- 孔径って何の直径?
- 読み方が分からない
- ボルトの孔径ってどう決まる?
- 軸径と何が違う?
- 配管の孔径はどう計算する?
- 施工で気をつけることは?
上記の様な悩みを解決します。
孔径という言葉は鉄骨図・配管図・配筋図と、建築のあちこちで目にしますが、いざ「ボルトの孔径ってボルトの直径と同じ?」と聞かれると答えに詰まるものです。実は 「孔径」と「軸径」は別物 で、その差(クリアランス)こそが接合部の挙動を決める鍵になります。今回は施工管理の視点で、孔径の基本を整理してみます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
孔径とは?意味と読み方
孔径とは、結論「穴(孔)の直径のこと」です。
読み方は「こうけい」。「孔(あな)」の直径という意味で、ボルト穴・配管貫通孔・鉄筋スリーブなど、建築のいたるところで使われる用語です。
ポイントは「軸径」と「孔径」の違い
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 軸径(じくけい) | 軸の直径。ボルトなら ボルト本体の直径 |
| 孔径(こうけい) | 穴の直径。ボルトを差し込む 板側の穴の直径 |
ボルト径 M16 と書かれていれば「軸径16mm」ですが、ボルトを通す板側の孔は16mmぴったりではなく、少し大きめ(18mmや20mm) に開けます。この差が孔径と軸径のクリアランス(遊び)です。
軸径と孔径の差は 建築鉄骨で1.5〜2.0mm程度、土木や橋梁で 2.0〜3.0mm 程度。これは「ボルトを通しやすくする工作上の余裕」と「微妙な工作誤差を吸収するための余裕」の2つを兼ねた値です。
ボルト孔径のJIS規格
高力ボルト・普通ボルトの孔径はJISで標準値が決まっています。
高力ボルト用孔径(JIS B 1186、鋼構造設計基準)
| ボルト径 | 孔径(標準) | 孔径(大きめ) |
|---|---|---|
| M16 | 18 mm | 20 mm |
| M20 | 22 mm | 24 mm |
| M22 | 24 mm | 26 mm |
| M24 | 26 mm | 28 mm |
| M27 | 30 mm | 33 mm |
| M30 | 33 mm | 36 mm |
つまり 「軸径 + 2mm」が建築鉄骨の標準孔径。これを「標準孔(standard hole)」と呼びます。
孔径が大きいケース(大径孔・スロット孔)
孔径が大きいケースは、大径孔(oversized hole=標準孔より+2〜4mm大きい)、短スロット孔(軸径+2mm×長さ方向に拡大)、長スロット孔(軸径+2mm×さらに長く拡大)、というあたり。
通常は標準孔を使いますが、現場合わせの調整余地が必要な箇所や、温度変化による伸縮を吸収させたい箇所では大径孔やスロット孔が選ばれます。
摩擦接合と支圧接合の違いと孔径
摩擦接合は高力ボルトで母材を強く締め付け摩擦力で力を伝達するもので、標準孔でもクリアランス分のすべりは許容される(最大1〜2mm程度)。支圧接合はボルト軸の支圧で力を伝達するもので、孔径と軸径のクリアランスを最小化する(特に高耐力支圧接合では精密孔)、という違い。
つまり摩擦接合では孔径のクリアランスは「組み立てやすさ確保」が主目的、支圧接合では「クリアランスをできるだけ詰めて孔のずれを抑える」のが主目的、という違いがあります。
ボルトの基本はこちら。

高力ボルトの規格 S10T も参考に。

配管・電線管の貫通孔径
建築のスラブ・梁・壁に空ける配管用の貫通孔も「孔径」と呼びます。
主な配管の貫通孔径の目安
| 配管 | 配管外径 | 一般的な孔径(スリーブ径) |
|---|---|---|
| 給水管(VP25) | 32 mm | 50〜65 mm |
| 給湯管(保温込み) | 40 mm | 75〜100 mm |
| 排水管(VU100) | 114 mm | 150〜200 mm |
| 通気管 | 50 mm | 75 mm |
| FEP管(電線管) | 30〜80 mm | 配管径+20〜40 mm |
| ケーブルラック貫通 | ラック幅 + 100 mm | 開口部対応 |
「配管外径よりひとまわり大きく」が孔径の基本ルール。配管外周には保温材・耐火カバーが付くこともあるので、それを含めた寸法で孔を空けます。
スラブ・梁貫通スリーブの注意
スラブ・梁貫通スリーブの注意は、RC梁の貫通孔は梁せいの1/3以下で配置位置にも制約あり(応力集中箇所を避ける)、スリーブ周辺には補強筋が必要(建築学会の標準仕様書)、防火区画貫通は耐火認定された貫通処理材で塞ぐ、というあたり。
スリーブと補強筋のルールはこちら。

