- VCSってなに?
- VCBや電磁接触器と何が違うの?
- 記号と動作原理を知りたい
- どこで使われている設備?
- 真空である必要はあるの?
- 選定するときに見るべき値は?
上記の様な悩みを解決します。
「VCS」は、Vacuum Contactor(真空電磁接触器)の頭文字で、高圧の電動機やコンデンサを頻繁に開閉するために使われる電気機器です。「VCB(真空遮断器)と似て非なるもの」と言われ、現場でも混同されやすい機器なので、本記事で違いと役割を整理しておきます。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
VCSとは?
VCSとは、結論「真空中で接点を開閉する電磁接触器(マグネットスイッチ)。高圧(3.3〜6.6kV)の電動機やコンデンサを頻繁に開閉する用途に使う」機器のことです。
正式名はVacuum Contactor(真空コンタクタ)またはVacuum Magnetic Contactor。日本では「真空電磁接触器」または「VMC(Vacuum Magnetic Contactor)」と呼ばれることもあります。VCSとVMCは実質同じ機器を指します。
役割を一言で言うと、
- 高圧電路の頻繁な ON/OFF 操作を真空中で行う機器
です。電動機の起動・停止、コンデンサの投入・遮断などで活躍します。
電磁接触器の低圧版(一般的なマグネットスイッチ)はこちらで整理しています。

VCBや電磁開閉器との違い
ここがVCSの最大の論点。受変電設備の世界には似たような名前の機器が並んでいて、混同しがちです。整理しておきます。
VCS vs VCB(真空遮断器)
| 項目 | VCS(真空電磁接触器) | VCB(真空遮断器) |
|---|---|---|
| 主目的 | 通電状態のON/OFF | 短絡電流の遮断 |
| 開閉頻度 | 高頻度(年間数千〜数万回) | 低頻度(年間数回) |
| 遮断容量 | 中(短絡遮断は限定的) | 大(数十kA〜) |
| 駆動方式 | 電磁石駆動 | バネ蓄勢+電磁トリップ |
| 寿命(機械寿命) | 25万〜100万回 | 1万〜数万回 |
| 用途 | 電動機・コンデンサの頻繁制御 | 受電点の遮断・保護 |
ポイントは「VCBは事故を切る、VCSは普段から切る」という根本的な目的の違いです。
VCBの解説はこちら。

VCS vs LBS(高圧交流負荷開閉器)
| 項目 | VCS | LBS |
|---|---|---|
| 開閉媒体 | 真空 | 空気+消弧装置 |
| 開閉頻度 | 高頻度 | 中(年間数十〜数百回) |
| 寿命 | 長い | 中 |
| 設置場所 | キュービクル内のMCC | 受電盤内 |
LBS は受電点の手動開閉用、VCSは制御盤内で電動機を頻繁に動かす用、と用途が違います。
LBSの解説はこちら。

VCS vs 高圧電磁開閉器(CB+OCR)
「高圧電磁開閉器」と呼ばれる組合せ機器の中身がVCS+保護リレーになっていることもあります。VCSは接触器(contactor)であって遮断器(breaker)ではないため、過電流保護は外付けOCRと組み合わせて使うのが一般的です。
過電流継電器(OCR)はこちら。

構造と動作原理
VCSの中身を見ると、構造そのものはシンプルです。
真空バルブ(VI:Vacuum Interrupter)
- 真空中で接点を開閉する密閉容器
- 真空中ではアーク放電がほぼ発生しない
- 接点磨耗が少なく、寿命が長い
真空でアークが小さい理由は、気体分子がほぼないので電離するものがないから。100kPa前後の大気中で開閉する電磁接触器に比べて、接点寿命が桁違いに長くなります。
アーク放電の話はこちら。

