- UPSってなに?
- 種類が3つあるって聞いたけどどう違う?
- どれくらいの停電から守れるの?
- 容量はどう選べばいい?
- 設置で気をつけることは?
- 非常用発電機との関係は?
上記の様な悩みを解決します。
UPS(無停電電源装置)は、サーバ・医療機器・通信機器みたいに「一瞬でも停電したらアウト」な機器を守るための電源バックアップ装置です。電気施工管理として絡むと「ただの電源装置」と思われがちなんですが、実は給電方式が3種類あって、守れる停電のレベルが全然違うんですよね。「とりあえずUPS入れときゃOK」と発注を打つと、本来の目的を果たせない構成になることがあるので、選定の判断軸を持っておきたいところ。
なるべく分かりやすい表現で記事をまとめていくので、初心者の方にも理解しやすい内容になっているかなと思います。
それではいってみましょう!
UPS(無停電電源装置)とは?
UPSとは、結論「停電が起きても接続機器に電気を流し続ける装置」のことです。
正式名称はUninterruptible Power Supply(無停電電源装置)。商用電源(電力会社からの電気)が停電・電圧低下・瞬時電圧低下(瞬停)を起こしても、内蔵バッテリーから瞬時に給電を切り替えて、機器を停止させずに動作を継続させます。
JIS C 4411-3でUPSの性能・分類が規定されており、IEC 62040-3とほぼ整合。日本の医療機関・データセンター・通信局舎・自治体庁舎・ビル受変電設備の制御電源など、停電できない用途では必須に近い設備です。
似た設備としてCVCF(定電圧定周波数電源装置)がありますが、CVCFは電圧と周波数を一定に保つことが主機能で、UPSはバッテリーで停電をまたぐことが主機能、という違いがあります。

電気施工管理として絡むのは、主に以下のケース。
– 受変電設備の制御電源(操作回路・遮断器制御)のバックアップ
– サーバルーム・MDF室のIT機器バックアップ
– 病院の医療機器・手術室電源のバックアップ
– 防災センターの監視盤・自動火災報知設備の電源
要するに「一瞬でも止まるとマズい機器」の前段に入れる設備、と覚えておけば話は早いです。
UPSの種類(給電方式3種)
UPSは「商用電源 → UPS → 機器」の電気の流し方で、3種類に分けられます。守れる停電のレベルと価格が大きく違うので、ここはしっかり押さえてください。
常時商用給電方式(オフライン/スタンバイ方式)
普段は商用電源をそのまま機器に流し、停電を検知したらバッテリーに切り替える方式。最もシンプル・安価で、家庭用や小規模オフィスのパソコン用UPSに多い。切替に4〜10ms程度かかるので、サーバや精密機器ではNGなケースもあります。
ラインインタラクティブ方式
常時商用給電方式に「電圧調整機能(AVR)」を追加した方式。電圧の細かな変動はAVRで吸収し、大きな停電だけバッテリーに切り替える。中規模オフィス・小規模サーバルームで定番。価格と性能のバランスが良く、いま市場で一番出回っているタイプ。
常時インバータ給電方式(オンライン/ダブルコンバージョン方式)
商用電源を一度直流に変換し、再度交流に戻して機器に供給する方式。常にバッテリー+インバータを介しているので、停電時の切替時間がゼロ。電圧・周波数も完全に一定になるため、データセンター・医療機器・大型工場制御電源で使われます。
| 方式 | 切替時間 | 電圧安定性 | コスト | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| 常時商用給電 | 4〜10ms | 低 | 安 | 家庭・小規模PC |
| ラインインタラクティブ | 数ms | 中 | 中 | オフィス・小規模サーバ |
| 常時インバータ | 0ms | 高 | 高 | データセンター・医療・大規模 |
「どれを選ぶか」の判断軸
- 「ちょっとの瞬停を吸収できればOK」 → ラインインタラクティブ
- 「一瞬でも止まったらアウトの機器」 → 常時インバータ
- 「コスト優先で家庭用機器を守りたい」 → 常時商用給電
データセンター案件や医療機器案件では、ほぼ常時インバータ方式が選ばれます。瞬停への耐性が桁違いなので。

