- 地絡継電器って結局なに?何のためにある?
- 記号やGR・51Gって何を指してるの?
- ZCTとはどう関係してるの?
- GRとDGRって何が違う?どっちを使う?
- 「もらい事故」ってよく聞くけど何が起きてるの?
- 整定値って0.2Aと0.4A、どっちにすればいい?
- 年次点検で継電器試験を任されたけど何を見ればいい?
- どのメーカーのを選べばいいの?
- 何年で更新すべき?古いキュービクルのGRはどうする?
- 波及事故を出したら自分の責任になる?防ぐには?
上記の様な悩みを解決します。
地絡継電器は、高圧受電設備(キュービクル)を扱う電気施工管理なら避けて通れない保護継電器です。「ZCTとセットで地絡を見るやつ」くらいの理解で止まっている人が多いんですが、GRとDGRの違いや整定値の決め方、年次点検での試験のやり方まで押さえておかないと、いざ任された時に手が止まります。今回は定義・記号・ZCTとの関係といった基礎を押さえた上で、現役の電気施工管理経験者目線で「DGRとの違いともらい事故」「整定値0.2/0.4Aの判断軸」「年次点検での試験手順」「波及事故を防ぐ設置の考え方」「更新の見極め」まで、現場で実際に判断に迷うポイントを網羅的に整理しました。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
地絡継電器とは?
地絡継電器とは、結論「高圧電路の地絡(漏電)を検出して、遮断器や開閉器を開放させる保護継電器」のことです。英語ではGround Relayで、現場では略して「GR(ジーアール)」と呼ぶのが一般的です。
地絡というのは、電気が本来流れるべきルート(電線)から外れて、大地に向かって漏れてしまう現象のこと。高圧の電路で地絡が起きると、感電・火災・機器の損傷につながるうえ、放置すれば近隣まで巻き込む大事故になります。そこで「地絡を検知したら即座に電気を切る」役割を担うのが地絡継電器です。地絡そのものの整理はこちらが詳しいです。

地絡継電器が置かれているのは、ビル・工場・商業施設などの高圧受電設備、つまりキュービクルの中や、電柱の上のPAS(柱上気中開閉器)の制御箱の中です。GR単体で電気を切れるわけではなく、後述するZCT(零相変流器)で地絡電流を拾い、GRが「これは地絡だ」と判断し、遮断器や開閉器に「開け」と指令を出す、という連携で動きます。
僕の感覚だと、地絡継電器は「キュービクルの番犬」と捉えると分かりやすいです。普段は何もせず静かにしているけど、地絡という不審者が侵入した瞬間に吠えて(検出して)、扉を閉める(遮断する)。新人の頃はZCTとGRとPASがごちゃごちゃに見えてましたが、「センサー(ZCT)・頭脳(GR)・手足(遮断器)」と役割で分けて覚えてから、単線結線図がスッと読めるようになりました。
地絡継電器の記号・制御器具番号(GR・51G)
地絡継電器を図面やシーケンスで表すときは、文字記号「GR」と、制御器具番号「51G」を使います。どちらも同じ地絡継電器を指していますが、出てくる場面が違うので両方覚えておくと現場で混乱しません。
| 表記 | 意味 | 主に使われる場面 |
|---|---|---|
| GR | Ground Relay(地絡継電器) | 会話・カタログ・銘板 |
| 51G | 制御器具番号(地絡過電流) | 単線結線図・シーケンス図 |
| 67 | 制御器具番号(地絡方向=DGR) | 単線結線図・シーケンス図 |
| 64 | 制御器具番号(地絡過電圧=OVGR) | 単線結線図・シーケンス図 |
制御器具番号は日本電機工業会(JEMA)が定めたもので、「51」が交流過電流継電器、それに地絡を意味する「G(Ground)」が付いて「51G」となります。方向性のある地絡方向継電器(DGR)は「67」、電圧で地絡を見る地絡過電圧継電器(OVGR)は「64」と、別の番号が割り当てられている点に注意してください。