電磁石コイル
- 制御電源(DC100V/AC200Vなど)でコイルを励磁
- 励磁中:接点ON(投入状態)
- 制御電源OFF:接点OFF(開放状態)
「電源を入れている間だけ通電する」のが電磁接触器の本質。電源が落ちれば自動的に開放するため、フェイルセーフ動作になります。
機械的構造
真空バルブと電磁石コイルを直結し、コイル動作で接点を駆動する仕組み。コンパクトで、奥行きの短いキュービクルにも収まります。
用途・選定
VCSが使われる代表的な場面は次の3つ。
高圧電動機の起動・停止
工場・ビルの大型ポンプ・コンプレッサ・空調機を駆動する高圧電動機(200〜2,000kW級)の制御に使われます。電動機は1日に何度も起動・停止することが多く、年間1,000〜10,000回の開閉に耐える必要があるため、寿命の長いVCSが選ばれます。
進相コンデンサの開閉
力率改善用のコンデンサバンクを、負荷に応じて投入・解放するための機器。コンデンサは突入電流(インラッシュ)が大きく、頻繁な開閉に耐えられる機器が必要なため、VCSが選ばれます。
進相コンデンサ関連はこちら。

高圧受電設備の負荷側
キュービクル内の電動機制御盤(MCC)に組み込まれ、各電動機の起動回路を構成します。
選定時に見る項目
- 定格電圧:3.6kV/7.2kV
- 定格電流:200A/400A/800Aなど
- 定格遮断容量:数kA程度(VCBより小さい)
- 機械寿命:25万回/50万回/100万回
- 電気寿命:定格電流での開閉回数
- コイル電源:DC100V/AC100V/AC200V
メーカー(三菱・東芝・富士電機)のカタログには上記が記載されているので、設計で選定→施工管理で機種確認、という流れになります。
施工管理上の留意点
VCSを設置・運用するうえで、現場で押さえておくべき項目です。
真空バルブの真空度確認
VCSの心臓部である真空バルブは、経年で真空度が低下することがあります。真空度が下がるとアーク放電が大きくなり、接点が早く損傷します。
定期点検(年1回)では、
- 真空度測定試験(メガ印加でリーク確認)
- 接触抵抗測定(接点劣化の確認)
- 動作試験(投入・開放の動作確認)
を実施するのが標準です。
制御回路との連動
VCSは単体では保護機能を持たないため、
- 過電流保護:OCRと組み合わせ
- 不足電圧保護:UVRと組み合わせ
- 遮断時のインターロック:VCBの遮断後にVCSを動作させる順序
など、制御回路との組み合わせで安全性を確保します。
UVR(不足電圧継電器)の解説はこちら。

コンデンサ用VCSの突入電流対策
進相コンデンサの開閉に使うVCSは、突入電流が定格電流の100倍以上になることがあります。コンデンサ専用のVCSを選定するか、直列リアクトルを入れて突入電流を抑制するのが普通です。
リアクタンスの話はこちら。

設置場所の環境
- 温度:−10〜+40℃が標準。高温環境は寿命を縮める
- 湿度:85%以下。結露を避ける
- 振動:機械寿命に影響するため、振動の多い場所は避ける
故障時の交換
真空バルブが寿命を迎えたら、バルブ単体の交換ができる機種もあれば、機器全体の交換が必要な機種もあります。竣工時に予備品の有無と入手性を確認しておくと、ライフサイクルコストの計画が立てやすくなります。
VCSに関する情報まとめ
- VCSとは:真空中で接点を開閉する電磁接触器。高圧電動機・コンデンサの頻繁な開閉に使う
- 別名:Vacuum Contactor/Vacuum Magnetic Contactor/VMC
- VCBとの違い:VCSは普段の開閉用(高頻度)、VCBは事故時の遮断用(低頻度)
- 構造:真空バルブ(VI)+電磁石コイル
- 代表用途:高圧電動機制御、進相コンデンサ開閉、MCC内負荷開閉
- 寿命の目安:機械寿命25万〜100万回(VCBの数十倍〜100倍)
- 選定項目:定格電圧/電流/遮断容量/機械寿命/コイル電源
- 保護:単体では遮断機能を持たないため、OCR等と組み合わせ
以上がVCSに関する情報のまとめです。
VCSは「頻繁に切る・入れるを高圧で実現する」ための機器で、VCBの「事故時に切る」とは目的がそもそも違うんですね。受変電設備で「電動機をON/OFFしたい」のか「保護で遮断したい」のか**で機器が分かれる、と整理しておくと、図面記号や仕様書を見たときの混乱が一気に減るかなと思います。点検時には真空バルブの真空度測定がメインのチェック項目になるので、年次点検のチェックリストに必ず入れておくのが運用のキモです。
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