- 建築構造ってなに?
- 木造・S造・RC造・SRC造って何が違うの?
- どの建物にどの構造が使われているの?
- コストや耐用年数はどれくらい違う?
- 「構造形式」と「構造種別」って同じこと?
- 設計の段階でどうやって構造が決まるの?
上記の様な悩みを解決します。
建築構造は「建物の骨組みをどんな材料で、どんな仕組みで支えるか」の総称で、木造・S造・RC造・SRC造という主要4種類が中心になります。マンション・戸建て・オフィス・工場・倉庫・病院、すべての建物はこの4種類のどれかに分類されると言っていいくらい。施工管理として現場に出ると、「構造種別」と「構造形式」が組み合わさってRC造ラーメン構造やS造ブレース構造といった呼び方になっていきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
建築構造とは?
建築構造とは、結論「建物の骨組みを、どんな材料で、どんな仕組みで組み立てているかの分類」のことです。
英語ではBuilding Structure。建物が地震・台風・雪・自重などの荷重に耐えるための仕組みそのものを指します。
→ ざっくり、「建物の骨組みを材料×組み方で分類したもの」が建築構造、というイメージです。
構造種別と構造形式
建築構造を語るときは2つの軸があります。構造種別が骨組みに何の材料を使うか(木・鉄骨・コンクリートなど)、構造形式が骨組みをどう組み立てて荷重を支えるか(ラーメン・壁式・ブレースなど)、という関係。
この2つが組み合わさって、RC造ラーメン構造(オフィスビル・マンションの定番)、RC造壁式構造(5階建て以下のマンション)、S造ブレース構造(工場・倉庫・体育館)、S造ラーメン構造(事務所ビル・商業施設)、木造軸組構造(戸建て住宅)、SRC造ラーメン構造(高層マンション・大規模ビル)、といった呼び名になっていきます。
一般に「建築構造とは?」と検索したときに知りたいのは前者の構造種別(木造・S造・RC造・SRC造)の話なので、本記事はそこを中心に整理していきます。構造形式(ラーメン・壁式・ブレース)の方を詳しく知りたい場合は、こちらをあわせてどうぞ。

骨組みそのもの(柱・梁・壁・スラブ)の整理は、構造体の記事を参考にしてください。

建築構造の主要な4種類
日本国内の建物で実務上ほぼすべてをカバーする主要4構造を整理します。
| 構造種別 | 主材料 | 主な用途 | 法定耐用年数(事務所) |
|---|---|---|---|
| 木造(W造) | 木材 | 戸建て住宅、低層アパート | 24年 |
| 鉄骨造(S造) | 鋼材 | 工場、倉庫、商業施設、中層オフィス | 38年(重量鉄骨) |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | コンクリート+鉄筋 | マンション、オフィス、学校、病院 | 50年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 鋼材+コンクリート+鉄筋 | 高層マンション、大規模ビル | 50年 |
※ 法定耐用年数は減価償却用の数値(国税庁告示)。実際の物理的寿命とは別物です。
木造とS造
木造(W造/Wood Construction)は、柱・梁・土台などを木材でつくる構造。日本では戸建て住宅の8割以上が木造で、最も身近な建築構造です。「軸組構法(在来工法)」と「枠組壁工法(2×4)」に大別されます。メリットは軽量で基礎がシンプル・コストが安い・木の調湿効果、デメリットは耐火性で劣る・虫害・腐朽のリスク・長スパンに不向き、というあたり。
鉄骨造(S造/Steel Construction)は、柱・梁を鋼材でつくる構造。重量鉄骨造(H鋼など)と軽量鉄骨造(厚さ6mm未満の鋼材)に分かれます。メリットは強度が高くスパンを大きく取れる・施工が比較的速い・解体も容易、デメリットは耐火被覆が必要・防錆対策が必要・振動が伝わりやすい、というところ。S造の特徴と工事の流れは、こちらの記事もあわせてどうぞ。

RC造とSRC造
鉄筋コンクリート造(RC造/Reinforced Concrete)は、コンクリートの中に鉄筋を組み込んだ構造。圧縮に強いコンクリートと引張に強い鉄筋を組み合わせることで、両方向の力に強くなっています。メリットは耐火性・遮音性が高い・設計自由度が高い・長寿命、デメリットは自重が大きい・工期が長い・解体コストが高い、というあたり。RC造の詳しい工事の流れはこちらをどうぞ。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造/Steel Reinforced Concrete)は、RC造の中にさらに鉄骨を入れた構造。RC造の耐火性・遮音性に、S造の靱性(粘り強さ)を加えた構造で、20階以上の高層建築で多く採用されます。メリットは超高層対応・耐震性・耐火性ともに最高水準、デメリットは施工が最も複雑・コストも工期も最大、というところ。SRC造の特徴はこちらでまとめています。