UPSの構成要素
UPSの中身は、ざっくり以下の4ブロックでできています。
①整流器(コンバータ)
商用電源(交流)を直流に変換するブロック。バッテリーへの充電と、インバータへの直流電力供給を兼ねる。
②バッテリー
停電時の電力源。鉛蓄電池が主流で、最近はリチウムイオン電池も増加中。容量で停電時バックアップ時間が決まり、5分〜30分程度が一般的。長時間バックアップが必要なら別置のバッテリーキャビネットを増設する。
③インバータ
直流を交流に再変換して機器に供給するブロック。常時インバータ方式の心臓部。
④バイパス回路
UPSが故障した時、または過負荷になった時に、商用電源を直接機器に流す迂回路。UPSのトラブルで機器を巻き込まないための保険。
これに加えて、外部に「保守バイパス(メンテナンスバイパス)」を設けて、UPS本体のメンテ時に機器を止めずに切り離せる構成にするのが、業務用UPSのお作法。
UPSの選定(容量・バックアップ時間)
UPS選定で押さえるポイントは3つ。
①容量(kVA)
接続機器の総消費電力を計算し、それに余裕係数(1.3〜1.5倍)を掛けたkVA値を選定。サーバ1台200W、ルータ50W、ディスプレイ30W…といった機器の銘板電力を全部足して算出します。「将来の増設」も見越して30〜50%の余裕を持たせるのが定石。
②バックアップ時間
停電後、機器をどれくらい動かし続けたいか。
- サーバの安全シャットダウンだけ:5〜10分
- 業務継続のために30分〜1時間:標準的なオフィス
- 非常用発電機が立ち上がるまでの繋ぎ:5〜10分(発電機立上りが30秒〜1分なので余裕を持って)
- 長時間運転:30分以上、別置きバッテリーで対応
非常用発電機と組み合わせる場合は、UPSは「発電機が立ち上がるまでのつなぎ」役。これを理解すると容量設計がシンプルになります。

③設置場所と環境
UPSは熱を発する装置で、バッテリーは温度管理が寿命に直結(25℃を超えると寿命が半減)。空調が効いた電気室・サーバ室に設置するのが基本。床荷重も大型UPSだと数百kg〜1tに達するので、床補強の要否を建築側と確認しておきます。
UPSの設置・施工方法
施工フローは大まかに以下の流れ。
- 設計確認:容量・バックアップ時間・設置場所・搬入経路の確定
- 搬入計画:エレベータ寸法・通路幅・床荷重の事前確認(特に重要)
- 電源工事:UPS入力側ブレーカー、出力側分電盤、接地工事
- 本体据付:架台・耐震金物・水平調整
- 配線工事:入力ケーブル、出力ケーブル、信号線(リモート監視用)
- 試験調整:バッテリー充電、動作試験、停電模擬試験
- 引渡し:使用説明、定期点検契約の案内
ハマりやすいのが「搬入経路の確認」。大型UPSはユニット重量が500kg〜1tに達することがあり、ビルのエレベータの定格・通路幅・建物内のドア寸法を全て事前に確認する必要があります。「搬入できるサイズか」を発注前にメーカーと現場で擦り合わせておくのは絶対。
接地工事はD種接地工事が基本ですが、機器の電圧によってはC種接地工事が必要なケースも。スペックシートを確認してから施工してください。


UPSの注意点
実務でハマりやすいポイントを4つ挙げておきます。
①バッテリーの寿命管理
UPSは本体は10年以上使えても、内部のバッテリーが3〜7年で寿命を迎えます。リチウムイオンなら7〜10年。バッテリーが劣化したまま放置すると、いざ停電時に機器を守れず、最悪のタイミングで装置が落ちます。引渡し時に必ず「バッテリー交換時期」をオーナーに伝え、定期点検契約を案内しましょう。
②発熱対策
UPSはエネルギー変換時に必ず熱を出します。常時インバータ方式の100kVAクラスだと、5〜8kWの放熱を見込むことに。空調容量を計算するときに「UPSの放熱」を必ず空調屋と共有しないと、サーバ室が異常高温になって熱暴走する事故が起きます。
③並列冗長構成の検討
重要施設では、UPSを2台並列で運転する「並列冗長構成」も検討対象。1台が故障してももう1台で給電継続できる。コストは倍ですが、データセンターや病院の手術室では当然のように採用されます。
④非常用発電機との切替設計
UPSは「停電を5〜10分しのぐ装置」、非常用発電機は「30分〜数時間しのぐ装置」と役割分担。UPSが切れる前に発電機が立ち上がってバトンタッチする設計が王道。受変電設備の自動切替装置(ATS)と一緒に動作シーケンスを描いて、必ず単線結線図で確認すること。

UPSに関する情報まとめ
- UPSとは:停電時にバッテリーから給電し続ける無停電電源装置
- 種類:常時商用給電/ラインインタラクティブ/常時インバータの3方式
- 構成:整流器・バッテリー・インバータ・バイパス回路の4ブロック
- 選定:容量(kVA)×バックアップ時間×設置環境の3軸で決定
- 施工:搬入経路確認→電源工事→本体据付→配線→試験→引渡し
- 注意点:バッテリー寿命管理/発熱対策/並列冗長/発電機との切替設計
以上がUPSに関する情報のまとめです。停電はめったに起きないからこそ、UPSが本当に役に立つ瞬間は数年に1回。だからこそ「いざという時に確実に動く」状態を保つ設計と運用がすべてです。一通り基礎知識は網羅できたかなと思います。
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