単線結線図では、ZCTの記号(丸の中に横線)の近くに「51G」や「GR」と書かれた丸印として登場します。この丸印が遮断器(CBやPAS)の引き外しコイルにつながっている経路を追えると、「地絡を拾って何を切るのか」が読めるようになります。
僕としては、図面を読むときは番号の暗記より「Gが付いたら地絡系」「51は電流で見る、64は電圧で見る、67は方向も見る」という分類で押さえる方が実用的だと感じます。番号を丸暗記しても現場では結局「これ何を切る継電器?」を問われるので、役割とセットで覚えるのがおすすめです。
地絡継電器とZCT(零相変流器)の関係
地絡継電器は単独では地絡を検出できず、必ずZCT(零相変流器)とセットで機能します。役割分担はシンプルで、ZCTが「地絡電流を拾うセンサー」、GRが「拾った電流を判断する頭脳」です。
正常な状態では、三相の電流はベクトル的に打ち消し合ってゼロになります。ところが地絡が起きると、漏れた分だけバランスが崩れて「零相電流」が発生します。この零相電流をZCTが検出してGRに信号を送り、GRが整定値(しきい値)を超えたと判断したら遮断指令を出す、という流れです。ZCTの原理や結線はこちらで詳しく解説しています。

ZCTには高圧ケーブルを「貫通」させて取り付けますが、この貫通方向やシールドアース(接地線)の通し方を間違えると、GRが正しく動作しなかったり誤動作したりします。配線まわりの落とし穴はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、現場でGRがらみのトラブルが起きると、犯人はGR本体より「ZCTの結線・接地」のことが多いです。新設や更新でZCTを通したあとは、シールドアースの貫通方向まで含めて結線をダブルチェックする癖をつけておくと、試験で「動かない」「誤動作する」というハマりがかなり減ります。
地絡継電器(GR)と地絡方向継電器(DGR)の違い
GRとDGRの一番の違いは、結論「地絡電流の”向き”まで見るかどうか」です。GRは地絡電流の大きさだけを見ますが、DGRは零相電圧も使って「地絡が自分の構内側で起きたのか、構外(系統側)で起きたのか」を判別します。
この違いがそのまま「もらい事故をするかどうか」に直結します。
| 比較項目 | GR(地絡継電器) | DGR(地絡方向継電器) |
|---|---|---|
| 制御器具番号 | 51G | 67 |
| 検出に使う量 | 零相電流(ZCT)のみ | 零相電流+零相電圧(ZPD/ZVT) |
| 地絡の方向判別 | できない | できる |
| もらい事故 | する可能性あり | しない |
| 整定値の目安 | 0.2〜0.6A(ケーブル長で調整) | 0.2A程度(ケーブル長に影響されにくい) |
| 主な採用先 | 構内ケーブルが短い小規模設備 | ケーブルが長い設備・電力会社推奨 |
GRとDGRのより詳しい比較や整定値はこちらにまとめています。

「もらい事故」とは何が起きているのか
もらい事故とは、自分の構内に異常がないのに、近隣の他需要家や系統側で起きた地絡に反応して、自分の設備の開閉器が落ちてしまう現象のことです。GRは地絡電流の「大きさ」しか見ないので、構外の地絡で流れてきた零相電流を「自分のところの地絡だ」と勘違いして動作してしまうわけです。
DGRなら零相電圧で「向き」を判別できるので、構外の地絡では動作せず、もらい事故を防げます。このため近年は電力会社もDGR付きのPAS/UGSを推奨しており、新設・更新ではDGRが標準になりつつあります。
僕としては、既設のキュービクルでまだGR(無方向)が付いている現場を見たら、「ここは構外地絡で停電するリスクが残っている」と頭の隅に置いておくようにしています。更新提案のときに「DGRにしておくとご近所の地絡で止まらなくなりますよ」と一言添えられると、オーナーへの説明としても刺さりやすいです。
地絡継電器の種類(誘導形・静止形・ディジタル形)
地絡継電器は、内部構造の世代によって誘導形・静止形・ディジタル形の3種類に大きく分かれます。古い順に誘導形→静止形→ディジタル形で、新しいものほど多機能で、試験や設定がしやすくなっています。
