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VT(計器用変圧器)とは?役割、結線、定格、選定、メーカーなど

  • VTってそもそも何の略?トランスとは違うの?
  • キュービクルの中でどこにあるの?
  • V結線とY結線って結局どっちが正解?
  • 定格負担とか誤差階級ってどう選ぶの?
  • CTやZCTと何が違うの?
  • メーカーや型番はどうやって選ぶ?

上記の様な悩みを解決します。

VT(Voltage Transformer)は、6,600V受電のキュービクルに必ず入っている計器・保護回路用の小型トランスです。「電圧を低く変換するためのトランス」と言ってしまえばその通りなのですが、配電を目的としたトランス(変圧器、Trans)と違って、計器や保護継電器に高圧の電圧情報を渡すためだけに置いてあるのが大きな特徴。電気施工管理として高圧受電設備に関わる人なら、図面記号から現物まで一通り押さえておきたい機器です。

なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。

それではいってみましょう!

目次

VT(計器用変圧器)とは?

VT(計器用変圧器)とは、結論「6,600Vなどの高圧電圧を110Vに降圧して、計器や保護継電器に電圧を伝えるための専用トランス」のことです。

英語ではVT(Voltage Transformer)またはPT(Potential Transformer)と表記されます。日本のJIS規格と一般実務では「VT」呼びが圧倒的に多いですが、メーカーカタログによっては「PT」が併記されていることもあります。

役割をひと言でまとめると、

  • 高圧電圧を 110V に変換
  • 変換した電圧を 電圧計・電力計・保護継電器 に供給
  • 高圧側と二次側を絶縁して現場の作業員と計器を保護

の3点です。配電目的のトランス(受変電設備のメイントランス)が「電力を運ぶ」のに対して、VTは「電圧の情報を運ぶ」と理解しておくと、用途の違いがイメージしやすいかなと思います。

メイン側の受変電設備全体の中での位置づけは以下に解説があります。

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VTの役割と現場での位置づけ

VTがキュービクル内のどこで何をしているかを、もう少し具体的に整理します。

VTの主な役割

  • 高圧側電圧の計測(電圧計表示)
  • 電力計(積算電力量計含む)への電圧入力
  • 保護継電器(OVR・UVR・GR・OCRなど)への電圧基準供給
  • 同期投入・並列運転時の位相確認
  • 過電圧・不足電圧の検出

キュービクル内での配置

VTは普通、キュービクル内の PF付VT(VT+限流ヒューズ) という形で組み込まれているケースが多いです。VT本体の一次側に必ず限流ヒューズを入れて、VT内部短絡時に高圧側を即座に切り離せるようにしています。

配置としては、

  • 受電盤の上段または奥に設置
  • 一次側に限流ヒューズ(PF)を直列接続
  • 二次側からCT・ZCTと並んで継電器盤・計器盤へ配線

という構造が一般的。VCB(真空遮断器)の二次側で、電圧計・電力計・保護継電器の根元に座っているイメージです。

VCB・LBS・PASなど他の高圧機器との関係はこちらで整理しています。

https://seko-kanri.com/vcb/
https://seko-kanri.com/lbs/

CT・ZCTとの違い

似たような小型計器用機器として、CT(変流器)・ZCT(零相変流器)があります。

機器 一次側 二次側 主な用途
VT 高圧電圧(6,600V等) 110V 電圧計・電力計・電圧系継電器
CT 高圧電流(定格1次電流) 5A 電流計・電力計・電流系継電器
ZCT 三相一括の零相電流 mA級 地絡継電器(GR)

VTは電圧、CTは電流、ZCTは漏電(零相)電流と覚えると整理しやすいです。3者ともキュービクル内で並んでいることが多く、図面では似た記号で描かれているので混同しやすいんですよね。

