- CTって結局なんの機械なの?電流計とどう違う?
- なんで大電流をわざわざ5Aに変換するの?
- CT比「400/5」の読み方が分からない
- 貫通型と巻線型、現場でどっちを使うの?
- 選定の「過電流定数」「確度階級」って何?
- ZCTと見た目が似てるけど何が違うの?
- 「二次側開放は厳禁」って言うけど、なんで危険なの?
- 点検でうっかり二次側を開放したらどうなる?
上記の様な悩みを解決します。
CT(変流器)は、受変電設備や制御盤で電流を測るために欠かせない計器用変成器です。原理自体は変圧器とほぼ同じなのですが、いざ現場で選定したり、結線したり、点検したりとなると「過電流定数の決め方」や「二次側開放がなぜ危険なのか」といった、つまずきやすいポイントがいくつもあります。今回は仕組み・種類・選定方法・ZCTとの違いといった基本を押さえた上で、電気施工管理の目線で「現場でCTを扱う・点検するときの注意点」まで踏み込んで整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
CT(変流器)とは?
CT(変流器)とは、結論「大電流をそのままでは測れないため、5Aなど扱いやすい小さな電流に変換して計器や保護継電器に送る計器用変成器」のことです。CTはCurrent Transformer(カレントトランス)の略で、電気屋さんは「変流器」と言わず「CT」と呼ぶことのほうが多いです。
なぜわざわざ変換するのかというと、数百A〜数千Aといった大電流をそのまま電流計に入れようとすると、計器も電線も巨大になり、絶縁の確保にも無理が出てコストもロスも跳ね上がるからです。そこでCTを使い、一定の比率で小さくした電流を測ることで、小型の計器で精密に測れるようにしているわけです。
注意したいのは、CTは電流を「分岐」しているのではなく「変換」している点です。CTを入れても負荷に流れる電流そのものは変わりません。一次側に流れた電流を、巻数比に応じて縮小した値が二次側に現れる、という理解が正確です。
CTは受変電設備の心臓部に組み込まれる機器なので、全体像を押さえたい人は受変電設備の記事も合わせて読むと位置づけが見えてきます。