- 誘導形:円板が回転する機械式の旧世代。動作が遅め・経年劣化しやすく、現在は更新対象
- 静止形:トランジスタ等の電子回路で構成。誘導形より高速・高精度で、長く主流だったタイプ
- ディジタル形:マイコン制御で多機能。GR・DGR・OVGRを1台に集約でき、整定や試験記録もデジタルで残せる
設置形態でも分け方があり、ZCT・GR・遮断機能を電柱上で一体化した「GR付PAS」と、キュービクル内に組み込む「盤内設置型」があります。GR付PASは引込柱で地絡を切るので波及事故防止に効きますが、停電作業や試験のたびに高所作業が絡む点は現場として押さえておきたいところです。キュービクル全体の構成はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、更新工事では今後ディジタル形(多機能リレー)に集約していく流れがはっきりしています。GR・DGR・OVGR・OCRを別々の継電器で持っていた設備を、1台のディジタルリレーにまとめると盤がスッキリして試験も楽になるので、更新提案の軸として覚えておくと話を組み立てやすいです。
地絡継電器の整定値(0.2A・0.4Aの判断)
地絡継電器の整定値は、結論「動作電流0.2A・動作時間0.2秒」が標準で、ここから現場条件に応じて0.4A・0.6Aへ上げて調整します。整定とは「どのくらいの地絡電流で、どのくらいの時間で動作させるか」のしきい値設定のことです。
| 整定電流 | 想定する場面 |
|---|---|
| 0.2A(標準) | 構内ケーブルが短く、対地静電容量が小さい一般的な設備 |
| 0.4A | 感度が良すぎて微弱な零相電流で不要動作する場合 |
| 0.6A | ケーブルが長く、平常時の充電電流(対地静電容量)が大きい設備 |
整定電流を上げる理由は、構内の高圧ケーブルが長いほど対地静電容量が大きく、地絡がなくても平常時から零相電流が流れるためです。これを「健全時の零相電流」と呼び、これより低い値で整定すると不要動作(誤動作)してしまいます。逆に上げすぎると本物の地絡を見逃すので、「健全時の零相電流より上、かつ保護に必要な感度は確保する」のバランスで決めます。
動作時間も重要で、電力会社の配電用変電所側の地絡保護と「保護協調」を取る必要があります。自分の設備が変電所より先に動作(より速く遮断)しないと、地絡時に変電所が先に落ちて広域停電=波及事故になります。整定電流の130%で0.1〜0.3秒、400%で0.1〜0.2秒あたりが目安です。保護協調の考え方はこちらで整理しています。

僕としては、整定値は「メーカー標準のまま触らない」のが基本で、変えるなら必ず根拠(健全時零相電流の実測値や電力会社の協調条件)を持つべきだと考えています。新人のうちに「なんとなく0.4Aにしておこう」と感覚で動かすのが一番危ない。標準0.2Aから外す時は、上司や保安協会と協調条件を確認してから動かすのが安全です。
地絡継電器の試験方法(年次点検)
地絡継電器の試験は、結論「動作電流試験・動作時間試験・連動試験の3つ」が基本で、年次点検(自家用電気工作物の定期点検)で実施します。継電器が整定値どおりに、決められた時間内に、ちゃんと遮断器まで動かせるかを確認する作業です。
- 動作電流試験:整定値どおりの電流で動作するか(0.2A整定なら0.2A前後で動くか)を確認
- 動作時間試験:整定値の電流を流したとき、規定の時間内に動作するかを確認
- 連動試験:継電器の動作で実際に遮断器・PASが開放するか(引き外しまで)を確認
試験には継電器試験器(GR・DGR用のリレーテスタ)を使い、ZCTの一次側または継電器の試験端子から模擬の地絡電流を入力します。遮断器を実際に動作させる連動試験では、引き外し用の電源(制御電源)が必要です。たとえば試験端子にAC100Vを印加し、継電器が動作して引き外し回路に電流が流れ、トリップする、という流れを確認します。