CT・ZCTそれぞれの詳細はこちら。

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VTの原理と結線方式

VTは構造的には「巻数比の小さなトランス」と思って差し支えありません。原理を押さえつつ、現場で実際に使う結線方式を整理します。

基本原理

巻数比 N₁:N₂ = 6,600:110 = 60:1 のトランスを、一次側を高圧に、二次側を計器に接続するだけ。理屈は通常のトランスと同じで、

  • 一次側電圧 V₁ × N₂/N₁ = 二次側電圧 V₂

の関係になります。一次が6,600VなのでV₂ = 110V、一次が3,300V系統なら55Vが標準です。

トランスの基本動作についてはこちらをどうぞ。

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二次側定格電圧 110V

なぜ110Vか?日本の計器用変成器JIS C 1731で「二次定格電圧は110Vを標準」と決められているからです。電圧計・電力計・保護継電器すべてが「定格110V入力」前提で作られているので、VT二次側もそれに合わせる、というわけです。

実際の二次端子には、

  • 105〜115V(定格110V±5V程度)
  • 接地相は0V

くらいの電圧が出ています。継電器盤側で電圧を測ったときに「110Vじゃない…」と焦ることがありますが、線間と相電圧で値が変わる(後述のV結線)のでそこは要注意。

結線方式:V結線とY結線

VTの結線方式は大きく分けて以下の2種類。

V結線(V-V結線)
– VTを 2台 使用
– 一次・二次とも線間で接続(ΔΔ的配線の片側欠如)
三相3線式の高圧受電で標準
– コスト・スペース節約

Y結線(YY結線、星型)
– VTを 3台 使用
– 一次・二次とも中性点を接地
– 各相→中性点で相電圧を取り出せる
GR(地絡継電器)の零相電圧を直接検出できる

実務上は、

用途 標準的な結線
一般的な6,600V受電キュービクル V結線(VT 2台)
大規模受電・地絡保護重視 Y結線(VT 3台、GVT付き)
構内特高受変電設備 Y結線が基本

中小規模のキュービクルだとV結線2台が大多数ですが、地絡保護を強化したい施設や規模が大きい受電所はY結線になります。Y結線にすればEVT(接地型計器用変圧器)として零相電圧V0を検出できるので、地絡継電器のバックアップに使えるんですよね。

地絡継電器の仕組みはこちら。

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VTの定格と選定方法

選定で押さえるポイントは「定格電圧」「定格負担」「誤差階級」の3つです。

定格電圧

JIS C 1731-2に従い、

  • 6,600V系統:6,600/110V
  • 3,300V系統:3,300/110V(または55V)
  • 22kV系統:22,000/110V(特高)

を選定します。難しく考える必要はなく、受電電圧に合わせて選ぶだけ。

定格負担(定格容量)

二次側に接続できる負荷(VA)のこと。電圧計・電力計・継電器を何個ぶら下げるかで決まります。

定格負担 想定用途
25VA 小規模キュービクル(電圧計+少数継電器)
50VA 標準的なキュービクル
100VA 計器・継電器が多い大規模設備
200VA 制御電源も兼ねる場合

選定時は二次側に繋がる全機器のVA合計の1.25倍程度を見込んで、余裕を持った定格を選ぶのが無難です。負担をオーバーするとVTが過熱して焼損リスクが上がります。

誤差階級

計測精度のクラス。JISでは0.1級・0.2級・0.5級・1級・3級などが規定されています。

  • 0.5級・1級:通常のキュービクル受電(電圧計・電力計・保護継電器用)
  • 0.2級・0.1級:電力会社向け取引用計器、精密測定
  • 3級:保護継電器専用(精度より動作確実性重視)

中小規模の自家用電気工作物なら1級でほぼ事足ります。電力会社引き込みの取引用計器(タリフメーター)は精度要求が厳しいので0.2級以上が指定されることもありますが、これは電力会社側の選定。

VTの主要メーカー

国内の主なVTメーカーを把握しておくと、現場で交換部品を探すときにスムーズです。

国内主要メーカー(順不同)

  • 三菱電機:受変電キュービクル全体のラインナップが豊富
  • 日東工業:中小キュービクル向けに強い
  • 戸上電機製作所:高圧受電機器全般のメーカー
  • エナジーサポート:PAS・LBSとセットで強い
  • 東光東芝メーターシステムズ:電力計用VT
  • 大崎電気工業:取引用計器対応VT