僕の感覚だと、CTは「大電流を計器のサイズに翻訳してくれる通訳」と捉えると一気に腑に落ちます。通訳を介すからこそ、現場の盤の扉にある小さな電流計で何百Aもの電流を安全に読めている、という整理です。
CT(変流器)の仕組みとCT比
CTの仕組みは、結論「変圧器とまったく同じで、鉄心に巻いた一次巻線と二次巻線の巻数比で電流を変換している」だけです。変圧器が電圧を変換するのに対し、CTは電流を変換する、と考えると分かりやすいです。
一次側に電流が流れると鉄心に磁束が生じ、同じ鉄心に巻かれた二次側に電流が誘導されます。二次電流は一次電流の「(二次巻数)÷(一次巻数)」倍になり、この一次と二次の電流の比を変流比、またはCT比と呼びます。
CT比は「400/5」のように分数で表記され、これが選定でも結線でも基本になります。読み方を表で整理しておきます。
| 表記 | 意味 | 例(実際の電流) |
|---|---|---|
| 一次定格電流 | 一次側に流せる定格(分子側) | 400/5 なら一次400Aまで |
| 二次定格電流 | 二次側に出る定格(分母側) | 標準は5A(1A品もある) |
| 変流比 | 一次÷二次の倍率 | 400/5=80倍 |
たとえばCT比400/5のCTで一次側に200Aが流れると、二次側には200÷80=2.5Aが現れます。逆に二次で2.5Aを読めば、80倍して一次は200Aだと分かるわけです。二次の定格を5Aに統一しておくことで、計器側を共通化できるのがこの仕組みのうまみです。
なお貫通型のCTは、貫通させる電線のターン数(巻数)を変えることで一次定格電流を調整できます。定格1次100A/2次5AのCTでも、電線を2回くぐらせれば一次定格は50A、4回なら25Aといった具合に、二次5Aはそのままで一次定格だけを下げられます。1台で複数の定格を作れるので、現場では地味に便利な性質です。
CT(変流器)の種類
CTの種類は、結論「巻線型・貫通型・分割貫通型・棒型に大別される」もので、現場では取り付け対象と既設かどうかで選び分けます。
代表的な型式の特徴を整理すると、次のようになります。
- 巻線型:一次巻線が機器内にあるタイプ。比較的小電流の計測に向く
- 貫通型:一次導体を持たず、母線やケーブルを穴に貫通させて一次とする。盤内で広く使われる
- 分割貫通型:本体が2分割でき、既設のケーブルや母線に後付けできる
- 棒型:太い一次導体を棒状に通す大電流向けのタイプ
現場で圧倒的に出番が多いのは貫通型です。盤内の母線やケーブルを穴に通すだけで使え、ターン数で定格調整もできるからです。一方、既設の受変電設備に後からCTやZCTを追加したい場合は、ケーブルを切らずに取り付けられる分割貫通型が活躍します。ただし分割型は鉄心の合わせ面の精度で測定値が変わるため、取り付け時に分割面をきっちり密着させることが重要になります。
現場目線で言えば、型式選びは「新設か既設か」で半分決まります。新設なら貫通型を母線設計に織り込む、既設改修なら分割型で対応、という判断が基本線です。
CT(変流器)の選定方法
CTの選定は、結論「計器用に使うのか、保護用(継電器用)に使うのかで考え方が分かれる」のが最大のポイントです。ここを混同すると、事故時に継電器が正しく動かない危険につながります。
計器用CTは、定格電流の範囲内で電流を測るのが目的なので、過電流定数などをあまり気にせず選べます。目安として、負荷電流の1.5倍程度を一次定格にすると、計器の指針が中央付近を指して読みやすく、精度も保てます。始動電流の大きい電動機回路では、指針の振り切れを避けるため負荷電流の2〜2.5倍が読める計器を選ぶとよいとされています。
一方、保護用CTは短絡事故などの大電流を測って継電器を動作させるため、次の指標に注意して選定します。
| 選定指標 | 内容 | 押さえどころ |
|---|---|---|
| 過電流定数 | 定格の何倍まで誤差10%以内で測れるか(n=10など) | 継電器と協調できる値を選ぶ |
| 過電流強度 | 短絡電流に機械的・電気的に耐える限度 | 通常40倍、事故電流大なら75〜300倍 |
| 確度階級 | 測定精度。0.1〜3.0級で数値が小さいほど高精度 | 精密計測0.5級/継電器1.0級/盤計測1.0〜3.0級 |
| 定格負担 | 二次側に接続できる計器・継電器・リード線の容量(VA) | 二次配線が長いと電線分のVAも加算 |
特に保護協調の観点では、過電流定数の設定がずれると、事故時に誤差が大きくなって継電器が適切に動かず、上位の過電流継電器が先に落ちて広範囲停電を招くおそれもあります。過電流継電器(OCR)と組み合わせる場合は、整定との協調を意識して選ぶ必要があります。

定格負担で見落としやすいのが二次配線の長さです。二次側の電線が長いと電線抵抗による消費VAが効いてくるため、定格負担が小さいCTだと誤差が出ます。二次配線が長くなる計画では、二次定格電流を小さく選ぶと配線長の影響を抑えられて有利です。実務だと、盤からCTまで距離があるケースほど、ここの計算を端折ると後で精度トラブルになりがちなので要注意です。
CT(変流器)とZCT(零相変流器)の違い
CTとZCTの違いは、結論「CTは各相の電流を測る計器・保護用、ZCTは地絡電流を検出する地絡保護用」という、目的と使い方の違いです。原理(鉄心とコイルで電流を変成する)は同じなので、見た目が似ていて混同されやすいところです。
最大の違いは、電線を何本通すかです。整理すると次の通りです。
| 項目 | CT(変流器) | ZCT(零相変流器) |
|---|---|---|
| 目的 | 各相の電流測定・過電流保護 | 地絡電流の検出・地絡保護 |
| 通す電線 | 測定したい相を1本貫通 | 三相を一括(単相は2本)で貫通 |
| 検出するもの | その相に流れる電流 | 三相の電流バランスの崩れ(零相電流) |
| 接続先 | 電流計・過電流継電器(OCR)など | 地絡継電器(GR)・地絡方向継電器(DGR) |
ZCTが三相を一括で通しているのがポイントです。健全な状態では三相の電流ベクトルが釣り合って二次側に電流は出ませんが、どこかで地絡が起きるとバランスが崩れ、その崩れぶん(零相電流)が二次側に現れます。これを地絡継電器が拾って遮断する、という仕組みです。ZCTの中身を詳しく知りたい人はこちらが参考になります。

