  • 軽量鉄骨の用途:戸建て、2〜3階建てアパート、店舗、車庫
  • 重量鉄骨の用途:マンション、オフィス、工場、倉庫、商業施設
  • 見分け方:建築確認済証・登記簿・設計図書で構造種別と鋼材厚を確認
  • 選び方:規模・スパン・耐用年数・予算で軽量/重量を使い分け

以上が軽量鉄骨と重量鉄骨に関する情報のまとめです。

軽量鉄骨と重量鉄骨は、「6mmという1本の境界線」でガラっと変わる世界です。設計監理者・施工管理者として大事なのは、「鉄骨だから〇〇」と決めつけずに、必ず鋼材の厚みを拾って判断すること。耐用年数も、費用も、施工方法も、すべてこの厚みが起点になります。中古物件を扱うとき・新築を計画するときは、まず構造図の主要部材表で鋼材寸法を確認するクセをつけましょう。

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