試験で「動作しない」「動作値がずれる」場合は、いきなり継電器不良と決めつけず、ZCTの結線・試験器の設定・制御電源の有無を順に切り分けます。前述のとおり原因がZCT側のことも多いからです。
僕の感覚だと、若手が年次点検でGR試験を任された時に一番怖いのは「連動試験で遮断器が落ちなかった」ケースです。これは継電器は動いているのに引き外し回路や制御電源側に問題があるパターンが多く、ここで慌てて整定をいじると本末転倒。試験前に「動作値・動作時間・連動」の3点を紙に書き出してから臨むと、結果の良し悪しを落ち着いて判断できます。
地絡継電器の設置基準(高圧受電設備・波及事故防止)
地絡継電器は、結論「受電電力の容量にかかわらず、高圧で受電する自家用電気工作物には実質的に必須」の保護装置です。電気事業者(電力会社)との保安協調の観点から、構内で地絡が起きた時に自分の設備側で確実に切れるよう、引込口にGR付PASやUGS(地中引込用の地絡継電装置付き開閉器)を設けるのが標準的な考え方です。
設置の目的は、自分の設備を守ることだけではなく「波及事故を防ぐこと」にあります。波及事故とは、自分の構内の地絡を自分で切れずに、電力会社の配電用変電所まで動作させてしまい、同じ配電線につながる近隣一帯を巻き込んで停電させてしまう事故のこと。これを起こすと社会的な影響も賠償も大きく、電気主任技術者・施工管理にとって最も避けたい事態です。高圧受電設備全体の構成はこちらが詳しいです。

そのため設置にあたっては、(1)引込口に方向性(DGR付)の開閉器を入れて構外地絡のもらい事故を防ぐ、(2)変電所側との保護協調が取れた整定にする、(3)年次点検で動作を確認し続ける、の3点をセットで成立させる必要があります。
僕としては、設置基準は「規定上付ければOK」で終わらせず、「波及事故を出さない設計になっているか」まで見るのが施工管理の役割だと感じます。GRが付いていても無方向でもらい事故のリスクが残っていたり、保護協調が取れていなかったりする既設は意外と多い。更新・改修のタイミングは、この弱点を解消する絶好の機会だと捉えています。
地絡継電器のメーカー
地絡継電器の主要メーカーは、結論「オムロン・三菱電機・大崎電気・エナジーサポート」あたりが中心で、試験器ではムサシインテックがよく使われます。どれを選んでも基本機能は満たしますが、設備の既設メーカーや多機能化の方針で選ぶのが現実的です。
- オムロン:デジタル形・静止形のGR/DGR/OVGRを幅広くラインナップ。盤メーカーでの採用が多い
- 三菱電機:MELPROシリーズ(MGR形地絡継電器・MDG形地絡方向継電器)。ZCTと組み合わせて使用
- 大崎電気・エナジーサポート:PAS・UGS一体型や引込用機器に強い
- ムサシインテック:GR・DGRリレーテスタ(試験器)の定番。年次点検現場で見かける
選定の実務では、保護継電器は単線結線図上で過電流継電器(OCR)や不足電圧継電器などと並ぶので、設備全体のシリーズを揃えると保守がしやすくなります。OCRとの関係はこちらが参考になります。

僕の感覚だと、メーカー選定は「単体の性能差」より「既設との互換と更新のしやすさ」で決まることが多いです。既設が三菱のMELPROなら更新も三菱で揃える、といった具合に。新規でゼロから選べる現場なら、GR・DGR・OVGRを1台に集約できるディジタル形を軸に、盤スペースと予算で機種を絞っていくのが組み立てやすいです。
地絡継電器の耐用年数・更新の見極め
地絡継電器の更新推奨時期は、結論「設置からおおむね15年前後」が一つの目安です。JEMA(日本電機工業会)も保護継電器の更新推奨時期を示しており、誘導形の旧型や、整定がアナログのものは更新対象として優先度が上がります。
ただし「15年経ったら即交換」という機械的な話ではなく、点検結果と組み合わせて判断します。更新を検討すべきサインは次のとおりです。
- 年次点検で動作値・動作時間が整定からずれてきた
- 誘導形(円板回転式)のままで、部品供給が終了している