ZCTの二次側につながる地絡方向継電器(DGR)まで含めて理解しておくと、受電点の地絡保護の流れが一本につながります。

僕の整理では、CTとZCTは「同じ仕組みで測る対象が違う兄弟」です。CTは相の電流、ZCTは漏れの電流、と覚えておくと現場で取り違えることがなくなります。
現場でCTを扱う・点検するときの注意点
ここからは、電気施工管理や電気工事士が現場でCTを結線・点検するときの実務的な注意点を整理します。結論から言うと「二次側を絶対に開放しない」、これが最優先のルールです。原理を知っているだけでなく、現場でどう守るかが事故防止に直結します。
なぜ二次側開放が厳禁なのか、メカニズムを噛み砕くとこうです。CTの二次電流は一次電流で決まるため、二次側の抵抗がどう変わっても流れようとする電流は一定です。ここで二次側を開放すると、回路に無限大に近い抵抗(空気の絶縁抵抗)が入った状態になり、電圧=電流×抵抗の関係から二次側に数千Vもの高電圧が発生します。結果として鉄心が飽和し、絶縁破壊でCTが壊れたり、作業者が感電したりする危険があります。
これを現場で防ぐための実務ポイントを挙げます。
- 短絡端子を使う:計器や継電器を外すときは、CT二次側を短絡端子で短絡してから外す。短絡しても二次電流は定格以上に増えないので安全
- 活線中は二次回路を切らない:一次に電流が流れている間は、二次側の端子や配線を緩めない・外さない
- 極性を合わせる:CT一次はK(電源側)・L(負荷側)、二次はk・lで表示される。極性を間違えると保護や計測が逆になるので結線時に必ず確認する
- 点検前の段取り:CTを外す・交換する作業は、原則として一次側を停電させてから行う
- 増締めと表示確認:端子の緩みは発熱・誤差・開放事故の元なので、定期点検で増締めとCT比表示の確認をする
特に短絡端子の扱いは、後輩に必ず伝えておきたいところです。試験端子台の短絡バーを閉じてから計器側を外す、という順番を体に入れておけば、うっかり開放事故はまず起きません。逆に、ここを知らずに活線で計器を外そうとするのが一番危ない動き方です。
現場目線で言えば、CTは「測る機器」であると同時に「扱い方を誤ると高電圧を出す機器」でもあります。二次開放の理由をメカニズムごと説明できるようになっておくと、自分の安全はもちろん、後輩の事故も防げるようになります。受変電設備全体での保護の流れは、関連する継電器の記事も読むと立体的に理解できます。

CT(変流器)に関するよくある質問
CTについて、現場でよく聞かれる質問をまとめておきます。
CTの二次側はなぜ開放してはいけないのですか。
二次電流は一次電流で決まるため、二次側を開放すると回路抵抗が極端に大きくなり、二次側に数千Vの高電圧が発生します。鉄心の飽和や絶縁破壊でCTが壊れ、感電の危険もあります。計器を外すときは必ず二次側を短絡してから行います。
CT比が「400/5」とはどういう意味ですか。
一次側400Aまでの電流を、二次側5Aに変換するという意味です。変流比は400÷5で80倍。一次に200Aが流れれば、二次には2.5Aが現れます。
計器用CTと保護用CTは何が違いますか。
計器用は定格範囲内での電流測定が目的で、過電流定数をあまり気にせず選べます。保護用は短絡事故の大電流を測って継電器を動かすため、過電流定数・過電流強度・確度階級・定格負担に注意して選定します。
補助CTとは何ですか。
すでにあるCTの二次電流を、さらに別の比率に変換したり、複数回路の電流を合成・分配したりするために使う小型のCTです。計器や継電器側の要求に二次電流を合わせ込むときなどに用います。
CT(変流器)に関する情報まとめ
- CTとは:大電流を5Aなど扱いやすい電流に変換する計器用変成器
- 仕組み:変圧器と同じ巻数比で電流を変換し、一次と二次の比をCT比と呼ぶ
- 種類:巻線型・貫通型・分割貫通型・棒型。現場では貫通型と既設用の分割型が主役
- 選定:計器用は負荷電流の1.5倍目安、保護用は過電流定数・過電流強度・確度階級・定格負担に注意
- ZCTとの違い:CTは各相1本を通し電流測定、ZCTは三相一括で通し地絡電流を検出
- 現場の注意点:二次側開放は厳禁。短絡端子で短絡してから計器を外し、極性K-L・k-lを合わせる
以上がCT(変流器)に関する情報のまとめです。
CTは原理こそ変圧器と同じシンプルな機器ですが、選定では用途に応じた指標の読み分けが要り、現場では二次側開放という独特の危険が伴います。原理・選定・実務の三つをセットで押さえておくと、受変電設備の計測と保護の全体像が一気に見えてきます。関連する受変電機器も合わせて確認してみてください。