防火区画貫通処理の話はこちら。

鉄筋とスリーブの孔径
配筋まわりにも「孔径」が登場します。
鉄筋継手のスリーブ
機械式継手(モルタル充填継手やネジ節継手)に使うスリーブの内径も「孔径」と呼ばれることがあります。D19主筋に対するモルタル充填継手スリーブは内径30mm前後、D22主筋に対する継手スリーブは内径35mm前後、というあたり。
鉄筋を差し込んだ際の遊びをグラウト材で埋めるイメージです。
鉄筋継手の基本はこちら。

ベースプレートのアンカー孔
鉄骨柱脚のベースプレートにあるアンカーボルト用の孔も、孔径が重要です。アンカーボルトM27(ベースパック等)で孔径33〜40mm、大径孔として施工誤差を吸収(±25mmまで対応するベースプレートもある)、というあたり。
ベースパックの孔径の話はこちら。

孔径に関する施工管理の注意点
最後に、施工管理として押さえておきたい注意点を整理します。
工場ファブでの孔加工
工場ファブでの孔加工は、高力ボルト孔はドリル加工が基本(パンチング加工は精度が落ちる)、板厚・孔径ごとの工作許容差はJISで規定(孔径±0.5mm程度)、孔の食い違い(複数板の孔位置ずれ)は1.0〜1.5mm以内が一般的な許容値、というあたり。
現場合わせの孔あけ
現場合わせの孔あけは、既存スラブへの後施工孔はコアドリルで正確に穿孔、鉄筋探査機で配筋位置を確認してから穿孔(主筋切断は厳禁)、孔径が大きいほど周辺コンクリートに負担で設計者承認を取る、というあたり。
支圧接合・大張力ボルトの孔精度
支圧接合・大張力ボルトの孔精度は、高耐力支圧接合では孔径+0.5mm以下のリーマー仕上げが必要、摩擦面処理(ショットブラスト・自然錆び)と組み合わせる、孔の縁の毛羽立ち(バリ)はサンダーで除去、というあたり。
ミルシート・QC記録での確認
ミルシート・QC記録での確認は、鉄骨工場ではボルト孔の位置・直径をマーキング検査で記録、受入検査時に孔径ノギスで現品確認、孔位置ずれがあった場合の修正方法(孔の拡大か添板補強か)を事前協議、というあたり。
電気施工管理として絡んだ例では、ケーブルラックの支持金物を鉄骨梁にM16ボルトで固定する際、ファブ加工された孔径18mmと支持金物側の長穴22mmが合わずに、現場で支持金物側の孔を20mm長穴に拡大したケースがありました。事前の孔径打合せがあれば一発で済んだので、図面の段階で「相手側の板の孔径と自分側の孔径」を必ず照合しておくと工程ロスを防げます。
孔径に関する情報まとめ
- 孔径とは:穴(孔)の直径のこと。読み方「こうけい」
- 軸径との違い:軸径はボルト本体の直径、孔径は板側の穴の直径
- 高力ボルト孔径の標準:軸径 + 2mm(M16なら18mm、M20なら22mm 等)
- 大径孔・スロット孔:施工誤差吸収や温度変化対応で使用
- 配管貫通孔:配管外径+20〜100mm(保温・耐火カバー含む)
- スリーブ補強:RC梁貫通孔はせいの1/3以下、補強筋が必要
- 施工注意:ドリル加工が基本、孔位置の食い違い1.5mm以内、現場合わせは設計承認
以上が孔径に関する情報のまとめです。
孔径は単なる「穴の直径」というシンプルな概念ですが、軸径との差(クリアランス)の意味、用途別の標準値、施工精度の許容範囲などを押さえると、図面の読み方と現場での判断が一段深まります。「孔径=軸径+2mm」は鉄骨ボルト接合の基本ルールなので、必ず頭に入れておきましょう。一通り孔径の基礎知識は理解できたと思います。
合わせて、関連するボルト・鉄骨・配管の知識もチェックしておきましょう。