- もらい事故・誤動作の履歴がある(無方向GRのまま)
- GR・DGR・OVGRが別々の継電器でばらけていて、保守が煩雑
これらに当てはまるなら、ディジタル形の多機能リレーへ更新するのが合理的です。1台にまとめれば盤がスッキリし、整定・試験記録もデジタルで残せるので、その後の年次点検も楽になります。
僕としては、更新の判断は「壊れてから替える」では遅いと考えています。保護継電器は普段動かないからこそ劣化に気づきにくく、いざ地絡が起きた時に動かないと波及事故に直結します。耐用年数を一つの区切りに、点検結果と部品供給状況をあわせて、計画的に更新提案していくのが施工管理としての安全側の立ち回りです。
地絡継電器を現場で扱う時の注意点
地絡継電器まわりで現場が一番ハマるのは、結論「ZCTの結線ミスによる不動作・誤動作」と「試験時の連動確認漏れ」の2つです。GR本体より、周辺の結線と試験段取りでトラブルが起きやすいということです。
注意点を整理すると次のようになります。
- ZCTの貫通方向・シールドアースの通し方を間違えると、地絡を拾えない/誤動作する
- 整定値を根拠なく動かすと、不要動作(誤遮断)か地絡見逃しのどちらかを招く
- 連動試験を省くと「継電器は動くが遮断器が落ちない」状態に気づけない
- 無方向GRのまま放置すると、構外地絡でもらい事故(不要停電)のリスクが残る
- 試験・整定変更は活線に近い高圧機器が相手なので、停電範囲と作業手順の事前確認が必須
これらはいずれも「知っていれば防げる」ものばかりです。特にZCTの結線と連動試験は、新設・更新・点検のどの場面でも効いてくるので、チェックリスト化しておくと安心です。
僕の感覚だと、地絡継電器は「付けて終わり」「試験して数値が出れば終わり」ではなく、「本当に地絡時に電気が切れる状態になっているか」までを通しで確認するのが肝です。継電器・ZCT・遮断器・制御電源を一本のつながりとして見られるようになると、年次点検でも更新提案でも、現場で信頼される動きができるようになります。
地絡継電器に関する情報まとめ
- 定義:高圧電路の地絡を検出して遮断器・開閉器を開放させる保護継電器。略称GR
- 記号・番号:文字記号GR、制御器具番号51G。DGRは67、OVGRは64
- ZCTとの関係:ZCTが零相電流を拾うセンサー、GRが判断する頭脳。セットで機能
- GRとDGRの違い:GRは電流の大きさのみ、DGRは方向も判別。DGRはもらい事故をしない
- もらい事故:構外地絡で自分の設備が不要動作する現象。DGR化で防止できる
- 種類:誘導形→静止形→ディジタル形。GR付PASと盤内設置型がある
- 整定値:標準は動作電流0.2A・動作時間0.2秒。ケーブルが長いと0.4〜0.6Aへ調整
- 保護協調:変電所より先に動作させないと波及事故になる。動作時間で協調を取る
- 試験:動作電流・動作時間・連動の3試験を年次点検で実施。引き外し電源が必要
- 設置基準:高圧受電では実質必須。引込口にDGR付PAS/UGSで波及事故を防ぐ
- メーカー:オムロン・三菱(MELPRO)・大崎・エナジーサポート、試験器はムサシインテック
- 更新:おおむね15年が目安。誘導形・もらい事故履歴・多機能集約のニーズで更新判断
以上が地絡継電器に関する情報のまとめです。
地絡継電器は「ZCTとセットで地絡を見るやつ」という理解で止まりがちですが、実際の現場で問われるのは「もらい事故を防ぐDGRになっているか」「整定と保護協調が取れているか」「年次点検で本当に遮断まで動くか」という運用の部分です。GR・ZCT・遮断器・制御電源を一本のつながりとして見て、波及事故を出さない状態を保ち続ける、ここまで意識できると、若手のうちから現場で信頼される電気施工管理になれます。更新のタイミングは、無方向GRや旧型を多機能ディジタルリレーに置き換えて弱点を解消する絶好の機会なので、計画的な提案につなげていきましょう。
地絡継電器に関するよくある質問
Q1:地絡継電器(GR)と漏電遮断器(ELB)は何が違うんですか?