鉄骨と鉄筋の違いがあやふやだという方は、こちらの記事も役に立ちます。

建築構造を選ぶときの4つの判断軸
施主・設計者・施工者が構造を決めるときに見ているポイントを整理します。
規模・用途
規模(階数・スパン)による選定は、1〜2階・スパン狭いで木造でOK、3〜5階・スパン中でS造または低層RC造、6〜15階でRC造ラーメン構造の典型、15階超でSRC造または超高層S造、というあたり。
用途による選定は、住宅系が木造(戸建)/RC造(マンション)、オフィス系がS造ラーメンまたはRC造ラーメン、工場・倉庫がS造ブレース構造(大スパンと改修自由度が必要)、学校・病院がRC造(耐火性・遮音性重視)、というところ。
予算・工期
予算面の平米単価のざっくり目安(あくまで一般的な相場感で、立地・仕様で大きく動きます)は、木造で60〜80万円/坪、軽量鉄骨で65〜85万円/坪、重量鉄骨で80〜100万円/坪、RC造で90〜120万円/坪、SRC造で120万円〜/坪、というあたり。
工期は延床1,000㎡規模の建物のざっくり比較で、木造が3〜5ヶ月、S造が6〜10ヶ月、RC造が12〜15ヶ月、SRC造が15〜18ヶ月、というところ。
→ 「短工期で建てたい商業施設はS造」「長寿命で資産価値を重視するマンションはRC造」というように、構造選定はかなり明確に用途と予算の制約で決まっていく世界です。
建築構造ごとのメリット・デメリット比較
横並びで整理しておきます。
| 評価項目 | 木造 | S造 | RC造 | SRC造 |
|---|---|---|---|---|
| 耐震性 | △〜○ | ○ | ◎ | ◎ |
| 耐火性 | △ | ○(耐火被覆要) | ◎ | ◎ |
| 遮音性 | △ | △ | ◎ | ◎ |
| 設計自由度 | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 工期 | ◎(短い) | ○ | △(長い) | ×(最長) |
| コスト | ◎(安い) | ○ | △ | ×(高い) |
| 重量 | ◎(軽い) | ○ | △(重い) | ×(最重) |
| メンテナンス | △ | △ | ○ | ○ |
→ 「全部◎の構造は存在しない」というのが構造選定の核心です。例えばコスト◎の木造は耐火性で△が付くし、耐震性◎のSRC造はコストで×が付く。「何を優先するか」を決めて、それに合った構造を選ぶのが設計の現場ですね。
地震に対する強さは構造種別だけでなく、構造形式(ラーメン・壁式)や耐震壁の入れ方でも大きく変わります。耐震壁の役割についてはこちらをどうぞ。

建築構造に関する施工管理の現場感
施工管理として4構造それぞれの現場に入ったときに感じる「仕事の進み方の違い」を整理しておきます。
木造現場とS造現場
木造現場は、大工さんが主役で1棟あたりの工期が短く現場が次々入れ替わる、雨養生(ブルーシート)が常に課題、電気・設備は配線スリーブを土台貫通でしっかり仕込む、というあたり。
S造現場は、鉄骨建方の日(大型クレーンで柱梁を吊る日)が最大の山場、鉄骨建方後はデッキプレート敷き→配筋→打設の流れ、電気は鉄骨梁にバンドで配管支持して防火区画貫通処理が頻発、というところ。
RC造現場とSRC造現場
RC造現場は、「配筋→型枠→打設→脱型」のサイクルを各階で繰り返す、配筋検査・打設前検査・打設立会いが施工管理の主タスク、電気は躯体打込み配管(PF管・CD管)の位置出しが命、というあたり。
SRC造現場は、鉄骨建方とRC配筋が同時並行で進むため工程管理が最も難しい、鉄骨と鉄筋の取り合い(ダイヤフラム周り)の納まりが複雑、工期が長いので若手の施工管理が成長する現場としては最高、というところ。
[talk words=’僕は電気施工管理時代、SRC造の高層マンション現場を半年だけ経験したことがあります。鉄骨柱の柱貫通スリーブの位置出しを電気・設備で取り合いした記憶があって、ダイヤフラム位置と給排水竪管がぶつからないかを毎週の取り合い会議で詰めていきましたね。木造現場の身軽さに慣れていた目には、SRC造の納まりは別世界でした。’ name=”” avatarimg=”https://seko-kanri.com/wp-content/uploads/2020/02/c-run.png” avatarsize=70 avatarbdcolor=#d0d0d0 avatarbdwidth=1 bdcolor=#d0d0d0]
それぞれの構造で電気・設備配線がどう絡むかは、施工管理の出発点として「自分の専門外の構造種別の現場を1度は経験してみる」くらいの意識で良いと思います。打込み配管の話はこちらの記事でも触れています。

建築構造に関する情報まとめ
- 建築構造とは:建物の骨組みを材料と仕組みで分類したもの
- 主要4種類:木造(W造)/鉄骨造(S造)/鉄筋コンクリート造(RC造)/鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
- 構造種別と構造形式の違い:種別は材料、形式は骨組みの組み方
- 主な選定軸:規模・用途・予算・工期の4点
- 代表的な使い分け:戸建ては木造、マンションはRC造、工場はS造、超高層はSRC造
- メリット・デメリット:「全部◎の構造は存在しない」、優先項目で選ぶ
- 施工現場の違い:1棟あたりの工期、電気・設備の取り合いの複雑さに大きな差
以上が建築構造に関する情報のまとめです。
一通り建築構造の基礎知識は理解できたかなと思います。「何を優先するか決めてから構造を選ぶ」という発想を持っておけば、建物を見ただけで「あ、これはRC造ラーメンだから内装解体が大変だな」「S造ブレースだから将来の改修自由度は高いな」といった現場感が育ってきますよ。
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