実際の現場では、キュービクル製造メーカー(三菱・日東・河村電器・日立など)のキュービクルに、VT単体は戸上電機やエナジーサポート製が組み込まれているパターンをよく見ます。VT単体で交換するケースは稀で、キュービクル更新のタイミングでまとめて入れ替わることが多いです。

過去に商業施設キュービクルの更新工事で、既設VT(戸上電機の30年もの)の同型を新設盤に組み込もうとしたところ廃番、結局2VAの違う互換品を入れて電力会社協議にかけた、という地味に手戻り工数の出た案件がありました。VTは20年以上現役で動き続けるので、改修時はキュービクル本体より先にVT/CT周りの互換確認を済ませておくと、その後の盤組み立てがスムーズに進むんですよね。

VTに関する注意点

最後に施工管理として押さえておきたい注意点を4つ。

VTの注意点

  • 二次側を絶対に短絡させない
  • PFの溶断状態を必ず点検対象に入れる
  • 接地は「二次側どこか1相」を必ず接地
  • 改修時は型番互換確認を最優先

二次側短絡は絶対NG

VT二次側を短絡させると一次側に過大電流が流れて、VTが焼損するだけでなく、最悪の場合は限流ヒューズが切れる前に高圧母線側へ波及する可能性があります。年次点検中に二次側端子台に工具を落とすなどの単純ミスでも事故になり得るので、作業中は必ず二次側端子をテーピングして短絡防止しておくのが鉄則。

これはCT二次側を絶対に「開放してはいけない」(CTは開放禁止)のとで、VTは「短絡してはいけない」が原則。CTとVTで二次側の禁止事項が真逆なので、混同しないように整理しておくと事故予防になります。

PF(限流ヒューズ)の点検

VTの一次側には必ず限流ヒューズ(PF)が入っています。年次点検では「PF溶断状態」を必ず目視確認項目に入れるべき。PFが溶断していると電圧計・電力計が0Vを示したり、保護継電器が動作不良を起こすので、継電器試験前の必須チェック項目です。

継電器試験を含む年次点検全体の流れはこちら。

接地(B種接地)

VT二次側は計器を保護する観点から、二次側の1相を必ず接地します。接地しないと、一次側との絶縁劣化時に二次側計器側へ高圧が回り込んで、人身・機器事故につながります。

接地工事の詳細はこちら。

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改修時の互換確認

築20年超のキュービクルでVT交換が必要になった場合、同型番が廃番で互換品選定が必要なケースがほとんどです。

  • 定格電圧(6,600/110V等)
  • 結線方式(V/Y)
  • 定格負担(VA)
  • 取付寸法(盤内スペース)
  • 一次側端子位置・配線の取り回し

の5項目で互換性を確認。寸法や端子位置が変わると、ブッシングや配線をやり直すことになり、現場改修の難易度が一気に上がります。

VT(計器用変圧器)に関する情報まとめ

  • VTとは:高圧電圧を110Vに降圧して計器・保護継電器に渡す専用トランス
  • 役割:電圧計・電力計・保護継電器(OVR/UVR等)への電圧入力
  • CTとの違い:VTは電圧、CTは電流、ZCTは零相電流を検出
  • 結線方式:V結線(2台、標準)/Y結線(3台、地絡保護重視)
  • 定格負担:二次側機器VA合計×1.25程度で選定(標準25〜100VA)
  • 誤差階級:通常は1級、取引用は0.2級以上
  • 注意点:二次側短絡禁止、PF点検必須、二次側1相接地、改修時の互換確認

以上がVT(計器用変圧器)に関する情報のまとめです。

VTは「キュービクルの中でひっそり動いている脇役」に見えますが、ここがコケると電圧計・電力計・保護継電器すべてが死ぬので、実は受変電設備全体の 計測と保護の根幹を支えている重要機器なんですよね。年次点検立会いに同席するときは、VTのPF状態と接地の確認を必ず一緒にチェックしてもらうのがおすすめです。

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