役割は似ていますが、対象とする電圧と仕組みが違います。地絡継電器(GR)は高圧(6,600V等)の電路の地絡を、ZCTで検出して別置きの遮断器を動かす「検出役」です。一方、漏電遮断器(ELB)は低圧(100/200V)の電路で、検出と遮断を1台でこなす機器です。ざっくり「高圧の地絡はGR+遮断器、低圧の漏電はELB」と覚えると整理しやすいです。漏電遮断器の詳細はこちらが参考になります。

Q2:GRとDGR、結局どちらを選べばいいですか?
新設・更新なら基本はDGR(方向性)を選んでおけば間違いありません。DGRは構外地絡によるもらい事故をしないため、近隣の地絡で自分の設備が不要停電するリスクを避けられます。電力会社もDGR付きのPAS/UGSを推奨しています。既設が無方向GRの場合は、更新のタイミングでDGR化を提案するのがおすすめです。
Q3:整定値は0.2Aと0.4A、どちらにすべきですか?
迷ったら標準の0.2Aが基本です。0.4Aに上げるのは「健全時の零相電流が大きく、0.2Aだと不要動作してしまう場合」に限ります。構内の高圧ケーブルが長い設備ほど対地静電容量が大きく不要動作しやすいので、その時は実測値や電力会社の協調条件を確認したうえで0.4A・0.6Aへ上げます。根拠なく感覚で動かすのは避けるべきです。
Q4:「もらい事故」はどうやって防ぐんですか?
地絡方向継電器(DGR)を使うのが最も確実な対策です。GR(無方向)は地絡電流の大きさしか見ないため、構外で起きた地絡の電流に反応して不要動作してしまいます。DGRは零相電圧を併用して地絡の方向を判別できるので、構外地絡では動作せず、もらい事故を防げます。既設が無方向GRなら、DGRへの更新が抜本対策になります。
Q5:年次点検でGRの試験を任されました。何を確認すればいいですか?
動作電流試験・動作時間試験・連動試験の3つを確認します。整定値どおりの電流で動くか、規定時間内に動くか、そして実際に遮断器・PASまで開放するか(連動)です。特に連動試験は「継電器は動くのに遮断器が落ちない」というトラブルを発見できる重要な試験なので省略しないこと。試験前に動作値・動作時間・連動の3点を書き出してから臨むと落ち着いて判断できます。
Q6:制御器具番号の51G、67、64は何が違うんですか?
すべて地絡系の継電器ですが、検出方法が違います。51Gは地絡「過電流」継電器(GR)で電流で地絡を見ます。67は地絡「方向」継電器(DGR)で電流に加えて方向も判別します。64は地絡「過電圧」継電器(OVGR)で零相電圧の大きさで地絡を見ます。「Gが付けば地絡系」「51は電流、64は電圧、67は方向」と分類で覚えると現場で混乱しません。
Q7:地絡継電器は何年くらいで交換すべきですか?
JEMAの更新推奨を目安にすると、おおむね設置から15年前後が一つの区切りです。ただし年数だけでなく、年次点検で動作値がずれてきた、誘導形で部品供給が終了している、もらい事故の履歴がある、といったサインも合わせて判断します。保護継電器は普段動かないぶん劣化に気づきにくいので、「壊れてから替える」のではなく計画的に更新するのが安全側の考え方です。
Q8:地絡継電器が誤動作(不要動作)した場合、まず何を疑えばいいですか?
まずZCTの結線と接地、次に整定値、最後に継電器本体の順で切り分けます。誤動作はGR本体より、ZCTの貫通方向やシールドアースの通し方のミス、健全時の零相電流に対して整定値が低すぎる、といった周辺要因が原因のことが多いです。いきなり継電器交換や整定変更に走らず、結線・接地・整定値・健全時零相電流の実測を順に確認するのが、遠回りに見えて確実です。
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